ウソップっぽいポジションに転生したはずなのに、なんで私は女の子なんだろう 作:ルピーの指輪
今回はバロックワークスに勧誘されたライアのシーンからです。
それでは、よろしくお願いします。
まさにアーロンパークに向かう最中に突如として現れたバロックワークスのエージェント、Mr.9とミス・ウェンズデー……。
私をスカウトに来たとか言ってるけど、どういうことだ?
こんなの漫画にない展開だし。どうすれば……。
「ライア、そいつら知り合いか?」
ゾロがそんなことを言いながら、もう刀に手を置いている。えっ? 知り合いじゃなかったら、もう斬るの? 早すぎない?
「ええーっと、どうしたものだろうか? そうだね。少しだけ話してくるよ。そう、平和的に……。すまないが、待っててくれ」
私はみんなにそう告げて、木陰に二人を連れて行った。
「ほう、仲間と離れて話をしようとはいい度胸――。って、いっ、いつの間にっ!」
Mr.9が話しかけた瞬間に私は彼と肩を組み、喉元に銃を当てた。
「時間がないんだ。全部話してくれ。おっと、お嬢さんも妙なマネをすると、こいつが火を吹くことになるぞ」
私はMr.9に銃を突きつけつつ、ミス・ウェンズデーを牽制した。
「ひっ、卑怯よ! まだ、何もしてないのに!」
ミス・ウェンズデーは怒りながら私を卑怯者扱いをしてきた。確かにまだ何もされてないから、過剰反応かもしれないな。
「そうだね。マナー違反なのは、わかってる。でも、時間がないんだ。許してほしい。ダメかい?」
私は精一杯の誠意を込めて、ミス・ウェンズデーの目をジッと見て謝罪をした。申し訳ないが、アーロンを何とかしなきゃならないときにこの人たちを構ってられない。
でも、どうしよう。ミス・ウェンズデーに何かあったら今後が色々と詰むかも……。
「――はっ、はい。許します……。――じゃなかったわ! Mr.9を離しなさい!」
ミス・ウェンズデーはボーッとした表情でコクンと頷いたかと思えば、頭をブンブン振ってMr.9を解放するように言ってきた。
一人でボケてツッコミを入れるとは……。王女なんだよね? この人……。
「それは私の質問に答えてからだ。君たちは何者だ? 私に何の用事があってやって来た?」
私は二人に改めて目的を問うた。
「私たちは秘密犯罪結社バロックワークスのエージェント。私がミス・ウェンズデー。彼は私のパートナーのMr.9よ」
ミス・ウェンズデーが私に自分たちの紹介をした。
「おれたちはボスからの指令で世界中で犯罪活動をしている。さらに、ボスが力を入れているのは腕の立つ同志の勧誘だ。
Mr.9は私のもとに来た目的を話した。
なるほど、確かにゾロもバロックワークスからスカウトされたことがあるって言ってたもんなー。断ったら襲われて返り討ちにしたとか言ってたけど……。
「ところが、私たちがこの海に来てからというもの、まったくと言っていいほどあなたの消息が掴めなかったの。賞金首を捕まえたって話も全然聞かなくなった。私たちは焦ったわ。ボスの指令に応えることが出来なかったら、下手したら殺されるから……」
あー、それは私がルフィを待つために活動を止めたからだね。
というか、ルフィに会う前に勧誘されてたら非常に面倒だったな……。私は思わぬ罠が潜んでいたことを知って戦慄していた。
「たまたま、海上レストランに行って助かったぜ。そこのコックがよ、気のいい兄ちゃんで《魔物狩り》の戦いを見たって言うんだよ。んで、行き先を聞いたら船の進んで行った方向を教えてくれてな。そして、聞いていた特徴そっくりの船が止まっているのを見てこの島に乗り込んだっていうわけだ」
Mr.9はここまで来た流れを話した。ホントに偶然じゃないか。
ていうか、そんなヒントでよくここにたどり着けたな。
「わかった。でも、頑張ってくれたところ悪いんだけどね。私はもう賞金稼ぎをやめて、海賊になったんだ。せっかく来てくれたのに申し訳ない」
私は彼らに現状を伝えて謝罪した。話を聞くとかなり苦労したみたいだったから可哀想とまで思っていた。
「ちょっと! 申し訳ない、じゃないの! それを聞いてハイそうですかって引き下がれないわよ! こっちだって命が懸かってるんだから!」
ミス・ウェンズデーは武器である
「まぁ、待つんだ。平和的に話し合おう」
「人質をとって平和的になんて、言わないでちょうだい!」
「そっそうだ! おれたちは犯罪者だし、卑怯なこともするけどよォ! されるのはごめんだぜ!」
犯罪組織を名乗ってるにしては、甘いところが目立つ二人が、私に対して抗議する。
しかし、ミス・ウェンズデーをあまり刺激したくないな……。
「大人しくしてれば、何もしないって約束するよ……。暴れても仕方がないだろ?」
私は出来るだけ笑顔を作って彼女を諌めた。
「――そっそれもそうね……。わかったわ……」
「おっおい! 何を言い包められているミス・ウェンズデー!」
ミス・ウェンズデーが大人しく武器をしまい込むと、Mr.9が悲壮な顔でツッコミを入れた。
「まぁまぁ、君も落ち着いて。取り引きをしようじゃないか」
「落ち着けるわけねェだろっ! とっ、取り引きだとォ!?」
Mr.9は私の取り引きという言葉に反応した。
どう考えても、この二人を放置するのは怖すぎる。少なくともウィスキーピークまでは目の届くところに置いておかないと……。
「今から、私たちは2000万ベリーの賞金首を狙いに行くんだ。ノコギリのアーロンっていう大物をね……」
「にっ、2000万ベリー……。確かにこっちの海では破格の金額だな」
「賞金首は資金稼ぎとして私たちもよく狙ってるけど、2000万もあれば貢献度合いとしてはかなり大きい……」
私の言葉に二人とも一定の興味を示してくれた。
ここからが本題だ。
「私たちは海賊だから、賞金首を倒しても1ベリーの得にもならない。君たちがアーロン討伐に力を貸してくれるなら、彼の首をやってもいい。ほら、手土産としてはまぁまぁだろ?」
私は二人をこっちに引きずり込むことにした。
何かと理由をつけてともにグランドラインに向かわせようと思ったのだ。
「それとも、ここで任務失敗をしたということで帰るかい?」
私はゆっくりと銃口を押し付ける力を強くしていった。
「――わっ、わかった! わかったから……、離してくれッ! その話に乗ってやろうじゃねェか! なァ? ミス・ウェンズデー」
「ええ、それしか選択肢はなさそうね。Mr.9」
二人が観念した表情で私の条件を受けることにしたようだ。
「あっ、そうそう。一緒にいた彼ら三人だけど……、三人とも私なんかよりも強いから、変な気は起こさない方がいいよ」
最後に私はそう言って、Mr.9を解放した。
二人はそれを聞いてゴクリとツバを飲み込んで、素直に私と一緒にルフィたちが待ってるところに付いてきた。
「やぁ、すまないね。大事なところで足踏みさせてしまって」
「待ちくたびれたぞー!で、何なんだお前らは?」
ルフィは退屈そうな顔をして、Mr.9とミス・ウェンズデーの顔をジロジロ見ていた。
「おっ、おれは謎の男、Mr.9!」
「オホホホホ、同じく謎の女、ミス・ウェンズデー!」
ビシッと、腰に手を当てて自己紹介する二人。そんないい加減な自己紹介があるか……。
「そっかー! 謎かー! なんか、カッコいいなー!」
「ミス・ウェンズデーちゃん! ミステリアスで素敵だァ!」
ルフィとサンジはこの無茶苦茶な自己紹介を受け入れていた。まぁ、このほうが都合がいいけど……。
問題は……。
「Mr.9? ミス・ウェンズデー? どっかで聞いたことがあるような名前だな? お前らもしかして――」
マジマジと顔を見て、凶悪な視線を送るゾロに二人の目は泳ぎ始めていた。
「ゾロ、ここは呑み込んでくれ。この二人は怪しいけど、
私は見兼ねて助け舟を出す。ゾロは以前勧誘されてるから遅かれ早かれ気付くはずだ。
「ふーん。お前が責任か……。まっ、それなら何も言わねェよ……」
「ありがとう。そうしてくれると、助かる」
私はゾロにお礼を言った。彼がそう言ってくれて良かった。
「じゃあ、今度こそ行こうか。アーロンのところへ……」
私たちはアーロンパークまで足を運んだ……。
◇ ◇ ◇ ◇
「うちの航海士を泣かすなよ!」
ルフィはアーロンを見下ろしてとんでもない剣幕で彼にそう怒鳴る。
いやはや、びっくりした。
アーロンパークの門をぶん殴って壊したかと思えば、「アーロンはどいつだ」と叫び、彼が返事をすると、問答無用でラッシュを仕掛けて彼をぶっ飛ばしたのだ。
ルフィはここまで漫画ほど怒ってないと思っていたけど、静かに怒りを溜めていたらしい。
「てめェ! アーロンさんに何を!」
「ぶっ殺す!」
魚人たちがルフィ目掛けて攻撃を仕掛けていた。彼にはアーロンを倒すという仕事があるし、露払いは私たちの仕事だな。
「クソ雑魚は引っ込んでろッ!」
「悪いけど、退場してもらうよ!」
「「ぐああああッ!」」
サンジの蹴りと私の銃弾で向かってきた魚人たちは戦闘不能になる。
「あっ、あいつらとんでもなく強いぞ。ミス・ウェンズデー」
「落ち着きなさい。私たちはあくまでも彼らが倒した首を持ち帰るだけ。慎重に動くわよ。Mr.9」
二人は早くもルフィたちの力に驚いていた。喧嘩売らなくて良かったね……。
「おい、てめェ……、“魔物狩り”だろ? こいつは海賊って名乗ってたがどういうことだ? 何しに来やがった」
意外にもアーロンは冷静さを保っていて、私の姿を確認するとそう声をかけてきた。
「ああ、ごめん。今は私は海賊なんだ。君たちから奪いに来たんだよ。ナミという女をね。彼女は私たちが連れて帰る」
「そうだ! ナミはおれの仲間だ!」
私の言葉にルフィも同調して大声を出す。
「シャハハハハッ! こりゃ傑作だ。たった4人の弱小海賊団がうちの測量士を奪いに来ただって? おい! てめェらっ! 種族の差ってものを教えてやれっ!」
「「
アーロンは私たちを嘲り笑い、部下の魚人たちをけしかけてきた。
「ゴムゴムのォォォォォ!
「だから、てめェばかり獲物を独り占めするなって!」
「けっ、準備運動にもならねェ……!」
「くっ、おれたちも見物しに来たわけじゃねェ! 行くぞ、ミス・ウェンズデー! 熱血ナイン根性バットォォォォォッ!」
「ええ、Mr.9!
私たちは魚人海賊団の猛攻を跳ね除け、向かってきた魚人たちは次々と倒れて行った。
動ける敵はもう少ないな……。
「あいつ悪魔の実の能力者だ……」
「関係ない。所詮は下等種族……、チュッ」
魚人海賊団の幹部、クロオビとチュウはルフィの力を見て少しだけ表情を変えた。
「ニュー、こうなったら! 出て来い……、巨大なる戦闘員よ! 出て来いモーム!」
そして、ハチはモームという巨大な海獣を呼び出して、こちらを攻撃に仕掛けさせた。
「モォォオオォォッッ!」
「ゴムゴムの
「
しかし、ルフィとサンジの同時攻撃によりモームは撃退する。
よし、これで残るは幹部のみ。これなら――。
そう思った刹那、チュウがミス・ウェンズデーを狙って水鉄砲を放った。
いかん、これは直撃するとただじゃ済まない!
「危ないッ! がぁっ!」
私は咄嗟に彼女を突き飛ばして、腹に一撃食らってしまう。
水圧は思ったよりも凄まじく、脇腹を貫通してしまうほどだった。
「大丈夫かい?」
「えっ……、なんで私を……。――じゃなかった! 何を余計なことをやってる!」
私が彼女の身を心配すると、彼女は目を逸らしながら悪態をついてきた。
大丈夫そうなら、良かった。
「まだ生きていたか、運のいいやつだ、チュッ」
「生憎、私は律儀な性格でね……。一発食らったら、一発返さなきゃ、気が済まないんだよ」
私はよろよろと起き上がり、チュウに銃口を向ける。いかん……、やっぱり耐久力だけはルフィたちと比べ物にならないくらい低いみたいだ。手に力が入らなくて、銃口がぶれて狙いが定まらない……。
「まったく、バカなやつ。でも、助けてもらった借りは返すわ」
「ミス・ウェンズデーの恩人とあっちゃ、おれも黙っちゃいねェ! 色男、おれも力を貸してやる!」
ミス・ウェンズデーとMr.9が私の隣に立ち、チュウを見据えた。
「ありがたいけど、ひと言だけ言わせてくれ……。私は女だ……」
「「ええーっ!!!」」
目と舌が飛び出して大袈裟な反応をする二人……。
あんまりな二人の反応に、私は今日一番のダメージを受けた。“魔物狩りのアイラ”って女だってちゃんと伝わってないのか……。
私たちと魚人海賊団の幹部であるチュウとの戦いが始まった。
最後の二人のリアクションはエネル顔をイメージしてください。
ということで、次回はチュウとの戦いからです。