惑星サンライズに存在する『クラウディア』
それに存在する『クラウド大陸』から、大陸外の調査に向け出発した雲海調査船『アスタンテ』
愛する者を失って、生気が高まらず鬱状態だったパイロット『カンジ・アカツキ』
バルキリーという戦闘機に乗る、遊撃隊のパイロットや前大戦におけるベテラン指揮官の鼓舞により、再び戦士として復活する!
そして彼らは、雲海の彼方に現れた”光の柱”の調査を行なう。
▶光の柱 周辺空域◀
リエ「まもなく光の柱に突入します! 生身は、もちろん機体での調査もダメですよ」
「特殊装甲がされているアスタンテは問題ないですが、皆さんの機体は、”物質を原子レベルで粉々にする
雲海の影響”を受けますからね」
「では、ミーティングを行ないたいので、各員ブリッジまで来てください」
リエからの艦内アナウンスが流れ、搭乗者がブリッジに集まった。
▶アスタンテ・ブリッジ◀
イサム「分かってはいたけど、結局どーやって調査する気なんだ?」
ガルド「少しは、自分で考えろ」
イサム「んだ、てめぇ!? なら、おまえの意見を参考にさせてもらおうじゃないの!」
ガルド「俺の意見より、カンジが良い策を持っているみたいだぞ?」
イサム「そんな言葉で逃げられると思うなよ!?」
この2人の口論は、クラウド大陸出航後も何回かあった。喧嘩するほど仲が良いのだろうか……そしてリエが仲裁に入る。
リエ「まあまあ、イサムさんもガルドさんも、お兄ちゃんの策を聞いてみましょうよ」
リエからの振りでカンジが口を開く。
カンジ「まず、調査に向かう前から分かっていた点がある」
「それは、光の柱の名前から分かるように実体が無い、更に自然現象で起こった」
イサム「ちょっと待て。あの柱のせいで大陸の文明が崩壊したんだろ?」
「ホントに自然現象なのか?」
ガルド「ああ。そこの説明を求める」
カンジ「そもそも雲海自体が危険と言わているんだ。そこを俺なりに考えてみた」
「俺たちが雲海を進めないのと同じで、柱から出てきた軍団も初めは大規模な行動を起こしていない……
いや、起こせなかったんだ!」
リエ「私も、お兄ちゃんと同じことを考えていました」
「(お兄ちゃん、がんばれ! 今回のお兄ちゃん……かっこいいよ)」
カンジは、リエの頷きを確認して話を続ける。彼女の心の声までは、気付いてないと思うが。
カンジ「少し、事の焦点を変えてみてくれ。
奴らは、雲海の影響を受けない装備を何らかの方法で手に入れたんだ!」
ガルド「なるほどな。話に前後があった訳か……」
リエ「このことから、光の柱の出現と軍団の技術力については関係が無いように思えます」
イサム「んでさ、話が元に戻るわけだが俺たち一体、何すれりゃ良いの?」
本当に話が元に戻ってしまった。
今回のカンジは、一皮むけた知的さを持った戦士だと思っていたが、やはりポンコツなのか?
カンジ「光学兵器を使おうと思っているんだが、どう思う?」
ガルド「何だ? この艦には、そういった装備があるのか?」
リエ「いえ。実は、この辺で『オルゴン・マテリアル』と呼ばれる鉱物が採れるんです」
イサム/ガルド「オルゴン・マテリアルだとっ!?」
遊撃隊の2人が同時に声を上げて驚いた! イサムとガルドは、アスタンテ遊撃隊の命を受ける前に時空修正プロジェクト遂行中、オルゴン・マテリアルで形成された機体を護衛したことがあったからだ!!
カンジ「知っているのか?」
イサム「あ、あぁ。知ってるっちゃ、知ってるけど」
『オルゴン・マテリアル』は、雲海に存在する理を無効化できる鉱物。使い方によっては、世界を滅ぼすことも可能となる鉱物だ! イサムとガルドは、このことも分かっているのか不明だが、情報が得られるかもしれないので話を聞くことにした。
ガルド「具体的な話をイサムから言えるとは思えんから、俺から説明しよう」
「ここに雇われる前に、俺とコイツは時空修正プロジェクトを遂行していた」
リエ「クロスゲートの調査ですね?」
カンジ「(クロスゲート……確か、ワープ航行のことだったっけな)」
「(オルゴン・マテリアルに関する世界や時系列があったのか?)」
ガルド「ああ。そこで俺たちは、3人の少女に出会った」
カンジ「(少女?)」
「その3人の子が、オルゴン・マテリアルに関係しているのか?」
ガルド「そうだ。まあ正確には、乗っていた機体の方になるが……だが当時、オルゴン・マテリアルの
主な採掘場は、月にあったような気がする」
少し事象がズレているのだろうか?
話が混乱してきた。
イサム「でもよぉ、ガルド! 月にあったやつと同じかは、分からないぜ?」
ガルド「……まあ、そうだな。すまん、この話は忘れてくれ」
ガルドは、イサムの意見に対して自信のある言葉を返せなかった。だが、その時カンジが口を開いた。
カンジ「いや、待てよ。この光の柱が月に関係している……とかいう可能性はないか?」
全員「!!」
リエ「そうか! サテライト・マイクロウェーブ!!」
「お兄ちゃん、すごいよぉ!」
ルンの声「(カンジ……)」
カンジ「ん?」
「(この感じ……ルンか?)」
リエの声の他に、ルンの声が聞こえた。
クラウド大陸を出発する時にも聞こえた、ルンの声。どうやらルンの思念体は、アスタンテに留まっているらしい。
ルンの声「(この先にいるよ)」
カンジ「(えっ……?)」
カンジは、一瞬思想が固まった。ルンがいると、思った……そう思いたかった!
ルンの声「(残念だけど、私じゃないわ)」
「(ガルドさんの言っている3人の少女たちが……)」
カンジ「(ルン……おまえ、もしかして?)」
ルンの声「(リエちゃんの言う通りだね。カンジ、良い意味で変わったね)」
「(あなたが思っている通りだよ。思念体の私なら……この周辺空域で雲海の影響を
無効化させることが出来るよ)」
カンジ「(ってことは、月との直接交信も出来るのか!?)」
ルンの声「(……)」
ルンは、少し黙ってしまった。カンジは、まだ気づいていない。
雲海の影響も無効化できる、
月との交信も出来る、
しかしそれは、ルンの思念体が消滅することも意味するのだ!
そしてルンの声は、聞こえなくなってしまった……
イサム「おっと、早速何か起きるみたいだぜ!」
リエ「見てっ! 光の柱があった場所、基地みたいな施設があるよ!!」
カンジ「(ルン?)」
「(突然、ルンの声が聞こえなくなったぞ?)」
リエ「お兄ちゃん! お兄ちゃん!!」
カンジ「うるせぇな! ルンの声が聞こえねぇだろ!!」
リエ「ひっぇ!?」
「ご、ごめんなさい……」
カンジは、リエに当たってしまった! リエも含めて、カンジが何に苛立っているのか分からなかった。
カンジ「あ……ごめん、リエ」
「悪ぃ、俺、疲れてるみたいだ。自分の部屋に戻るよ」
そう言うとカンジは、ブリッジを後にした。
リエ「お兄ちゃん……」
イサム「あ、あのさ……そろそろ、”ルン”とかいう奴のこと教えてくれないか?」
ガルド「艦長にも事情はあると思うが、こちらも命を預けている以上、情報が必要だ」
リエ「そ、そうですね……」
「簡易的にお伝えすると、お兄ちゃんの彼女です」
ガルド「そいつは今、どこにいる?」
リエ「……」
「前大戦での戦闘中にMIA(Missing in Action)扱いになりました」
▶アスタンテ・カンジの部屋◀
カンジ「(ルン……)」
──光の柱に突入出来るようになった、アスタンテ
──しかし再び、戦意を喪失しつつあるカンジ
例え、思念体であろうとも、心の支えになっていたルン……
それを失った彼に3つの意思が届いた。イサム、ガルド、リエではない3つの意思……
それは、彼の心を映した形で現れた!
ルン(?)「アンタがカンジ・アカツキね?」
カンジ「えっ……ルン!?」
ルン(?)「話が面倒くさくなるから初めに言っとくけど、私たちは”ルン・フォレスト”じゃないから!」
突然現れたルンの姿をした女性。だがそれは、MIA認定されたルン・フォレストではない。
カンジ「私”たち”?」
「ルンじゃないって……」
ルン(?)「あーもうっ! ルン、ルンって、うるさいなぁ!!」
「私は『フェステニア・ミューズ』」
「『カティア・グリニャール』よ。あなたと個人的に仲良くなるつもりはないけど」
「あ、あのぅ……『メルア・メルナ・メイア』です」
カンジ「えっ? 3回名乗られたけど……(しかも別々の名前で)」
ルンの姿をした1つの器に3つの意思が存在している。カンジは分かりやすいように確認をした。
カンジ「赤毛の子が『フェステニア』・緑の服を着てるのが『カティア』・ふくよかな外見なのが『メルア』……
で、あってるか?」
フェステニア「うわぁ、キモッ! 外見で覚えやがった」
カティア「あなたの魅力度、マイナスね」
メルア「そ、そんなに胸を……見ないでください」
カンジ「(何だ……俺、かなり嫌われてるみたいだが)」
「(それにコイツら、リエと同じような性格してんな)」
カンジは、どうしたら良いのか分からなくなってきた。
カンジ「(ブリッジにいるリエに通信を送ってみるか)」
リエ「……はい、ブリッジです」
リエは、まだカンジの大きな声に怯えているみたいだ。それは、カンジも気にしていて開口一番に謝った。
カンジ「リエ、ごめんな」
リエ「うん。ありがとう、お兄ちゃん。私は大丈夫だよ」
「それで何かあったの?」
カンジ「ああ。ルンの姿……じゃねぇな、目の前の基地から通信……いや、通信じゃないや」
リエ「?」
いまいちカンジの部屋からの通信内容が伝わってこない。
目の前にルンがいて、
そのルンの中には、3つの意思があって自分と会話している。上手く伝えられるわけがない。
カティア「カンジ、そのコードの配線変えるわね」
カンジ「あ、おいっ!」
フェステニア「映像通信に変えるだけだよ」
メルア「ほら、見てみてください。ブリッジのモニタに映像が届きました」
カンジ「(!?)」
さっきまでルンの姿をしていた3つ意思は、それぞれの個体としてモニタに映っていた!
フェステニア「責任者、誰?」
リエ「え? わ、私が艦長ですけど……」
カティア「私たちを保護していただきたいの」
メルア「えっとぉ、オルゴン・マテリアルが欲しいんですよね?」
「もし、私たちを安全なところまで保護していただければ、少量ですがオルゴン・マテリアルを
お渡しします」
話がどんどん進んでいく
彼女たちは今、緊急事態なのだろうか?
艦長の責任を問われるかもしれないこの内容にリエは、どうするのか……
イサム「(やっぱりアイツらか……)」
ガルド「(また、戦火が広がるのか)」
「(この疫病神共が!)」
彼らの運命を握る影が、近づいてきている。