ウソップっぽいポジションに転生したはずなのに、なんで私は女の子なんだろう   作:ルピーの指輪

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いつも誤字報告と感想をありがとうございます!
感想で、ライアのパーソナルな情報や武器の情報を詳しくほしいというご意見があったので書いたのですが、気付いたらその感想が消えてしまいました。
でも、せっかく書いたので載せておきます。

興味のない方は読まなくても全然問題ないので読み飛ばしてください。

ライア

所属:麦わらの一味狙撃手
年齢:17歳
誕生日:4月1日
身長:178cm
スリーサイズ:B76・W58・H80
星座:おひつじ座
血液型:S型
髪色:銀色
出身地:東の海 ゲッコー諸島 シロップ村
懸賞金:なし
好きな食べ物:大根おろし

使用武器は装飾銃――緋色の銃(フレアエンジェル)
単発式で弾丸を使い分けて戦う。
見た目は原作の1話で山賊やルウが持っていたような一般的な拳銃とさして変わらないが、緋色に塗装されていて、特殊な弾丸が撃ち出せるように改造されている。
ライアの銀髪と共にトレードマークになっている。

身長はゾロと同じくらいで、ルフィよりも高いです。その上、声も低く、スタイルもアレなので男に間違われるというわけです。

それでは、本編をよろしくお願いします!



ローグタウンの武器屋

「ローグタウン……、始まりと終わりの町か……。なかなか風情があるね」

  

 東の海(イーストブルー)では比較的に大きな町であるローグタウン。

 私たちはここで偉大なる航路(グランドライン)に入るための下準備をすることとなった。

 

 スモーカー大佐にだけは気をつけなきゃなぁ……。

 

「ここで、海賊王は死んだのか……。よっし、おれは死刑台を見てくる」

 

 ルフィは死刑台を見に行くと言って歩き出した。あそこは観光スポットだし、ルフィとしては絶対に見ておきたいに決まってるよなー。

 

「いい食材が手に入りそうだ。うーん、あと、いい女の気配……」

 

 サンジは食材の調達、そしてナンパかな? 食材は本当に大事。命に一番関わるから、サンジを仲間にできたことは本当に大きい。

 

「ふん! 田舎者はこれくらいの町ではしゃぐ。みっともないよなー? なぁ、ミス・ウェンズデー」

 

「ライアさん、どこに行く……? ――えっ? オホホッ! みっともないわねー! ねぇ、Mr.9!」

 

 この人たちは本来ここに居なかった人たちだ。正直言って、この二人が一番怖い。揉め事だけは起こさないでほしい。

 

「おい、ライア。ちょっと買いてェもんがあるんだが……」

 

「ああ、刀を買うんだね。いいよ、好きなのを買って。私が出そう」

 

 ゾロが買いたいものがあると言ってきたので、私は金を出すと言った。

 漫画通りなら貰えるはずだけど、もはやそんな保証はないから、もし貰えなくても出来るだけ良いものを買おうと思っている。

 

「いや、さすがに出してもらうっつーのは……」

 

「遠慮は要らないさ。君には350万ベリー分の借りがあるんだから」

 

 珍しく遠慮を口にするゾロに私はそう伝えて、私は彼の買い物に付き合うことにした。ついでに自分の武器も調達しておこう。

 

「Mr.9、ミス・ウェンズデー、君たちも一緒に来ないか?」

 

 私はバロックワークスの二人組を見張るために誘ってみた。

 

「おれたちは早く偉大なる航路(グランドライン)に戻りてェからここにいるんだ。馴れ合うつもりは――」

「はい、行きま……、――オホホホッ! そうよ! 別に馴れ合う気はないんだから!」

 

 彼らはやはり断った。うーん、やはりダメか……。

 

「なんか、一瞬だけ別人になってなかったか? ミス・ウェンズデー」

 

「きっ、気のせいじゃないかしら? Mr.9」

 

「じゃあ、あんたたちは私の荷物持ちね。言っとくけど、あんたたちを信じて船に残すなんてしないわよ!」

 

 漫才を繰り広げる二人はナミが見張ることとなり、私たちは自分たちの目的のために町の中へと入っていった。

 

 

 ゾロと武器屋を目指してしばらく歩いていると二人の大声が私たちの耳を刺激した。

 

「オウ! 今日はあの化け物と一緒じゃねェんだな!」

 

「ウチの頭はてめェらのせいで監獄の中だ! どーしてくれんノォォォォ!」

 

 二人の荒くれ者が黒髪の女に絡んでいる。あの女性は確か……。

 

「まだ、懲りないんでしたら、私がお相手しますけど……」

 

 黒髪の女は挑発するようなことを言う。

 

「おれたちの相手をするって?」

「してもらおうじゃねェノォォォォ!」

 

「「うぉぉぉぉぉっ!」」

 

 案の定、二人の男は彼女に襲いかかる。ゾロは刀を抜こうとしていた――。

 

 しかし――。

 

 二人の男は彼女によって斬り伏せられた。ああ、この女性は間違いなくスモーカー大佐の部下のたしぎ曹長だな。

 見事な剣技だ――。

 

「あっ……、とっ、とっ、と……。あれ?」

 

「大丈夫かい? 見事な剣技だったから、思わず見惚れちゃったよ」

 

 私は転けそうになった彼女の腕を掴んで抱き起こした。

 

「――っ!? あっ、すっ、すっ、すみません。あっ、あれ、めっメガネが……」

 

 彼女は恐縮するような態度と共に頭を思い切り下げると、足元にメガネが落ちてしまった。

 なんか、冴えない感じだな……。

 

「おい、落としたぞ?」

 

「あっ、ありがとうございます!」

 

 ゾロはたしぎの落としたメガネを拾って渡した。

 

「――うぉっ!?」

 

 そして彼女の顔を見ると驚愕したような表情を見せた。

 確か彼の亡くなった幼馴染と彼女が瓜二つなんだっけ……? ゾロの和道一文字の元々の持ち主と……。

 

「歩けるかい? どこか捻ったりは?」

 

「ひゃいっ……! だっ、大丈夫です……。すっすみません。本当に……」

 

 たしぎは恥ずかしがっているのか、顔を真っ赤にして首を横に振った。

 

「怪我がないなら、良かった。気を付けるんだよ」

 

 私は彼女にそう声をかけて、ゾロと共に武器屋探しに戻った。

 

 

「びびった……! クソ……」

 

「どうしたんだい? ゾロ……、さっきの子は知り合いかい?」

 

 何も聞かないのは不自然と思ったので、私は動揺している彼に質問した。

 

「んなわけねェだろ。似てたんだよ、知ってる奴にな」

 

 ゾロはぶっきらぼうにそう答えた。うん、漫画で見たときは似てるどころじゃなくて同じだったし。彼も思った以上に驚いてたんだな……。

 

「ふーん。それは、初恋の人とか?」

 

 私はつい、思ったことをそのまま口に出してしまった。

 

「ぶった斬るぞ! てめェ!」

 

「冗談だよ、冗談。怖いなぁ……、君は。よし、お詫びに私の初恋の話をしてあげよう」

 

 本当に刀を抜いてきたので、私は両手を上げて笑って誤魔化そうとした。

 

「聞いてねェよ! バーカ!」

 

 彼は呆れた顔をして刀を鞘に戻した。

 いや、これは彼の傷を抉った私の失言だったな……。

 

 

 それから、適当にぶらついていると武器屋が見つかったので、私たちは入ることにした。

 

「刀が欲しいんだが……」

 

 ゾロは店内に入って開口一番にそう口に出した。

 

「はいはい、いらっしゃいませー。うちは老舗だからね。色々と取り揃えてるよー。好きなだけご覧になってくださいねー」

 

 ニコニコと店主が愛想笑いを浮かべながらゾロを接客しだした。

 

「おい、ライア。予算ってどれぐらいだ?」

 

「予算かい? とりあえず手元には100万ベリーあるよ。船の金庫には私の貯金もまだあるから、必要なら持ってこれるし……」

 

 私はゾロに札束を見せた。現金はそれなりに貯めて持ってきた。私の武器って金がかかるし……。

 

「はぁ? お前、そんなに金持ってんのか?」

 

「逆に私と同じく賞金稼ぎをしていた君が持ってないことが不思議だよ」

 

 ゾロのような名うての賞金稼ぎが文無しの方が私には信じられない。

 モーガンに捕まったときに財産没収でもされたのかな?

 

「とにかく、そんなに貰えるかよ。みっともねェ。店主、出来るだけ安物で間に合わせる。安い刀はどこだ?」

 

「はっ! 安物のナマクラでいいってか? そいつが金出すって言ってんのに遠慮すんなよ」

 

 安物という言葉に店主は顔を露骨に曇らせた。そりゃそうだ。100万ベリー出すという会話がまる聞こえだったんだから。

 

「こっちにもプライドがあんだよ。この際、刀の質には文句は付けねェ……」

 

「だったら、そこの……。――んっ!?」

 

 ゾロの言葉を聞き流していた店主は彼の持っている刀をガン見した。

 それはもう食い入るように見ていた。

 

 

「ちょっ、ちょっ、ちょっと待て! おっ、おっ、お前さん! そのそのその刀を見してみな!」

 

「ああん? 何、動揺しまくってんだ?」

 

 ゾロはそう言いながら店主に言われるがままに自分の刀をみせた。

 

「おっおい! こっこの刀……、ボチボチの刀だ……。だから、提案がある。この刀をおれが50万ベリーで買い取ろう。そしたら、お前さんもまぁまぁの刀を三本揃えることが出来る。他人に金を出してもらわなくてもいいんだ。プライドも傷付かずに済むし、そっちの兄ちゃんも金を出さなくて済む」

 

 そして、ゾロの和道一文字を安値で買い叩こうと提案したのだった。

 

「いや、この刀は幾ら積まれてもだな……」

 

「よし、65万ベリー出そう! これでどう――」

 

 ゾロは当然、形見の刀を手放すつもりはない。そして、商談をしているつもりの店主に横槍が入る。

 

「あーっ! この刀は!」

 

「げっ!?」

 

 先程のたしぎがゾロの和道一文字に気付き大声を上げたのだ。店主は嫌そうな顔を見せる。

 

「これって和道一文字でしょう!? “大業物21工”の一本……、ほら、これを見てください売れば1000万ベリーは下らない逸品です!」

 

 たしぎは全部話してしまった。そう、ゾロの和道一文字は紛れもなく名刀。

 この先の激戦でも決して折れることなく付いてくる凄いモノなのだ。

 

「クソ女! 全部喋っちまって! ほら、“時雨”を取りに来たんだろ!? ひょろ剣士が立派な“業物”持ちやがって!」

 

「あっ、わっ、とっと……。あれ?」

 

 店主に刀を投げつけられて、また転びそうになったたしぎを私は再び抱き止める。

 

「また、危なかったね。剣士のお姉さん」

 

「――あっ、あなたはさっきの?」

 

 私が声をかけると彼女は私の顔に気が付いたみたいだ。

 

「まさか2回も転びそうなところを受け止めるとは思わなかったよ」

 

「ひゃい……、すすす、すみません……。ご迷惑かけてます……」

 

 私がそう言うと彼女はまた深々と頭を下げて謝罪してきた。この人、こんなに弱気な人だったっけ?

 

「いや、君に怪我が無かったんだから良かったよ。それだけでもこの偶然の出会いには価値があるんじゃないかな」

 

「――ッ!? 出会い……、ですか?」

 

 たしぎは人見知りなのか、それとも転けそうになって恥ずかしい気持ちが強いのか、耳まで赤くして私の言葉を復唱した。

 

「君は刀に詳しいみたいだし、彼を手伝ってあげてくれないか? 出来るだけ良い刀を安く手に入れたいみたいなんだ」

 

 とりあえず、漫画の流れにすることが良さそうなので、彼女にゾロの刀を選んでもらうことにした。

 

 彼女はゾロに色々と話しかけて“業物”三代鬼徹に目を付けた。

 そして、妖刀だと気が付いたゾロは店主が止めることも聞かずにこれを買うと言い出して、三代鬼徹を放り投げて、その落下地点に腕を出す。

 

 そして――。

 

「――もらってく」

 

 三代鬼徹はゾロの腕を避けて床に突き刺さった。

 私は驚愕した。何を隠そう、私の目にはゾロの腕を切断するように刀が落ちてきたように途中まで見えており、漫画を知っていても大事故を予感していたのだ。

 

 しかし、三代鬼徹はゾロの腕をぬるりと避けた。意志を持っているように――。

 それは、なんとも不思議な光景だった……。

 

 

 さらにこのゾロの異常な立ち振る舞いで店主の心が動かされたのか、“良業物”である雪走まで彼はゾロにプレゼントした。

 確かにあんなことをされたら、ただの剣士だと思う方がおかしい。

 

 かくして、ゾロの刀はやっぱり無料で手に入ったのだった。

 

 さて、私の買い物をしなくちゃな。とりあえず、弾丸とそれからバラしてパーツとして使うように銃を何丁か買っておくか……。

 

「店主、私には銃を見せてくれないか? この銃の銃口部分と同じパーツが使われてる銃が欲しいんだけど」

 

「ああ、金持ちの兄ちゃんか。ん? これだったらこの辺のやつだな」

 

 へぇ、さすが老舗の主人だ。すぐにわかるんだな。

 私は言われるがままに銃を物色し始めた。

 

「あっ、あなたは銃を使うんですね。しかも緋色の銃なんて、今度は“魔物狩りのアイラ”みたいです。知ってますか? 東の海(イーストブルー)で一番凶暴な女って言われている賞金稼ぎを……」

 

 たしぎは腰が抜けて立てないところを私が手を貸して立たせたら、しばらく固まってボーッとしていたのだが、ようやく落ち着いて話しかけてきた。

 よほど、ゾロの行動にびっくりしたんだろうなー。

 

 それにしても、ホントに凶暴な女って感じでこの海中に知れ渡っているんだ……。

 

「不本意だけど、聞いたことはあるよ」

 

 私は思ったままを口にした。

 

「不本意? そっそうなんです。せっかく男に負けないくらい強いって噂になるほどの女なのに……。賞金稼ぎなのは勿体無いです。賞金稼ぎは感心できませんが、少しだけ憧れてるんです。ロロノア・ゾロより強いって噂も聞きましたから」

 

 たしぎは私が賞金稼ぎなんて勿体無いと言う。だって、海軍なんてガチガチに身元確かめられるし……。

 

「ほう? そいつは面白ェ噂だな」

 

 その上、余計な一言が加わったせいで、ゾロの殺気が私の背中にグサグサっと刺さってきた。

 勝てるわけないじゃないか。大怪我していても魚人海賊団の幹部を圧倒するような人だぞ。

 

「私には詰まらない噂だよ。ゾロの方が強いに決まってるからねー。あははっ!」

 

 私はゾロの殺気に耐えられずに笑って誤魔化した。

 

「えっ? やっぱり、あなたも女が男に敵わないと思ってるんですか? 男の人ってやっぱりそんな感じに女の人のことを思っているんですね……」

 

 すると、たしぎは心底残念そうな顔をして私を見ていた。私の言葉を違う風に受け取ったのだろう。

 

「――店主、コイツを全部買おう。釣りはチップだと思ってとっておいてくれ……。待たせてしまったね。行くとしよう」

 

「おう。待ちくたびれたぜ」

 

 私は手早く買い物を済ませてゾロと一緒に店を出ようとした。

 

「――ちなみに私は女だよ。よく間違われるけどね。男女の差とかは考えたことないな。考える暇があったら自分を研鑽することに使えばいい……」

 

 しかし、どうしても悲しそうなたしぎの顔が頭から離れなかったので立ち止まって彼女にそう伝えた。

 

 

「えっ?」

 

 彼女の驚いたような声を背中に受けて、私たちは店外に出た。

 

 私はこれからとんでもない男たちが殺し合いをしている現場に飛び込もうと計画している。

 そんなときに女だからなんて理屈は当然通じない。

 何としてでも強くならなきゃいけないのだから……。 

 

 とは思っているけど、正直、現時点でたしぎの上司であるスモーカー大佐と戦闘は避けたいよなー。

 

 そんなフラグみたいなことを考えながら、私たちは自然に処刑台へと足を向ける。

 そこで私は目にすることになる。伝説の幕開けを――。

 




結構書いたつもりなのに話が進みませんでした。申し訳ありません。
とはいえ、ローグタウンのイベントはそんなに無いはずなので、近いうちにグランドラインに行けるでしょう。

次回もよろしくお願いします!

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