ウソップっぽいポジションに転生したはずなのに、なんで私は女の子なんだろう 作:ルピーの指輪
昨晩、書こうとしてたら寝落ちして投稿が遅れてしまいました。そして、時間が無かったので、今回は少し短めです。
怠けてしまってすみません!
それでは、よろしくお願いします!
サトリを撃破した私たちは東の遺跡に向かって足を進めた。
途中、ボロボロになったカマキリが倒れており、ラキは彼を介抱してから追いかけると言ったので、チョッパーが応急処置用の道具を手渡して、彼女と別れた。
カマキリはエネルにやられていて、心が完全に折れていた。ゴロゴロの実の能力者だということを知って無敵の力に触れて絶望したのだろう。
そして、私たちはようやく遺跡付近に辿り着き、ロビンに追いついた。
「シャンドラ……、それが古代都市の名前……。――もしかしてこの島は地上で“語られぬ歴史”を知っているのかもしれない」
「――随分と興奮してるね。ロビン」
遺跡を興味深く観察しながら独り言を呟いているロビンに私は話しかけた。
「あら、狙撃手さん。思ったよりも早かったわね」
ロビンは私に気が付いて微笑む。
「キャハッ……、相変わらず暗い趣味してんのね。こんなの見て楽しいの?」
ニヤニヤと笑みを浮かべてロビンの顔を覗き込むミキータ。
「楽しいわ。あなたが狙撃手さんの顔を見るのと同じくらいは」
「――みっ、見てないわよ!」
そんなミキータに対してロビンが言葉を返すと彼女は顔を真っ赤にして首を振った。
「ミキータはしょっちゅうライアを見てるぞ」
「チョッパーちゃん! まさかの裏切り!?」
チョッパーのロビンを肯定するような発言に対して彼女は驚いた顔で彼を見る。
確かに彼女とはよく目が合うと思ってるけど……。私の顔なんか見て何が楽しいのだろう?
「居たぞ! 侵入者だ! メ〜!」
「これはこれは、可愛らしいお嬢様方だ……」
「神兵長! 奴らが神官を倒したという情報が……」
長髪の巨漢と二人の神兵が私たちの目の前に現れた。どうやら、私たちが神官を倒してここに来たことがバレているみたいだ。
「ほう。なるほど……。それでは心してかからなくては……。私は神兵長ヤマ……。全能なる神・エネルの命により、あなた方を排除する!」
神兵長と呼ばれた巨漢は殺気を私たちに向けた。
「敵に見つかったようね……」
「ロビン……、ここの遺跡って大事なモノなんだろう?」
ロビンは嫌そうな顔をしていた。おそらく戦闘になって遺跡が壊されることが嫌なのだろう。
「狙撃手さん?」
「合わせてくれよ! ほらっ!」
私は目でロビンに合図しながら
「武器を投げ捨てる……!? なんの意味が!? なっ――手が生えて……!」
投げられた銃はヤマの腹から出てきたロビンの手によってキャッチされる。
そして、あれよあれよという間に彼の腹に銃口が突きつけられ――そして、引き金が引かれた――。
「――かっ、体が痺れるッ――。ぐはっ――」
「――
それを体に密着させて放たれたのだから、ヤマの巨体もひとたまりもない。
「――神兵長!」
「はいはい。こんなところで倒れたら、元副社長の大事な遺跡が壊れちゃうでしょ。よっと……」
崩れるように倒れ込むヤマの巨体をミキータは片手で受け止め、地面に転がした。
「かっ、片手で神兵長の体を持ち上げて……」
「バケモノだ! メー! とにかく神兵長の仇を!」
その常軌を逸した光景を目の当たりにして、二人の神兵は驚きながらもこちらに向かってこようとした。
「だから、この辺で暴れないでくれって……」
「「――がはっ」」
私はミキータによって投げ渡された銃で二人の神兵の体に鉛玉を撃ち込み、二人を倒す。
「キャハッ! 出たわね。得意の早撃ち!」
ミキータは私の銃撃を褒めてくれた。
「今、うっとりしてるでしょ?」
「しっ、してないわよ」
声を上げたミキータに対してロビンがコソッと耳打ちをすると、彼女の顔はみるみる赤くなる。
ロビンはミキータをからかうのが好きなのかな?
「気を使わせちゃったわね。でも、私にとって大事な遺跡でもあなたには関係ないはずよ」
「関係あるよ。仲間の大切なモノは私も大切にしたい。君が大事にしてるなら、私にとっても大事ってことさ」
ロビンが遺跡をきれいなままにしたいと思うんだったら、自分にとっても他人事じゃない。
彼女の意志を尊重しながら、私も動く。
「ふふっ、変な子……」
ロビンはそんな私を見てクスクスと笑っていた。
「こういうバカだから、いっつも傷だらけになんのよね〜」
「バカってそれは酷いよ。ミキータ」
ミキータにバカ扱いされたので、私は彼女にツッコミを入れる。
まぁ、怪我が多いのは認めるけど……。
「黄金都市シャンドラ……。それは、すぐそこにあるわ。付いてきて」
ロビンは何やらメモのようなものを取りながら、私たちを先導した。
◇ ◇ ◇ ◇
歩いてる途中でワイパーやゾロが大きな力の持ち主と戦っている気配を感じた。
おそらく別々のところで神官と戦っているのだろう。
そして、なぜかサンジとガン・フォール、さらにナミとアイサがこちらの方に向かって来ているような気配も感じる。何かあったのか? コニスとパガヤの気配もエンジェル島の方に向かっているし……。
シャンディアとの協調の結果、エネルたちの軍勢が漫画よりも数段早く次々と倒されて少なくなっていることと関係してるのだろうか?
そんなことを考えながら歩いていると、見たこともない文字が記された壁が眼前に現れた。
「――まさか!? ――こんなに無造作に“
ロビンは驚きながら記されている古代文字とやらを読み始めた。
「“
「全然読めねェ」
私とチョッパーは呆然として古代文字を眺めていた。まったく意味はわからない。
というか、多分、世界中でこれが読めるのはロビンだけだ。
「『真意を心に口を閉ざせ』……、『我らは歴史を紡ぐ者』……、『大鐘楼の響きとともに』……」
ロビンは古代文字で書かれている事柄を読み上げていく。
「大鐘楼? 黄金の鐘と何か関係あるのか?」
「そうね……。ノーランドの日誌によれば黄金の鐘と共に大鐘楼があるとあった。4つの祭壇の中心に位置する大鐘楼とあるわ……。おそらくそこに……。そして、“
ロビンにとっては大鐘楼よりも“
彼女の足が少しずつ早足になる。きっとわくわくしているに違いない。
「行ってみよう」
ということで、私たちはロビンに付いていき大鐘楼を見つけようとした。
しかし――。
「――あーあ、何にもないわね」
古代文字が記した場所はもぬけの殻だった。大鐘楼どころか黄金も何もない。
やはりエネルが運び出していたか……。
「そこにトロッコの軌条……。何かを運び出した形跡があるわ。まだ新しい……」
「なるほど、黄金は既に……」
トロッコで何かが運び出された形跡をロビンは見つける。エネルはあれで黄金を運んだのだろう。
「――ヤハハハハッ! そのとおりだ。青海人。数年遅かったな」
「――誰だッ!」
私は急に大きな気配が現れて驚きながらその方向を見た。
現れたのは――。
「神……」
りんごを口にしながらふんぞり返っている男。
そして、自らを神と名乗る男――。
「そうか。君が
エネルを目の当たりにして、私の背筋に寒気が走る。
もっとも警戒すべき男がすぐそこにいるからだ。
「見事なものだろう。空へ打ち上がろうとも、かくも雄大に存在する都市――シャンドラ。雲に覆われた伝説の都を、私が見つけてやったのだ。先代のバカ共は気づきもしなかった」
エネルは先代の神たちがまったくここの存在を知らなかったことを侮蔑しながら、自分がそれを見つけたことを誇っていた。
「たいしたものだな。我々ですらここを見つけるのには数ヶ月かかった。遺跡の文字が読めるとこうもあっさり見つかるものか。だが、目当ての黄金はもうない」
さらにエネルは、ロビンがあっさりとこの場所を見つけたことを称賛し、黄金がこの場にないことを告げる。
「君が持ち出したのだろ? ここの人たちは黄金に無頓着だったが、どうやら君は違うみたいだね」
「あれは、よいものだ。あの輝く金属は私にこそ相応しい」
私の問いをエネルは肯定する。電気と黄金は確かに相性がいい。
エネルは本能的にそれを感じ取ったのかもしれない。
「じゃあ、ここにあった黄金の鐘もそうかしら?」
「黄金の鐘? 興味深いな、貴様……、文字を読み何を知った……?」
ロビンの黄金の鐘という発言にエネルは興味を惹かれたみたいで、彼女に質問を返した。
「シャンドラの誇る巨大な"黄金の鐘"とそれを収める"大鐘楼"・・・私は大鐘楼に用があった。でも、あなたがここに来たときになかったのなら、――もうそれは空へ来てないのよ」
その質問に対してロビンはエネルが黄金の鐘をここで見つけてないということは、それは空に上がってないと推理を展開する。
「――いや、待て――ある! それはあるぞ。空に来ている!」
エネルは心当たりを語りだした。400年前にこの島が空に吹き飛んできたと同時に、大きな鐘の音が国中に響いたという伝説が残っており、その鐘の音は"島の歌声"として伝説となっているのだと。
「ヤハハハハ!
「――くっ!」
エネルは私たちを倒したあとに、大鐘楼を探すと言い出した。
どうやら漫画ではサバイバル戦とかを余興としてやっていたが、今回は私たちがシャンディアと組んでいるからなのか、そんなことはやってないらしい。
「実はこの場所に用がなくなったのでな。レベルの低い者を間引きしようと思ったのだ。そこに青海から貴様らが現れた。まさか、シャンディアと組むような愉快なことをするとは、思わなかったぞ」
エネルにとっても我々とシャンディアが協調するのは計算外だったようだ。
「貴様らが想像以上に頑張ったおかげで私の兵士どもは全滅したようだ……。神官共も不甲斐ない……」
「みたいだね……。気配がかなり少なくなってる」
ゾロやワイパーは神官を倒して、他の神兵たちも軒並みやられたみたいだ。
巨大な蔓の上にある雲からはワイパーやラキたちといったシャンディアの幹部やゾロとルフィ、そして大蛇の気配までする。
ルフィはこっちに来てるみたいだな。よかった。彼が居ればエネルは何とかなるかもしれない……。
しかし、サンジたちはまだこちらには到着していない――。それでも、この島の戦力はかなり上に集中してるな――。
「弱い兵には興味がないが……、私の国に連れて行くにはまだ数が多い……。見せてやろう……! 神の力を!」
エネルは腕を雷に変化させて、それを上方の雲に伸ばした。
「
ロビンはエネルが
「招待してやる! 貴様らの仲間たちを! この処刑場へ!
上方の雲が砕け散り、上から次々と戦士たちが落下してくる。
よかった。ルフィがいるなら無駄な犠牲は――。
「あれっ? いない? いや――」
「どうしたの?
私が訝しげな顔をしていることを妙に思ったのか、ミキータは声をかけてきた。
「うん。勝てる可能性があるとするなら、ルフィが戦うことなんだけど……」
「船長? そういえば、船長はどこにいるの? ゾロくんは居るのに……」
私が勝算があるのはルフィだけだということをミキータに話すと、彼女は思い出したかのようにルフィの居場所を尋ねた。
「ええーっと、多分、あの大蛇の中かな?」
私は内心焦りまくりでそう言った。くっ、シャンディアと争ってないから大蛇に呑まれることはないと思ってたのに……。
「キャハハッ! さすがね。こんな状況で冗談が言えるなんて大したもんだわ」
ミキータは大蛇の中にルフィがいるという状況を本気で受け止めてくれなかった。
「おっ、ライアたちじゃねェか。お前ら迷子になりやがって心配したぞ」
激戦のあとだったのか、体中から血を流しながらゾロがこちらに走ってきて私たちと合流する。
エネルと対峙するのはシャンディアの戦士たちと青海から来た私たち5人。
さらにサンジやガン・フォールもこちらに向かっている。
しかしながら、エネルの天敵になり得るルフィが不在な今、間違いなくこの状況は不利だと感じていた――。
ロビンの能力って不意討ちにめっちゃ向いてる気がしたので、ヤマを相手に試してみました。
そして、シャンディアとルフィたちが争わないのであっさりとエネルの軍勢は倒されて、残るはエネルのみとなります。
ちなみに、オームの鉄の試練は結局ゾロでないと厳しいと判断して原作通りに彼に倒してもらいました。ゲダツはワイパーに倒されています。
次回はルフィ不在で、エネルを取り囲んでの集団戦です。