ウソップっぽいポジションに転生したはずなのに、なんで私は女の子なんだろう   作:ルピーの指輪

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いつも誤字報告や感想をありがとうございます!そろそろ、アラバスタ王国編も終わりに近づき、今後の展開も色々と考えなくてはならなくなりました。
今回はバトルシーンばかり。ライアとMr.2の戦いをご覧になってください。


4と2と1

「オカマ拳法! どうぞオカマい(ナックル)!」

 

 Mr.2はサンジにも勝るとも劣らないほどのスピードで拳を繰り出す。

 

「――錆色の超弾(ボンバーブレット)ッ!」

 

 私は爆発する弾丸でMr.2の拳を狙う。しかし、彼は体を反らして弾丸を避け、尚かつ速度を落とすことなく私に攻撃してきた。

 

「ちっ……! 重いッ!」

 

 私は銃を盾にしてどうにかMr.2の拳を受けるが、その重さによって数メートルくらい後方まで押されてしまう。

 

「当たり前よーう。来る日も来る日もレッスン、レッスン……! 磨き上げたオカマ拳法が軽いわけないのよ〜う!」

 

 Mr.2はドヤ顔で自らの力を誇示してきた。

 くっ、やはり非力さというのはこういうときに大きく不利になるな……。

 

「力じゃ敵わないなら、受け流す――」

 

「あら?」

 

 私があえて力を抜くと、Mr.2の体が若干バランスが崩れて倒れそうになった。

 そのスキに私は彼の足元を狙い発砲する。

 

蒼い超弾(フリーザーブレット)ッ!」

 

「ちべた〜いッ! 足が凍っちゃったじゃなーい! ジョーダンじゃな〜いわよーう!」

 

 Mr.2の右足を掠った蒼い超弾(フリーザーブレット)は彼の右足を一瞬で凍り付かせる。

 

「――必殺ッッ! 鉛星ッッッ!」

 

 そして、彼が怯んだスキに私はさらに追撃をする。

 

「アウ〜〜チッ! 痛ァァいッ!」

 

 Mr.2の脇腹を私の放った鉛の弾丸は貫通したが、彼はまだまだ元気そうだった。

 

「痛いじゃ済まないはずなんだけど……」

 

 私は常識じゃ考えられないほどのタフな体をしているこの世界の住民に辟易する。

 鉛玉を腹に受けたんだよ。なんで平気な顔して立っていられる……。私なんてクロコダイルのフックで刺されて気絶したんだぞ……。

 

「オナベもなかなかやるものねィ! 仕方ないわ〜。オカマ拳法に古くから伝わる――! ちょっと、まだ喋ってる途中じゃなーい! ジョーダンじゃな〜いわよーう!」

 

「オナベじゃないし! セリフが長いッ!」

 

 私はMr.2の長セリフを聞くのもバカらしくなって銃弾を放った。

 

「本気のオカマにそんなものは通じないわ……」

 

「メリケンサックッ――!?」

 

 しかし、Mr.2は私の弾丸を拳で弾いた。そんな馬鹿なと思い、彼の拳をよく見ると両手にフルボディ大尉みたいなメリケンサックがはめ込まれていた。

 何これ、漫画と違う……。

 

「名付けてメリケンオカマ拳法!」

 

「ネーミング、そのまんまだなッ!」

 

 次々と銃弾を弾きながらドヤ顔をするMr.2に私はツッコミを入れる。ともすると、彼は漫画よりも強いということか……。

 

「弾丸をも弾き返す拳は銃弾よりも強いのよ〜う! アンッ! ドゥッ! オラァッ! “白鳥のアラベスク”!」

 

 凄まじいスピードの連撃が私を襲う。私は銃を盾にしたり、体を捻り必死で彼の拳を躱した。

 そして、Mr.2は必殺の蹴り技を放ってきた。

 

「結局、蹴り技じゃないかッ! ――必殺ッッ! 火薬星ッッッ!」

  

 私はツッコミを入れつつも、彼の蹴りが直撃する瞬間に錆色の弾丸(ボンバースマッシュ)を放った。

 

「「――ッ!!」」

 

 私たちは互いの攻撃の威力に押されて吹き飛んだ。

 ここまでは若干私が与えたダメージが上……、しかし、フィジカルの差は歴然……。

 ちょっとの油断で簡単に逆転されてしまいそうだ。

 

「やるじゃな〜い! ただの貧弱なスナイパーかと思ってたわ」 

 

「そりゃあ、どうも」

 

 Mr.2は私のことを称賛する。こっちはそんな余裕ないっていうのに……。

 

「でも、こんな手はどう? かつてこんなヤツが居たわ! 友情によって手も足も出なくなった男がね……」

 

「ゾロの顔に変わった……」

 

 Mr.2は友人の姿になって手も足も出なくなった男の話をしながら、ゾロの姿に変身した。

 

「ドゥーかしらッ!? 攻撃できるものならしてみなさ〜い!」

 

「くっ……! これでは、攻撃が……」

 

 得意気な顔をするMr.2と顔を歪める私。

 

「おバカねい! スキありッ!」

 

「まぁ、ゾロなら良いかー」

 

 Mr.2がスキだらけの状態で攻撃を仕掛てきたので私は彼に向かって発砲した。

 

「おい! そりゃ、どーいう意味だ! コラァ!」

「血も涙もねェのか! てめェ!」

 

 Mr.1と戦闘中のゾロと弾丸を肩に掠めて血を吹き出しているMr.2が同時にツッコミを入れてきた。

 

「ああ、ゾロはMr.1と戦ってるんだ。その人強そうだけど、勝てそうかい!?」

 

「負けるはずねェだろッ! バーカ!」

 

 私がツッコミを入れてきたゾロに向かって勝てるかと聞いたところ、彼は当然というような顔をしながら、悪態をついてきた。

 

「おっと、これは失礼。信じてるよ」

 

「お前こそ、負けたらぶった斬るからな」

 

 ゾロは私が負けたら許さないと脅してくる。これは、藪ヘビだったか……。

 

「それは怖いね。じゃあMr.2には負けてもらわなきゃ」

 

 私はMr.2に銃口を向けながらそう口に出した。

 

「あちしが負ける? ジョーダン言ってるんじゃな〜いわよーう! だったら、女の顔はドゥーかしら!?」

 

 Mr.2は今度はナミの体に変身した。

 

「今度はナミの顔か……。そんな衣装でも可愛く見えるね」

 

「バカなこと言ってないの!」

 

 私がナミに変身したMr.2に関する感想を述べると、ミス・ダブルフィンガーと天候棒(クリマタクト)を駆使して戦うナミが顔を真っ赤にして怒り出した。

 

「顔だけじゃなくて体も変わってるのよーう!」

 

 Mr.2はガバッと上着を捲くる。あー、これじゃ、ナミがトップレスになっちゃったみたいだね。

 

「なっ、なっ、ナミさん! なんて、あられもない姿に! ぐはぁッ!」

 

 それを見ていたMr.4と戦っていたサンジは漫画みたいな量の鼻血を噴射して、倒れてしまった。

 

「キャハハッ! コックくんがダメージ受けてるんだけど……」

 

 ミキータはミス・メリークリスマスをモグラ叩きの要領でハンマーを駆使して狙ったり、イヌイヌの実を食べた銃の吐き出す爆弾を打ち返したりしていた。

 彼女は武器を持っただけで、見違えるくらい強くなったな……。

 

「くっ、これじゃ攻撃できない!」

 

「今度こそ、終わりねいッ! ――あぢャァァァッ! なっ、なぜ!?」

 

 そして、Mr.2は攻撃できないと怯んだ顔をした私にまたもやスキだらけで攻撃してきたので、今度は緋色の超弾(フレイムブレット)を撃ち出す。

 

 Mr.2の左肩に今度は銃弾が掠り、彼の肩は炎上して涙目になる。

 

「悪いね。嘘つきなんだ私は……。そういう手はもっとピュアな人に使うべきだよ」

 

「こうなったら、見せてあげるわ! オカマ拳法――その、主役技(プリマ)!!」

 

 私のセリフが言い終わるのと同時にMr.2は白鳥の顔をした変わった靴を装備した。

 

「メリケンサックの次は奇妙な靴か……」

 

 あの靴の攻撃力は侮れないはずだ。気を付けなければ。

 

「これだけは言わせて! あんたから見て、右側がオスで左側がメスよーう!」

 

 靴を履いてご満悦なMr.2は両足の白鳥の性別を叫んだ。へぇ、そんな設定あったのか……。

 

「あー、道理で右側の子の方が吊り眉毛なんだ」

 

「えっ、本当かしらァ?」

 

 私がそれを受けて適当なことを言うと、Mr.2は自分の靴をまじまじと観察しようとする。

 

「嘘だよッ! そもそも、眉毛なんてないじゃないか。錆色の超弾(ボンバーブレット)!」

 

「ガハッ――!? 嘘つくなんてひどーいじゃないのよーう!」

 

 なので、私はまたまたスキだらけになったMr.2に向かって発砲すると、彼は爆発に飲まれて吹き飛ばされた。

 

「犯罪組織の人間がよく言う。国王の姿で騙そうとした癖に……」

 

「まぁ、良いわ! あんたのそのしょぼい銃弾と比べてみなさーい! オカマ拳法! “爆弾白鳥(ボンバルディエ)”!!」

 

 私の不意討ちをまぁいいと流したMr.2は必殺の威力を込めた蹴りを放った。

 

「――なッ!? ぐっ――!」

 

 私の左腕を掠めた蹴りは燃えるように熱く、そして鋭かった。

 腕からじんわりと血が流れて、私はもしこれが直撃したらと想像して息を呑みこんだ。

 

「が〜はっはっは! 掠っただけでも威力は伝わったはずよーう! しなる首に鋼のくちばし――一点に集中された本物のパワーはライフルに匹敵するわァ……。弾はあんたの銃弾よりも少々大型だけどねい!」

 

 得意気に技の説明をするMr.2。ライフルとは言い得て妙で、銃使いの私もその威力に感服するしかなかった。

 

「ちっ……! その上、速いときたか……」

 

「あんたの華奢な体に風穴を開けたるわァ! アンッ! ドゥッ!」

 

 私が舌打ちをすると、同時に彼は鋭い蹴りを放つ。

 

「――ッ!? 怒涛の嵐のような連打……!」

 

 私は何とかMr.2の動きを読んで、それを躱そうと必死になる。

 

「オラァ!」

 

「傷口がッ――!?」

 

 脇腹を彼の蹴りが掠めたとき、チョッパーが巻いてくれた包帯が切れてしまい、クロコダイルに付けられた傷口から血が再び流れ始めた。

 あーあ、こりゃあ、体中血塗れだな……。

 

「あらあら、とーっても血が出ちゃってるじゃなーい! でも、あちしは手は抜かないわァ! 飛ぶ! 飛ぶ! 飛ぶあちし! “あの冬の空の回顧録(メモワール)”!!」   

 

 Mr.2は勝利を確信したのか、大技の準備に入り、宙を舞った。

 大技で一気に決めるつもりだな。だが――。

 

「目が霞む……。力もほとんど入らない……。しかし……! 無駄に長いモーションのおかげで……、()()()()()()が出来た! ――必殺ッッ! 鉛星ッッッ!」

 

 私は未来を完全に読むことでMr.2の攻撃を避けた上で、彼の右足のアキレス腱を銃弾で撃ち抜くことに成功する。

 

「――ぶへェェェェッ!? あちしの足がァァァッ!」

 

 Mr.2は苦痛に顔を歪めて地面を転がり回っていた。

 

「もう諦めろ。はぁ、はぁ……、Mr.2……。君のアキレス腱を撃ち抜いた。もう、満足に動けまい」

 

 私は息を切らせながらも、Mr.2に降参を促した。

 

「はぁ、はぁ……。ジョーダンじゃな〜いわよーう……! 片足でやってやろうじゃねェか!」

 

 しかし、Mr.2はやはりこれくらいでは負けを認めず、よろよろと起き上がり、私に向かって拳法の構えをとった。

 そう簡単には勝たせてもらえないな……。

 

「――片足では踏ん張りも利かない分……。先程までの技の()()がない……」

 

「あんただって、血を流し過ぎて半死人みたいじゃないのよーう! アンッ! ドゥ! オラァ!」

 

 私がMr.2の技の弱体化を指摘すると、彼も私の体が限界に近づいていることを口に出す。

 悔しいけど、そのとおり……。そろそろやばいと思っている。

 

「――うっ! 当然、傷口を狙ってくるか……」

 

 私は執拗に弱点を狙ってくるMr.2の動きに全集中力を傾けた。

 

「「――ッ!!」」

 

 そして、決着の瞬間はついにやってきた。

 

「――爆弾白鳥(ボンバルディエ)アラベスクッ!!」

「――必殺ッッ! 爆風彗星ッッッ!!」

 

 Mr.2が最終奥義とも言える強力な一撃を私に向かって放ち、私がそれを迎撃しようと引き金を引いたのだ――。

 

「「…………」」

 

 2人の体が交錯したその瞬間……、一瞬だけ、時が止まったように感じられた。それが永遠の時間のようにも……。

 

「ぎゃアアアアア!!」

 

 しかし、静寂はMr.2の断末魔に近い叫び声によって打ち消される。

 彼は私の放った突風を繰り出す弾丸を腹に受けて宮殿の壁に激しく体を打ちつけて大の字になって倒れたのだ。

 

 

「まったく……。はぁ、はぁ……、大した強さだったよ。Mr.2……。勝てたのが不思議なくらいだ……」

 

 私は本心からそう思い、彼の強さを讃えた。

 単純な戦闘力で言えば完全に上を行かれていたと思う。今まで真剣勝負した相手の中で一番強かった相手だ……。

 

「くっ、あぢし……、の負けよ……、さっさと、トドメを刺しなさァい……」

 

「驚いたな。まだ意識があるのか……」

 

 私は悔しさに顔を歪めているMr.2のタフさに対して若干呆れ顔していた。

 

「オナベに負けたのなら、悔いはな――ガハッ! まだ喋ってるじゃなーい……、ぐふッ……」

 

「だから、オナベじゃないって……! 睡眠弾だ……、ダメージのある体には効くだろう……」

 

 彼の発言にムッとした私はMr.2の体に睡眠薬入りの弾丸を打ち込んで眠らせた。

 はぁ……、いろんな意味で疲れる相手だったよ……。

 

 

 さて、と。他のみんなは――。

 

 

「一刀流――獅子歌歌(ししそんそん)!」

 

 ゾロは鉄の硬度を誇るMr.1を神速の居合で斬り伏せた。

 この人はこの一戦で確実にレベルアップしたみたいだな……。

 

「トルネード・テンポッ!」

 

 私が作った天候棒(クリマタクト)を最初から上手く使いこなしていたナミは意外にもミス・ダブルフィンガーを終始圧倒していた。

 

 そして、天候棒(クリマタクト)に搭載している最強の切り札であるトルネード・テンポを見事に炸裂させてナミはミス・ダブルフィンガーを相手に快勝した。

 

「一万キロフルスイングッ!」

仔牛肉(ヴォー)ショットッ!」

 

 ミキータはサンジと組んでMr.4とミス・メリークリスマスのペアと戦闘をしていた。

 女性に手を上げない主義のサンジは徐々にMr.4とのタイマンに近い状態に勝負を持っていったので、ミキータも必然的にミス・メリークリスマスと一対一のような状態になっていった。

 

 ラッスーというイヌイヌの実を食べた銃から繰り出される爆弾がMr.4から打ち出されたが、ミキータはそれを打ち返すし、サンジもそれを蹴り返す。

 

 よってサンジとミキータは終始Mr.4ペアを圧倒してほとんどダメージを受けることなく完封してしまったのだ。

 

 ミキータは跳ね返した爆弾の爆発によって地面の穴から飛び出てきたミス・メリークリスマスに向かってハンマーをフルスイングして吹き飛ばし、サンジはMr.4に向かって怒涛の蹴り技のラッシュから必殺の仔牛肉(ヴォー)ショットを決めた。

 

 こうして我々5人はクロコダイルの集めた精鋭中の精鋭である5人のオフィサーエージェント全てに勝利したのである。

 

 あとは、戦争を止めつつ爆弾の処理……。そして、クロコダイルの討伐か……。

 ルフィはクロコダイルと戦えているだろうか……。

 

 アラバスタ王国を巡る戦いは最終段階に進んでいた――。




原作と同じ組み合わせのゾロとナミはほとんど同じ展開で勝利しました。
そして、サンジとミキータはMr.4ペアを圧倒しました。
戦力的にも相性的にも負ける要素がなかったので、一番ダメージが少ないのはこの二人ですね。
ダメージが一番大きいのはもちろんライアです。
いよいよ残すはクロコダイルのみとなりました。
次回には終結が見えてくると思います!

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