ウソップっぽいポジションに転生したはずなのに、なんで私は女の子なんだろう   作:ルピーの指輪

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いつも誤字報告や感想をありがとうございます!
空島編を読み返しながらダイヤルの活用法を考えたりしています。このままだと、頂上決戦に行ったとしても即死だなぁと思いながら……。
それではよろしくお願いします!


冒険のにおい

 私たちはコニスとパガヤの家でダイヤルについて説明を受ける。

 

 やはり、ダイアルは便利なモノだった。風貝(ブレスダイアル)炎貝(フレイムダイアル)は私の特殊な弾丸と似ているが溜めて放つので使い捨てでないところは大きい。

 それに加えて映像や光や音を溜めることができるダイアルも見せてもらった。

 これらを手に入れることが出来れば、いろいろと戦略の幅が広がり、武器作りが捗りそうだ。

 

 あと、ここには無かったが、記憶が確かなら衝撃や斬撃を貯められるダイアルもあった気がする。この2つはぜひ欲しい。

 

 私がダイアルの説明を興味深そうに聞いていると、コニスはなぜか照れたような表情をして目を合わせようとしてくれなかった。

 

「キャハハ、ホントだ光ってる〜」

 

「面白いなー、面白いなー」

 

 ミキータとチョッパーは灯貝(ランプダイアル)を興味深そうに見つめていた。

 

「こっちの生活に溶け込んでいるんだね。うん。これが見られただけでも空島に来た価値はあったな」

 

「そっ、そうですか? そんなに喜んでいただけて嬉しいです」

 

 私の言葉にコニスが反応する。百聞は一見にしかずというが、まさにそのとおり。

 ダイアルを生で見られて私は嬉しかった。

 

「コニスが上手に話してくれたから良く理解できた。ありがとう」

 

「そんな……。私は大したことは……」

 

 私が彼女の手を握ってお礼を言うと、コニスはまた俯いて顔を真っ赤にしていた。

 彼女は照れ屋みたいだ。

 

「まったく、あんたは……。全然反省の色が見えないわね。まぁ、いいわ。食事が出来たみたいよ」

 

 ミキータは頭を横に振りながら、私の肩を叩いた。

 どうやら、パガヤが作った手料理がこちらに運ばれて来たみたいなのだ。

 空島の料理に興味があるというサンジもそれを手伝っていて、彼もこちらに来ていた。

 

 

 

「おーい、ナミさんはどこに行った!?」

 

 食事を始めてしばらくして、サンジは外を見ながら声を上げた。

 

 ナミは乗るためには長い訓練が必要なウェイバーを天性の才能ですぐに乗りこなし、しばらくそれを走らせて遊びたいと言ったので外に1人残っていたのだ。

 

「えっ? さっきまでその辺に……。あれ、居ない」

 

 サンジの言葉を聞いて私も窓の外を見ると、なるほど彼女の姿は見えない。

 

「まさか……。ウェイバーで聖域に行ってしまってはいないでしょうか」

 

「ええ、コニスさん。私も嫌な予感がします」

 

 コニスとパガヤは心配そうな顔をして見つめ合っていた。

 聖域ってまさか……。

 

「聖域?」

 

「はい、スカイピアには足を踏み入れてはならない、神の住む土地があるのです。その名は“アッパーヤード”」

 

 ロビンがコニスの言葉に反応すると彼女は神が住む土地について説明をする。

 そう、そこにはクロコダイルよりもとんでもない奴がいる……。

 

「神がいるのか!? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ルフィが目をキラキラさせながらコニスの言葉に反応した。

 あーあ、ウキウキしてるよ……。

 

「はい。ここは神の国ですから。全知全能の神、“(ゴッド)・エネル”によって治められているのです」

 

「そっか〜! 絶対に入っちゃいけない場所があるのか〜!」

 

 コニスはそんなルフィの気持ちにも気が付かずに淡々と説明をしていた。

 なんか、芸人に「押すなよ、絶対に押すなよ」って言ってるみたいだ……。

 

「君には“入れ”としか、聞こえてないみたいだね」

 

「ライアは何でも知ってるな〜! あとで一緒に冒険に行こう! にっしっしっ」

 

 堪らず私はルフィにツッコミを入れると、彼は悪びれもせずに私の背中をバシバシ叩いた。

 いや、私をサラッと共犯にしようとしないでくれ……。

 

「少しは隠せ。コニスちゃんが心配そうな顔してるだろうが!」

 

 サンジは明らかに顔が曇っているコニスを気遣って彼の頭を小突く。

 

「おし、とにかくナミを探しに行こう!」

 

 しかし、ルフィは行く気満々でニコニコ笑っていた。

 

「ちょっと待ってください。本当に彼女がそこに向かったのか分かりませんし、無茶だけはくれぐれもなさらないで下さい。“(ゴッド)・エネル”の怒りに触れると本当に大変ですから」

 

 コニスはルフィの暴走を止めようとエネルの怒りに触れる危険性について話した。

 そう、エネルだけは要警戒だ。自然(ロギア)系の中でも強力な悪魔の実――ゴロゴロの実の能力者。

 

 体が雷になるだけでも強力なのに、心網(マントラ)と呼ばれる見聞色の覇気により広範囲で相手の気配を察知可能な上に動きが読める。

 そして、その心網(マントラ)を利用した遠距離攻撃、神の裁き(エルトール)は反則と言ってもいい。なんせ、このスカイピア全体が彼の攻撃範囲なのだから。

 

 速度も雷速だし、力だってゾロを圧倒するくらい強い。

 ルフィが天敵のゴム人間じゃなかったら、確実に詰むレベルの実力者だった。

 

 おまけに、そのルフィにすら電熱や斬撃ですぐに食い下がるくらい頭もいい。

 間違いなく偉大なる航路(グランドライン)の前半で出てくる敵ではないのだ。

 

 うん。私だったら文字通り瞬殺される未来しか見えない……。

 

 そして、今、ナミがいる場所というのが……。

 

「ちなみにその“アッパーヤード”の方向ってあっちかい?」

 

 私は指で方角を指し示しながらコニスに尋ねた。

 

「あっ、はい。でもどうしてそれを?」

 

 コニスは不思議そうな顔をして私の言ったことを肯定する。

 やっぱり……。ナミはアッパーヤードの方に行ってしまったみたいだ。

 

「まいったな。ナミの気配を探ったんだけど、向こうの方向から感じるんだ」

 

「あら、それは困ったことになりそうね」

 

 私が頭を掻きながらナミがアッパーヤードの方に言ってしまったことを話すとロビンは他人ごとみたいな声を出した。

 うーん。中に入ってないって信じたいなぁ。

 

「キャハッ……、船長が理由を見つけたって顔をしてるわ」

 

「おい、飯を大急ぎで口に詰め込むな!」

  

 それを聞いたルフィはいても立ってもいられなくなったのか、大急ぎで食べ物を口に入れて出発しようとした。

 

「ああ、行かれる前に、あなたたちが仰っていた古いウェイバー。よろしかったら、私、見ておきましょうか? 直せるものなら、直しますし」

 

 そんな我々を見て、親切なパガヤは古いウェイバーの修理をしてくれると言ったので、我々は彼にウェイバーを託した。

 

 

 そして、私たちは船に乗り込みナミの向かった方向に出航しようとしたのである。

 

 その時――。

 

「お待ちください!」

 

 私たちを制止する声はコニスのものだった。どうしたのだろう?

 

「あの、よろしかったら、私も行きましょうか? あなたたちは、まだ空島に慣れていらっしゃらないみたいですし」

  

 コニスはニコリと微笑みながら、案内も兼ねて同行すると言ってくれた。

 

「おおっ! コニスも冒険、じゃなかった、ナミを探しに行きたくなったのか? 来いよ!」

 

 ルフィは笑いながら手招きして彼女をこちらに呼ぶ。

 確かにこの辺の地理に疎い私たちだから、空島の住人に案内してもらえればこれ以上心強いことはない。

 

「へぇ、あの子って本当に親切だね」

 

「キャハハ、鈍感ね。親切なだけじゃないわよ。ほら、あの子の視線を見てみなさい」

 

 私が隣にいたミキータに話しかけると、彼女は呆れた顔をして返事をした。

 

「視線?」

 

「…………ッ!?」

 

 私がミキータの言葉に反応してコニスの目を見ると、ちょうど彼女はチラッとこちらを見ていたみたいで目があった。

 すると、彼女は驚いたような顔をして急いで目を逸らした。

 

 以降、彼女の視線を追っても何もわからず終いだった。

 

 ともかく、私たちはアッパーヤードを目指して船を進めたのである。

 

 

「ここがアッパーヤード……、神が住む土地……」

 

 ロビンが生い茂る森林を見ながら興味深そうにアッパーヤードを見ていた。

 

「よしっ! ナミを探しに行くぞ!」

 

「いや、その必要は無いよ」

 

 ルフィが船から降りようとするのを私が制止した。なぜならナミは――。

 

「あっ、みんな! こっちに来ていたのね!」

 

「ナミさァん! あなたの騎士が馳せ参じましたァ!」

 

「良かった……」

 

 ナミがウェイバーでこちらに向かってきているのを見てサンジはブンブン手を振って、コニスはホッと胸をなでおろしていた。

 

「早くここから逃げるわよ! 私たちはお金を払って入国したから大丈夫だと思うけど、とにかくここは危険なところよ!」

 

「何かあったのか?」

 

 ナミの焦った態度を見て、ゾロはそう尋ねる。彼女の顔色は青く、何か良からぬものを見てい来たみたいだ。

 

「不法入国した人が、さっきまでここでヤバイ連中に襲われてたのよ。きっと、あそこでお金を払わなかったら私たちも……」

 

 彼女は不法入国者が集団リンチに遭っていた様子を私たちに伝えた。

 この国の闇の部分を目にしたみたいだな……。

 

「この国では神が定めた法律がすべてですから。不法入国者を神に仕える神官が裁いていたのです。みなさんは、観光者として入国されてますので大丈夫ですよ」

 

 コニスはナミのセリフを聞いて少しだけ顔を曇らせたが、冷静に私たちに説明をした。

 

「キャハハ……、だけどあのお婆ちゃん、最初は明らかに私たちを不法入国者に仕立て上げようとしてた。神って人もワザとルールを破るように仕向けてるんじゃない?」

 

 しかし、ミキータは入国の際の老婆の態度に対して言及する。確かにアレは不法入国してくれって言っているようにも感じられる。

 

「そっ、そんなことを言ってはなりません。神を冒涜するようなことを言うと裁きが下りますよ」

 

 ミキータの発言にコニスは慌てたような口調になった。そういえば、エネルはゴロゴロの実の力と心網(マントラ)を併用して国全体を盗聴出来るみたいだったな。

 どんだけ反則級の力を持ってるんだ……。

 

「だが、こいつの言うとおり、おれたちは嵌められかけた。少なくとも神というのは、よそ者には厳しいんだろ」

 

 ゾロはミキータに同調し、エネルはよそ者に対して害意があると読んでいるみたいだ。

 

「ところで……、船長さんはどこに行ったのかしら?」

 

 そんな話をしていると、唐突にロビンが気が付いたような声を出した。

 あれ? 本当だ。ルフィが居ないぞ。

 

「ルフィならさっき船から出ていったぞ」

 

 チョッパーはルフィがアッパーヤードに入って行ったことを伝えた。

 あれ? これって、むしろトラブルに巻きこまれるの早まってない?

 

「あのバカ。コニスちゃんがあれだけ言ってたのに、欲望に負けやがって」

 

 サンジはイラッとした声を出している。まぁ、コニスはずっと止めてたからね……。

 

「ルフィがあの話を聞いたら、遅かれ早かれこうなったさ。仕方ない。私が彼の気配を辿って連れ戻そう」

 

 私は船を降りてルフィを探しに行くことにした。なんか、迷子を探しに行く親みたいな心境だな。

 

「ダメです! ライアさんまで罪を背負うことになってしまいます。ルフィさんが戻ってくるまで待ったほうが……」

 

「ははっ……、私はすでにお尋ね者さ。大事な船長を放っておくわけにはいかないよ。大丈夫。すぐに戻る。みんな、船を頼んだよ――っと」

 

 コニスは止めたけど、ルフィを放置するなんて出来ないので、私はアッパーヤードの中に入って行った。

 神官とかゲリラに襲われてなきゃいいけど……。

 

 

 私の心配は杞憂で済んだのか、驚くほどあっさりルフィに追いつくことが出来た。

 

「ライア! なんだァ、やっぱりお前も冒険がしたかったんじゃねェか」

 

 ルフィは走って追いついた私の姿を確認するとニカッと笑って手を振ってきた。

 

「冒険に興味はなくはないけどね。とりあえずナミが無事だったんだから、1回戻らないか? ほら、ちゃんとサンジに弁当を作ってもらわないと途中でお腹が空いたら大変だし」

 

 私は彼の性格から気を引けるようなキーワードを出しながら戻るように促す。

 

「弁当かァ! それもいいな!」

 

 ルフィは思った以上に食いついてくれた。ふぅ、やはり食欲って彼の中で大きなウェイトを占めてるんだな……。

 

「私も冒険はしたいと思ってる。おそらく、この島にはすごい秘密があるんだ」

 

「秘密!? なんだそれ!? すっげェ面白れェ予感がするぞ!」

 

 私が勿体ぶるような言い回しをすると、彼は無邪気にはしゃぎながら目を輝かせる。

 秘密というのは黄金郷のことだ。メリー号のことを考えると、ウォーターセブンで確実にまとまった金が必要になる。

 

 出来ればなるべく多くの黄金を持って帰りたい。ミキータも居るし、メリー号への運搬は彼女の力を借りれば楽そうだ。

 なんとも俗っぽいことを考えながら、私はルフィを説得していたのだ。

 

「面白さについては保証するよ。だから、一度メリー号に戻ろう」

 

「うっし、戻ろう! そして、すぐ出発しよう!」

 

 彼は素直に頷いて、足を反対方向に向けてくれた。

 良かった、このまま無事に船に戻って、みんなで準備を整えて探索すれば……。

 

「ははっ、ルフィは本当に冒険が好きなん――。――んっ!? 今の音はなんだ!?」

 

 ホッと胸を撫で下ろした刹那、大きな音が私の鼓膜を刺激した。なんだろう? 木が倒れた音のように聞こえたが……。

 

「あっちだ!」

 

 ルフィは音のした方向に走り出す。人の気配が2つ……。

 1人はかなり強い……。おそらく神官だろう。もう1人は――。

 

 

「はぁ、はぁ……!」

 

 巨大な鳥の背中に乗った槍を持った男がカバンを抱えた小さな女の子を追いかけている。

 

「ガキの侵入者なんざ、殺ってもつまらねェが……! 弱いやつは死ぬのが真理だっ! 死ねっ!」

 

「くっ……!」

 

 彼女が木の根に足を引っかけて転けてしまったとき、男はそれを読んだかのように槍を伸ばす。このままだと、彼女は串刺しになってしまう……。

 少女はカバンを抱き締め、目を閉じた――。

 

「――ゴムゴムのォォォ! ピストルッ!」

 

 ルフィが槍の男に向かって腕を伸ばした。その男は事前にそれを察知したかのようにきれいにルフィのパンチを躱す。

 あれは、見聞色の覇気――こっちの言い方だと心網(マントラ)か……。自分以外の使い手を見るのは初めてだな……。

 

「ふぅ、大丈夫かい?」

 

 私は土の入ったカバンを抱きしめている少女に声をかけて、手を差し出した。この子はゲリラを活動をしている、ワイパーたちの仲間だった子か……。

 よく覚えてないけど、ここで死んでないことだけは確かだ。うーむ、やはり漫画と同じじゃないんだな。

 

 これから先もそれを想定して気をつけなきゃ。漫画の知識を過信すると痛い目に遭いそうだ。

 頂上決戦にシャンクスたちが来ないというオチだけは勘弁してほしいがそれも覚悟しておこう。

 

「カハハハハッ。なかなかいいパンチを撃つじゃねェか。見たところお前ら青海人だな。せっかく、正規入国したのに、ここに入ってくるとはバカな奴らだ」

 

 男はルフィを見てニヤリと笑った。確か、この男はシュラという名前の神官だった。漫画ではガン・フォールを倒してた気がする……。

 

「せっ、青海人!?」

 

 私の手を握って立ち上がった少女はギョッとした顔で私たちを見ていた。そういえば、彼女らにとって私たちは排除すべき対象だった。嫌な顔をされても仕方ない。

 

「ルフィ……、あいつかなり強いよ」

 

 私はルフィにそう伝えた。シュラたち神官は全員が心網(マントラ)を会得していたはず。

 使ってるからこそわかるが、攻撃が読まれるというのはかなり面倒な能力だ。

 

「すっげェ! あの鳥、火ィ吹いてるぞ! カッコいいな!」

 

 しかし、ルフィは私のセリフを聞き流して、火を吹いている鳥に対して歓喜の声を上げていた。

 うーん。これは戦闘は避けられないだろうな。

 なんとかルフィを援護してなるべく早くあいつを倒してここを去らないと……。

 

 私とルフィは神官のシュラと戦うこととなった――。




前書きで頂上決戦に触れたんですけど、多分ライアはルフィのサポートに徹する感じになると思うんですよ。
なので、今回はその練習も兼ねてタッグを組ませてみました。
空島編は原作とストーリーも変わってくる部分も多いと思います。面白くできるか、不安ですが見守ってあげてください!

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