ウソップっぽいポジションに転生したはずなのに、なんで私は女の子なんだろう 作:ルピーの指輪
今回は少しだけ長いです。そして、空島編はこれで終了となります。
それではよろしくお願いします!
箱舟“マクシム”は、遺跡を覆う岩や森を破壊しつつ浮上する。
浮上しながら、マクシムはドス黒い雲を煙突から放出していた。
「この箱舟の究極機能が作動した。――名は"デスピア"……。絶望という名の、この世の救済者だ!」
エネルは自慢げに語る。デスピアと呼ばれる船の機能は、エネルの電気エネルギーを増幅させながら、激しい気流を含んだ“雷雲”を放出しつづけ、スカイピア全土を覆い、エネルの合図で何十本もの雷を落として破壊の限りをし尽くすと。
「例えば、こんなふうにな! ヤハハハハ!」
エネルが指を動かすと雷雲から稲妻が走り、エンジェル島に突き刺さる。
「何をした!? エネル!」
「天使たちを少しからかってやったのだ」
私の質問に事もなく、エネルは答えた。この男は悪いとか、そういうことを考えてない。
強者は何をしても良いと本気で考えてるのだ。
「“神”なら何でも奪っていいのか!?」
「そうだ。“命”も“大地”もな」
ルフィの問いにも当然という口調で答えるエネル。
ダメだ……。この男は……。話なんて通じないに決まってる。
「ルフィ、もうあいつと話すのは止めよう。私たちは私たちらしくやればいい。奪わせなければいいんだ」
「ああ、そうだな! よし、やろう!」
私は
「やってみろ! 青海人!」
エネルからは自信に満ち溢れた声で殺気を放った。
雷撃が通じないという動揺はもうなくなったみたいだな……。
「ゴムゴムのォォォ! ピストルッ!」
「――油断しなければ、単調な攻撃など当たらん! 雷撃は効かぬみたいだが、これはどうかな!」
ルフィはエネルに向かって腕を伸ばしたが、彼は
「熱っぢィ!」
ルフィはそれに触れて熱によって苦悶の顔を浮かべる。
早くも弱点が浮き彫りになったか……。
「ヤハハハハ! やはり、電熱は別みたいだな。ならば、高電熱のスピアでお前を葬り――」
「――
私は冷気の弾丸をエネルの槍に命中させる。
「冷気だとッ……!? 小賢しいマネをする!」
しかし、エネルが力を込めて熱を加えると、音を立てて凍った槍は即座に解凍されてしまう。
「うーん。やっぱりすぐに溶けちゃうみたいだね。でも、一時的に電熱の方の効果は抑えられそうだ」
「ライア……! よく当てられるなァ。あと、やっぱ面白ェなァ……! その格好!」
そんな私に対して感心したような声を出してきて、今さら格好について触れてきた。
「今は、この格好には触れないでくれ。そんなことより、私が銃撃で援護するから、君は思いきり攻めてもらって大丈夫だ」
「おっし! 頼んだ!」
私はルフィに援護を買って出た。彼の戦いやすいように私が支えられるだけ支える。
エネルの首元にルフィの牙が届くように……。
「
エネルは私たちを見下し、蔑む。神である自分よりは遥かに格下の存在だと。
「それはどうかな!? どんなに圧倒的な奴だって弱点はある! 普段、私は鉛の弾丸だから
私は自らの集中力を極限まで高められるようにルフィに時間稼ぎを頼んだ。
スカイピアの未来が懸かっているというときだ。私も容赦はしないことに決めた。
「任せろ! ゴムゴムのォォォ! ガトリング!」
「手が増えたわけではあるまい! 実にくだらん――」
ルフィから繰り出される高速の連撃はエネルの
「うぐっ! ゴムゴムのォォォ! ムチッ!」
「無駄だと言って――」
しかし、ルフィの攻撃は終わらない。即座に足を伸ばしてエネルに攻撃を加えようとする。
ありがたい。きっちり時間を稼いでくれた。
「――必殺ッッッ! ゴムハンマーッッッ!」
私はエネルの下半身の
「――!!!? くぁwせdrftgyふじこlp……!!」
未来視によって必中の性能を誇る私の弾丸はエネルの
「へぇ……。やはり神でも
「あっはっは! ライア、
ルフィはニヤリと笑いながら思いきり腕を伸ばして、エネルに渾身の一撃を叩き込む。
「グフッ――」
さらに苦しそうな顔をするエネルだが、ルフィは止まらない。
「ゴムゴムのォォォ!」
「いっ、いかん……。避けねば……」
次は腕を捻り回転を加えた拳がエネルを襲う。
彼は何とか回避しようとするが、痛みによって体が動かないみたいだ……。
「
「ガハッ!!」
ルフィの拳は深々とエネルの腹に突き刺さり、彼は吹き飛ばされて仰向けになって倒れた。
今の連携はかなり効いた手応えがあったぞ。
私はエネルの力が落ちていることを感じていた――。
「はぁ、はぁ……」
「大丈夫かい? まだ、あいつは立ち上がると思うけど……」
しかし、ルフィもかなり疲れているのか息を切らせている。
私と違って彼は筋力をフルに使って攻撃しているから消耗も激しいのだろう。
「ああ。これくらい平気だ」
ルフィが勇ましい声で私に応えたとき、エネルが立ち上がった。
「はぁ……、はぁ……、貴様さえいなくなれば……。私の天下なのだ……! 貴様などが、私に敵うわけあるまい! 私は全能なる神である!!」
「あいつ、何か企んでる……?」
立ち上がったエネルが妙な動きをしているので、ルフィは警戒心を高める。
「見よ! ゴム人間! そして、貧弱な狙撃手! 堕つ、島の絶望を!」
「やめろ! ゴムゴムのォォォォ! バズ――!」
エネルがスカイピアに稲妻を再び落とそうとしたことを察知したルフィは“ゴムゴムのバズーカ”を放とうとして、両手を突き出そうとした。
「金の壁を!? まさか!? ルフィ! 手を引っ込めるんだ! ――
私はルフィに指示を出しつつ、突風を繰り出す弾丸をエネルに向かって放つ。
「“
「――んっ? 引っ込める?」
エネルは大量の金を使ってルフィの両腕を拘束しようとした。
ルフィは私の声を聞いて咄嗟に腕を引っ込めて、私の弾丸は液状の金に命中して突風が発生して、大部分の金を吹き飛ばす。
「ちっ! 厄介な弾を撃つ……! 金を吹き飛ばすとは!?」
「あぢィ!」
エネルは舌打ちをして、ルフィは両手がそれぞれ金に覆われて固まってしまったので、熱によって悶えていた。
「えっ! これ取れねェぞ!」
「ごめん。私がもっと早く注意していれば……」
私はマスクを少しだけ外して、ルフィの両手の様子を見てみると、ボウリングの玉くらいの大きさの球体状の金が1つずつ覆っていた。
「貴様を封じて、そこの狙撃手を落とせば、この世に私に敵うものは居なくなり、私の天下になるものを――!」
「それはどうかな?」
エネルは天敵のルフィさえ居なくなれば、自分に敵う者が居なくなると言うようなことを口にした。
「何っ!?」
「下の海にはもっと怪物みたいな連中がうじゃうじゃ居るんだ!」
しかし、私たちはそれを否定する。
「減らず口を……! たかが、
エネルは怒りを込めて私たちに殺気を放つが、余裕がなくなっているように感じられた。
「ゴムゴムのォォォ! 黄金ガトリング!」
「――必殺ッッ! ゴムハンマーッ!」
私がエネルの急所を狙い続けると、先ほどの“痛み”がよほどトラウマになったからなのか、
「くそっ! 狙撃手の動きが私の
エネルは私に警戒心を取られ、ルフィの連撃を躱しきれなかった。
金に覆われたルフィの重い拳がエネルに次々と突き刺さり、エネルは再び膝をついた。
「お前にこれ以上、この島で好き勝手させるかァ!」
ルフィはエネルがスカイピア全土に雷を落とす前に決着をつけようとしている。
彼からビリビリとした気迫のようなモノが伝わり、いつも以上のエネルギーが感じ取れた。
――今のルフィは確実に
「ガフッ! ゲホッ! おのれっ! 2億
しかしエネルも負けていない。自身の出力を最大限に高めて雷の化身とも言える形態に変化した。
「上手くいくか分からないが! ぶっつけ本番!
私は
「いくぞォォォ! エネルゥゥゥ! 吹き飛べェェェェ!!!」
ルフィは両腕ををねじりながら交差させて金を纏った両拳を加速させてエネルにぶつけようとする。
「――必殺ッッ! 豪武彗星ッッッ!!!」
「ゴムゴムのォォォ!!!
突風によって加速するゴムの弾丸と回転の威力も加わったルフィの2つの拳がエネルに突き刺さった。
「――ッ!!!?」
エネルは手にした槍を落とし、くの字に体を曲げる。
「ウウウウウッ! オオオオオオッッ!!」
「――ァああああッッッ………!!」
ルフィはさらに力を込めてエネルに拳をめり込ませると、エネルは白目をむいてそのまま彼方へと吹き飛ばされてしまった。
「まだだァァァァァァ! ウオオオオオオッ!!!」
そして、ルフィは続けて“マクシム”から排出されていた“雷雲”に次々と拳をぶつけていく。
「“雷雲”まで次々と――! 信じられない……!」
「はぁ……、はぁ……。やっぱ、この島は青空の方がいいなァ」
ルフィの黄金を纏った拳は“雷雲”を打ち払って、スカイピアは再び青空に覆われた。
「ふぅ……、君には、敵わないな。さすがは未来の海賊王だ……」
「にししし……」
私は仰向けになって空を眺めているルフィを労いながら声をかけると、彼は屈託のない笑顔を浮かべる。
「じゃあ、ついでに鳴らして帰るかい?」
「鳴らす?」
そして、私はルフィに提案する。“マクシム”の進行方向に
「エネルは黄金の鐘の在処に目星をつけていた。きっとこの方舟の向かう先は――」
「おおおっ! でっけェ! 黄金の鐘だ!」
「さあ、教えてあげよう。クリケットたちに黄金郷があったことを」
「よしっ! 届け〜〜〜!!」
ルフィは両拳を覆っている黄金が砕けるくらいの勢いをつけて黄金の鐘を思いきり鳴らした。
カラァーンと小気味よい涼やかな音がスカイピア全域に響き渡る。
「なァ……。伝わったかな?」
「うん。きっと伝わったよ。私たちがここに居るってね」
私とルフィは雲の下にいるクリケットたちに思いを馳せながら、気持ちのいい鐘の音に魅了されていた。
ノーランドはこの鐘の音が好きだったんだな。彼にも届いていると良いが――。
「ところでさァ。この船どうやって止まるのか、ライアは知ってんのか?」
鐘の音を聴きながら感傷に浸っていると、ふと思い出したようにルフィは声を出した。
「えっ?」
「あっ――」
“マクシム”はそのまま、黄金の鐘が置かれている島雲にぶつかり、黄金の鐘は下に落下して、“マクシム”もまた故障して浮力を失い墜落を開始した――。
「しっ、しまった。うっかりしてた……」
「ライアっ! 掴まれ!」
ルフィは慌てて私に手を差し出して、私はそれを掴む。
そして、彼はもう片方の腕を島雲に伸ばして私と共にそこに避難した。
私たちは
はぁ、今回も何回も死ぬかと思ったよ……。
「なァ、ライア」
「ん?」
「やっぱ、その格好――おもしれーなァ!」
「――ぐっ! 忘れてくれ……、後生だから……」
仰向けになって、青く澄んだ空を眺めながら私は急に恥ずかしくなって顔が熱くなっていることを実感した――。
◇ ◇ ◇ ◇
「ええっ、もう帰るのですか!?」
「うん。多分、うちの船長はそうすると思う。黄金でも盗んでトンズラさ」
スカイピアでの騒動も一通り終息し、私は大量のダイアルを手に入れて、メリー号の修理をしていた。
やはりメリー号はフライングモデルよりも元の形の方がいい。漫画では船の妖精みたいなのが直したりしてたけど、あれって多分船の寿命が近いって意味もあったんだろうな。
この船はまだ走れる。大丈夫なはずだ――。
「別に盗まなくてもオーゴンくらい幾らでも貰えると思うぞ。あたいたちは、助けられたんだから」
修理作業を手伝うと言ってくれたアイサが土台を押さえながら、私にそう言った。
「まァ、一応海賊だからね。そこのところの体裁は整えるんじゃないかな」
「そっか……」
修理も一段落して、私は彼女にルフィたちの意図を伝えると、彼女は寂しそうな顔をした。
「なんだ。アイサは別れを惜しんでくれるんだね」
「あっ、当たり前だろ! せっかく友達になれたのに……」
急に素直になったアイサは私の手を両手で握る。
友達か……。思えば、この航海で随分と友が増えたものだな……。
「私も寂しいです。短い間だったのに……。こんなに……、胸が締め付けられるようになるなんて……」
「こっ、コニス? 顔が近いんじゃあないかな?」
さらに作業を手伝ってくれていたコニスが目を潤ませて、私に顔を近づけてくる。
前にもこんなことがあったような、なかったような……。
「――ライアさん、私は……」
「ストップ! コニス。こいつ、女だぞ! 知ってるよな!?」
コニスがさらに私に顔を近付けそうになったとき、アイサが慌てて彼女に私の性別を告げる。
「えっ――?」
「こっ、コニス?」
コニスは絶句して、ひと言も喋らなくなってしまった。ていうか、息をしてないような……。
きっ、気絶してる? どういうこと!?
「あっ、あたいは知らないぞ。お前が紛らわしいのが悪いんだ!」
アイサも“しまった”という表情を浮かべながら頭をブンブン横に振っていた。
「――はっ! らっ、ライアさんが女性? すみません。ちょっと驚きました」
幸い、コニスはすぐに意識を取り戻して頭を下げる。
「ちょっと、ね。うーんと、気絶したように見えたけどちょっとなんだよね?」
「ごめんなさい。心臓が止まるくらい驚きました」
「言い直さなくていいよ……」
私が彼女に確認するようなことを言ったら、コニスは胸を押さえながら驚き具合を言い直した。
そっか、そこまで驚かれるのか……。ラバースーツ着て過ごそうかな……。
「でも、それでも良いって思えるように頑張ります」
「頑張らないでくれ。なんか、嫌な予感がするから……。じゃ、私はこの辺で。コニス、あとで案内を頼むよ」
「はい!」
「またな!」
私はルフィたちから離れて行動しているロビンを呼びに行くために船から降りた。
ロビンの元へと行く途中、ナミとすれ違った。大蛇が吐き出した黄金と、さらにその後寝てしまった大蛇の腹の中にあった黄金を取れるだけ取ったらしい。
普通なら一度では運びきれない量が見つかったけど、そこは“運び屋”がいる我が一味。
ミキータが山のような黄金を背負って運んでくれるそうだ。
ナミはミキータが仲間に居てくれて良かったとご満悦だった。
そして、私は黄金の鐘の前でガン・フォールと話しているロビンの元に辿り着く。
「彼の名は、モンキー・D・ルフィ。私も興味が尽きないわ」
「“D”……。なるほど、名が一文字似ているな……。はははっ!」
「そう、それがきっと――歴史に関わる大問題なの」
どうやら、ロビンたちはルフィとゴール・D・ロジャーが共に“D”の名がつく者だという共通点があるという話をしているみたいだ。
「目当てのモノは見つけられたみたいだね」
「あら、狙撃手さん。どうしてわかったの?」
私がロビンに話しかけると彼女は不思議そうな顔をする。
「目を見たらわかるさ。君は意外と感情がそこに出てるんだよ」
ロビンは表情が豊かな方ではないが、目を見れば感情の変化は読み取りやすいと私は思っている。
「そう。ごめんなさい。あなたがラバースーツというのを着たときも出ちゃってたかしら」
「あははっ、出ちゃってたよ。でも、君の唖然とした表情は非常に可愛らしかったから、それが見られただけで、私が体を張った甲斐はあったかな?」
ロビンの言葉に私は少しだけ照れ隠しをしながら返す。
まぁ、見たのはエネルの槍でラバースーツの顔の部分が破られたときだけど……。
「くすっ、じゃあおあいこね。私も楽しませてもらったから。可愛らしい姿のあなたが見られて」
「可愛らしい? あれが? まぁいいや。じゃ、そろそろ逃げ出す準備しよう」
ロビンが機嫌よく笑ったので、私は彼女に出航が近いことを告げた。
ルフィもそろそろ待ちくたびれているだろう。
「逃げ出す? おぬしらがなぜ逃げ出すのだ?」
「そりゃあ、私たちが海賊だからさ――。だから、多分、その柱も――」
ガン・フォールが訝しいそうな顔して質問を投げかけてきたので、私はその理由を話した。
黄金は欲しいけど、さすがにその柱くらいの巨大な金を換金したらとんでもない金額になるだろうし、その後の影響を考えたら怖くて手を出せない。
ミキータがいるから漫画よりは多めに黄金は手に入っているだろうから、私たちにはそれくらいでちょうどいい。
「お〜〜い! ライア! ロビン! 急げ、急げ! 逃げるぞ! 黄金奪ってきた! ほら、見ろ! ミキータがこんなにいっぱい!」
「キャハハッ! 幾らでも持っていけるわ!」
「バカ! バレちまったじゃねェか!」
ルフィたちの姿を確認すると、リュックや袋いっぱいに黄金を詰め込んだみんなが逃げ出す準備をしていた。
やはり、ミキータの持ってる量は半端ないな……。
「行こっか?」
「ええ、行きましょう」
私がロビンに声をかけると彼女はニコリと笑って走ってルフィたちの元へと向かった。
「逃げろ〜〜!」
「待てェ〜〜!」
私たちは空島から逃走する。コニスとパガヤの案内で到達した“
白い海の景色も少々名残り惜しい気が……。次の冒険が我々を待っている。
タコバルーンのおかげでゆらゆらとゆっくり空から降下するメリー号の中で私たちは再び聴いた。
“カラァーン”と鳴り響く、黄金の鐘の音を――。
遥か一万メートル上空から聴こえる鐘の音に送り出されて我々は帰ってきた。真っ青な海の上に――。
これで空島編は終了です。
いろいろと消化不良な感じもありますが、前半で一番の難所だと思っていたのがここだったので、とりあえず終わってホッとしてます。
次回からはロングアイランドなんですけど、短いので、そこも引っくるめてウォーターセブン編にしちゃいます。
なのでウォーターセブン編はとても長くなりそうです。ここから、もっと面白くできるように頑張ります!