ウソップっぽいポジションに転生したはずなのに、なんで私は女の子なんだろう 作:ルピーの指輪
それではよろしくお願いします!
“ナノハナ”から“エルマル”に着いた私たちは、反乱軍が本拠地にしているという“ユバ”を目指して砂漠を歩いていた。
しかし、ルフィにはまいった。クンフージュゴンという勝負をして負けたら勝った人に弟子入りをする変わった生き物を大量に倒してしまい、クンフージュゴンたちがぞろぞろと弟子入りしてしまったのだ。
クンフージュゴンはずっと付いてくるつもりだったみたいだが、チョッパーが交渉して大量の食べ物と引き換えに諦めてもらう。
エルマルは緑の町と言われていたみたいだが、干ばつによってゴーストタウンと化していた。
これは、クロコダイルが国王に不信感を募らせる目的でこの国の首都である“アルバーナ”でダンスパウダーという《雨を呼ぶ粉》を利用したことが原因だ。
ビビは怒り嘆きながら彼の所業について語る。
クロコダイルがやり難い相手だという最大の理由は本人が強いクセに暗躍することを好むことだ。
まったく、こういう陰湿なやり方は本当に――腹が立つ。
クロコダイルへの怒りを胸の中で増幅させて、私たちは先に進んだ――。
しばらく歩いた後に、私はナミに話しかけた。
「そうだ、今のうちにコイツを渡しておこう。君に頼まれて作った武器。
私は元ドラム王国を出発したくらいのときにナミから依頼されて作った武器、
「もう出来たの? 仕事が早いわね」
ナミは
「まぁ改良の余地はあるけど、一応は注文どおりにはなってるはずだよ。1回、使ってみせよう」
私は
「
私は三種類の気泡を出しながらナミに説明した。
「ライア、何だこれ?」
「ルフィ! 触っちゃダメだ!」
すると、それを見ていたルフィが
「あっぢぃぃッ!」
「そりゃあ、熱いよ。
叫ぶルフィに気泡は危険物だということを話す。当たれば、それなりにダメージは与えられるように作ったけど、気泡のスピードが遅いのが難点なんだよなぁ。
やっぱりナミが漫画で使ったようなやり方が一番だと思う。蜃気楼とか出してたし……。
「へぇ、すっごーい。ありがとう。ライア」
「あとはこうやって水を噴射したりとか、詳しいやり方は説明書に書いてある。しかし、あくまでも護身用の範囲は脱しない武器だ。天候に詳しい君ならこの説明書以外の使い方も思い付けると信じてるけどね」
説明書にはサイクロン・テンポや再現できたか不安だがトルネード・テンポについても書いてある。
「説明書以外の使い方……。そうね、考えてみるわ」
ナミに敢えて使い方を自分で考えるように促したのは、その方が自由な発想が出来るようになり、戦術の幅も広がると考えたからだ。
「あと、ミキータの武器もメンテナンスが終わったから……。これなら君の能力をフルで活かせるはずだ」
そして、私はミキータにも新しく作った武器を渡す。
「キャハハッ、なかなか面白い武器よね〜。気に入ってるわ」
ミキータは楽しそうに笑って武器を受け取った。
キロキロの実は重量のコントロールを自由自在に行うことが出来る。彼女の能力は武器を使ってこそだと私は思った。
だが、ミキータは武器の心得がないと言っていた。だから、とりあえず誰でも扱える簡単な武器にしてみた。
「――あの、ライアさん? そのう、ナミさんとミス・バレンタインに武器を?」
「うん。そうだよ。B・Wのオフィサーエージェントと戦闘になる可能性が高いからね。備えは必要だろ?」
ビビの質問に私は答える。ナミはもちろん、ミキータも自分の力不足を口にしていた。
だから、私は彼女たちの武器を作ることにしたのだ。
ミキータは手先が器用だったので作り方を教えると半分くらいは自分で何とかしていた。
「えっ、ええ。そうよね。あ、あの私には武器を――」
「ああ、ビビの武器か……。ごめん。用意してないや……」
そういえば、ビビの武器については考えてなかった。
守るべき対象だから戦う機会を作らないようにするつもりだったが、考えてみたら護身用の武器くらい持たせておけばよかった。
「そっそうよね……。ナミさんやミス・バレンタインと違って私なんて……。戦力外だろうし……」
するとビビはあからさまにうつ向いてしょんぼり顔をする。思ったよりも傷ついてる? なんだか申し訳ない……。
「いや、決してそんなこと思ってるわけでは……。じゃあ、この国にいる間だけ私の
「えっ? ライアさんの武器を……?」
ビビの顔がパッと明るくなる。そんなに嬉しいもんかな?
「あっ、でも使い慣れない銃を渡されても――」
「そっ、それがいい! ライアさんの銃を持っていたい!」
ビビが思いの外大声を出したので驚いた。急にそんなに大きな声を出さなくてもいいじゃないか。
「ああ、そうかい? 銃が使いたいとは思わなかったな……」
「ライアさんの銃……。持っているとまるで、一緒に居るみたい」
よくわからんけど、ビビに私の愛銃を渡すと彼女はそれを大事そうに胸に抱えてしばらく歩いていた。
そんなに銃が使いたかったのかな?
「お前、自分の武器を渡しちまって大丈夫なのか?」
そのやり取りを見ていたゾロは私にそんな質問をする。
「うん。これがようやく完成したからね。この
私は先日、ワポルに向かって使ったマスケット銃、
「おおッ! かっけェ!」
「この前、ライアちゃんが使ってたやつか。ありゃあ、すげェ威力だったもんな」
ルフィとサンジが私の銃を見て感想をもらす。
威力は確かに格段に上がったと思う。
「なんとかこれでオフィサーエージェントにも対抗してみせるつもりだよ」
そんなやり取りをしながら暑い砂漠をひたすら進んで行った。
途中、ルフィがワルサギという鳥に引っかかって荷物を取られそうになったところで銃を使って威嚇したり、サンドラ大トカゲと戦ったり色々とあったが、何とか夜にはユバに辿り着いた。
◇ ◇ ◇ ◇
「私はね……、ビビちゃん! 国王様を信じてるよ……! あの人は決して国を裏切るような人じゃない……、そうだろう!? 反乱なんてバカげている……! あのバカ共を――頼む! 止めてくれ!」
ユバの町はエルマルと変わらないくらい枯れてしまっていた。
そこで水を得るために砂を掘っていた男がビビに気が付き声をかけた。
彼は反乱軍のリーダーであるコーザの父親、トト。ビビとは彼女が子供のころからの知り合いらしい。
反乱軍は既にナノハナの東側にあるカトレアに本拠地を移しており、ここには居ないとのことだ。
彼はビビに懇願していた。反乱を止めることが出来るのは彼女だけだと……。
「トトおじさん、心配しないで……。――反乱はきっと止めるから!」
トトに笑顔でそう応えたビビ。
しかし、彼女の
彼女はかなり心が追い詰められている。
そりゃそうだ。100万人が殺し合いをしようとしてるのだから――。
彼女の顔を見て頭に過ったことがある。
漫画だとこのあと、ルフィとビビが喧嘩してクロコダイルを直接叩くためにこのあとレインベースのカジノに向かうが……。
無策で突入するというのは、今回はかなりリスクが高い。
なぜなら、リトルガーデンを去ったMr.3たち……、彼らがクロコダイルと接触していれば、私たち全員の生存はもちろんミキータの裏切りもバレていることになる。
ミス・ゴールデンウィークはクロコダイルの理想郷の建造に協力すると言っていたから、当然アクションを起こそうとしているだろうから、そろそろ接触してる頃だと考えられるのだ。
ともすると、クロコダイルは私たちがレインベースに来ることも想定するだろうし、全員の存在がバレているので漫画のように油断をして、そのスキをサンジに突かれるようなマネもしないだろう。
だから、今回は漫画のように罠に引っかかって捕まるのだけは避けなくてはならないのだ。
いっそ、ビビの最初の提案どおりカトレアに向かうのも1つの手か? クロコダイルが一番警戒してるのはカトレアでビビがコーザと接触することなのだから……。
うーむ、レインベースでクロコダイルを倒せれば……、と考えると悩むところだ……。
なんせカトレアに行くにはかなり時間がかかる。その間の反乱軍の動きも把握できない。
そういう面でもルフィが立てたクロコダイルをぶっ飛ばすという戦略は実に理に適っていたのだ。
だが、クロコダイルはルフィが2回も負けた相手だ。ちょっとでも歯車が狂っていたら3度目の勝負だってないかもしれない……。
レインベースに行くなら最初の1回目で倒すくらいの気持ちで策を練らなくては……。
私はそんなことを考えていたのである。
「ライアさん? みんな宿に行ったわよ。難しい顔をしてるけど、何を考えていたの?」
気が付けばルフィは穴を掘るのを手伝っていたが、他のみんなは宿に行ってしまったらしい。
ビビは私がしかめっ面で考えごとをしていたので、それが気になっているみたいだ。
「ああ、いろいろと作戦をね。クロコダイルは恐ろしい奴だからさ。力だけじゃ倒せないだろ?」
私はクロコダイルを倒す方法を考えていたと彼女に伝える。
「そうね。でも、その前に反乱軍と王国軍の衝突を避けなきゃ」
ビビの頭はやはり反乱軍を止めることでいっぱいのようだ。
余裕がない顔をしている……。
「前にも言ったけどさ。あんまり、張り詰めると折れちゃうぞ。少しくらい私にも君の背負ってるモノを分けてくれ。一緒に背負うよ。あまり力持ちじゃないけどね」
私はゆっくりと彼女の肩を抱いて、少しでもビビの悩みを軽くしようとした。
「…………」
すると、彼女は無言で私の胸に頭をつけて、抱きついて来た。
「ビビ? どうしたんだい? 急に……」
彼女の突然の行動に私は驚いたが、声に動揺は出さずにどうしたのか尋ねた。
「ごめんなさい……。しばらく、こうさせて……」
ビビは小さく体を震わせながら、懇願する。いろんな事が破裂してしまいそうになるのを必死で堪えるように……。
「大丈夫。みんな君の仲間なんだ。助けるよ、君が抱える何もかもを……」
私は彼女の頭を撫でながら、静かにそう伝えた。
妹を持つとこんな気持ちなのかな? 守りたいという気持ちが際限無く強くなる。
「あのね……、ライアさん。私……、ずっと、ライアさんのことが……」
しばらく、彼女の頭を撫でていると、ビビは口を開いて何かを話そうとしたが、途中で言葉が途切れてしまった。
「ん? 私がどうかしたって?」
「――やっぱり、止めておく。全部終わってからにする……。―こうしてると落ち着くわ……。出来るなら、ずっとこうして……、いたい……、な……」
彼女は私の問いかけには答えなかった。そして、よほど疲れていたのかそのまま寝てしまった。
「お帰り、王子様。この国の王様はクロコダイルの次はあなたを警戒しなきゃならないんじゃない?」
私が寝ているビビを抱き上げて宿まで連れて行くと、ナミがそんなことを言ってきた。
確かに多少は無礼なのかもしれないけど、こうするしかなかったし……。
「誰が、王子だ。疲れて寝てるだけだから」
「キャハッ……、さっきはあんな顔してたのに幸せそうな寝顔だこと……」
私に抱えられながら、ベッドに運ばれるビビの寝顔を見て、ミキータはそんな感想をもらした。
少しは肩の重荷が取れたのかな?
そう思ってルフィとビビは喧嘩したりしないかもしれないとか思っていたが、そんなことはなかった。
「人は死ぬぞ」
ルフィは自分たちが反乱軍の元に行ってもすることがないと主張した後に、当然のことのように、そう言い放つ。
ビビはその言葉に腹を立ててルフィに殴りかかった。
ルフィはそれでも続ける。ビビが自分の命を懸けるくらいではとても足りないと。
そして――。
「おれたちの命くらい一緒にかけてみろ! 仲間だろうが!」
彼は私たちの命もまるごと懸けるくらいのことをしろと大声でビビに向かって叫んだ。
本当はビビだってクロコダイルが許せなくて倒したいという気持ちが大きい。
だからこそ私たちが優先すべきことはそのクロコダイルを討伐することなのだ。
こうして私たちの目的地はやはりレインベースとなってしまった。
敵の本拠地だし、クロコダイルはもちろんミス・オールサンデー、そして海軍もいる。
「クロコダイルのところに乗り込むのなら話を聞いてほしい……」
そこで私は昨日の夜に考えた作戦を話すことにした。
レインベースに向かう道中で……。
今回の最後のほうとかカヤに見られたら多分ライアは怒られるでしょうね。
知らない内にビビの依存度だけかなり上がってる気がする……。
天候棒は概ね原作通りですが、威力が若干強化されおり、ちょっとした新機能をつけてます。
レインベースでの話はかなり原作と異なる感じになります。いろいろとバレてることも多いですし、ライアもクロコダイルの手の内を知っていますので、そういった点が作用することになります。