ウソップっぽいポジションに転生したはずなのに、なんで私は女の子なんだろう 作:ルピーの指輪
今月も何とか頑張って投稿していきますので、よろしくお願いします!
「くっ……、私が弱かったせいで仲間が守れなかった……!!」
森の奥まで逃走した私はようやく意識が回復して、体が動くようになった。
「あなたが弱かったんじゃない……。相手が悪いのよ……。リューマは
シンドリーは優しい口調で私を慰めるが、到底納得することは出来なかった。
あの場面……、ルフィたちとの合流まで逃げに徹しなかったのは私の慢心だ。
ゾンビたちの強さを推し量れなかったことを含めて……。
そもそもネガティブホロウの時点で撤退を考えなかったことは悪手でしかなかった。
「ナミたちを早く助け出さなきゃ……」
「ダメよ。その体じゃ……、あなたまで影を取られちゃう。お願い逃げて……! 今の私は胸が高鳴って止まってた心臓が何故か動き出して自由を得た。でも、こんな奇跡は長く保たない……。この奇跡を与えてくれたあなたにだけは助かってほしいの」
ナミたちの気配を探り、その場所へと急ごうとする私をシンドリーはもの凄い力で腕を掴んで引き留めようとする。
私に逃げてほしいと懇願しながら……。
「――心臓が動くってそんなバカな……!? でもごめん。君に助けられたことは感謝するけど……。私は逃げない。自分のプライドを懸けて……、みんなを助ける!」
私はもう逃げ出すわけにはいかなかった。自分のミスは自分で取り返す。
モリアのところに直接乗り込んででも彼女たちを助ける!
「――そう。あなたにそこまで想われる人たちが羨ましい……。分かった……。私も手伝う。この奇跡であなたの仲間が助けられれば――それでいい」
シンドリーは腕の力を緩めて、私の手を握りしめて私を助けると言ってくれた。
自分が動ける残り少ない時間をそれに捧げると――。
「シンドリー……」
「そんな顔しないで。私、そんなにいい死に方じゃなかったけど、いい人生だったのよ。舞台上で演技して、みんなから声援をもらって……。幸せだった……。そして、今も幸せ……。好きな人を見つけて、恋をすることを思い出せた――」
彼女はニッコリ笑ってみせた。その表情は一点の曇りもなく清々しい笑顔だった。
「――恋? いや、ええーっと。私は……」
シンドリーの“恋”という言葉を聞いて私は動揺する。
もしかして彼女は私を男だと勘違いしている?
「知ってるわよ。女の子なんでしょ? お風呂での会話……、聞いていたわ。躊躇いなく、女の子2人を連れて服を脱ぎ出したときはそういう人なのかと思ったけど……」
シンドリーは浴室付近に確かに居た。そうか、話は聞いていたか……。
「いや、それなら……」
「
シンドリーは私が女でも構わないと言って、胸を抱くような仕草をする。
でも、いや、だからこそ……。
「私は君の想いには応えられない……。だから、君の想いを利用するようなことは――」
「ふふっ……、真面目なんだから。あなたが望むことを私は尊重したいの。だから手伝わせて……。――まずは“塩”を手に入れましょう。塩にはゾンビたちを“浄化”する力があるわ」
シンドリーは塩でゾンビが浄化されることを話した。うん。それは知っている。
でも、彼女が手伝いたいという気持ちは嬉しかった。
リューマのときは彼が速すぎて使えなかったが、私も
「――必殺ッッッ! 海水花火星ッッッ!」
「「ギャああああッ」」
悪魔の実の能力者対策で作った失敗作、
ルフィに試してみたけど、ちょっと海水で濡れたくらいじゃ、能力は封じられなかった。
しかし、口の中に塩が入れば浄化されるゾンビは違う。私は次々にゾンビたちの体内に海水をねじ込み、モリアの居城にいる仲間たちの元を目指した。
「「私たち! 男なんだぜ!!(キャハッ!)」」
「「え〜〜〜!」」
ナミたちはビックリするくらい、あっさりと見つかった。
求婚のローラの影が入っている猪ローラに追いかけられていたらしく、ナミとミキータは自分たちが男だと言い張っている。
そして、猪ローラとチョッパーが驚きの声を上げていた。
チョッパー……、君はどこで男女の判断をしてるんだい?
「そうなの?」
「そ、そう。私たちはオカマなの、ね? 冗談じゃないわよーう」
「キャハハッ! そうそう、冗談じゃないわー」
まだ不思議そうな顔をしている猪ローラに対してナミとミキータは雑な芝居を続けている。
「それに、あなたとあの獣男のことすっごくお似合いって、ねー?」
「キャハッ……! まさにベストカップルって感じ……みたいな」
そして、アブサロムと猪ローラがお似合いだと2人は彼女を持ち上げていた。
「ホント!? 今まで誰にも後押しされたことないのに……。こんなに優しい言葉は初めてよ……」
「友情ってこういうものよ。マイフレンド! 私は“ナミゾウ”、ナミって呼んで。こっちは――ええーっと……」
「“ミキタロウ”よ。キャハハ、ミキータと呼んで……」
猪ローラは感動していて、ナミは“ナミゾウ”、ミキータは“ミキタロウ”と名乗っている。
よくやるなぁ。こういうアドリブ……。
「何やってんだ……。君たち……。でも、良かった。無事だったんだね……」
話も一段落したようなので、私はようやく2人に声をかけることができた。
「「ライア!」」
ナミたちは私に気が付いて駆け寄ってくる。
ふぅ、何はともあれ大した怪我をしてなくて良かった……。
「あら、シンドリーじゃない。こっちに来るなんて珍しい。そっちは……、なに、あなたの友――! ――ッ!? 結婚して!!」
そして、猪ローラはシンドリーに気が付いて声をかけていたが、ついでに私にも気が付き求婚してくる。
アブサロムはどうした? アブサロムは……。
「「おい!」」
これにはすかさずナミとミキータがツッコミを入れる。
「ローラ結婚は無理。この人は女……」
シンドリーは淡々とした口調で私が女だということを告げた。
自分で言うのは悲しいから言ってくれて助かった……。
「えっ? え!? え〜〜〜〜ッ!!!?」
すると、猪ローラは口を大きく開けて、目と舌を極限まで飛び出させながらオーバーなリアクションを取る。
ちょっと待て! おかしいぞ!
「なぜ、ナミたちのときよりリアクションが大きいんだ!?」
「まぁまぁ……」
私は猪ローラを指さしながら抗議をしたが、ミキータが私の肩に手を置いてなだめるような仕草をした。
「な、なるほど。オカマとオナベの友達同士ってことね……!? 腐れ驚いた!? 心臓が止まるかと思ったわ……! ――はっ、もう止まってた!? でも、それにしてはシンドリー。あなたはやたらとその子にベタベタしてるじゃない」
ローラはシンドリーがさっきから私にピタリとくっついて離れないことに疑問を呈する。
そうなんだよな。シンドリーはものすごい力で私の腕を組んで離してくれないんだよ……。
「別にいいでしょ。男は男同士……、女は女同士でみんな恋愛してしまえばいい……」
「それは、どうかと思うよ……?」
シンドリーの極論に対して、私は流石にツッコミを入れた。
「お、女の子同士の恋愛!? か、考えてみもしなかったわ! あなた進んでるのね〜〜!? じゃあ、アブサロムが男の人に奪われる可能性も!?」
猪ローラはハッとした表情でナミたちをジロっと見る。
「あんた! 話をややこしくするなよ!」
「大丈夫。あの獣男はそんな趣味ないから、きっとあなたに振り向くから!」
ミキータがシンドリーに文句を言って、ナミは必死で猪ローラを説得していた。
上手いもので、一度恋バナに花を咲かせるとナミとミキータは猪ローラと打ち解けて仲良くなっていた。
「ところでローラ、私、財宝置き場で忘れ物しちゃって戻りたいんだけど、どこだったかしら?」
「ドジねェ。いいわよ、あそこはペローナ様の部屋から行けば近いわ」
そして、仲良くなった途端にナミはさり気なく財宝置き場の場所を聞き出す。
こういうところはしっかりしてるよな。感心する。
「キャハハ! ナミゾウったら、もう……、ブレないんだから……だぜ!」
「――アブサロムの気配がするね……。ほら、こっちに来てる……」
ミキータがそんなナミに声をかけると同時にアブサロムがこちらに向かってくる気配を感じた。
ここで彼を倒すより隠れて様子を見たほうがいいかもしれない。
どうやらサンジとゾロがモリアに影を取られたみたいだ。彼らの動きがさっきからずっと止まっている。
ロビンとフランキーはブルックと居るな……。良かった。
あとはルフィだけど……。捕まってないよな……?
「チャンスよ、ローラ! あなたの想いを伝えるの!」
「ありがとう! ナミ! ミキータ! 私頑張る!」
ローラはナミとミキータに見送られて、ダッシュでアブサロムに突撃をしていった。
「サンジとゾロがやられたみたいだ……」
「えっ? あの二人が!?」
私が2人が倒されてしまったことを伝えるとみんなは驚いた顔をした。
しかし、驚いている場合じゃない。
「うん。だけど大丈夫。彼らは生きている。とりあえず、今私たちが置かれてる状況を説明しよう――」
私はモリアの能力などについてナミたちに説明をする。
彼女らは恐ろしいモリアの力に戦慄していた。
「影を奪って、その力をゾンビ兵に埋め込むって……。キャハハ、エグいことするわ」
「ドクトル・ホグバックがそんなことを……」
ミキータはその非道な行いを嫌悪して、チョッパーはホグバックが死体を弄んでゾンビ兵を作っていることにショックを受けていた。
「私の肉体も別人の影によって動かされていたわ。今のように心臓が動く前は、影の持ち主の人格の影響で皿が嫌いだったり、ホグバックの命令には絶対に服従だったの」
シンドリーは自分の体を例にあげてゾンビ兵のシステムについて説明する。
「死体の心臓が動くなんて……。まったく、恐ろしいことするじゃない」
「それって、私に言ってる?」
ナミはジトっとした視線を私に送り、私は自分を指さして彼女の言葉を確認した。
「キャハッ! 他に誰が居るのよ?」
ミキータはバカなことを聞き返すなと言わんばかりの態度で私を見ていた。
そんなことを話している最中である。私たちは建物全体が震える中で、とてつもない怒号を耳にした。
「肉~~~~~っ! ハラ減った~~~~! サンジ! メシーーーー!!!」
聞き覚えがあり過ぎるフレーズに私たちは身震いする。
どう考えても普通のサイズの人間ではない声でルフィのセリフが聞こえたからだ。
「まさか、ゾンビナンバー900号に影を……!?」
「なんだ? ゾンビナンバー900号って?」
シンドリーの声にチョッパーが質問する。
「“島引き伝説”をもつ、史上で唯一“魔人”と呼ばれたオーズという男のゾンビ兵よ。巨人族よりも遥かに大きな身体で、ホグバックの最高傑作……」
彼女はオーズについて説明をした。やはりルフィも影を奪われてしまったか……。
「キャハッ……、待って。そんなやばい身体に船長の影なんて入れられたら……」
「地獄ね……。控え目に言って……。ライア、どうしましょう?」
ルフィの戦闘力を持つ“魔人”……。
ナミたちはその言葉のインパクトに戦慄する。
ルフィがデカイってそれだけで脅威だよなぁ。
「とりあえず、フランキーとロビンは無事のようだから、彼らと合流しよう。そしてルフィたちを助け出して影を取り返すんだ」
ナミの言葉に私はそう答えて、まずは仲間を全員揃えることが先決だと話した。
反撃をする前に出来るだけ戦力を整えないと……。
◇ ◇ ◇ ◇
「美女の剣豪が肉を持ってきたぞ!!」
「美女……!?」
「剣豪ォ……!?」
「肉……!?」
フランキーとロビンと合流して、シンドリーの案内でサニー号の元へと辿り着いた私たちはダイニングで眠っているルフィたちを発見した。
彼らはどんなに頑張っても起きてくれなかったので途方に暮れていたが、私が何とか漫画でどうやって“ウソップ”が彼らを起こしたのかを思い出して、それを試すとようやく彼らは目覚めた。
こういう機転は私が彼に及ばないところだな……。
さらにフランキーがブルックとラブーンの関係を話して、私たちの士気は最高潮に達した。
「うは〜〜〜!! ぞくぞくしてきた!! あいつは音楽家で! 喋るガイコツで! アフロで! ヨホホで! ラブーンの仲間だったんだ!! おれはあいつを引きずってでもこの船に乗せるぞ! 仲間にする! 文句あるか!? お前ら!!」
「「ない!!」」
ルフィがブルックを仲間にすると宣言して、今度は誰も文句を言わなかった。フランキーなど終始泣いていた……。
「よっしゃあ! 野郎ども! 反撃の準備をしろ!! スリラーバークを吹き飛ばすぞォーーー!!」
麦わらの一味にシンドリーを加えた9人は全員でモリアの居城に再び乗り込む。“影”を取り返すために――。
シンドリーは本来の人格と影の人格が混ざった感じになってます。
さて、次回はいよいよホロホロの実の能力者が登場です!
スリラーバーク編のメインになりますのでよろしくお願いします!