ウソップっぽいポジションに転生したはずなのに、なんで私は女の子なんだろう   作:ルピーの指輪

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いつも誤字報告や感想をありがとうございます!頑張ろうって気にさせてもらっております!
今回はミス・バレンタインことミキータが活躍しますが、キロキロの実の能力に関する描写は独自解釈で補ってる部分もあります。
多少の違和感を感じる部分もあるかもしれませんが、ご了承ください。
それではよろしくお願いします。



ラパーンと雪崩と元国王

 

「キャハハッ……、しっかり掴まってなさい。どこにだって届けてあげるわ」

 

 ミキータは私を軽々と背負ってスタスタ歩く。

 

「なんだ、お前。意外と力があるじゃねェか」

 

 ルフィが感心したような声を彼女にかけた。うん、私もそう錯覚してしまいそうだ。

 

「違うわルフィさん。これはおそらくキロキロの実の能力……。ミス・バレンタインは身に着けたモノを含めて体重を操作できるみたいね……」

 

「正解よ、ミス・ウェンズデー! だから、私はどんなものだって素早く運ぶことが出来るの!」

 

 おそらくはこれがキロキロの実の真骨頂……、身に着けたモノまで体の延長上として捉えて軽くしたり重くしたりする能力。

 そういえば、名前は忘れたけど、ドフラミンゴの部下のトントンの実の能力者は重そうな荷物ごと担いで浮いていた気がする……。

 

「そっかー、要するに不思議な体をしてるってことだな」

 

「ゴム人間に言われたくないわよ!」

 

 ルフィはよくわからないけど、不思議で済ませてるようだ。

 

「とにかく、君たちは山を目指すならラパーンというウサギに気をつけてくれ。熊ぐらいの大きさの非常に凶暴なウサギが雪山には居るんだ」

 

 ドルトンが雪山に生息する凶暴な生き物である、ラパーンに気をつけるように私たちに忠告する。

 

「凶暴なウサギ……」

 

「キャハッ……、たかがウサギでしょ。そんなのこの船長がやっつけてくれるわよ」

 

 ビビの呟きにミキータは楽観的な言葉をかける。まぁ、ルフィなら問題なく処理出来そうだが……。

 

「おう! 何が来てもぶっ飛ばす!」

 

「はぁ、はぁ……、油断しないことだ……、この世界には……、恐ろしい生き物が多い……」

 

 ルフィは自信満々にそう言っていたが、私は油断大敵だと忠告する。

 

「心配すんな! お前は死なせない!」

 

「ふっ……、お節介だったね……。頼むよ、みんな……」

 

 しかし、ルフィは凛々しい精悍な顔立ちで、はっきりと心配は無用だと言ってくれた。

 まったく、こんな大きい男を信じないでどうするんだ。彼が心配ないと言うのならそうなのだろう。

 

 

 こうして私たち4人はDr.くれはの居る城へと向かったのである。

 

 

 

 

 雪山を歩いて少し経つとドルトンが忠告したとおり巨大なウサギが現れた。

 

 うーん、見るからに凶暴そうだ……。

 

「――キャハハッ、出発したときはウサギって言うからにはもっと可愛いかと思ってたけど……」

 

「なんて大きさ。それに――」

 

「すっげェ跳んだぞ! あいつ!」

 

 みんなが口々にラパーンに対する感想を述べると、ラパーンはこちらに向かって飛び跳ねて攻撃を仕掛けてきた。

 

「で、この力……、まるでゴリラみたいね……」

 

 地面の雪が粉砕して四散するのを見てビビは見た目どおりにパワーに舌を巻いていた。

 

「何言ってんだ! ゴリラじゃなくて白くまだぞ。ビビ!」

 

「あいつはウサギなんだからどっちでもないわよ! ていうか、どうでもいいわよ!」

 

 ビビとルフィの会話にイライラしながらミキータが割り込む。

 確かにそんな悠長なこと言ってられなさそうだ。

 

「待って、ルフィさん。あの数……、それにこの動きはまずいわ……。ミス・バレンタインにちょっとでも攻撃が加えられると、それだけでライアさんが……」

 

 ビビはおびただしい数のラパーンがこちらを睨みつけていることに気が付いたようだ。

 

「じゃあ、守りながら戦うぞ!」

 

「でも、あんなに沢山を守りながら相手にしていたら時間が……」

 

 ルフィは私を守りながら戦うと言っていたが、ビビはそれでは時間がかかると懸念していた。

 

「ちょっと、船長! 私を空に投げ飛ばしなさい!」

 

 そんなとき、ミキータが突然、自分を空に投げるようにルフィに頼んだ。

 

「ん? わかった! うぉッ! 軽いなァ、おめェ! とりゃああああッ!!」

 

 ミキータは自身の背負ってる私を含めた体重を極限まで落としてルフィに空高くまで私ごと投げさせる。

 

「えっ? ミス・バレンタイン!? 何を!?」

 

 ビビは突然の行動に驚きの声を上げた。

 

「で、私が着地するまでにあいつらを出来るだけ倒して道を作るのよ!」

 

 傘を開いてふわふわとゆっくり落下しながら、ミキータはルフィにそんな指示を出す。

 

「そっか、ライアさんと一緒に空に避難したのね……」

 

「あいつ! 頭いいなァ! うっし! ゴムゴムのォォォォ! ガトリングッ!」

 

 ミキータの意図に気付いたルフィは目にも留まらぬ連撃で次々と目の前のラパーンたちを薙ぎ倒していく。

 

「キャハッ……、あの船長……、とんでもないわね……。着地するまでまだ随分と時間があったのに……」

 

「一気にあれだけいたラパーンの群を一掃しちゃった……」

 

 ミキータとビビはルフィの戦闘力に改めて驚きの言葉を吐いた。

 

「そりゃあ……、ルフィは……、はぁ、はぁ……、海賊王になる男だから……、これくらいはやるさ……」

 

 私も彼を称賛した。やっぱり、ルフィは只者じゃない……。

 

「これなら、この先も大丈夫そうね」

 

「あと、ミキータ……、君の機転にも……、はぁ、はぁ……、感謝するよ……。一緒に来てくれて良かった……」

 

 ミキータが安心した顔をしてるところに、私は彼女の能力の使い方にも感謝をした。

 この人が仲間になってくれて本当に助かった。

 

「――ッ!? キャハッ……、バカなこと言って体力無くなって死んでも知らないわよ……。その煩い口を閉じないと雪に埋めてやるんだから……」

 

 彼女は照れているのか、顔がほんのり赤くなっていた。素直な性格じゃないんだな……。

 

 

 

「ルフィさんが吹き飛ばしたラパーンたち……、あんなところで何をやってるのかしら?」

 

「――キャハハッ、ダンスの練習だったりして……」

 

 だが、ラパーンもやられっぱなしではない。吹き飛ばされたラパーンたちは、雪の地面をドシドシと踏み鳴らして揺らしていた。

 

 これは――。まずいっ――。

 

 私は漫画の一場面を思い出して、力を振り絞って声を出した。

 

「はぁ……、はぁ……、ミキータ……、笑ってる場合じゃない……、雪崩を、起こそうとして――」

 

「だから、黙ってなさいって……、えっ? 雪崩?」

 

 ミキータは雪崩というワードに反応して顔を青くする。

 

「あのウサギたち……、なんて事を……。どっどうすれば……!? あっ、そうだわ! ルフィさん、前みたいに風船のように膨らむことは出来るかしら?」

 

「こうか!? ゴムゴムの風船!」

 

 ビビはルフィに風船状に膨らむように指示を出す。

 

「ミス・バレンタイン! ルフィさんの上で限界まで体重を増やして、その反動を利用して大ジャンプして!」

 

 そして、さらにミキータにルフィの上で1万キログラムまで体重を操作して大きく沈み、その反動でジャンプするという指示を出した。

 

「キャハッ! なるほど。それなら、さっきよりも高く飛べそうね……! よしッ――、いい感じだわ!」

 

 ジャンプする準備をしたミキータはニンマリと笑った。

 

「ルフィさん、ミス・バレンタインが跳んだらすぐに手を掴んで!」

 

「よしっ! ビビも手を離すなよ!」

 

 ルフィとビビが手を繋ぎ、さらにミキータが大ジャンプした瞬間に彼女に向かって手を伸ばして2人も一緒に空高くまでエスケープする。

 

「すごい能力……、雪崩もやり過ごせるなんて……」

 

「この船長の能力が無かったらあんなジャンプ出来ないわよ。あんた、咄嗟によく思いついたわね」

 

 ビビはミキータの能力を称賛していたが、ミキータは一瞬でこの作戦を思いついたビビを褒めていた。

 

 とにかく、ビビの作戦とルフィとミキータのコンビネーションのおかげで私たちは雪崩にはまったく巻き込まれずに地上に着地することができた。

 

 

 

「あれ? このラパーンは……」

 

 再び歩きだしてすぐに私たちは雪に埋もれたラパーンの手と、小さなラパーンが涙目で埋もれたラパーンを助けようとしてる光景が見えた。

 

 おそらく親子なんだろう……。

 

「大方、群れに置いてきぼりにされてた鈍くさい親子のウサギが雪崩に巻き込まれちゃったんでしょ」

 

 ミキータはこの状況をそう推理した。

 

「はぁ……、はぁ……、ミキータ……、君の能力なら助けられるだろ……、可哀想だから、助けてやりなよ」

 

 私は彼女にラパーンを助けるように頼んだ。見ていられないくらい可哀相だったから……。

 

「キャハハッ……、まったくもう。仕方ないんだから……。ほら、これでいい?」

 

 ミキータは軽々とラパーンを引き上げて助け出した。

 

「――なんだァ! お前、良い奴だな〜!」

 

「かっ、勘違いしないでくれる。気まぐれよ、こんなの」

 

 そんな彼女の様子を見てルフィはニコニコしてミキータを褒めると、彼女はまた照れながらそっぽを向いた。

 

「クスッ……、照れなくても良いのに……」

 

「煩いわね! ミス・ウェンズデー! 雪の中に永久に埋めるわよ!」

 

 その彼女の態度を楽しそうに見つめていた、ビビの一言に腹を立てたミキータはぷりぷり怒って早足になった。

 この人も根は悪い人じゃないんだろうなー。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 さらにしばらく足を進めると、ラパーン以上に厄介な奴らに出くわした。

 ワポルとその部下である、幹部のチェスとクロマーリモだ。

 

「マハハッ! 麦わらの小僧! このおれに無礼を働いた狙撃手を出せ! そいつを惨殺しなきゃならねェ!」

 

 ワポルは私に吹き飛ばされたことを根に持っているみたいだ。

 

「ワポル様! そこで背負われてる奴がおそらくスナイパーかと!」

 

 チェスが私に気が付いて、ワポルに告げ口をする。

 ワポルを撃った瞬間に目が合ったと思ったけど、覚えていたか……。

 

「なんだ、死にかけか。つまんねェ! だが、お前らに命じる! そのクソ銀髪をぶっ殺せ!」

 

「「仰せのままに……!」」

 

 ワポルが2人に指示をだすと、チェスとクロマーリモが襲いかかってきた。

 

「ミキータ! お前はさっさと逃げろ! おれはこいつらを片付ける!」

 

「キャハハッ……、バカ言わないでちょうだい! あんた以外に誰があの断崖絶壁を登れるって言うのよ! 全員であそこまで行かないと意味ないの!」

 

 ミキータに逃げろというルフィに対して彼女は反論した。

 そういえば、そうだ。あんな絶壁、ルフィしか登れない……。

 

「逃げながら戦うしかないみたいよ。ルフィさん。ライアさんはやらせない! 孔雀(クジャッキー)スラッシャー!」

 

「――ッ! こっち来んなッ! ゴムゴムのピストルッ!」

 

 ビビとルフィは襲いかかってきた2人に攻撃するが、この2人はなかなか手強いみたいでスルリと攻撃を躱した。

 

「うぉっと!」

 

「なかなか活きがいいじゃねェか!」

 

「マーハッハッハ! 他の奴らはどうでもいい! その狙撃手を殺せッ! 雪国の戦い方を教えてやりながらなッ!」

 

 そんな2人に対してワポルは私を殺すことを優先するように檄を飛ばしている。

 

「「はっ!」」

 

 2人は同時に返事をしてミキータにまっすぐ向かっていく。

 ミキータは彼らから何とか逃げようとして急いで走っていたが、彼らの姿が忽然と消えてしまった。

 

「――ッ!? 消えた!?」

 

 彼女は驚いて首をキョロキョロさせながらスピードを緩めた。

 

 しかし、そのときである――。

 

「くっくっ、油断したな! これぞ、雪国名物……! 雪の隠れ蓑、その名も……」

 

「雪化粧! それだけ弱ってりゃ即死だ!」

 

 雪の中から突然現れるチェスとクロマーリモ。

 彼らは上手く雪で身を隠して攻撃の機会を窺っていたようだ。

 

「「チェックメイトッ!」」

 

 2人の攻撃がミキータを捉えようとする。

 

「ミス・バレンタインッ!」

 

「キャハッ……、こりゃ避けられないわ……」

 

 私もミキータも観念した表情をしてしまっていた。

 

 だが、攻撃は私たちに届かなかった。

 

「「――ぐはぁッ!!」」

 

 届いたのは、2つのうめき声である。そう、2体のラパーンがチェスとクロマーリモを殴り倒したのだ。

 

「ラパーン!?」

 

 ワポルは驚愕の表情を浮かべた。

 

「ヤツを庇ったのか!?」

 

「バカな! ラパーンは決して人に懐かない動物だぞ!」

 

 チェスとクロマーリモもラパーンの援護に驚いている。

 

「あんたは――さっきの!? キャハハッ……、気まぐれに動いてみるものね。でも、ありがとう。助かったわ」

 

 ミキータはラパーンの背中に乗っている小さな子供のラパーンを見て、さっき助けたラパーンだということに気が付いたようだ。

 

 彼女はラパーンにお礼を言って駆け出した。

 

「今のうちに逃げるぞ!」

 

「ええっ! 急ぎましょう!」

 

 そして、ルフィとビビもそれに続いて走っていった。

 

 

 

 そのあと少し歩いていくと、ようやく城へと続く断崖絶壁にたどり着いた。

 

「キャハッ……、近くで見ると果てしないわね」

 

「てっぺんが見えない……」

 

 ミキータとビビはその断崖絶壁の高さに唖然としていた。

 

「じゃあ、登るか!」

 

「待ちなさい! ここからはフォーメーションを組むわよ」

 

 すぐに登ろうとするルフィをミキータが制止する。

 

「フォーメーション!? なんか、カッコいいな! それ!」

 

「時々、この船長を見ていると猛烈に不安になるわ」

 

 ルフィの変な食いつきにミキータは嫌な顔をした。まぁ、それも含めて彼の魅力だから……。

 

「そんなことより、どうするの?」

 

「ほら、手を絶対に離さないでいるのよ」

 

 ミキータはビビに手を差し出しながら、そう言った。

 

「で、船長は私たち全員を背負いなさい。しっかりロープで固定して……」

 

 ミキータは早い話が3人を背負うようにルフィに指示を出した。

 

「3人抱えるのか!? そりゃあ、重すぎるぞ!」

 

「バカッ! 女の子3人捕まえて重いとか言うんじゃないわよ! 大丈夫なの! 重さを限界まで落とすから」

 

 さすがのルフィもこれには驚いたが、ミキータは3人分の体重を含めて軽くすると言う。

 

「うォォッ! 綿飴みたいに軽いぞ! これなら楽勝だッ! よっと! 医者のところまで一気に行くぞォォォォ!」

 

 そして実際に3人を担いだ状態になったルフィは本当にほとんど重さを感じていない様だった。

 その証拠にスイスイと断崖絶壁を登っている。

 

「気をつけなさいよ! 落とすなら私ごと落としなさい! ライアやミス・ウェンズデーだけが落ちたらお陀仏よ!」

 

 そう、私とビビはミキータから離れた瞬間に元の重さに戻るから、高いところから落ちた瞬間に死が確定してしまうのだ。

 

「わかった! ウォォォォ! 医者ァァァァッ!!」

  

 ルフィは掛け声と共にドンドン高くまで登っていく。

 

「ちっとも、わかってない! でも……!」

 

「すごい! これだけの人数を抱えて、この断崖絶壁をとんでもない速度で上がっている」

 

 そんな無茶をこなすルフィに苦笑いを浮かべるミキータとビビだったが、思った以上のスピードで登っている彼の力に安心しているようにも見えた。

 

 そして、ルフィは見事に登山に成功して、Dr.くれはの住む城に無事に辿り着いたのだ。

 はぁ、私は結局……、助かった――のかな……。私はホッとした瞬間に……、再び意識が途切れてしまった――。

 




原作と違ってルフィがフルで動けたり、雪崩を避けたりしたので、体力に余裕を持って城に辿り着くことが出来ました。
そしていよいよ次回はDr.くれはとチョッパーが登場します!

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