ウソップっぽいポジションに転生したはずなのに、なんで私は女の子なんだろう 作:ルピーの指輪
楽しく感想は拝見させてもらってます!
今回はタイトルどおりにサトリ戦です。
それでは、よろしくお願いします!
「ぎゃああああッ! みんなァ! どこに行ったあああ!」
「侵入者だ! メ〜!」
「
チョッパーが神兵二人に襲われて走って逃げている。
「うわぁあああ!」
「一万キロフルスイングッ!」
「――必殺ッッ! 鉛星ッッッ!」
神兵たちがチョッパーに攻撃をしようとしたその刹那、ようやく私とミキータが追いついて神兵たちを倒した。
「ライアァァァ! ミキータァァァ! はぐれちゃったと思ったぞおおおッ!」
チョッパーは涙を流しながら私たちに駆け寄ってきた。
あー、危なかった。探索に出て15分で仲間がやられるところだった。
「キャハハッ! 思いっきりはぐれてるわよ。チョッパーちゃん」
「あの大蛇から逃げるのに必死だったのはわかるけど、見事にロビン以外は別の方向に進んじゃってるね」
メリー号で
そして、私たちは探索チームと船を遺跡の北側の海岸に寄せて船番をするチームに分け、探索チームのみ森の中へと入っていったのだ。
探索チームは私とミキータとチョッパー、そしてロビンとルフィとゾロの6人である。
サンジはレディたちを残して降りるわけにはいかないと、ナミたちのボディガードを買って出た。
そして、空の騎士――ガン・フォールもしばらくは護衛としてメリー号に残ってくれると言ってくれた。なので、サンジとガン・フォールが主に船を守ってくれている。
そんなわけで、私たち探索組の6人は東にある遺跡を目指したが、途中で大蛇に襲われてバラバラになってしまった。
運良く私とミキータは近くにいたので合流し、気配で仲間の居場所がわかる私は最初にチョッパーを追いかけることにしたのだ。
案の定、彼は危ないところだったので、私の判断は正解だったと思ってる。
「そっか、ライアは他の人の居場所がわかるんだな」
「まァ、君以外は一人でも心配ないと思ったからね。とりあえず、近くにいたミキータと一緒に君を追いかけたというわけさ」
ルフィやゾロやロビンは私よりも強い。だから、放っておいてもとりあえずは安心だと思っている。
「うう……、おれだって海賊だ! ごわぐながったも゛ん!」
「はいはい。わかってるわよ」
心配されたことにムッとしたのか、チョッパーは精一杯強がるが、ミキータの足にしがみついて、彼女は彼の頭を撫でている。
「じゃあ、とりあえずきちんと東の遺跡に向かっているロビンと合流しよう。ルフィとゾロは結構離れちゃったみたいだし」
私は正確に遺跡へと進んでいるロビンを追おうと提案した。
彼女はいち早くエネルと遭遇するかもしれないからな……。
「おう! 行くぞ、二人共。今度はおれがまもってやるんだ!」
「キャハッ! 勇ましいわね」
「へへっ……」
チョッパーとミキータは仲がいい。船に乗った時期が似たようなタイミングだからなのか、波長が合うからなのか、よく一緒に遊んだりしている。
「急ごう。エネルたちの部下とシャンディアはすでに戦闘を開始してるみたいだ。多分、ルフィたちも……、そのうち……。――ッ!?」
私は話してる間に誰かがこちらに近づく気配を感じて、その方向に銃を向ける。
「――ッ!? あんたは――!?」
しかしら茂みから銃を構えながら飛び出してきた者の正体は知っている顔だった。
「ああ、シャンディアの……、ええーっと、ラキだっけ?」
シャンディアの戦士であるラキと私が互いに銃を構えながらお互いに気づき合った。
「何? この人知り合い?」
「うん。昨日話しただろ? ここの原住民の子孫――シャンディアのラキだよ」
ミキータの質問に私は答える。シャンディアと話し合ってなかったら今ごろ戦闘になってたかもしれないな……。
「ねぇ、あんた。アイサのやつを知らないかい?」
「アイサって、あの生意気なガキのこと? あの子なら私らの船に忍び込んでたから、今は船にいるわよ」
ラキの質問にミキータが答える。アイサについては帰してやれなくて申し訳ないと思ってる。
「やっぱり……! あのバカ……!」
「まぁ、船には強い仲間もいるから彼女は心配ないよ」
ラキは予想通りだったらしく、拳を震わせて怒りを溜めていたので、私は安心させようとそう声をかけた。
ラキを含めた4人でしばらく歩いていると、先頭を歩いているチョッパーが口を開く。
「なァ、ライア。あの丸っこいのなんだろう? たくさんあるんだけど」
確かに目の前に、両手を広げたくらいの大きさの球体状の島雲が大量に浮かんでいた。
「あれはまさか……! 玉の試練!」
それを見たラキが警戒して銃を構えた。
「試練!? ということは、神官か!?」
私とミキータもラキの言葉を聞いて戦闘態勢をとる。
「ほっほほう! へそ! 我が玉の試練によくぞ来た!」
まんまると太ってサングラスをかけた神官が球体状の島雲に腰掛けて私たちに挨拶をした。
早くも神官と遭遇してしまったか……。
「キャハッ……! なんだァ。神官って言うからもっと厳格そうなヤツかと思ったわァ」
「ミキータ。油断するな……。前に戦った神官は強かった。きっと彼も――」
ミキータが神官の見た目で油断したのを察した私は彼女を咎める。
「ほほう〜! シュラをやったのはお前か! それなら、遠慮はしないぞ!」
「右手の掌底か……」
神官は体型からは想像できないくらいの身軽さで私に接近して右手で掌撃を加えようとした。
おそらく手袋に
私は彼の攻撃を読んでそれを躱した。
「ほう!?
「でかい木が砕けたァ!」
私が避けた神官の右手が巨木に当たり、それが砕けて大きな穴をつくる。
チョッパーはそれを見て大声を出した。
「あれは、
「それは怖いわねぇ……」
ラキはダイアルに詳しくないであろう、青海人である私たちにアドバイスしてくれた。
ミキータもその威力を目の当たりにしてようやく油断した表情が消える。
「おれは神官のサトリ! 全能なる
神官はサトリと名乗り、びっくり雲と称した丸い島雲をこちらに向かって飛ばして来た。
「玉が飛んできた! キャハッ! こんなもの! これで打ち返してやる! ――きゃあッ」
ミキータはキロキロパウンドでびっくり雲を打ち返そうとしたが、びっくり雲は爆発した。
「爆発した!? ミキータ! 大丈夫か!?」
「痛いわね〜!? もう! Mr.5みたいなことを!」
チョッパーは目を丸くして驚き、ミキータは爆風で少しだけ吹き飛ばされてはいたが、軽傷で済んでいるようだ。
「あの玉の中身は色んなトラップがある。迂闊に触ってはダメ」
「キャハハ……、出来れば30秒早く言って欲しかったわね」
ラキが冷静な顔をしてミキータにアドバイスをしたが、すでに爆発に巻き込まれている彼女は苦笑いしてツッコミを入れた。
「こりゃあ、近距離よりも遠距離で戦ったほうが良さそうだ」
「あんたの得物も銃みたいだね。お手並み拝見させてもらうよ」
私とラキは共に銃を構えてサトリと対峙する。
「まだまだ行くぞ! びっくり雲! ほっほう!」
「――必殺ッッ! 鉛星ッッ!」
「そんなもの! こっちに来る前に!」
今度は10個ほどのびっくり雲をこちらに飛ばして来たサトリ。
私とラキは銃で狙いをつけて次々とびっくり雲を撃ち落とす。中から槍とか蛇とか色んなモノが飛び出していたが私たちに届く前だったので影響はなかった。
「すごい! 全部撃ち落とした!」
「チョッパーちゃん! 危ない!」
チョッパーが撃ち落とされたびっくり雲を見て気を緩めた瞬間にミキータが彼に声をかけた。
「ほっほう! まずは一番間抜けそうなお前からだ!」
「――があああッ!」
びっくり雲に視線を集中させていたサトリがいつの間にかチョッパーに肉薄しており、彼は
「チョッパー! くそっ! よくも!」
「怒りで
私がチョッパーがやられて怒り心頭なのを見透かすようにサトリは今度は私に近づき、右手を押し当てた。
「ぐはっ――!」
「ほーう。反射的に身体を逸らせて急所を避けたか……」
私はとっさに身を翻して直撃を避けたが、思った以上に体内への衝撃が大きくて、すぐには立ち上がれなかった。
「一万キロフルスイングッ!」
「すごい力も当たらないと意味がない! そして、お前も死ね! ――ッ!? ラキか……。ほーう。お前が先に死にたいのか?」
ミキータの渾身の一撃もサトリの
しかし、その瞬間を狙いラキがサトリに向かって発砲。ミキータは攻撃を受けずに済んだ。
サトリはターゲットをラキに変えて彼女に襲いかかろうとする。
「くっ……」
「ランブルッ!
そんな中、チョッパーは切り札のランブルボールを口にして、腕の筋肉を発達させサトリに背後から殴りかかる。
「後ろから右手で殴りかかる――」
「くそ! 完全に読まれてる――!」
だが、サトリはその攻撃をも読んでヒラリとチョッパーの攻撃を避けた。
「
「やらせない!」
チョッパーにまたもや
「――ッ!? 危ない危ない。もう少しで手を出すところだった」
サトリは慌てて手を引っ込めて私の銃弾をやり過ごした。
「
そこでチョッパーは両手を合わせてサトリを観察するポーズをとった。
これは彼の得意技の
「ほほう? 何をやってる?」
「弱点の解析か……! よし、チョッパー! 君を信じる! 私が彼を食い止める間に解析を!」
チョッパーの解析が少しでも早くなるように、私はサトリに全力で向かっていくことに決めた。
「――ライア……。任せろ!」
「食い止める!? やってみろ! お前みたいな銃使いにはコレは止められまい! 玉ドラゴンッ!」
チョッパーの勇ましい返事を受けて銃をサトリに向ける私だったが、サトリはびっくり雲を連鎖させて巨大な龍のような形をモノを形成した。
「なんだ? あれは……」
「“火薬”入りのびっくり雲と“刃物”入りのびっくり雲で出来た玉ドラゴン! 体のどこかの“火炎”玉に触れたが最後! 爆発が爆発を呼び巨体はたちまち大爆発を引き起こす!」
彼は得意気になって玉ドラゴンとやらの説明をした。
なるほど、下手に攻撃すると大爆発するという代物か。まったく趣味の悪いものを作ってくれる……。
「ちっ、面倒くさいな。だったら玉を避けて直接お前を狙ってやる!」
「ほほう♪
私は何度もサトリを狙って発砲したが、彼の
でも――時間は稼げた!
「よしっ!
「良いわよ! キャハッ! 背中に乗ればいいのね!」
チョッパーの
「玉ドラゴンに飛び乗った! ほほう! 無駄なことを!」
そして、チョッパーは玉ドラゴンに飛び乗り、頭に向かって行った。
「ミキータ! このドラゴンはあそこから紐で吊るされてるんだ」
「キャハハッ! なるほど! それはいいことを聞いたわ! チョッパーちゃん! 飛べる!?」
チョッパーの言葉にハッとした顔のミキータが彼にジャンプ出来るか質問した。
「
「チョッパーちゃんの重さを1キロにしたから、同じ力でも高く跳べるのよ」
チョッパーはジャンプ力を強化した形態に姿を変えて跳び上がると、信じられないくらいの高さまで一気に跳び上がった。
「あの紐を掴んでくれ!」
「運び屋の本領! 見せてあげるわ!」
そして、彼の指示に従い、サトリが玉ドラゴンを操っている紐をミキータが掴む。
「何ィ! いきなり重くなった! かっ肩が外れるッ!」
おそらく紐を掴んだミキータが急降下したことから彼女が体重を10トンまで増やしたのだろう。
重さに耐えきれずにサトリは玉ドラゴンのコントロールを破棄した。
「離したわね……! じゃあ、お返しするわ! あんたに、この玉ドラゴンとやらをね!」
そして、今度は玉ドラゴンの重さを軽くしたのか、紐を握ったミキータがブンっとサトリに向かって玉ドラゴンを投げ返した。
「――ゲェッ!」
「――ナイスだミキータ! 火炎で誘爆とか言ってたっけ? ――必殺ッッッ! 火炎星ッッ!」
そして、その光景に一瞬あっけに取られたサトリのスキを私が見逃すはずも無く、私は悟りに肉薄する玉ドラゴンを狙って引き金を引く。
すると、大爆発を起こして爆煙が舞い上がった。
「はぁ、はぁ……! いかん! 精神を乱して
サトリが必死で逃げ出したところに待ち構えていたのはチョッパーだった。
「――
チョッパーはサトリの身体を伸ばした角で完全に固定した。
「チョッパーちゃん! かっこいいわ〜!」
「まっ、待て! 何のために素振りをしている!?」
そんなチョッパーを見てミキータは満面の笑みを浮かべながらキロキロパウンドを素振りしている。
「キャハハッ! 心を読まれて避けられて、イラッとしてたけど……。ようやくストレスが解消できそうよ……。――地面にうずめてあ・げ・る♡」
「ミキータ! 頼んだぞ!」
チョッパーは上機嫌そうに笑うミキータに向かって角で固定したサトリを放り投げた。
「やめろ〜〜! やめろ〜〜! 痛いのは嫌だ〜〜!」
「――一万キロプレス! キロキロパウンドver!」
情けない声を上げるサトリを許すようなミキータではなく、彼の頭に向かって容赦なくハンマーが振り落とされる。
「――ァガッ!!!?」
言葉にならない声を上げてサトリは意識を失った。その身をアッパーヤードの大地にうずめて――。
一万キロプレスって、まともに食らうとホントに地面に埋まっちゃうんだ……。
「チョッパーちゃん。イエーイ」
「おれっ! 頑張ったよな〜!?」
ミキータとチョッパーはハイタッチをして、誇らしそうな顔を私に見せてきた。
うん。二人とも頼もしい仲間だ。本当に頼りになる。
「私たちが何年も手こずっていた神官をまたも青海人が――」
ラキはサトリの気絶した顔を見つめて信じられないという表情をしていた。
とにかく、これでシュラとサトリの二人の神官を倒した。
あとは、残りの二人の神官とエネルか……。
そんなことを考えながら、私たちは遺跡にひと足早く向かっているロビンとの合流を目指して東に向かって足を進めた。
ミキータとチョッパーのコンビネーションでサトリを撃破しました。
ミキータの「地面にうずめてあげる」を実行できて楽しかったです。
あと、やっとチョッパーの活躍が書けて満足しております。
神兵は瞬殺されるほど弱くないと思うのですが、チョッパーを狙っていて不意討ちされた感じなので、簡単に負けちゃったというような解釈でお願いします。