ウソップっぽいポジションに転生したはずなのに、なんで私は女の子なんだろう   作:ルピーの指輪

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いつも誤字報告や感想をありがとうございます!
空島編もいよいよ佳境へと突入しました。ここからの展開も是非ともお見逃しなく!
それではよろしくお願いします!


シャンドラでの戦い

「ひぃーふぅーみぃー、ヤハハハハ、随分と多くが里帰り出来たじゃないか。プライドを捨てて青海人に泣きついた甲斐があったな、ワイパー」

 

 エネルは落ちてきたシャンディアの人数を数えて機嫌よく笑った。

 確かに彼らの中で幹部っぽい連中はカマキリ以外は残ってるみたいだ。

 

「ここがシャンドラ……!」

 

「私たちの故郷? ここがっ……!?」

 

「感傷に浸るのはあとにしろ! エネル! てめェを排除する!」

 

 シャンディアの人たちは辺りを見渡して、感慨深く思っているみたいだが、ワイパーだけはしっかりとエネルを見据えていた。

 確かにエネルを倒さなくては彼らにとっての本当の里帰りは出来ないのかもしれない。

 

「おい、あいつがエネルってやつか?」

 

「そうだよ。ゾロ、怒らないで聞いてほしいんだけど……」

 

 ゾロが今にも斬りかかりそうな殺気を出していたので、私は彼に声をかけた。

 

「はぁ? 真面目な話なら怒らねェよ」

 

「君はエネルには手を出すな。大怪我をするだけだ」

 

 私はゾロに暴言とも取られそうな忠告をした。

 今の彼がエネルに攻撃を仕掛けることは無謀でしかない。確実に蹂躙されることがわかっていて戦わせるわけにはいかない。

 

「ンだと! 何言ってやがる! あの野郎をぶっ倒すためにここに来たんだろうが!」

 

「これは、君だけに言ってるんじゃない。ロビンもミキータもチョッパーも……、ここにいる全員が彼には勝てない。強いとか弱いとかそういう土俵じゃあないんだ」

 

 やはりゾロはかなり怒っていた。そして、私は彼に胸ぐらを摑まれながら、言葉を伝える。

 エネルは異次元の存在だと……。

 

 

「ヤハハハハ! そこの青海人は良いことを言う。そうだ。神に人は勝てない。その割にはお前が絶望していないことは気になるが……。どのみち、お前たちの運命は決まっている……。弱い者から死ぬ……と」

 

 エネルは私たちをあざ笑うように声を出し、一人で我々を全滅させると宣言した。

 

「黙れッ! 行くぞ! エネルの首を取るんだ!」

 

「よしっ!」

 

 シャンディアの戦士たちはある者は槍で、ある者は剣で一斉にエネルに襲いかかり、各々の武器を彼に突き刺した。

 

「「ぎゃあああああッ!」」

 

 しかしながら、倒れたのはシャンディアの戦士たちだった。

 それもそのはず、雷の塊に武器を突き刺したのだ。感電するに決まっている。

 

「なっ、なんてやつ!? 体を槍や剣で貫かれたのに……。貫いた方がダメージを受けてる」

 

 ミキータはエネルの異常性に気が付いて、青ざめた顔をしていた。

 

「彼は雷そのものだ。自然(ロギア)系……、ゴロゴロの実の能力者であるエネルにはあらゆる攻撃は通じないどころか、逆にこちらがダメージを受けてしまう。さらに――」

 

 エネルの厄介なところは触れただけでダメージを受けてしまうというその体質だ。

 まぁ、この辺はメラメラとかヒエヒエとかその辺も同じだろうが……。

 

「銃撃ならどうだ!」

「鉄の砲弾を喰らえ!」

 

 2丁拳銃を持ったシャンディアの戦士と大砲を抱えた戦士が同時に攻撃をする。

 

「1000万V(ボルト)――放電(ヴァーリー)ッ!」

 

「ぐああああっ!」

 

 しかし、その攻撃はエネルに通じない。エネルはその後、瞬時に二人の背後に回り込み雷撃を与えて二人を倒してしまう。

 

「ブラハムッ! ゲンボウ!」

 

 ワイパーは仲間の名前を呼び、グッと拳を握りしめた。

 

「雷速と一撃必殺に近い放電……。無敵な上に攻撃も強いとなると、ね。手の付けようがない」

 

 雷の速度で動き、火力は我々の持っているスケールを遥かに超えている。

 1000万V(ボルト)なんてもはや想像も出来ない。

 

「あの野郎がすげェのはよくわかった。だが、お前の目は死んでねェ。あるんだろ? 勝つ方法が……。勿体ぶってないで教えやがれ……」

 

 ゾロは既に落ち着いていて、私に静かにそう尋ねた。

 冷静にエネルの力を推し測ったか……。さすがだ……。彼はただの無鉄砲ではない。

 

「勝てる方法がないわけじゃない。確かに無敵に近い自然(ロギア)系の能力者だけど、完全無欠ではないんだ」

 

「それはどういうことだ?」

 

 私は自然(ロギア)系の能力者の弱点について話し始めた。

 ワイパーが動くか……。確か、彼はあれを――。

 

「よくも! 仲間たちを!」

 

「何のつもりだ? ワイパー……。お前も死にに来たのか?」

 

 ワイパーはバズーカーを捨てて、エネルに密着する。足に付いているシューターを押し付けて……。

 

「…………」

 

「ん? なんだ……?」

 

 すると、エネルの足がグラついて、倒れそうになる。

 

「“海楼石”ってモンを知っているか? エネル」

 

「――ッ!?」

 

 ワイパーはエネルに“海楼石”について言及した。そう、彼は“海楼石”を持っていた。

 どんな能力者でも殺すことを可能とするアイテムを……。

 

「おれのシューターにそれが仕込まれている。脆いもんだな……、能力者なんて……」

 

 そしてワイパーは掌底をエネルの心臓に押しあてて殺気を込めていた。

 衝撃貝(インパクトダイアル)の10倍の出力を誇る排撃貝(リジェクトダイアル)――。

 これを生身に受けるとエネルといえども――。

 

「くたばれッ――」

 

「やめておけ。知っているのだ。ゲダツを倒した、“排撃(リジェクト)”だろう? 2発も使うとその体もただでは済まんぞ!」

 

 ワイパーが本気だとわかると、エネルは明らかに動揺をした。

 彼もさすがに身の危険を感じると心が乱れるみたいだ……。

 

「黙れ! 死んで本望! お前を道連れに出来るのならな――!」

 

「――くっ!! やっ、やめろ!」

 

 ワイパーはそんなことはお構いなしでエネルを倒すつもりである。

 エネルの言葉は脅しにもならなかった。

 

 そして――。

 

排撃(リジェクト)!!!」

 

「――ッ!!!?」

 

 渾身の一撃を受けたエネルは地面に仰向けになって倒れた。

 誰の目から見ても彼が倒されたのは明らかだった。

 

「はぁ……、はぁ……」

 

 そして、感無量というような表情でエネルを見下ろすワイパー。

 

「海楼石は、海と同じ効果がある石だ。自然(ロギア)系といえども、これによって無力化することができる。数少ない自然(ロギア)系への対抗手段の一つだね」

 

 私はゾロに海楼石について説明をする。クロコダイルの檻に閉じ込められていないので、彼は海楼石を知らないだろうから……。

 

「殺ったのか?」

 

「――いや、まだだっ!」

 

 ゾロがセリフ吐いた刹那――天空から雷がエネルの胸を目掛けて落ちてきた。

 

「――まさか、自分の心臓をマッサージしてる?」

 

「キャハハ……、なんでもありじゃない?」

 

 雷により心臓マッサージをするエネルを見て、ロビンとミキータは額から汗を流している。

 並の相手ならこれで決まりのはずなのに……。やはり、漫画と同様……、心臓を止めてもこちらが勝てないらしい。

 

 仕方がない……。自信はないけど()()を使うか……。

 

「――人は()()()()()()()のではない……。――“恐怖”こそが“神”なのだ」

 

 何事も無かったような表情で立ち上がるエネル。

 確かに恐怖を与えるには十分の演出だな……。

 

「うぐっ――! くそったれ――!」

 

「さっきのは効いたぞワイパー。海楼石とはくだらんマネをしてくれた」

 

 立ち上がると同時にワイパーのシューターをエネルは破壊する。

 

「やっと辿り着いたんだ! 大戦士カルガラの無念を継いで、400年……! この場所を目指して戦い続けて! お前が邪魔だァ!」

 

排撃(リジェクト)を2発も撃って立ち上がるのは見事。だが――相手が悪い」

 

 しかし、ワイパーは折れない。立ち上がってエネルにもう一度挑もうと殺気を向けた。

 エネルはそんなワイパーを見据える――。

 

「――3000万V(ボルト)……」

 

「太鼓が鳥になったぞ」

 

 エネルが太鼓を鳴らすと、それは雷で出来た巨大な鳥に変化する。

 

雷鳥(ヒノ)ッ!」

 

「――ッ!?」

 

 雷の塊である雷鳥(ヒノ)によって体を貫かれてワイパーはその場に倒れてしまった。

 

「――これに海楼石が入っているんだな!」

 

「ゾロッ! よせっ!」

 

「青海の剣士……。私が二度も不覚を取ると思うな」

 

 ゾロはワイパーのシューターの破片を拾ってエネルへと特攻する。

 確かにエネルにそれを当てることが出来れば有効だが――。

 エネルは既に海楼石に警戒心を向けている。

 

雷獣(キテン)――!!」

 

 エネルは近づいてくるゾロに向かって容赦なく雷撃を放ってきた。ここでゾロを失うわけには――こうなったら、覚悟を決めてやる!

 

「――ッ!? んっ、なんだ!?」

 

「怖かったけど……! 賭けに勝ったみたいだ……!」

 

 私はゾロの肩を掴んで、彼の前に出てエネルの雷撃を体に受けた。

 ふう……、3000万V(ボルト)とか言ってたからすっごく不安だったけど……。何とかなったみたいだ……。

 

「ライア……、お前……、その格好は……?」

 

「名付けて――ラバースーツ……!」

 

 ゾロは私の格好についてツッコミを入れた。確かに今のこの姿はちょっと普通ではない。

 頭まですっぽりと全身ゴムで出来た服で覆われている。

 簡単に言えば、名探偵コ○ンの犯人とか、崩玉と融合したばかりの藍○みたいな感じの姿になっているのだ。色はベージュだけど……。

 体のラインがバッチリ出ちゃうから嫌だなァ。

 

 しかし、エネルへの対策のために厚手のゴムで作った服を用意したのは良かったが、実際本当に無効化出来るのかは不安だった。

 1000万ボルトを超える電撃なんて実験で用意出来ないし、常識で考えれば電熱で焼け焦げると思ったからだ。

 

 だから、出来ればワイパーが仕留めることを期待していたし、もっと言えばルフィがさっさと倒してしまうことを期待していた。

 

 そんな甘い考えも吹き飛ばされ、ゾロが窮地になったので、私は身を以て実験を開始する覚悟をしたのだ。

 

 ハァ……、あんな雷に突っ込むなんて――怖かった……。

 

「割って入って、上手く突き飛ばして運良く躱したようだな。そのふざけた格好は意味がわからんが……」

 

 エネルは自分の雷撃が効かなかったとは思いもよらないみたいで、余裕の表情は崩れていない。

 

「6000万V(ボルト)――雷龍(ジャムブウル)!!」

 

 そして、彼はさらに巨大な雷で出来た龍を私に向かって放ってきた。

 

「ライア! 避けろ!」

 

 ゾロの言葉を背中に受けたまま、私は微動だにせずに体にエネルの雷撃を受けた。

 

「残念だが、エネル。君の電撃は私には通用しない――」

 

 私は腕を組んで彼の攻撃が通じてないアピールをした。

 こうやって全く彼の技が効かないことが伝われば精神的に大きなダメージを与えることが出来ると判断したからだ。

 

「――!!!!?」

 

「キャハハハッ! なんか、すんごい顔してるわね……」

 

「そして、狙撃手さんはすごい格好ね……」

 

 どうやら、エネルはかなり驚愕しているみたいだ。

 ロビンの私の格好に対する意見は辛辣だなァ。まぁ、見た目に拘る余裕が無かったから仕方ないけど……。

 

「ライア! どうなっている? あの野郎の技がなんでお前には効かねェんだ?」

 

「この服は全身がゴムで覆われている。頭からつま先まですべてゴム尽くし……。ゴムは電気を通さない物質だ。だから……、エネルの技は効かないという理屈なのさ」

 

 ゾロのセリフに私は彼の技が通じない理屈を話した。

 言い忘れていたが、このラバースーツはめちゃめちゃ臭い。ゴムの臭いって結構キツイんだな……。

 顔までゴムが密着してるから暑さと臭いがとんでもないことになっている。

 

「ゴム? なるほど……」

 

「ゴム? なんだそれは――?」

 

 私のセリフにロビンは納得したように頷き、エネルはゴムを知らないので訳がわからないという声を出した。

 

「なんで、んなもん持ってるか知らねェが、すげェじゃねェか。攻撃が効かねェなら、あいつにだって――」

 

「ただ、このラバースーツには弱点がある」

 

 ゾロがエネルに勝てるというようなことを言おうとしたので、私はこれの弱点を話すことにした。

 

「弱点?」

 

「頭まですっぽりゴムに覆われてるだろ? これって、見た目どおり前が見えない」

 

 そう。かろうじて薄い空気が入ってくる感じだが、顔もすっぽりとゴムで覆われているから何も見えない。

 

「前が見えない?」

 

「うん。目の前が真っ暗だ。エネルがどんな顔したか見たかったけど、見れなかったよ」

 

 私はゾロにこのラバースーツの弱点である視覚が失われる事実を話した。

 

「バカ! だったらどうやって戦うんだよ!?」

 

「あははっ、何とか勘で当ててくしかないね」

 

 彼は私の言葉を聞いてツッコミを入れ、私はエネルに向かって銃口を向ける。

 

「――銃撃? そんなものは通じな――!? ――ぐはッ!?」

 

 エネルは私に銃を向けられても平気そうだったが、銃弾が当たり苦しそうな声を出した。

 

「もちろん。銃弾もゴム弾だ」

 

 エネルへの対策のためになるべく硬くなるように開発した特別なゴム製の銃弾が多少は効果があったみたいで私は安堵した。

 

「お前、本当に見えてねェのか?」

 

 私が銃弾をエネルに当てたのを見てゾロは不思議そうな声を出した。

 

「見えてないよー。でも、大体の位置は気配でわかるから……。エネルの気配って大きいし……」

 

 見聞色の覇気を利用してエネルの位置を察知して攻撃を当てることはそれほど難しくない。

 しかし、この中でラバースーツを着てまともに戦えるのは視覚が封じられても戦える私だけだろう。

 

「キャハッ! ゴム弾だから効いてるのね。無敵だと思ってたけど、弱点はあったんだ」

 

「でも、困ったことにこれじゃあ決め手に欠けるんだよね……」

 

 ミキータの声を受けて私は困ったような声を出した。

 

「ゴム弾じゃ鉛玉よりも威力が落ちるのね」

 

「うん。そもそも宴会用のお遊びで作ったものだから殺傷力は低いんだ。それで、みんなにお願いしたいことがある。あの大蛇の中に入っているルフィはまだ無事だ。私がエネルを食い止めるから、彼を救ってくれないか? ルフィはゴム人間……、つまり……」

 

 ロビンの言葉を受けて私はゴムの弾丸ではエネルに勝てないと説明をする。

 そして、みんなに依頼をした。大蛇の中にいるルフィを助けてほしいと。

 

「あの野郎の天敵ってわけか、おれたちの船長(キャプテン)は……」

 

「キャハッ……、あの蛇ちゃんなら、まだ神とかいうのよりはマシかな?」

 

「ルフィを助けるんだ!」

 

「私たちも食べられなきゃいいけど……」

 

 ゾロ、ミキータ、チョッパー、そしてロビンは私の言葉を聞いて、ルフィこそがエネルとの戦いの切り札だということを理解した。

 

 私がエネル相手にどれだけ保つかわからない。

 だが、何とかみんなにはルフィを助け出してほしい。勝利を掴むために――。

 

 仲間たちによるルフィ救出作戦が開始された――。

 




ラバースーツの見た目が伝わりにくくて申し訳ないです。あと、ゴムで作った服だからエネルの攻撃が無効になるかどうかは作者もわかりませんが、なるってことで話を進めます。
科学的にどうとか考えると全く話を考えられないので勘弁して頂きたいです……。
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