ウソップっぽいポジションに転生したはずなのに、なんで私は女の子なんだろう   作:ルピーの指輪

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クロコダイル登場

「クハハハハッ! 策士策に溺れるッつーのはお前のようなガキのための言葉だな……。おれを誘い出す文句を使っておびき寄せ、暗殺でも企んでたってか。如何にも小物が考える狡い手だ」

 

 私は後ろ手に縛られて、レインベースの地下にあるクロコダイルのプライベートルームに放り投げられた。

 

「てめェらのような小物海賊団が浅知恵を働かせたところで、所詮はこの程度。他の仲間も捕まったと、連絡が入った。さて、銀髪……。王女ビビをどこに隠しやがった!」

 

 クロコダイルはやはりビビの所在が気になっているみたいだ。

 まぁ、彼女だけが彼の計画を狂わせる可能性があるだろうから当然だな……。

 

「ビビをコーザに会わせると君の計画が崩れる可能性があるというわけか。この国を乗っ取るなんて、計画を立てた目的はなんだい? なぜ、アラバスタ王国自体を手に入れようとする?」

 

 私はクロコダイルを睨みつけながら、質問をした。

 もっとも、彼の目的は知っているが……。

 

 

 ここまでは、作戦どおりだ。このあとが一番大事だが……。さて、どうしたものか……。

 

 私はクロコダイルと対峙しながら数時間前のことを思い出していた――。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「作戦って……、ライアさんもルフィさんと同じでカトレアに行くつもりじゃなかったの?」

 

 私がレインベースに行く前提で話を考えていたように伝わったからなのか、ビビは首を傾げて私に質問をした。

 

「うーん。正直迷ってたよ。クロコダイルはビビがカトレアで革命軍のリーダーであるコーザと接触するのが一番嫌だと思ってるだろうし」

 

 私はビビに正直に思ってることを伝えた。

 

「おいおい、ライアちゃん。だったら、もっと早く言ってくれよ。もうおれたちはレインベースに向かっちまってる」

 

 サンジの言うとおり私たちはユバの北であるレインベースに向かっている。

 

「だけど、カトレアは遠い。首都のアルバーナに反乱軍が出兵を始めていたらもっと遠くなる。ルフィの話を聞いて私も確信したよ。まずは頭であるクロコダイルを叩くべきだ」

 

 私は時間的にもこのままクロコダイルを叩くことが最善だという結論に達したということを話した。

 

「ふーん。それで、ライアの作戦っていうのは?」

 

「あえて、私がクロコダイルに捕まるっていう作戦だ」

 

 そこまで話してようやく私は自分の立てた作戦について話しだした。

 

「キャハハッ、とってもユニークでバカな作戦に聞こえるわ」

 

 ミキータはそれを聞いてバカって言ってきた。確かにあまり賢くはないかもしれないけど……。

 

「意味がわからねェな。わかりやすく話せ」

 

「けっ、どうせライアちゃんが上手に説明してもわからねェ癖に」

 

 ゾロのツッコミに対してサンジは悪態をつく。この流れは――。

 

「ンだと!」

 

「やんのかコラァ!」

 

「やめなさい! 暑苦しい!」

 

 やはり喧嘩を始めようとしたので、ナミが2人にゲンコツを繰り出す。本当に暑い……。

 

「これを知ってるかい?」

 

「これって電伝虫? 随分と小さいけど……」

 

 私はカバンから取り出したのは2匹の電伝虫だ。

 

「携帯用の子電伝虫さ。通話出来る範囲は狭いけどね。持ち運びには便利なんだ。実はもう1匹持ってたんだけど、これをある人に渡しておいたんだ」

 

 この子電伝虫こそ今回の作戦の鍵となるアイテムだ。

 旅に出る前に何とか改造してシロップ村のカヤと会話できないかと頑張ったんだけど無理だったから、子電伝虫だけ残っちゃったんだよね……。

 

「ある人って誰よ?」

 

「海軍のたしぎって人。ローグタウンでゾロと戦った」

 

 ナミの質問に私は答える。そう、私は彼女の元から去るときにこれを渡しておいたのだ。

 こうしておけば、何かしら便利に動いてもらえるかもしれないと思ったから……。

 

「あっ、あのパクリ女にか!? お前、何考えてんだ!?」

 

「キャハッ、よりによって、海軍ってあんた正気?」

 

 ゾロとミキータはギョッとした顔で私を見ていた。

 まぁ、海賊が海軍に通信手段を渡すなんてありえないだろうから当然だな。

 

「正気も正気さ。考えてみなよ、クロコダイルが国の乗っ取りを企んでる。本来、これを何とかするっていうのは海軍の仕事だ。あの男もそっちにバレないように骨を折っていたはず」

 

 そう、王下七武海という立場上、海軍には国の乗っ取りが完了するまで彼の野望が漏洩するなんてことは、絶対にあってはならないんだ。

 だからこそ、彼は慎重にことを進めてきたのである。

 

「まさか、ライアちゃんの作戦って海軍を動かすつもりっていうんじゃ……」

 

「さすが、サンジだ。大正解」

 

 ここまで話すとサンジはいち早く私の考えを言い当ててくれた。

 

「まずは、これを使ってクロコダイルの野望を白日の下に晒す。そうしたら、海軍だって動くだろう。そうなると、焦った彼は必ずレインベースのカジノを出るはずなんだ。その後、彼をある場所までおびき寄せ、そこを叩く」

 

 電伝虫を持った私がクロコダイルに捕まり、彼の口から自らの野望を語ってもらい言質をとる。

 当然、それを聞いた海軍は黙っていない。レインベースのカジノに突入するだろう。

 そうなると、クロコダイルは国の乗っ取りを急ぐはず。この国にある彼の目的のモノを手に入れるために。

 

「なんだかまどろっこしいな。カジノに斬り込んだ方が早くねェか?」

 

「クロコダイルだけを相手にするならそれでもいいけどね。私たちを追って海軍が来てるから、2つ相手にするのは面倒だよ。海軍の目をクロコダイルに向ければ、我々も1つの相手に集中出来るだろ?」

 

 ゾロの言うこともわかる。

 しかし、レインベースには既に海軍が居るだろうから、下手したらクロコダイルに辿り着く前にやられてしまうリスクがあるのだ……。

 

「なんだっていいぞ! おれはクロコダイルと戦えるんだな!?」

 

「それは約束するよ。だけど、必ず勝ってくれなきゃ困る。だから、クロコダイルと戦うときは――」

 

 ルフィが大事なことを確認してきたので、私は頷いて、彼にあることを教えた――。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇

 

 レインベースに着いた私は単独でカジノに向かって歩き出す。

 

 うむ、やはり海軍の人間もレインベース入りしてるようだな。私はたしぎの持っている子電伝虫に向けて通信を繋いだ。

 

『すっ、スモーカーさん。どっどうしましょう。例の海賊から通信が……』

 

『バカヤロウ! もう繋がってるじゃねェか! わかりやすく動揺するンじゃねェ! てめェ、魔物狩りか!? 海賊がこんなモン送りつけて何のつもりだ!?』

 

 子電伝虫からたしぎとスモーカーの声が聞こえる。

 

「やぁ、ご無沙汰してるね。スモーカー大佐。景気はどうだい?」

 

『お前のとこの船長でもとっ捕まえたらちったァ良くなるんだがなァ!』

 

 私がスモーカーに挨拶すると、彼から不機嫌そうな返事がきた。

 何度かルフィに逃げられているのは屈辱なのだろう。

 

「それは、業務熱心だね。君のような海兵ばかりなら、世の中はもう少し平和なんだろうな」

 

 私は本心から彼の仕事に対する姿勢を褒めた。海賊が言うセリフじゃないけど……。

 

『海賊が抜かしやがる。いや、お前……、本当に何者だ? なぜ、お前らの船にネフェルタリ・ビビ王女が乗っていやがった!?』

 

 スモーカーはやはりビビが私たちの船にいることに気が付いていた。

 そしてその理由を当然質問してきた。

 

「もうそこまで知ってるのか? さすがだね。ビビ王女に関しては私を通して()()()()()()()()()()()()彼女を護るように依頼があった。たしぎ曹長から聞いているだろ? この国に渦巻く陰謀を……。だから、レインベースに君もいる。違うかい?」

 

 護衛依頼は本当だけど、あえてこういう言い方をしてみた。

 勝手にいろいろ無いこと無いこと想像してくれるとありがたい。

 常識で考えれば世界政府に所属してるアラバスタ王国がこんな少人数の海賊団に護衛を頼むなんてあり得ないだろうし。

 

『クロコダイルのヤツがアラバスタ王国を乗っ取ろうとしてるって話か? 証拠はあるんだろうな?』

 

「それは証拠があれば海軍が動くと解釈していいのかな?」

 

 スモーカーの言葉に対して私は大切な質問をした。

 

『見逃すわけねェだろ』

 

「話が早くて助かる。じゃ、確かな証拠を示しに行ってくる。頼んだよ」

 

 私は彼の返事を聞いて彼との会話を終えた。彼の性格上、クロコダイルは見逃さないだろうし、この一件が終わるまではそちらに集中してくれるだろう。

 

 そして、私はそのままレインベースのカジノに入った。クロコダイルと会うために……。

 

 

 

「このカジノのオーナーである、サー・クロコダイルに至急取り次いでくれ。海軍の動きとビビ王女についてと言えば分かってくれるはずだ」

 

 フロアの中で一番偉そうなスーツの男に私は話しかける。

 クロコダイルの興味を引く話題を添えて。

 

「はぁ……。あなたはどちら様で?」

 

「ああ、私か。私のことはMr.1からの使者とでも言ってくれればいい」

 

 スーツの男は奇妙なモノを見るような顔で私を見ていた。

 まぁ、急にこんなことを言われれば無理はないか。

 

 しかし、彼は面倒そうな顔をしながらも一応は連絡をとってくれた。

 

 そして、程なくして――。

 

 

「サー・クロコダイルがお会いになるそうです」

 

 笑顔でスーツの男は私にそう伝えた。どうやらクロコダイルの興味を引くことには成功したらしいな。

 

「それはありがたい。では、さっそく……。――なっ、何をする!」

 

 私がスーツの男の言葉に反応した瞬間、大柄な男が後ろから私を羽交い締めしてそのまま手足を縄で縛ってきた。

 

「それでは、クロコダイル様とお会いください」

 

 私はそのまま担がれて、地下にある部屋に投げ込まれてしまった。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

「なぜ、アラバスタ王国を手に入れようとする、だと?」

 

 そして、私は勝ち誇った顔のクロコダイルと対面することとなったのだ。

 

 

「バカか? てめェは……。んなこと、わざわざ教えるわけがねェだろ。そもそも()()()()()()()()()()()()()()()()理由なんざ、小物にゃ到底理解できることじゃねェよ」

 

 クロコダイルは見下して馬鹿にした表情で私に向かってそう言い放った。

 

「そうか。それは失礼した。興味があったんだ。海賊が国を欲しがる理由とやらが」

 

「気に入らねェな。この状況で余裕面してるてめェが。何を考えてやがる」

 

「それは、もうすぐわかると思うよ。ほら、君の電伝虫に連絡が入ってきた」

 

「はぁ? てめェの仲間をぶち殺した報告だろ? どうせ……」

 

『クロコダイル様! 海軍がガサ入れに! なんでもクロコダイル様がアラバスタ王国に対して謀略を――。ぐわぁっ!』

 

「海軍だァ!? なぜ、このタイミングで……」

 

「口には気を付けたほうがいい。自分で自分のことを頭が良いと思っている人は尚更ね。“()()()()()()()()()()()()()()()()理由”なんて言葉を吐いちゃったら認めたも同然じゃないか。この国を乗っ取ろうとしていることを……」

 

 私は懐から電伝虫を取り出して、クロコダイルに見せた。

 

「いっ、いつの間に縄を解きやがった。そっそいつは何だ!? 電伝虫はどこに繋がってやがる!」

 

 クロコダイルは明らかに動揺を見せていた。

 

「あー、部下にはもうちょっと上手な縛り方を教えてあげた方がいいよ。ちょっと空間を作るだけでゆるゆるだったから、この結び目」

 

 私は雑に拘束されていたので、いつでも抜け出せる準備は出来ていた。

 

「そんなこたァ、どうでもいい! 誰に繋がってやがるんだ! それは!」

 

『王下七武海、サー・クロコダイルだな? おれァ、海軍本部大佐スモーカーだ。お前に事情聴取がしてェ、とっとと出てきてくれねェか?』

 

 クロコダイルの質問に答えるように、電伝虫からスモーカーの声が発せられた。

 

「海軍本部大佐だとォ!? なぜ、弱小海賊団が海軍と繋がってやがる!?」

 

 さすがに海軍本部の将校に自分の陰謀がバレたと思っていなかったのか、クロコダイルからは完全に余裕のある表情が消えていた。

 

「さてね、私は君のようにペラペラ情報を喋ったりしないんだ」

 

「殺すッ!」

 

 あえて挑発的な言動で彼を揺さぶった。まっすぐ私に殺意を向けるように。

 

藍色の超弾(スプラッシュブレット)ッ!」

 

 銀色の銃(ミラージュクイーン)から私は床に向かって弾丸を放つ。

 服の中に隠していた武器が没収されなかったのは幸運だった。

 

「クハハハハッ! どこを狙ってやがるッ! ――ッ!?」

 

 床に当たった藍色の超弾(スプラッシュブレット)は破裂して、クロコダイルに向かって水を噴射した。

 彼は顔から胸にかけてに水がかかってしまう。

 

「おっと、失礼。暑いから水遊びでもどうかと思ったけど、気に入らなかったかな?」

 

「てっ、てめェ……! なぜ……。ぐっ――!」

 

 私がクロコダイルに向かって鉛の銃弾を放つと、彼は咄嗟に躱したが頬にそれがかすり、そこから血が流れていた。

 

「銃弾で傷付いたのは久しぶりかな? 王下七武海のサー・クロコダイルがスナスナの実の能力者だということは知ってる。自然(ロギア)系は無敵に近いから、私がダメージを与えるには弱点をつくしかない」

 

 私はそう言いながら、銃口を彼に向けた。

 はぁ……、なんとか自然(ロギア)系の能力者にダメージを与えることが出来た。

 

「ぐっ……! それくらいでおれを倒せるつもりか! ふざけやがって!」

 

 しかし、クロコダイルは即座に濡れていない部分を砂に変えて私に近づき――。

 

「――がはぁッ!」

 

 フックを私の腹に突き刺した。動きを読んだはずなのに……、思った以上に速い不規則な動きに対応出来なかった……。

 なんてことだ……。

 

「認めるぜ。おれの計画をあっさりぶち壊したやがった小賢しい頭はな。クソッタレ」

 

 クロコダイルはそう吐き捨てると、血塗れで地面に伏している私を置き去りにして部屋から去っていった。

 

 海軍から逃げるつもりだな……。彼は必ず首都アルバーナを目指すはず……。

 そこを待ち伏せしてるルフィたちが叩ければ――。

 

 私の意識はそこで途切れてしまった――。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「ライアちゃん。無事か? クロコダイルのやつ、ひでェことしやがる」

 

 目を覚ましたとき、目の前に海軍の格好をしたサンジの顔があった。どうやら、私は彼に抱えられているらしい。

 なるほど、海軍の服を奪って自然にこの中に入ってきたのか……。

 

「チョッパーがライアちゃんの匂いをたどって来たんだ。応急処置もその場でやってくれた」

 

「もう少し遅かったら危なかったぞ」

 

 サンジとチョッパーの声を聞いて、私はようやく自分の無事を実感する。

 

「こっちも作戦どおりに事を進められた。クロコダイルの部下をとっちめて、偽の報告をさせて、その後ヤツが出てくるのを待った。ライアちゃんの言うとおりアルバーナの方角にヤツは向かって行ったよ。ミス・オールサンデーと共にな」

 

 サンジは作戦が上手く行ったことを私に伝えてくれた。

 

「そっか、上手くいったなら良かった……」

 

 私は作戦が概ね成功していてホッとした。

 

「今ごろ、ルフィとクロコダイルは一騎討ちしてるかもしれねェな。ナミさんたちがビビちゃんに成りすまして、ヤツを誘い出すことに成功していればだが……」

 

 サンジは他のみんなの動きに関して話してくれる。

 

「ビビは、ビビはちゃんと隠れてるのか? アルバーナに行く前に彼女と合流しないと……」

 

「私ならここにいるわ。ライアさん」

 

 私が最も気にしてることを口にするもビビの声が後ろから聞こえた。

 

「ビビ!? なんで、ここに!?」

 

「ライアちゃん、ごめんな。どうしてもって、ビビちゃんにせがまれて断れなかった」

 

 サンジはビビにお願いされてここに彼女を連れてきたのだと言う。

 まぁ、確かにチョッパーと隠れている予定だったから、一人で残すよりも一緒の方が安全か……。

 

「こんな酷い怪我までして……。ごめんなさい……」

 

「ははっ……、怪我は私の油断だよ……。それより、もう一つやることがあった……」

 

 ビビの心配そうな顔に、なるべく笑顔を作って答えながら、私は重要なことを忘れていた事に気が付いた。そして、それと同時にその解決策も……。

 

 忘れていたこと……。それは乗り物だ。

 確か、漫画では大きなカニみたいな生き物に乗って高速でアルバーナに向かったから、なんとか事が大きくなる前に間に合った。

 しかし、今回は違う。あのカニって確か道中で知り合ったラクダの友達だったはずなんだ。

 

 だから、今の私たちには移動手段がない。

 

 その問題を解決するために私はカジノを出る前にすることをサンジたちに話すことにした――。




原作とは違って完全に海軍を利用した作戦でクロコダイルの計画を狂わせることに成功しました。
ただ、どうしてもライアの視点になってしまうので、他の仲間の動向を描写しきれない部分が出てしまってます。
この辺りの補足も含めて次回を投稿できればと思っております。

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