艦娘に転生したけど燃料が足りないので清掃員になります   作:シニカケキャスター

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余命一週間の筆者。わしゃセミか!


きれいにするぞー!

「うーん…?」

 

 私は波の音で目が覚めた。海などない室内で眠っていたはずだから、波の音がきこえるのはおかしい。

 

「…あれ?」

 

 寝ぼけ眼で周りを見渡してみると、なんと砂浜だった。

 

「…これは夢だね、寝よう」

 

 そう、これは夢だ。最近ろくに寝られてないから、きっとそのせいだ。

 

『おーい』

 

『おきろー』

 

『あさだよー』

 

 何かきこえる気がするが、これもきっと夢だろう。

 

『おきないねー』

 

『じゃあほっぺつねっちゃおー』

 

『えーい!』

 

 うーん、ほっぺが誰かにつねられている…。

 

「もー、やめてくださいよ…え?」

 

 私は抗議の声を上げるのを途中でやめてしまった。そう、私のほっぺたをつねっていた犯人は、小さな人のような生き物だった。

 

『やっとおきたー』

 

『おそようだぞー』

 

『おねぼうさんだー』

 

 おーう、これはあれだ、見たことある。艦これの妖精さんだ。

 

「えーっと、妖精さん…ですよね?」

 

『『『そうだよー』』』

 

 私の質問にも律儀に答えてくれた。かわいい。って違う!

 

「妖精さんは私がここにいる理由わかりませんか?」

 

『せんかんだからじゃないかなー』

 

『わたしたちはそうびをうごかすのー』

 

『だからここにいるのー』

 

 えーっとちょっと待ってねー。

 

「今“せんかんだから”って言いましたよね?」

 

『うんいったよー』

 

「せんかんって、でっかい主砲を積んだでっかい船のことですよね?」

 

『うんそうだよー』

 

「私が?」

 

『うん』

 

「私が戦艦?」

 

『うん』

 

 …これはあれですか、私は艦娘、しかも戦艦になっちゃったみたいだね。どういうことなの…。そう言われれば、前より視線が高くなった気がするし、服装もちょっと改造した黒いジャージみたいだ。

 

「あのー、私がなんていう戦艦かわかります?」

 

 せめて金剛型でお願いします。扶桑型はあれが芸術的すぎてわたしには無理でござる。

 

『わかんなーい』

 

「わからないんですか?」

 

 妖精さんがわからないってどういうこと?

 

『なんかごちゃごちゃってゆーかー』

 

『まざってるからわかんないのー』

 

「…“まざってる”?」

 

 混ざってるってどういうことなんですか?

 

『ぎそうみないとわかんないかなー』

 

「艤装ですか…。どうやって出せばいいんです?」

 

 元人間だからわからないのです。

 

『ぎそうはかんむすのからだのいちぶだからー』

 

『でろーっておもえばいいのー』

 

『きあいだー!』

 

 おーう。これはちょいと難しい気がするんですが…。

 

「艤装出ろー!」

 

 出ろー!うおー!

 

『おーでたー』

 

『ほんとにでたー』

 

 これは…大きいですね。私の艤装は、はっきり言って大和型のそれを超えるほどの大きさだ。主砲と思われる巨大な連装砲が四つ。それに次ぐ大きさの連装砲がたくさん。さらに単装砲や魚雷の発射管が大量にある。なあにこれぇ。

 

「ってあれ?」

 

 しかも艤装はそれだけではない。大きな剣と盾も持っていた。うーん、なんの艦娘なんですかねー。さっぱりわからないです。

 

「妖精さん、この連装砲の大きさわかりますか?」

 

 主砲の大きさがわかればある程度候補が絞られる。これで私がどんな艦娘なのか判断しよう!

 

『うーん、しゅほうが80せんちでー、ふくほうみたいなのが41せんちだねー』

 

 …はいぃ?

 

「えーっと、80センチって言いました?」

 

『いいましたー』

 

 なんてことだ、80センチ砲を主砲にしている戦艦なんて私は一つしか知らない。ドイツの計画艦、H級戦艦の最後の一つ。H45だ。

 

「そんなぁ…」

 

 どうやら私はH45になってしまったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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『うーみーはひろいーなーおおきーなー』

 

「ヒロイデスネー(泣)」

 

 妖精さん曰く、厳密に言えばH45以外にも二つの戦艦が混ざっているらしい。41センチ砲がたくさんついているから、もしかしたら50万トン戦艦も混ざっているのかもしれない。そうだったら簡単には沈まないとんでもない艦娘になっちゃったことになる。でも…

 

「妖精さん、なんで私が戦わなければいけないんですか!?」

 

 だからといって初心者に早速戦えはないでしょ!?入学したらいきなり公道に出される自動車学校か!

 

『たたかわなければいきのこれない』

 

『てきのしかばねをこえてゆけ』

 

「私、主砲すらも動かせないんですけど!?」

 

 どう戦えと!?

 

『だいじょーぶだいじょーぶ』

 

『そこにたてとけんがあるじゃろ?』

 

「近接戦闘をしろと!?」

 

『そうだよ(無慈悲)』

 

 これはひどい。こんなの絶対おかしいよ。

 

『げんじつはひじょうなり』

 

「泣いていいですか!?」

 

『わらえばいいとおもうよ』

 

 妖精さんがフリーダムすぎる件について。

 

『それにぎそうはわたしたちがうごかすから』

 

『なんくるないさー』

 

 初日からこれなのに私これから生きていけるのかな。

 

『てきえいはっけーん』

 

『かんさいきはっかーん!』

 

「え、いきなり!?」

 

 深海棲艦が見つかったらしい。背中の艤装についた箱のようなものから艦載機が飛び出す。そういうやつなの!?

 

『かくごはいいか?おれはできてる』

 

「私はできてないです!」

 

 平和ボケした一般人だったから戦いとか無理!

 

『てきはをきゅうふらぐしっぷがいっぱい、いきゅうがさんせき、ほきゅうがにせきだよー』

 

「いきなりヲ級!?しかもflagship!?」

 

 かんにんしてつかぁさい!よりにもよって初戦がヲ級flagshipだなんて!私死にますか!

 

「これは逃げた方が…」

 

『おまえがやらずしてだれがやる!』

 

『みなとがおそわれてひとがいっぱいしぬのです』

 

 そうだ、私が戦わなければ誰かが死ぬ。私が戦わなかったせいで、誰かが死ぬ。力があるのに使わないなんてバカな話があるか!

 

「そうだ、私は今戦艦なんだ!私ならできる!私は最強だ!」

 

『そうだよ』

 

『あなたはさいきょー!』

 

「アハハハハ、行くぞォォォ!」

 

 覚悟はいいかそこの深海棲艦!私はできてる!

 

『ぜんしゅほーうてー!』

 

『ふくほうもどーん!』

 

 鼓膜を劈くようなけたたましい音とともに、砲弾が飛んでいく。イヤーマフがなければ耳が逝かれるほどの大きな音だった。

 

『ちゃくだーん!』

 

『くちくかん、けいじゅん、すべてげきちん!』

 

「スゴッ!」

 

 威力すごいね!一撃で撃破か!私の主砲と副砲は化け物か!

 

『くうぼをしとめろー!』

 

「了解!」

 

 今のヲ級は私の艦載機の相手で手一杯!つまり無防備!ここで仕留める!

 

「おりゃァァァァァァ!」

 

 ヲ級に接近し、大剣を振り下ろす。剣はヲ級の杖ごとヲ級を斬る。切り口からは血が吹き出て剣を濡らす。そして、そのままヲ級は海に沈んでいった。

 

「…終わった…?」

 

『せんとうしゅーりょー』

 

 やったー!勝ったー!

 

「どうでしたか私の戦い!」

 

『30てん』

 

『わざわざきょりをつめてこうげきしたのはだめでした』

 

『ぎょらいぶつければよかった』

 

「辛口だけどまったくもってその通りです」

 

 とりあえず鎮守府を探そう。燃料切れになっちゃう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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『ひどーい』

 

『おばけやしきー』

 

『きたなーい』

 

 鎮守府を見つけました。お化け屋敷みたいな鎮守府を。

 

『おそうじしてなーい』

 

 この鎮守府の汚さは、長年誰も住んでいないがための汚さではなく、長年誰も掃除していなかった汚さだ。

 

『はいってみよーってくさい!』

 

『たばこくさーい!』

 

 やっぱり掃除していなかったようだ。

 

「誰かいませんかー!?」

 

『…へんじがない、ただのしかばねのようだ』

 

「どこに屍があるんですか!」

 

 とりあえず誰もいないことが判明した。

 

『どうするの?』

 

「ほかにこの辺りに鎮守府っぽいところはなさそうですし、他を探そうにもそもそも燃料が足りないです。しばらくここにいましょう」

 

『こんなきたなくてくさいところにいるの?』

 

「掃除しましょう掃除!もしかしたら艦娘の建造もできるかも!」

 

『けんぞう…!』

 

『うでがなります!』

 

『さっさとそうじしてけんぞうだー!』

 

『『『おー!』』』

 

 そんなに建造したいのか…!ちょっとびっくり。

 

「よーし、まずはこの部屋を掃除しましょう!」

 

『『『うおー!』』』

 

『やにがこびりついてる!かべがみはがせー!』

 

『かぐもくせー!そうとっかえだ!』

 

『うらにやまあったな!ざいもくつくってこい!』

 

『『『あいあいさー!』』』

 

『ていとくのへやものぞいてみよー!』

 

「…そうですね、行きましょうか!」

 

『『『ひゃっはー!』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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『おまえたちはすでにほういされている!』

 

『おとなしくひとじちをかいほうしてでてこい!』

 

「…ドア開けますよ?」

 

『やってくれ』

 

『とつにゅうだー!』

 

 というわけなのでオープンザドアー!バーン!

 

『ごよーあらためである!』

 

『ようせいけいさつだー!』

 

『いたいめみとうなかったら!』

 

『しんみょうにしてばくにつけや!』

 

「…何してるんです?」

 

『『『きどうたいごっこ』』』

 

「はあ…」

 

 妖精さんの妙に気合の入ったごっこ遊びだった。まる。

 

「にしても趣味悪いですねーここの提督」

 

 拡大した自分の写真をでかい額縁に入れて飾るなんて。自分大好き人間だったのだろうか?平均以下の顔なのにね。悲しいことです。

 

『みてーがくぶちきんぴかー』

 

『なりきんしゅみー』

 

『みてらんないよー』

 

『てっきょだー!』

 

『やきはらってしまえー!』

 

『おぶつはしょうどくだー!』

 

『『『ひゃっはー!』』』

 

 世紀末のモヒカンもしくは梨の妖精の如きハイテンションの妖精さん。とりあえず好きにやらせておこう。

 

『つくえのなかからほうせきはっけーん!』

 

『うりはらってしまえー!』

 

『くそていとくのへそくりはばいきゃくだー!』

 

『『『ひゃっはー!』』』

 

「売るところあります?」

 

『『『ない!』』』

 

『げんじつはひじょうなりー!』

 

 だめだこりゃ。

 

『ほんだなのうらになんかありそー』

 

「隠し部屋でもあるんですかね?」

 

 そんなものまであるなんて、ほんとどうなっているんでしょうかね?

 

『『『うぐぐぐぐ…!』』』

 

『うごかなーい!』

 

「じゃあどこかの本を押すと開くタイプなんじゃないですか?…あ、開いた」

 

 てきとうに本を押していったのだが、あたりだったみたいだね。

 

『とつげきー!』

 

『しょうぐんにつづけー!』

 

『『『うおー!』』』

 

 相変わらずのテンションの妖精さん。隠し部屋に入ってみると、大量の鋼材や弾薬が置いてあった。

 

「横領着服ってところですかね?」

 

『やっぱりくそていとくだね』

 

『ようせいがぜんぜんいなかったのもなっとくー』

 

『こんなていとくのところにはいたくないもん』

 

「同感ですね」

 

 私もこんな人の下にいたいとは思いません。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「中庭!」

 

『『『よし!』』』

 

『しょくどー』

 

「良し!」

 

『こうしょー!』

 

『『『よし!』』』

 

「あとは!」

 

『かんむすりょう!』

 

「で、敢えて言いましょう。ここどう考えても倉庫ですよね!?」

 

『かんむすりょうってかいてあるよ?』

 

 こんなの絶対おかしいよ。

 

「全然窓がないじゃないですか!」

 

『けんちくきじゅんほーいはん』

 

『まどつけようか』

 

「これ全部!?」

 

『いえす』

 

『ついでにそうじもよろしく』

 

「おうふ…」

 

 面倒くさい仕事を押し付けられた。泣きたい。

 

『どっかーん!』

 

『こっぱみじんにけしとばしてやる!』

 

「消し飛ばしちゃダメです!」

 

 だめだ…妖精さんが元気すぎてついていけない…!

 

『てがとまってるよー』

 

『くちよりてをうごかせー』

 

 タスケテ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 私たちがこの鎮守府に来て早3日。鎮守府は綺麗になりました!

 

『なんということでしょう』

 

『あれだけたばこくさかったへやがせいけつに』

 

『ごらんください』

 

『あれだけくらかったかんむすりょうににっこうがさしこんでいます』

 

「何やってるんです?」

 

『『『たくみごっこ』』』

 

「はぁ…」

 

 妖精さんのごっこ遊びはよくわかりません。

 

『きれいになったということは』

 

『けんぞうだー!』

 

『ひゃっはー!』

 

『おれのなをいってみろ!』

 

『こうしょうにごー!』

 

『『『いえーい!』』』

 

「資材使い果たさないでくださいねー」

 

『『『はーい!』』』

 

 そして私は玄関掃除。この差はなんなのでしょう。

 

 

「れれれのれー…これはおかしいですね、やめましょう」

 

 ほうきを使った掃除をしているとこのフレーズが出てくるのはなぜでしょう。謎ですね。

 そんなことを考えていると、この鎮守府唯一の陸路であるトンネルから、一台の軽自動車がやってきた。こんなところに来るなんて…。

 

「大本営も車で送るくらいしてくれたっていいじゃないかまったくー」

 

「きっと大本営も忙しいのです。がまんがまんなのです!」

 

 おーう、誰かきたねー。一人は白い軍服をきた女の人。もう一人は制服をきた少女。これはあれだ。

 

「わかったよ電ちゃん」

 

「わわっ、司令官さんいきなりなでないでほしいのです!」

 

 提督が着任しましたってやつだ。はは。今妖精さん建造してるね、きっと。やばーい。

 

「そういえば玄関の掃除をしている人って誰なの?」

 

「えーっと、だれなのです?」

 

 私はH級戦艦、H45だ!なんて言えないし、厳密には違うし。これはもうこう言うしかない!

 

「私はこの鎮守府の清掃員です!」

 

 




清掃員のステータス

耐久1745
装甲445
回避37
火力886
雷装97
対空192
対潜0
索敵72
運5
搭載123
速力高速
射程超長
燃料1750
弾薬2450

なあにこれぇ
初期設定ではもっとおかしかったっす
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