ウソップっぽいポジションに転生したはずなのに、なんで私は女の子なんだろう   作:ルピーの指輪

61 / 89
いつも誤字報告や感想をありがとうございます!
道力って設定が出たときは遂にワンピも戦闘力が!?みたいに思いましたけど、これっきりでしたよね〜。
コビーとか、ガープの道力が気になったりします。
それでは、820道力のブルーノにライアがどう闘うのかご覧になってください。


“六式”を打ち破れ

()()()()だと? 海賊風情が図に乗るな。お前もそこの1億ベリーの男ですら、我々に手も足も出ずにやられたではないか。面倒だ。3人揃ってかかって――。――ッ!?」

 

 ブルーノは私が1人で戦うことが不満な様子だったので、私は再び彼を狙って発砲した。

 弾丸は彼の首をギリギリ掠めて、彼の表情が曇る。

 

「無駄口を叩くな。すぐに終わってしまうぞ。負けるにしても負け方っていうものがあるだろ?」

 

「――貴様ッ! “(ソル)”ッ!」

 

 私が煽るとブルーノは地面を瞬間的に10回以上蹴ることで超人的なスピードで移動することを可能とする移動技で、視界から消える。

 

 しかし、その領域のスピードも既に――。

 

「そのスピードにはもう――慣れた……!」

 

 私は背後に迫るブルーノの腹に弾丸を叩き込む。

 

「“鉄塊(テッカイ)”……! 貴様のショボい弾丸など通用しないッ!」

 

 しかし、ブルーノの鋼鉄と化した肉体には私の弾丸は通じない。

 ならば――私はブルーノの腹に右手の掌底を密着させる――。

 

「――衝撃(インパクト)ッ!」

 

「ごフッ!」

 

 衝撃貝(インパクトダイアル)を利用した一撃はブルーノの体内を破壊し、彼にも幾分ダメージを与えることが出来たようだ。

 

「やはり、内部破壊系の技は通用するみたいだね。とはいえ、今日2発目はキツかったな……」

 

 右腕から肩までの痺れるような痛みに私は思わず苦笑いした。 

 

「妙な技を……! “月歩(ゲッポウ)”――“鉄塊(テッカイ)・輪”!」

 

 ブルーノは空中を歩き、上から大きく開脚した状態で“鉄塊(テッカイ)”を発動し、そのまま足を私に向けて振り下ろしてきた。

 私はそれを躱すが、勢いを利用した回転により続けざまに足を振り下ろし、連続攻撃を仕掛けてくる。

 

「――なるほど、ネロとは違うみたいだ……! ――必殺ッッ! 灼熱星ッッッ!」

 

「――ッ!? がぁッ! 何だ!? この弾丸は!?」

 

 “鉄塊(テッカイ)”状態のブルーノの首元に高熱を帯びた弾丸が当たり、その熱によって彼は苦悶の表情を浮かべた。

 

熱貝(ヒートダイアル)で熱の塊と化した弾丸は硬いだけじゃあ防げないぞ」

 

 銀色の銃(ミラージュクイーン)に仕込んだ熱貝(ヒートダイアル)は弾丸に熱を付与することが出来る。

 特殊な弾丸にそれを使うことは出来ないが……。

 

「驚かされてばかりだが……やること為すことが軽い。CP9は超人の集団。お前の小細工ごとき、何発受けようとおれは倒れん。――“(ソル)”ッ! ――“指銃(シガン)”!」

 

「くっ……!」

 

 高速移動からの“指銃(シガン)”の連打という、身体能力の差で押し切る作戦で来られた私はどうにか衝撃貝(インパクトダイアル)でいなしてみたが、それもかなり厳しくなってきた。

 

「いつまでその妙なモノでおれの“指銃(シガン)”を捌き切れるかな?」

 

「し、しまった……!? がハッ……」

 

 そして、ついにブルーノの“指銃(シガン)”が私の左肩と脇腹を貫いて、私の体から鮮血が飛散する。

 

「トドメだ! “鉄塊(テッカイ)・砕”!」

 

 飛び上がったブルーノは“鉄塊(テッカイ)”の状態のまま凄い勢いで落下してきた。

 これは当たると、それだけで勝負が決まってしまう。

 

「――ッ!? ――なんて、破壊力ッ!」

 

「外したか……」

 

 かろうじて身をよじらせて私はそれを躱す。

 

「攻と防を同時に放つ……、厄介なことを……。ならば……」

 

 私はだらんと腕を下ろして、脱力した状態で構えた。

 

「なんだ、その構えは? ナメてるのか!? ――“指銃(シガン)”ッ!」

 

「………こういう感じか? ふーむ」

 

 ゆらゆらと1枚の舞い散る木の葉のように揺れて、私はブルーノの“指銃(シガン)”を次々と避ける。

 

「こっ、この身のこなしはまさか……!? 貴様ごときが、“紙絵(カミエ)”を……!? ――グふッ!」

 

「避けながら、君が攻撃する瞬間を狙ってカウンターをしかける……」

 

 “紙絵(カミエ)”を何度か間近で見て、見聞色の覇気の応用で何となく真似ることに成功し、さらにブルーノの攻撃の瞬間に弾丸を撃ち出すと、彼は脇腹を押さえて苦悶の表情を浮かべる。

 

 さっきの“指銃(シガン)”のお返しをしたぞ。

 

「そ、そんな都合のいいことをいつまでも……! くそっ、当たらん! ――がハッ!」

 

 私はブルーノの“指銃(シガン)”と“嵐脚(ランキャク)”を回避しながら、カウンターを何度も浴びせる。

 

「――必殺ッッ! 灼熱星ッッッ!」

 

「――ッ!!? ごフッ……! し、信じられん! 空気開扉(エアドア)ッ!」

 

 さらに熱を付与した弾丸が彼の左肩を貫いたとき、彼はドアドアの実の能力を利用してエスケープした。

 

「ドアドアの実の力で消えたか……」

 

 空気開扉(エアドア)の能力で隠れられると見聞色でも出てくる瞬間でないと感知できない。

 

 私は精神を集中して、彼の気配を探り続けた。

 しかし――。

 

「回転ドアッ! “嵐脚(ランキャク)”ッ!」

 

「――目がッ! うわッ!」

 

 目の前にブルーノの手が出てきて、私の目の部分が回転する、意外な行動に面食らっていると“嵐脚(ランキャク)”によって体がズタズタに切り刻まれる。

 

「――“指銃(シガン)”ッ!」

 

「うっ……! 左腕が……!」

 

 さらに“指銃(シガン)”によって左腕が貫かれる。

 何とか急所を突かれることを避けられたけど……、血を流しすぎてしまったな……。

 

「その状況でわずかでも“紙絵(カミエ)”が使えたことは褒めてやろう。しかし、視覚が封じられれば攻撃は出来――。――何ッ!?」

 

「いきなりで驚いて、隙を見せたのは私の甘さだ……。はぁ、はぁ……、目が使えないなら最初から見なければいい」

 

 クルクルと目が回った状態が気持ち悪くて、見聞色を怠ってしまい隙を生み出してしまった。

 だけど、視覚が失われたことは私にとってそこまで問題じゃない。

 

「貴様、目を瞑って……、おれに攻撃を当てただと!? まぐれに決まっている!」

 

 ブルーノはこの状態で攻撃が自分に当たったことに驚きながらも、“指銃(シガン)”を放ってきた。

 

「まぐれじゃないさ」

 

「――ッ! がハッ! くっ……」

 

 その瞬間を見極め、私は目を閉じた状態でブルーノに弾丸を当てる。

 今度は右肩に当たったかな? 私は回転した目を止めて彼の負傷箇所を確認した。

 

「しかし、私も血を流しすぎてしまった……。そろそろ、君を倒さなきゃ面倒そうだ」

 

 実際、長期戦になると私は不利だろう。

 それに、まだエニエス・ロビーでの戦いは始まったばかりだし、ここでさらにダメージを受けるのは本意ではない。

 

「そろそろおれを倒す? 貧弱な狙撃手が何を戯けたことを……!」

 

 ブルーノは私の言葉が気に食わなかったのか、苛つきを顕にする。

 

「確かに私は貧弱だが……、()()に関して言えばそれなりに自信があるんだよ。ブルーノ」

 

 私は精神を集中させながらブルーノを睨みつけた。

 

()()? 確かに多少は腕がいい様だが……。攻撃が軽いのは致命的な弱点だぞ。――“(ソル)”! ドアドア!」

 

「――ッ!?」

 

 ブルーノは超スピードに加えてドアドアの実の力で床、空気中、と様々なところに隠れながら私を翻弄してきた。

 

「どうだ見切れまい! ドアドアと“(ソル)”のコンビネーションは! “鉄塊(テッカイ)・砕”!」

 

「――うッ!?」

 

 さらにその超スピードから“鉄塊(テッカイ)”状態で突撃するという容赦のない攻撃を加えてきた。

 

「貴様に攻撃を加えるときは常に“鉄塊(テッカイ)”をかけて行う! もはや貴様に勝ち目はない!」

 

「それはどうかな? ――必殺ッッ!」

 

 高らかに勝利宣言を行うブルーノに私は銃口を向け、集中力を最大限に高めた――。

 

 そして――。

 

「“鉄塊(テッカイ)・輪”ッ!」

 

「――衝流星(インパクトキャノン)ッ!」

 

 ブルーノと私は互いの必殺を同時に放つ。この刹那に勝負は決した。

 

「「…………」」

 

「き、貴様……」

 

 ブルーノはギロリと私を睨みつけるとばたりと倒れた。

 

「世の中には“アリの眉間”すら撃ち抜く狙撃手がいる。だったらせめて、()()()()()()()“人の眉間”くらいは撃ち抜けなきゃ、未来の海賊王の船の狙撃手は名乗れないだろ?」

 

 昔、幼かった頃にバカな親父がしていた自慢話を思い出しながら、私は眉間に弾丸を受けて倒れたブルーノに声をかけた。

 

 衝撃貝(インパクトダイアル)を加工した弾丸は使い捨てだが、1点に集中した攻撃力は通常の衝撃(インパクト)を大きく凌ぐ。

 故に当てる場所さえ間違わなければ一撃必殺の威力を発揮するのだ。

 まぁ、持って帰ってこれた衝撃貝(インパクトダイアル)の数に限りがあるので、ここぞという場面でしか使えないが……。

 

「うっ……」

 

「よっと。最後の射撃凄かったな。お前の父ちゃんみてェだったぞ!」

 

 ルフィはよろけた私をガシッと支えてくれ、ニカッと笑って声をかけてくれた。

 この人はずっと見守ってくれてたんだろうな……。私を信じて……。

 

「あそこにロビンがいる。早く助けに行こう」

 

「ちょっと、待ってろ。それなら……。すぅ〜〜」

 

 私が司法の塔を指さすと、ルフィは大きく息を吸い込み始めた。

 

「ロ〜〜ビ〜〜〜ン!! 迎えに来たぞォ!!!」

 

 ルフィの大声がエニエス・ロビーに響き渡る。

 彼は自分たちの到着を高らかに宣言したのである。

 

 

 しばらく待っていると、大きな音ともに司法の塔の屋根が崩れフランキーとロビンが飛び出してきた。

 おそらく、フランキーが彼女を連れてきてくれたのだろう。

 

 

「おーっ! ロビン! よかった。まだそこに居たのかァ! よしっ、待ってろ! すぐそこに――」

 

 ルフィはゴムゴムのロケットでロビンの元に飛ぼうとした。

 

「待って! 私はあなたたちの元には帰らない! 私がいつ助けてって頼んだの!? 私はもう死にたいのよ!」

 

 しかし、それをロビンは止める。彼女は助けて欲しくないし、死にたいと言う。

 そんな悲しいことを……。私は彼女の悲痛な気持ちを感じ取り、胸が痛かった。

 

 そこにルッチやカクを始めとするCP9たちが現れた。

 並んで立つとなかなか壮観だな。ブルーノと同格かそれ以上……。ルッチ、カク、ジャブラ……、この三人は別格で強い……。

 

「わははっ! よく集まった“CP9”! ――だが、もう少し待て! たった今、麦わらの一味が内部崩壊を始めたところだ! さぁて、間抜けな船長はどんな顔をしてあの女を――」

 

 そして、それを取りまとめているすべての元凶である長官のスパンダムが現れてニヤニヤとした表情でルフィの顔を窺おうとしていた。

 

 こいつがロビンを……。私は彼の顔をジッと見て、必ず報いをくれてやると誓う。

 

 そして、ルフィはというと――。

 

「ロビーーーン! 死ぬなんて、何言ってんだァ!? お前!」

 

「鼻をほじるのは止めないか?」

 

 ルフィは鼻をほじりながらロビンの叫びを聞いていた。

 まったく。彼らしいというか。何というか……。

 

「あのなァ! お前! おれ達ここまで来ちまったから、とにかく助けるからよ!! そんでなァ、それでもまだお前死にたかったら、そしたら、その時死ね! 頼むからよ、ロビン! 死ぬとか何とか――何言っても構わねぇからよ! そういうのは、おれ達のそばで言え!!」

 

 ルフィはロビンの意志は放ったらかしで、まずは助けると言い出す。

 これ以上ない直球の言葉に彼女もスパンダムも言葉を失ったみたいだ。

 

「あっはっはっ! そうだな。ルフィ! とりあえず君は助かってから、そういうことを考えたらどうだい!?」

 

 私はルフィの素直というか、自由と言うか、そんな純粋な気持ちが愉快になり、彼に同調した。

 

「キャハハッ! ねっ、言ったでしょう!? この船長にあんたの理屈なんて通じないのよ!」

 

 ミキータも隣に立って朗らかな笑顔を見せる。

 

「そうだぞ! ロビンちゃん!」

 

「ロビン帰って来ーい」

 

 仲間たちも裁判所の屋上まで駆け付けて来てくれて、私たちはズラリと横一列に並んで、CP9と対峙する姿勢で睨み合った。

 

「あとはおれたちに任せろ!」

 

 そして、ルフィは自信に満ちた声で自分たちに任せるように言い放った。

 

 麦わらの一味とCP9はここから全面対決へと移行する――。

 

 ロビンの気持ちを確かめた後に――。

 

 




衝流星(インパクトキャノン)は、名前のとおり衝撃貝(インパクトダイアル)の効果が付与される弾丸です。
強いのですが、使い捨てなのでここぞという場面でしか使えないということで、ライアの当面の切り札になりそうです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。