ウソップっぽいポジションに転生したはずなのに、なんで私は女の子なんだろう   作:ルピーの指輪

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いつも誤字報告や感想をありがとうございます!
メリー号の処遇は物語を開始して、何度も練り直して考えた話だったので、概ね好印象で安心しました。
今後のオリジナルエピソードにも絡んで来るので、そこで失敗しないように頑張ります。
それでは、よろしくお願いします!


フランキー登場

「どっ、どうなってやがる! おいっ! てめェ! おれのかわいい子分たちに何しやがった!」

 

 私が今いる場所はフランキー一家のアジトであるフランキーハウスで、彼の到着を待っていた。

 彼の子分たちはとりあえず睡眠弾で全員に眠ってもらった。

 いや、何十人もいたから全滅させるのは意外と大変だったよ。

 

 フランキーは子分の女を二人連れて、ちょうどアジトに戻ってきて、この有様を見て絶叫していた。

 

「やァ、フランキー。趣味のいいところに住んでるじゃないか。しーっ、静かに――、ほら、君の子分たちが起きちゃうだろ」

 

 私が人差し指を唇に当てて彼にそう声をかける。

 

「おっ、おう。そいつはすまねェ……。そ~っと、そ~っと……。――ってふざけんじゃねェ! お前! 麦わらの一味の“ライア”だなッ! 5600万ベリーの賞金首! おれになんの用だと言っている!」

 

 すると、彼は上手なノリツッコミを見せたあとに私の名前を呼んだ。

 ああ、手配されるとさすがに顔を覚えられるなァ。

 

「2億ベリーを君にあげようと思って来たんだ」

 

 彼の質問に私は目的を答える。“宝樹アダム”は裏ルートで入手するみたいだからな。

 彼に早めに確保しておいてほしいところだ。

 

「――ッ!? ふざけんな。なんで見ず知らずのてめェがおれに金を渡そうとする」

 

 フランキーは当然の反応をする。そりゃあ、迷惑メールみたいな言葉をいきなり信じたりしないよね。

 

「なぜ? ああ、占いだよ。占い。君にお金渡して船を作ってもらえればハッピーになれるって出たんだ。君はアレが欲しいんだろ? “宝樹アダム”だっけ? 私はその木で作った船が欲しい」

 

 私は“占い”という言葉でぼやかしながら、具体的な言葉を出して興味を惹こうとする。

 

「こいつ、なんでそんなことまで知ってるんだわいな」

 

「絶対に怪しい奴だわいな」

 

 フランキーの後ろに立っている女たちは怪訝そうな顔で私を見ていた。

 

「――待て! “宝樹アダム”をおれが手に入れようとしてることを知ってるのはどうでもいい! なぜ、おれに船を造れと言う! おれは解体屋だってことくらいは知ってるんだろ!?」

 

 そして、フランキーは自分が欲しいモノを知っていることより、解体屋である自分に造船を依頼することを妙だと思ったみたいだ。

 

「占いでは君に造らせることが、最善だと出たからだ。“宝樹アダム”は海賊王のゴールド・ロジャーの船の製造に使われた材木みたいだね。君がそれを手に入れようとしているのは、船が造りたいからじゃないのかい?」

 

「ロジャーの船……。くっ……」

 

 フランキーの師匠は確かロジャーの船を造って処刑された男だ。

 そして、海列車を造って沢山の人に希望を与えた男でもある。

 

 彼も私の話を聞いて思うところがあるみたいだ。

 

「下心は本当にないんだ。私たちの船は君じゃないと作れない。偉大なる航路(グランドライン)を制覇するための船をどうか作ってほしい。頼む! 2億で足りないならもっとお金を融通してもいいから!」

 

「ほう、随分と切羽詰まってるみたいじゃねェか。子分たちもほとんど無傷みてェだし――。仕方ねェ。話くらい聞いてやろう」

 

 フランキーはスヤスヤと眠っている子分たちの無事を確認してその場にあぐらをかいて座り込んだ。

 

 私はそんな彼に包み隠さず話をした。カヤからもらったメリー号と仲間たちの冒険の話と、船の査定の結果の話。

 仲間たちと冒険を続けたいこと、メリー号を故郷に帰したいこと――。

 フランキーは黙って腕を組んで話を聞いてくれた――。

 

 そして、私の話が終わった――。

 

「ぐすっ……、ぐすん……、いい話だなァ! 聴いてください! “海賊仁義”――」

 

「「アニキー!」」

 

 フランキーは涙ぐんでギター片手に歌いだそうとし、子分の二人はそれにノリノリになる。

 確かに彼はロビンとは合わない感じだなぁ。面白い人だけど……。

 

「えっと、フランキー?」

 

「兄ちゃん! 気に入ったぜ! 遠い故郷の可愛い幼馴染からもらった船を大事にしてェって気持ち! おれァそういうの大好きだ! 確かにおれは最後に一度だけ恩人のように最強の船を作ることが夢だった! この機会を逃せば次に“宝樹アダム”が手に入るのがいつになるか分かんねェ! 聞いてやろう。お前さんの願いを!」

 

 フランキーはサングラスを外してニヤリと笑い、サムズアップのポーズを取ってあっさりと船造りを了承した。

 思った以上に早くオッケーを出してくれたな……。

 

「本当かい!? ありがとう! フランキー! 恩に着るよ! あと、私は女だよ。よく間違われるけど……」

 

 私はフランキーに礼を言って、ついでに性別を伝えた。まぁ、男と間違われるのは仕方ない。よくあることだと飲み込もう。

 

「――女? いや、東の海(イーストブルー)に残してきた幼馴染ってどう考えても、お前のコレだろ?」

 

 フランキーは私の全身を下から上まで観察して、カヤは私の恋人なんだろうと、小指を立てる。

 いや、そうなんだけど……。ええーっと、どう説明しようか……。

 

「アニキ、そういう愛もあるんだわいな」

「何を隠そう私たちも――」

 

 すると彼の子分の女二人が手を繋いでフランキーに私とカヤの関係を説明しようとする。

 へぇ、彼女たちも……。

 

「何っ!? お前たちいつの間にそんな関係に!?」

 

「「冗談だわいな」」

 

 フランキーは二人の子分の様子を見て驚いた顔をしていたが、間髪を入れずに二人はそれを冗談だと嘯く。

 

「うおーいっ! ス〜パ〜! 一本取られたぜ!」

 

 フランキーは両腕を頭の上で合わせるポーズを取って楽しそうに叫んでいた。

 

「君たちずっとそんなノリなのかい?」

 

 私はそんなフランキーたちのノリを見て、ちょっとだけ疲れてしまっていた。

 なるほど、彼はこんな感じの人かぁ。

 

「よしっ! 姉ちゃん! 契約は成立だ! まずは“宝樹アダム”を手に入れてくる」

 

「そうか。じゃ、これが2億ベリーだから。持って行ってくれ」

 

 フランキーが差し出した手を私は握り、そして彼らに1億ベリーが入ったカバンを2つ渡した。

 

「はァ!? お前、そんな大金持ち歩いておれのアジトにやって来たのか!? なんつー肝の据わった女だ――」

 

「命知らずだわいな……」

 

 私が大金を持ってフランキーのアジトに単独で乗り込んだことに彼らは少なからず驚いたようだ。

 フランキーと戦闘になったら少し危なかったかもしれないけど、出来るだけ急ぎたかったからこれは仕方ない。

 

「おめェみてェなのを従えてる船長(キャプテン)ってのはさぞかし面白い野郎なんだろうな。なるほど、1億の賞金首“麦わら”かァ……。――子分たちには伝えておく。修理をガレーラに任せるにしろ、しばらくそのメリー号とやらも面倒見てやらァ。倉庫の中ならアクア・ラグナが来ても、まず安心だ」

 

「何から何まですまない。修理や造船に必要な費用は言い値で払う」

 

 フランキーはメリー号の保管について心配をしてくれて、すべて自分が面倒を見ると言ってくれた。

 アクア・ラグナか……。そういえば、大津波が来るんだっけ……。

 これは、彼らにそれなりに色をつけて報酬を渡さなきゃいけないな……。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「なァ、ライアちゃん。ロビンちゃんの居場所は分かったかい?」

 

 翌日――宿を取った私たちはその屋上でみんなにメリー号を預けたというところまで報告をした。

 その後、未だに姿を見せないロビンの話になり、私は彼女の気配を探った。

 今は一人みたいだな……。大きな気配は感じない……。

 

「うん。一応、大まかな場所と方向は」

 

「そっか。いや、昨日戻らねェから心配してたんだ。メリー号も今朝預けちまったから、どうしようかと思ったが、ライアちゃんが居場所を探せるなら安心だ」

 

 サンジは私がロビンの居所を感知できることに安心したような顔を見せた。

 うーん。しかし、昨夜はやはりCP9と行動を共にしてたみたいだな。 

 アイスバーグも襲われたみたいだし……。こうなると、私たちも容疑者になるのは間違いないだろう。

 

「そうだね。しかしロビンなら、大丈夫だと思うが変なことに巻き込まれてないか心配だ」

 

「変なこと? まっ、まさか、男たちにロビンちゃんが……」

 

「いやいや、あり得ないだろうそれは……」

 

 私はあり得ない想像をするサンジにツッコミを入れる。

 ロビンが巻き込まれていることは、世界政府が絡んでいる。彼女をそこから解放するには政府に喧嘩を売らなきゃならない。

 

 望むところだ……。誰とだって喧嘩してやるさ……。

 

「ライア! 新しい船ってどんなのになりそうなんだ!?」

 

「そうだな。コンセプトは“最強の船”だ。海賊王、ゴールド・ロジャーの船“オーロ・ジャクソン号”に使われた材木と同じ材木“宝樹アダム”を使って造ってもらうことになった」

 

 ルフィが新しい船について私に質問をしてきたので、それに答える。

 漫画ではサニー号とフランキーの加入は航海をかなり盤石なものにしていた。頑丈だし、壊れてもフランキーがキチンと直すからだ。

 

 それだけに偉大なる航路(グランドライン)の後半では絶対に必要なのだ。

 

「海賊王の船と同じ!? すっげェ!」

 

 ルフィはロジャーの船と同じ材木というところに目を丸くして興奮した。

 

「海賊王の船ってすげェのか!?」

 

「当たり前だろ! 世界一に決まってる!」

  

 チョッパーはルフィの言葉に対して質問をして彼はそれに答える。

 そんな中、焦った表情のナミが私たちの元に駆け込んできた。

 

「――ルフィ! みんな! 大変なの!」

 

「キャハッ、ナミちゃん。どうしたのよ? 随分慌てて」

 

 ナミの顔を見てミキータが質問をする。

 

「造船所のアイスバーグさんが、昨日の夜に自宅で撃たれたみたいなの。町中がこの話で持ちきりで……」

 

「アイスのおっさんが……」

 

 ナミはアイスバーグが撃たれたというニュースを知ったみたいだ。

 町中大騒ぎか。当たり前だな……。

 

「ナミさん。誰だい? そりゃ」

 

「造船会社の社長でこの町の市長でもあるわ。昨日、お世話になったのよ」

 

「この町のシンボルでもある人だから――それは一大事だね」

 

 サンジの質問にナミが答えて、私が同調する。

 アイスバーグはこの町の顔だ。彼を撃った疑いが私たちにかけられれば、町中が私たちを目の敵にするだろう。

 

「ちょっと、行ってくる!」

 

「待って、ルフィ。私も行くから」

 

 ルフィとナミはアイスバーグの様子を見に行ってしまった。

 

「ライアちゃん。やっぱりロビンちゃんが心配だ。探しに行こう」

 

「わかった。気配のする方向を案内するよ」

 

 サンジはそのやり取りを見て、私にロビンを探しに行こうと声をかけた。

 そうだな。一度、彼女と話をしよう。嫌われていて、避けられるようになってしまったが……。

 

「おれも行くぞ」

 

 そして、チョッパーも一緒に探しに行くこととなった。

 

「ゾロとミキータはどうする?」

 

「おれはもう少し成り行きを見ている」

 

「元副社長か……。そうね……、様子を見に行ってみようかしら」

 

 どうすると質問した私に対して、ゾロは残ると答えて、ミキータは付いてくると答えた。

 

 こうして、私たち4人はロビンの元へと向かった。

 

 

 向かっている途中でアイスバーグが目を覚まして、ロビンが襲撃者の中に居たという噂が流た。

 手配書の流れている私は顔が割れているので、ゴーグルを着けて顔を隠してロビンの元に向かうこととなった。ミキータにも予備のゴーグルを貸して顔を隠させる。

 

「アクア・ラグナがもう来るか……」

 

 さらにアクア・ラグナの警報が一帯に流れて、町には緊迫した空気が流れた。

 

「ライアちゃん。アクア・ラグナってのはなんだい?」

 

「年に一度、ここを襲っている大津波らしい。私がメリー号を預けるのを急いだのは、これが起こると聞いたからなんだ」

 

 私はサンジにアクア・ラグナの説明をする。定期的にそんな災害の出る町がこのように発展しているのは奇跡だと思う。

 

「キャハッ……、それで辺りから人が居なくなったのね……」

 

 ミキータはキョロキョロと周囲を観察しながらそう言った。

 

「そりゃあ、まずいな。――ロビンちゃんの元へはまだかかりそうか?」

 

「いや、もうそこにいる――」

 

 そう言って曲がり角を曲がると、小川を挟んでロビンが立っていた。

 

「――あなたから身を隠すことは至難みたいね。狙撃手さん……。厄介な力を持っているわ……」

 

 ロビンは私たちを確認すると、そんな声をかけてきた。

 確かに鬼ごっこやかくれんぼには強い能力だと思う。

 

「ロビンちゃん!」

 

「ロビン〜〜っ! 戻ってこないからみんな心配していたんだぞ!」

 

 サンジとチョッパーはロビンを確認して声をかけた。

 

「とにかく、一緒に帰ろう! 新しい船の話とか色々あってよ。これから説明する」

 

「その必要はないわ。――私はもう、あなたたちの元に戻らない。ここでお別れよ」

 

 サンジの言葉を拒否するようにロビンは首を横に振った。

 それは覚悟を決めたというような表情にも見えた。

 

「何を言い出すんだよ! あァ、あの新聞記事のことか。あんなのおれたちァ誰も信じねェ。事件の濡れ衣なんざ、海賊にゃよくある話だ」

 

 サンジはロビンが襲撃事件のことを気にしていると思い、彼女を安心させようと声をかける。

 

「――そうね、あなた達には謂れのない罪を被せて悪かったわ。だけど、私にとっては偽りのない記事よ。昨夜市長の屋敷に侵入したのは私」

 

 しかし、ロビンはアイスバーグの屋敷に侵入したことを自ら認めるようなことを言った。

 

「「えっ?」」

 

 当然、みんなは驚いたような声を出す。

 

「私には、貴方達の知らない“闇”がある。“闇”はいつかあなた達を滅ぼすわ」

 

 ロビンは自分には“闇”があると吐露した。そして、それが私たちを滅ぼすとも。

 だとしても私は――。

 

「現に――私はこの事件の罪をあなた達に被せて逃げるつもりで――」

「関係ないよ。そんなこと。罪くらい幾らでも被る。だけど君を逃がすつもりはない」

 

 私は別れを告げようとするロビンに睡眠弾を撃ち出そうと銃を構える。

 

「ライア! 銃を――!」

「――最初に会ったときにも言ったでしょ。そんな物騒なモノを私に向けないで」

 

 ミキータの驚愕した声と同時にロビンの手がいくつも私の体から生えてきて、両腕を拘束し、銃を手放させる。

 

「――ぐっ……。ははっ、やっと私と口を利いてくれた」

 

「何を言ってるの?」

 

 避けられ続けていた私が腕を拘束されながらも笑っているとロビンは怪訝な顔をした。

 

「ロビン。どんな“闇”を持ってたっていい。君にあと必要なのは差し伸べられた手を掴む勇気だけさ」

 

 私は出来るならここで彼女に戻ってきて欲しかった。

 私たちを守るためにCP9の言いなりになっていることは分かっていたけど……、離れていくのが堪らなく嫌だったのだ。

 

「――ッ!? もう、私に構わないで! ストラングルッ!」

 

 しかし、私の言葉は虚しいもので、彼女を救うには能わなかった――。

 ロビンは私の首を締め上げて、私はゆっくりと意識を失っていく――。

 

 

 

 目を覚ましたとき、目の前にはチョッパーとミキータしか居なかった。

 

「元副社長は見失ったわ。そして、サンジくんは別行動。無茶はしないって言ってたわ」

 

「ライアの目が覚めたら、ルフィたちと合流して、さっきのことを話せって――」

 

 ミキータとチョッパーは口々にサンジの動向とこれからすることを話した。

 確かにルフィも今ごろロビンのことを知ったのかもしれない。

 一度、話し合う必要はあるだろう。

 

「わかった。ルフィたちの気配を探ろう――」

 

 私たちはルフィたちと合流するために動き出した。

 ロビンを渦巻く“闇”と私たちの戦いが始まろうとしていた――。




フランキーがちょっと物分り良すぎるかもしれませんが、最初に争ってない上に、基本的に気の良い男なので……。
そして、いよいよCP9との戦いも迫ってきました。
ライアの新アイテムとかも登場しますのでその辺も注目してみてください!

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