ウソップっぽいポジションに転生したはずなのに、なんで私は女の子なんだろう   作:ルピーの指輪

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いつも感想や誤字報告をありがとうございます!
新章に突入してはりきりすぎてつい長くなってしまいました。
それでは、よろしくお願いします!


ウォーターセブン編
デービーバックファイト開始


「ゴーイング・メリー号の修繕? 良いのかい?」

 

「良いも何も当然でしょう? 空に行ったせいでこれだけ傷付いているんだから」

 

 空島から持って帰ってきた宝の分配の話になったとき……、ナミの第一声はメリー号の修繕についてだった。

 

「でも、そうやって気遣ってくれるだけでも嬉しいよ! ありがとうナミ! 大好き!」

 

 私は自分から機を見て話を切り出そうと思っていたから、ナミの言葉が嬉しくて、つい抱きしめてしまった。

 

「――ちょっ、ちょっとわかったから、離れなさいよ……」

 

 ナミは顔を赤くして慌てたような口調で私を引き剥がそうとする。

 

「いや、ライアちゃん。もう少しだけそのままでも良いんじゃねェか?」

 

「何言ってんだ? アホコック」

 

 妙に楽しそうな顔をしているサンジにゾロがツッコミを入れる。

 

「キャハッ……、それじゃ宝を分けるのは修繕費がわかってからね」

 

 ミキータもそれに納得して頷いてくれた。彼女も優しい……。

 

「なァ、だったらさ。“船大工”を仲間にしよう! 旅はまだまだ続くんだから必要な能力だ!」

 

「「…………」」

 

 ルフィが船大工を仲間にしようと提案した瞬間、少しの間……、沈黙がこの空間を支配した。

 

「ナイスアイデアだ。さすがは船長!」

 

 私は開口一番で彼に賛同した。フランキーは仲間として絶対に必要な人だ。

 当然、私以上に器用だろうし……。

 

「そりゃ、それが一番だ。ライアちゃんが船がやられる度に青ざめなくて済む!」

 

 えっ? 私ってそんな酷い顔してた? サンジのセリフに私はギョッとする。

 

「キャハハ、この前なんて寝言で船の心配してたわよ」

 

「ははっ。だったら、その線でいくしかねェだろ」

 

 ミキータの暴露でゾロは笑いながら、船大工を探すことに賛成した。

 まさか、寝言でそんなことを言ってるなんて……。

 

「い〜奴が見つかるといいなァ」

 

 ルフィは新たな出会いにわくわくしていた。もうすぐ、ウォーターセブンか……。

 そこでの話次第では私は――。

 

 

 船の修繕と船大工を仲間にするという目的を得たゴーイング・メリー号は、次の島を目指して進みだす。

 途中で、デービーバックファイトで負けたのであろうという海賊船を見つけた。

 

 海賊旗もなければ、船長も航海士も不在のその船は船員たちの生気がなく、シーモンキーの起す大波に飲み込まれて、沈没してしまう。

 確かフォクシーとかいう奴が率いる海賊団が近くにいるんだっけ? ノロノロの実とかいう結構当たりの能力者だった気がする。

 

 とりあえず、あしらえるくらいの対策は考えるか……。ノロノロビームとやらが、鏡で反射できるとかそれくらいしか覚えてないけど……。

 

 そして、ようやく島に到着した私たちを待ち受けていたのは、大平原だった。

 私とルフィとチョッパーが先に降りて、この島について観察すると、やたらと長い動物達が生息していることがわかった。

 

 さらに探索を進めると簡易的な家らしきものを見つける。

 しかし、家の中は無人で前にはシェリーという名前の足や首が細長い白馬がいた。

 チョッパーによると、主人は10年ほど帰っていないようだ。

 

 そんな中、ルフィがその家の周りで“動く長い竹”を見つける。

 彼が竹を折ると、上空から男が落ちてきた。

 

 どうやら男は果てしなく高い竹馬で遊んでいたら怖くて下りられなくなっていたらしい。

 

「その期間――10年!!」

 

 竹馬の男は10年も竹馬に乗っていたと告白した。

 はっ? 何言ってるの? この人……。

 

「大バカか!」

 

 珍しくルフィが素直なツッコミを入れる。ていうか、彼がここまでドン引きしてる顔初めて見たかも……。

 

「10年って……、どうやって生きてたんだい?」

 

 私も彼のことを忘れていたので興味本位で質問をしてみた。

 

「竹馬と同じくらいの高さの木も多いからな。何とか、果物で食い繋いだんだ。あ〜〜、怖かった――」

 

「いやいや、そんなひと言で済ましちゃダメだろう……」

 

 私は“怖かった”でこの10年の孤独を済ませるこの人が怖かった。

 

 男によるとこの島は“ロングリングロングランド”というらしく、10個の小さな島が円形に区切られているそうだ。

 

 ただ、年に一度、数時間だけ潮が大きく引いて1つの大きなドーナツ状の島になるのだという。

 

 この男の仲間たちは3年に1回島を移住して暮らしているらしく、30年かけて一周している。

 

 要するに、竹馬のせいで、この男は取り残されてしまったのだ。

 馬がいれば5年で追いつくとか言ってたけど、それでも大変な話だ。

 

 そして、彼の言う馬こそ白馬のシェリーであり、この馬はずっと男を待ち続けていたのだ。

 

「しっかし、ほんとに(はえ)えぞ! あの馬。おれも乗りて〜〜!」

 

「楽しそうだな。あんなに喜んでる。――おいっ、ライア! なんで、銃なんか持ち出してるんだ?」

 

 ルフィとチョッパーはシェリーの背中に乗っている竹馬の男を眺めていた。

 そして、私がある気配を察知して銃を構えると、チョッパーは不思議そうな顔をして私を見つめた。

 

「えっ? ああ、ちょっと無粋な連中の気配がしたものでね……」

 

 私は気配に向かって銃弾を撃ち出す。すると――。

 

 

「フェッフェッフェッ! おいっ、貴様! おれの狩りの邪魔をしやがって! せっかく、その馬を狙っていたのに!」

 

「そーよ、そーよ! オヤビンの趣味をよくも邪魔してくれたわね! その馬はオヤビンのものにする予定なの!」

 

 シェリーを銃で狙っていたフォクシーが落とした銃を拾いながら文句を言ってきた。

 後ろに巨漢と長い髪の女を引き連れて……。

 

「よーし、もう一回狙って――」

 

 そして、フォクシーは再び銃をシェリーに向けようとした。

 

「狩りだと! そんなことさせるか! お前ら! 誰だァ!?」

 

 それを見ていたルフィは怒り心頭でフォクシーの方に向かっていく。

 

「このおれが誰だって? おれの名はフォクシー! たかが動物狩りで大騒ぎしやがって! おれは欲しいものはすべて手に入れるんだ! 黙ってろ!」

 

 ルフィに対して自己紹介したフォクシーは全く悪びれる様子はなかった。

 

「この野郎! ゴムゴムのォォォ!」

 

「待て! ()()()()()()()!」

 

 本気で怒ったルフィが蹴りを繰り出そうとすると、フォクシーはルフィの名前を呼び、気を引こうとする。

 

「えっ? ――なんでおれの名を!?」

 

 するとルフィは自分の名前が呼ばれたことに驚いて攻撃を止めた。

 あのまま攻撃してても良かったのに――。

 

「知っているとも! 調べはついている!」

 

「懸賞金1億ベリー、“モンキー・D・ルフィ”、懸賞金6000万ベリー“ロロノア・ゾロ”、懸賞金5600万ベリー“ライア”……。たった、8人の少数一味で総合賞金額(トータルバウンティ)2億1600万ベリーとは、ちょっとしたものね」

 

 フォクシーに続いて後ろに居た女が私たちの情報を口にする。

 うーん。ロビンとミキータも賞金首なんだけど、その情報はまだ伝わってないのかな?

 

「我々は“フォクシー海賊団”! “麦わらの一味”に対し! オーソドックスルールによる“スリーコイン”『デービーバックファイト』を申し入れる!」

 

「何をゴチャゴチャ言ってるんだ! 勝負なら受けてやる!」

 

 そんなことをボーッと考えていたら、いつの間にか、ルフィはデービーバックファイトの意味も知らずにフォクシーの申し入れを受けてしまった。

 まぁ、止めたところでやるって言うだろうから、同じだろうけど……。

 

 デービーバックファイトとは、海賊達の楽園“海賊島”で生まれた、より良い船乗りを手に入れるための海賊が海賊を奪い合う、"人取り合戦ゲーム"だ。

 

 フォクシー達が提案したのは、『3コインゲーム』という3本勝負。

 1勝負ごとに仲間を奪い合うという形式のゲームで、これを3回続けて行う。

 私たちはこれからそのルールで“フォクシー海賊団”と戦うこととなったのである。

 

 メリー号に居た仲間たちも呼び出されて、デービーバックファイトをやり慣れているフォクシー海賊団が手早く勝負の準備を始めた。

 

 そして、フォクシーの後ろにいた長い髪の女、ポルチェがデービーバックファイトの敗戦による3ヶ条の説明を開始する。

 

「さァ、敗戦による3ヶ条を誓うわよォ!」

 

「1つ! デービーバックファイトで奪われた全てのものは、デービーバックファイトでしか奪回できない!」

 

「1つ! 勝者に選ばれて引き渡された者は、速やかに敵船の船長に忠誠を誓うものとする」

 

「1つ! 奪われた旗は、二度と掲げることは許されない」

 

 この3つがデービーバックファイトのルールらしい。

 まったく、下衆な連中が考えてそうなルールだ。負けるなんてあり得ないな。

 

「以上のことを誓えますか!」

 

「「誓う!」」

 

 ルフィとフォクシーはこの敗戦の3ヶ条を飲み込んだ。

 

 勝負種目はレース、球技、戦闘の3つで合計7人が出場するというルールだ。

 私たちはナミがどうしても出たくないって言うから彼女を除いた7人でチーム編成を決めることにした。

 

 その結果――。

 

 第1回戦の“ドーナツレース”は私とロビンとミキータの3人。

 

 第2回戦の“グロッキーリング”はゾロとサンジとチョッパーの3人。

 

 そして、最終戦の“コンバット”はルフィというチーム編成に決まった。

 

 私が出るボートレース、“ドーナツレース”は手作りのボートでレースをする。

 ボートはオール2本と樽3個の木材だけを使って作らなきゃならないというルールだ。

 

 ウチは船大工が居ないからボートの質じゃ負けるだろうな……。

 

『まずは麦わらチーム! 狙撃手ライア! 伝令役ミキータ! 考古学者ロビン! 乗り込むボートはフライング・タルタルチキン南蛮号!』

 

『そして、フォクシーチーム! 我らがアイドル、ポルチェちゃん! カジキの魚人、カボーティ! ホシザメのモンダ! 乗り込むボートはキューティワゴン号!』

 

 司会のイトミミズとかいうフォクシー海賊団の宴会隊長が実況を開始する。

 

「へぇ、君たちはサメを使うんだ」

 

「いやん。ルールは破ってないわ」

 

 サメにボートを引っ張らせる作戦を立てているフォクシーチームのポルチェに声をかけると、彼女は体をくねらせながらそう答えた。

 

「うん。ルールに書いてないことは()()()()()()良いんだもんね。お手柔らかに頼むよ。ポルチェ……」

 

 私はポルチェの目を見つめて確認するように言葉を発した。

 何でもありなら私にも考えがある。

 

「――ッ!? はっはい……。いやん、この人……、カッコいいかも……」

 

 そんなことを考えていたら、しばらく私の目を見つめていたポルチェは頬を桃色に染めて、急にモジモジしだした。

 これは、油断を狙っている作戦か?

 

『おおっと! 麦わらチームは、レース開始前から何という卑劣な罠を仕掛けるのでしょうか! さっそくレディキラーの不意討ちによって、我らがアイドル、ポルチェちゃんが陥落寸前だァ! さすが手配書が発行された瞬間に“今、女性が付き合いたい海賊ランキング”1位に輝いた女殺し! 会場の男性陣からは大ブーイング! 女性陣からは黄色い声援が聞こえるぞォ!』

 

 すると司会が勝手なことペラペラと実況しだした。

 なんだそのランキングは!? 聞いたことがないぞ!

 これは私を動揺させようというフォクシーチームの場外戦術なのか?

 

「あいつ、撃っても良いかな?」

 

「キャハハ! あんたの武器なんだから活かしなさいよ。レディキラーさん」

 

「このボートが沈まなかったら勝てるかもしれないわね」

 

 私の言葉をナチュラルに聞き流すミキータとロビン。

 ええーっと、司会の実況とかにはツッコミを入れない方向なのか?

 

「ところで、狙撃手さん。その袋は何なのかしら?」

 

「うーん。秘密兵器かな? あははっ!」

 

「キャハッ、袋の中にダイアルがいっぱい入っているわ。いろいろと作戦を考えてるみたいね」

 

 ロビンが私が持ってきた袋について質問して、ミキータはその袋の中に入っているダイアルを興味深そうに見つめていた。

 

 さて、ダイアルの試運転をしてみようかな。

 

『ルールは簡単! この海に浮かぶ、ロングリングロングランドを一周せよ! 以上! それでは、よーい! スタート!』

 

 司会の合図で我々は出発する。フォクシー海賊団が場外から我々に攻撃をさっそく開始したが、サンジによってそれは阻止される。

 

 しかし、レースはというと、当たり前だがサメが引っ張ってるフォクシーチームが先行していた。

 

「じゃあミキータ……。合わせてくれよ」

 

「キャハッ! 任せなさい!」

 

 私は袋から取り出した衝撃貝(インパクトダイアル)を手袋に固定させて、ミキータに声をかけた。

 

衝撃(インパクト)ッ!」

「ミニマムウェイトッ!」

 

 衝撃貝(インパクトダイアル)のパワーとミキータの能力によるこのボートの重さを1キロにするコンボを決めて、信じられないスピードになった“フライング・タルタルチキン南蛮号”は、一瞬でフォクシーチームを抜き去り、大きくリードを広げた。

 

 やはり、1キロのウェイトなので、加速が全然違う。フォクシーチームの姿が見えなくなってしまったな……。それにしても腕がもげそうになるくらい痛い……。

 

 さらに、ロビンが腕を増やしてオールを漕いでくれるので加速後もスイスイ進んで行くことが可能となる。

 

 だが、サメのスピードは大したもので、コース最大の難所“ロングサンゴ礁”に着く頃にはフォクシーチームも我々に追いついてきた。

 

 “ロングサンゴ礁”は巨大なサンゴ礁によって迷路が形成されている上に不規則な海流がボートの進行を邪魔するという面倒なエリアだ。

 

「いやん。ここまでリードされるなんて思わなかったわ」

 

「やぁ、追いつくなんて凄いじゃないか。でも負けないよ――。君たちも怪我に気をつけてベストを尽くしてくれ」

 

 ボートがちょうど並びあったときに、ポルチェに話しかけられたので、私は返事をした。

 

「――まっ、負けてもいいかも。いやん。あいつの目を見るとおかしくなっちゃう!」

「痛いっス!」

 

 すると、彼女は顔を真っ赤にして、パートナーの魚人をポカポカ叩いて減速する。

 

『また出たァ! 噂によれば王族をも滅ぼしかけた女殺しの必殺ナンパ技! 我らがマドンナ! 難攻不落のアイドルもレディキラーの前では初々しい少女だァ!』

 

 そして、その様子を見ていた司会がまた適当なことを叫びだした。意味のわからない事を叫ばないでくれ……。

 

「やっぱ、あいつ撃っても良いかな!?」

 

「そんなことよりどうするの!? あんな海流、ナミちゃんじゃないと読めないわよ!」

 

 私のつぶやきを聞いたミキータが慌てながら前方で不規則に動く海流を指さしていた。

 確かに漫画ではナミが活躍していた気がする。

 

「うん。そうだね。ナミなら、完璧に読むだろう。でも、私たちは読む必要はない」

 

「狙撃手さん。何か面白いことを考えてるのね?」

 

 私がミキータの不安に対して返事をすると、ロビンがニコリと笑って声をかけてきた。

 

「面白いといえば、そのとおりだ。今から私たちは空を飛ぶ!」

 

「キャハッ! なるほど! じゃあ私は傘でも使っちゃおうかしら?」

 

 私の言葉にミキータは何をするのか大体察したらしい。

 さっそく傘を用意してニヤリと笑う。

 

「さて……! 角度はこんなもんかな? 衝撃(インパクト)ッ! そして、風貝(ブレスダイアル)ッ!」

 

 私は立て続けにダイアルを使ってボートを打ち上げた。

 重さがたったの1キロのボートは空を飛び、サンゴ礁を飛び越えて、さらにその奥にある“ロング(ケープ)”も乗り越えて、あとはまっすぐゴールを目指すだけとなった。

 

 フォクシーチームはというと、魚人とサメの合体技である“魚々人泳法(ツーフィッシュエンジン)”によって、猛烈に追い上げて私たちに肉薄してきた。

 

 それでもリードは大きく、フォクシーの嘘の看板や偽ゴールという妨害も破り、我々はトップを譲らなかった。

 

『ここまで麦わらチームがリードを譲らないが、フォクシーチームにも切り札がある! ポルチェちゃん、そろそろ攻撃してもいいんじゃないかァ!?』

 

 司会の実況はポルチェに向かって攻撃をしろと煽っている。それならそれでこっちも反撃するけど……。

 

「負けるわけにはいかないわ! キューティーバトン! そして! “花手裏剣”を食らわせて――。だっ、ダメ……っ! いやん。できない! だって、わっ私、あの人のこと好きみたいだから!」

 

 すると、ポルチェが何か好きとかどうとか言ってきた。

 何、またフォクシーの仮病みたいに下手な演技で釣る作戦なの? もうそういうのお腹いっぱいなんだけど……。

 

『おおっと! 突然の告白タイム! これはレディキラーの返事が聞きたいところだぞ! オヤビンもこれには驚き、ドキドキした表情でポルチェちゃんを見守っている! さァ、さすがに麦わらチームも引き返して返事を――! しなーい! なんと、レディキラー、ライア! 完全に無視だァ! 女は泣かせて当然という、まさに惚れた女が悪いと言わんばかりの所業! お前の血は何色だァ!』

 

 さらに司会の実況はヒートアップして私を悪者に仕立て上げ、観客席からはブーイングが大きくなる。

 こいつら、妙な一体感を――。

 

「とっとと、ゴールしよう。付き合いきれん……」

 

 私はオールに力を込めて精一杯漕いだ――。

 

『さて、告白無視というアクシデントのせいで、大幅にリードした麦わらチームがゴール目前だ!』

 

「フェッフェッフェッ! おれの必殺を食らえノロノロ――」

 

 そして、ゴール目前で思ったとおりフォクシーが切り札のノロノロビームを打とうと身構えようとする気配を私は捉える。

 

 残念だけど、君の行動には常に警戒していたよ。だから、私は君がビームを放つよりも速く――。

 

「――必殺ッッ! ――爆風彗星ッッ!」 

 

 私は素早くフォクシーに銃口を向けて突風が出る弾丸を撃ち出す。

 

「ビー――! フェッ!? ギャアアアア!」

 

『麦わらチームの狙撃手ライア! いきなり無実のオヤビンに卑劣な銃撃! 銃弾がオヤビンに直撃し突風が発生! オヤビン、無情にも吹き飛んだァァァ! そして、そのままフライング・タルタルチキン南蛮号はゴール! チクショー! 第1回戦の勝者は麦わらチームだッ!』

 

 必殺技を使う前に吹き飛んだフォクシーを尻目に私たちがトップでゴールする。

 デービーバックファイトの1回戦は私たちの勝利で終わった。

 

 ん? 待てよ……。私たち、別にあいつらから欲しいものなんて無いんだけど……。どうすれば、いいんだ?

 




今回はライアが他の海賊団からどういう風に見られるようになったか、に焦点を当ててみました。
実況のセリフに代弁させたのですが、伝わりましたでしょうか?
ロングアイランドのストーリーはサクッと終わらせるので、あっさりしてるかもしれません。

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