突然、自分を変えるために未来から娘がやってきた話 作:akatsuki4612
「早く起きてください、お母様が朝御飯を作って待っていますよ」
「もうそんな時間か……ふわぁ~あ」
葵に体を揺すられて目が覚める。
葵が来てからというもの平日に起きるのは8時と学校が始まるギリギリの時間に起き、学校が始まる5分前に着くというのが当たり前になったのに、「そういう過ごし方をしているからああなるんですよ」と言われ、今では6時30分に起きて朝食を食べ、身支度を整えてから余裕を持って学校に行かされている。お陰でクラスの人や友人に奇妙な目で見られた。
寝巻きから制服に着替えて前日に準備しておいた学校鞄を持って、とりあえず朝食を食べようと部屋から出てリビングに行く。
「あらおはよう海里、朝食できてるわよ」
部屋から出てきた俺に母さんはそう言った。俺も母さんに挨拶し、朝食が置いてある場所に行き足元に鞄を置いてから椅子に座る。今日の朝食はフレンチトーストか……
「それにしても、葵ちゃんが来てから海里がきちんとした生活習慣になって助かっているわ」
「いえ、まだまだ全然ですよ、これを定着させないといけないんですから」
母さんと葵が些細なことを話している。
「それにしても私に部屋を貸していただきありがとうございます」
「別にいいのよ~だって海里の娘なんでしょ? ということは血がつながった家族じゃない! この家に住むのは当たり前でしょ?」
……そう、葵は俺を変えるためにここにきたのだからこの家に住んだほうがやりやすいと言ったのだ。俺は母さんや父さんにどう説明するんだ? と聞いたら、
『真実を言って部屋を貸してもらえるように交渉してみます』
と言ったのだ。俺は母さんはそれで信じても父さんは信じないだろ!と言ったら
『大丈夫ですよ』
と言って俺を引っ張りながら母さんたちのいるリビングに行った。俺はとりあえず葵のことを説明しようと頑張ったが、母さんはとても喜んでいたが、父さんが
『お前と母さんは他の部屋で待ってろ、俺はこの子と二人で話し合う』
と言われリビングの隣にある和室の部屋で母さんと一緒に待つことになった。父さんはとても頑固だったので俺は了承してくれるかとても心配だったが、母さんが
『大丈夫よ、きっと認めてくれるわ』
と言われたので俺はどうしてかを尋ねたら、
『だってあの人……孫は女の子がいいって言ってたんですもの』
と言いながら母さんは、リビングでの会話が聴こえるように部屋の扉を少しだけ開けると
『いやぁ心配していたが海里はちゃんと結婚するのか! それにしても生きているうちに孫をみれるなんてな!』
という会話が聴こえてきた。その瞬間俺の中での父さんのイメージが崩れた気がした。
後に葵に聞いてみると、『あなたの父は息子に見栄を張っていただけで本当はとても甘いんです、現に私のときはとても甘やかしてもらいました』と言われた。さらにイメージ像がガラガラと音を立てながら崩れた気がした。もう再建不可能なほどに。
「おはよう、海里 今日も早いな」
「おはよう父さん」
そんなことを考えていると父さんがやってきた。
「今日は確かテストが返ってくる日だろ? ちゃんと見せるんだぞ」
げっ……何でテスト返ってくる日を知ってるんだ。
「安心してくださいお父様、私が必死に叩き込んだので今回は今までの中で一番高いと思います」
「そうか、なら期待して待っているよ」
そう言って父さんは席に座り、母さんと話しながら朝食を食べていた。俺も食べなきゃ思いフレンチトーストを一口食べる。
……ふんわりとした食感で甘さを感じるが、しかし甘すぎるということもなく良い感じだった。無言で食べ続け、完食すると食器を片付ける。
「どう、美味しかった?」
「……まあまあかな」
そう言って俺は鞄を持って玄関に向かう。途中で母さんがはっきり言ってくれればいいのにと言っていたが
『大丈夫ですよお母様、全部食べているということは美味しかったと言うことですから』
と葵の声が聞こえてきた……余計なことを言うんじゃない!
靴を履き、鞄を持って玄関の扉を開ける。
「……いってきます」
俺は小さな声で呟くように言った。するとすぐに母さんがいってらっしゃいーと返していたが……何で聞こえるんですかねえ!?
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自分の学校では、テストはすべての授業が終わった後のHRで返される。なので先生が来るまでみんな結果が気になり騒がしくなる。
普段の俺ならば、先生が来るまで机に突っ伏して寝ている。だが今回は違う。正直祈るようにして先生が来るのを待っていた。
何故ならば葵との約束があるのだ。そうそれは─────
5教科の合計点が400点以上じゃないと俺の全財産がプリンに変わってしまうのだ
しょうもないと思っているだろうが考えてみてほしい、中学生にとってお金はなかなか貯まらないのでゲーセンで遊ぶのも服を買ったりなどするのも一苦労である。それを全部葵の好物であるプリンに変えられてしまうとなるとなかなかきついものだ。
なので寝る間も惜しんでテスト勉強に励んだ。当日の朝まで……すると葵から
『徹夜で勉強するとテストのときに頭が回りませんよ?』
と言われたが寝れる時間が一時間しかなく、寝ないほうがいいだろと言ったら
『じゃあこれを使ってください』
と言われ葵がタッチパッドみたいなものを取り出し操作しているといきなりカプセルみたいなものが出てきた。
なにこれと聞いたら、どうやら未来での睡眠道具らしくカプセルの中で寝ると1分で1時間寝たことになるらしい。それで俺はカプセルの中に入り7分寝た。目を覚ますと本当に7分しか経ってないのに身体は気だるさを感じず7時間寝たように感じた。ちなみにこれを主に使う人は忙しくて寝る時間がない人やあまり時間を無駄にしたくない人が使うらしい……過労死対策かな?
「ねぇ海里」
そんなことを考えていると、声を掛けられる。おそらくこの声は……?
「どうした?」
俺が振り返って返事すると幼馴染である、
「いつもはテスト返しのときは寝ているのに……珍しいね?」
「そうだな……今回は勉強頑張ったからな」
俺がそう言うと朱音は絶句したのかそのまま固まってしまった。
「おーい、朱音?……朱音さーん?」
朱音の顔の前で手を振って意識を確認すると、急に戻ってきたのか
「どういうこと!? 最近おかしいよ! 朝早く登校してくるし、授業中全然寝ないし、挙句の果てにはテスト勉強をしているなんて!」
「嘘だろ……木坂が勉強したのか!?」
「明日世界でも滅ぶんじゃないの?」
彼女がそう言うとクラスのみんなも俺の方を向いて騒ぎ始める。……俺、そこまで言われるほどに酷かったのか?
「静かにしろーあと席につけ、今からテストを返すぞ」
ガラガラとドアが開く音がして、皆一斉に黙り込み、朱音も先生を見て席に座る。
「えー……今回のテストはあまり皆点数が良くなかった」
先生の言葉を聴いて皆ガッカリしたり、うげぇ……と声にならないようなのを出した奴もいる
まずいな……このままじゃ俺のお金は全部プリンになるぞ!?
そうして番号順にテストが返されていく、するともらった奴から点数を確認したり他の人と点数を見せ合って比べ始める。
「木坂ー!」
俺の名前が呼ばれ、返事をしてから席を立つ。先生のところまで歩いていく。
その瞬間、騒がしかったクラスが急に静まった。……ねぇやめてくれない? いつも通りにしてくれよ!なんでこんなに視線を貰わなきゃならないんだ!?
「最近どうした? 急に人が変わったようにやる気を出しているが……」
何で先生にまで心配されなきゃならないんだよ!酷すぎない?
「今回のテスト、お前カンニングしてないよな?」
「してませんよ! というか席が一番前でどうやってやるんですか!」
不正を疑われることなの!? 俺のことなんだと思ってるの!?
「そうだよな……では気を取り直して」
「おめでとう木坂、お前が学年1位でしかも5教科すべて満点だ」
よっしゃ!これで全財産がプリンにならなくて────
『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?』
……そんなに驚かれること?
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「ねぇ、本当にどうしちゃったの?」
学校が終わってからずっと朱音に質問されている。
「……そんなにおかしいか?」
「おかしいよ、まるで人が変わったかのように……」
「……別に俺は変わってないよ、暇さえあればゴロゴロしたいし歩いて帰ってるのさえ面倒だし」
「じゃあなんで最近こうも変えちゃったの?」
「自分の将来について考えてさせられてさ……このままじゃ駄目な気がしたんだ、だからかな?」
「……そうなの」
「そうだな」
「……わかった、私、海里を応援してるから!」
「……ありがとう」
「いいのよ、だって幼馴染でしょ? あと途中で投げ出したりしたら許さないから!」
「あぁ……わかった」
何だかんだ言って朱音は理解してくれる。いい幼馴染を持ったな
「それじゃあここでお別れね」
「……また明日な」
「うん!また明日ね」
そう言って朱音は自分の家に入っていく。……俺も早く帰るか。
朱音の家から歩いて数分で自分の家に着く。
「ただいまー」
「おかえりなさい」
扉を開けてそう言うと奥から葵の声が聞こえてくる。
「テストの結果はどうでしたか?」
「5教科満点だったぞ、ありがとな葵」
「……私が教えたので当たり前ですよ、逆に取れない方がおかしいですよ」
「ははっ……そうか」
うーん、やっぱりあんま反応しないな……やっぱりみんなが驚きすぎなだけか。
「お礼と言ってはなんだが……プリンを買ってくるよ」
俺がそう言うと葵が立ち上がり詰め寄ってくる。
「プリンを買うなら明快堂のホワイトプリンを買ってきてください、そこ以外のだったら許しません」
「おっおう……」
こいつ……!?プリンのことになるとこんなに必死になるのか。
「ほら、早く行ってきてくださいよ」
「わかったよ!、だから押すなって!」
このあと明快堂に行ってプリンを買って帰ったが、葵は満足そうにプリンを食べていて意外な一面を知ってしまった……