ウソップっぽいポジションに転生したはずなのに、なんで私は女の子なんだろう   作:ルピーの指輪

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いつも誤字報告や感想をありがとうございます!
遂にシャボンディ諸島に到着してしまいました。
前半のクライマックスにどんどん近付いております。
それでは、よろしくお願いします!


シャボンディ諸島の冒険

「せっかく巨人を捕まえてったのによォ! それをオークション開始寸前に“人魚”を持ち込んだ奴がいるってんだよ!」

 

 人さらいを商売にしている連中を総当たりして、ようやく有力な情報が掴めた。

 これは恐らく当たりだな……。

 

「ふむ。それはどこのオークション会場なのかな――?」

 

「――ッ!? い、いつの間に!? お、おいっ! 話すから、その物騒なモンはしまってくれ――」

 

 私は手っ取り早く話を聞くために銃口を男の喉元に突きつけながら質問し、彼からオークション会場の場所を聞いた。

 

「場所は1番GR(グローブ)、“ハウンドペッツ”!! ここから行くんだったら……、小回りが利くこっちを使った方が良いな……」

 

 私はホバーボードに乗って、最短距離を走行して“ハウンドペッツ”に向かった。

 

 私が辿り着いたとき、サンジ、フランキー、ナミ、そしてチョッパーがオークション会場の前で男と揉めていた。

 

「だからなんで返せねェんだよ! ケイミーちゃんは売られるような筋合いがねェっつってんだよ!!」

 

「筋合いないのはお前だ。これ以上騒ぐと“営業妨害”で訴えますよ」

 

 怒れるサンジの言葉に男は平然とした顔でそう返す。

 まったく、どの世界にもろくでもない連中は居るものだ。

 

「政府はいつから“人身売買”なんて許可を出したんだい?」

 

「さァ、政府や軍の関係者は“人身売買”という言葉が聞き取り辛いらしく……、この商売のことは全く知らないらしいですねェ」

 

 私の言葉もニヤニヤと笑いながら男は受け流し、私たちのイライラは頂点に達した。

 

「ええい、まどろっこしい! 人魚がここに居るなら、こうすりゃ良いだろ!?」

 

「ニュ〜〜! 止めてくれ! “天竜人”も居るし、中のケイミーは既に“首輪”を付けられている筈……」

 

 フランキーが堪らず、オークション会場を吹き飛ばそうと左腕に仕込んでいる迫撃砲の砲口を扉に向けると、ハチが必死に彼を止める。

 そうか、天竜人はともかく首輪があったか。私は見ていないが、確か奴隷たちは爆発する首輪を付けられていた。

 ケイミーがそれを付けているということは――。

 

「あの爆発する首輪!? じゃあ、下手に連れ出せもしねェぞ!」

 

 チョッパーの言うとおり、力ずくではいかないな……。

 

「ライア! 船の宝って換金したら2億くらいはあるわよね?」

 

「少なくともそれくらいはあるんじゃないかな?」

 

 ナミはモリアから奪った宝について私に聞いてきた。

 何気に宝をきっちり奪うあたり私たちの中でナミが1番海賊をやっていると思ってたりする。

 

「よし! 手が出せないなら、ここのルールでケイミーを取り返しましょう」

 

「なるほど。ハチ、2億ベリーあればケイミーは落札できそうかい?」

 

 ナミの意図を理解した私はハチに彼女の相場について質問をした。

 こういう下衆な話はしたくないのだが、事態が事態なだけだから仕方ない。

 

「にゅー、そりゃあ、それくらいあれば十分だけど……。おれはそんなに返せない……」

 

 ハチはお金の心配をする。ケイミーを助けるためのお金なのにそれを彼が返そうと考えているのだ。

 

「なーに? ハチ。あんたケイミーの保護者かなんか?」

 

「ナミ、聞くだけ野暮だよ……。安心しな、ナミだって友達を取り返したいんだ。心配はしなくて良いさ」

 

 ナミがケイミーとハチの関係を尋ねていたので、私はそれを止めて、ハチにお金の心配はしなくても良いと声をかけた。

 

「そゆこと。ていうか、あなたって他人のこういう事には普通に感覚が働くのね。普段はびっくりするほど鈍感なクセに……」

 

 ナミは私の言葉を肯定した上で、私の普段が鈍感だと毒づいてくる。

 そんなに鈍感なのかなぁ……。私は釈然としなかったけど、反論はしないでおいた。

 

「――お前ら……、この恩は……!」

「一生忘れねェ!」

 

 ハチとパッパグは涙を流して礼を言っていた。

 いつも思うけど、ナミは本当に人間が出来てる。ハチの居た魚人海賊団とは色々とあったのに、この前も彼を助けようとしたし……。

 これは、誰にでも出来ないと思う……。

 

 彼女のような人間が仲間で私は誇らしかった――。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

『魚人島からやって来た! 人魚のケイミー!!』

 

「うおおおおおーーっ」

「本物だ! 若い人魚だ!!」

 

 オークション会場に入った私たちは人間たちが売られていく光景をまざまざと見せつけられた。

 何ていうか、人ってここまで醜くなれるんだな……。

 あんまり私は正義感とか振りかざすタイプではないが、この空間の雰囲気は耐え難いものだった。

 

 そして、世界貴族――“天竜人”……。連中もオークションに参加していた。

 この世界を創ったとされる20人の血族の末裔が“天竜人”とされていて、彼らは無条件で敬う対象となっている。

 “天竜人”に喧嘩を売ると海軍“本部”大将が飛んでくると言われているので、誰も彼らには手を出せないでいるのだ。

 

 “天竜人”については漫画での知識だけで嫌悪感しかなかったが、やはり実物を見るとより醜悪に見えるな……。

 

 そんなことを思っていた矢先である。

 

「5億で買うえ〜〜! 5億ベリー〜〜〜!!」

 

 間の抜けた声がオークション会場に響き渡る。

 “天竜人”の男がケイミーに5億ベリーの値をつけたのだ。

 

 当然、誰も上乗せすることは出来ず……、ケイミーは落札されてしまった。

 

「マズイな……。金で解決できるならと身を引いたら、より厄介になっちまった」

 

「そんな、おれたちどうしたら!?」

 

 サンジもチョッパーもこの事態をどうすべきなのかと焦った顔をしだした。

 

「ニュ〜! おれ、こうなったら力ずくで――」

 

「うむ。それしか手は無さそうだな。問題は首輪の鍵だが……」

 

 私はハチの言葉に同意して銀色の銃(ミラージュクイーン)を取り出す。

 

「ライア、ちょっと本気なの? 下手したら大将がここに来るのよ……。とりあえず、銃を寄越しなさい……! あなたって、時々ルフィやゾロより喧嘩っ早いんだから……!」

 

 すると、ナミは私がむやみに発砲しないようにするためなのか、銃を私から奪い取った。

 でも、このまま引くわけにはいかないじゃないか……。

 

「ナミさん。この状況じゃそれしか方法は無さそう――」

 

 サンジが私のフォローをしてくれようとしたとき、大きな音とともにトビウオがオークション会場に飛び込んできた。

 

「もっと、上手く着陸しろよ!!」

 

「ん? ここはサニー号じゃねェな。どこだ?」

 

 そう、ルフィとゾロがようやくこの会場に辿り着いたのだ。

 

「ルフィに、ゾロも……!?」

 

 チョッパーも彼らの存在に気が付き、少しだけホッとした表情を浮かべる。

 

「おっ! ケイミー、探したぞ〜〜〜!! よかった〜〜!!」

「ちょっと待て! 麦わら!!」

 

 ルフィは到着するなりケイミーを見つけて、彼女が入れられている水槽に向かって走り出そうとしたが、それをハチが全力で止めた。

 

「きゃ〜〜!! 魚人よ!!」

「なんで陸に魚人が居るんだ? 気持ち悪い……!」

「怖いわ〜! 存在が怖い……! 近寄らないで〜〜!」

「海へ帰れ化物!!」

 

 そんなハチの姿を見て、オークション会場の人たちはパニックを起こす。

 魚人という存在を嫌悪するように……。

 

「ロビンが言ったとおりだ……。この島では魚人や人魚が差別を受けている……」

 

 その異様な光景をみたナミは青ざめた顔をして、魚人たちへの差別の存在を認識した。

 

「えっ? ケイミーもハチも……!?」

 

「残念だけど……、これもまた現実だ……。未だに魚人や人魚に対する風当たりは強い……」

 

 私もこのような差別があることは知識としては知っていたが、実際に目の当たりにすると、何とも胸が痛いというか、虚無感に襲われてしまった。

 

「きゃあああああっ!」

 

「むふふふ! むふーん♪ 当たったえ〜〜! 魚人を仕留めたえ〜〜!」

 

 そんな中である。天竜人の男がハチを銃で撃った――。

 あまりに殺気がなく。虫を叩くような当たり前の感覚で人を撃つ光景に私は狂気を感じた。

 

 しまった……。ナミから銃を回収していれば――。

 

「はぁ、撃たれてよかった。気持ち悪かったし」

「何か企んでいたに違いない……」

 

 しかし……、より狂気を感じたのは、その様子を平然とした顔でオークション会場の人たちが見ていたことに対してだ……。

 

「お父様〜〜! これは自分で仕留めたからタダでいいえ〜〜! 得したえ〜〜! 魚人の奴隷がタダだえ〜〜!」

 

「――ッ!?」 

 

 醜く下衆な言葉を吐く、ハチを撃った男にルフィはキレてそちらに向かおうと歩き出す。

 

「ルフィ……」

 

「ま、待ってくれ麦わら……! おれがドジったんだ……! 目の前で()()()()()()()!! 天竜人には逆らわないって約束したろ? ど、どうせおれは海賊だったんだ……。悪ィことをしたから……、その報いだ!」

 

 そんなルフィをハチは必死で止めた。天竜人に手を出すとどうなるのか知っているから……。

 

「…………」

 

「ゴメンなぁ、こんなつもりじゃなかったのになぁ……! ナミに――ちょっとでも償いをしたくて……、おめぇらの役に立ちたかったんだけども――結局、迷惑ばっかりかけて、ゴベンなぁ~〜!!」

 

 ハチには彼なりのナミに対する贖罪の気持ちがあったらしい。

 涙ながらに謝罪する彼の言葉は悲痛な叫びに聞こえた。

 

「魚め〜〜! 撃ったのにベラベラ喋ってムカつくえ〜〜!!」

 

「やめろ、ムギ! おめェらもタダじゃ済まねェぞ!」

 

 天竜人の男が再びハチに銃口を向けたとき、ルフィは彼に向かってゆっくりと歩いて行った。

 パッパグは止めていたが、無駄だろう。既にルフィの心は決まっている。

 私はこれから起きることを予感して、ナミの持っている銀色の銃(ミラージュクイーン)を回収した。

 

「何する気だ!? あいつ!!」

 

「むっ、お前もムカつくえ〜〜! ――ヴォゲァアッ!!!!」

 

 天竜人の男が発砲したその刹那、ルフィの豪腕は彼の顔面を捉えて、その男を吹き飛ばす。

 そう、モンキー・D・ルフィは天竜人を公衆の面前で堂々と殴り飛ばしたのだ……。

 やはり、やってくれたか……。そりゃあルフィなんだから仕方ない……。

 

 

「悪ィお前ら……、コイツ殴ったら海軍の”大将”が軍艦引っ張って来んだって……」

 

 ルフィは一応、“大将”が来ることは知っていたみたいで、私たちに謝罪をする。

 

「お前がぶっ飛ばしたせいで斬りそこねた」

「私は撃ちそこねた……」

 

「あなたたち……」

 

 刀と銃を構えている私たちを見て、ナミは頭を抱えていたが、口元は緩んでいた。

 

 そして、オークション会場にいた衛兵たちと私たちの戦闘が始まる。

 

 ミキータ、ロビン、そしてブルックもこの会場に辿り着き加勢してくれたので、会場内の兵士たちを蹂躙するのは簡単だった。

 問題は、外を取り囲んでいる海兵だな……。

 彼らの目的は恐らく――。

 

 

「あいつらの狙いの人魚を殺すアマス!! ――なっ、下々民がまた狼藉を!?」

 

「やらせないよ――! そこから動くと今度は怪我をすることになる。痛いのが嫌なら大人しくしていろ!」

 

 女の天竜人がケイミーを撃とうとしたので私はその銃を撃ち落とした。

 

「――はいッ! わかり申したでアマス! ――って、なぜ、私が下々民に媚びるような態度を取っているアマス!? ゆ、許せん!! しかし、今までに見た誰よりも……! いや、そんなことは関係ないアマス! ――ッ!?」

 

 彼女は私の顔を見て一瞬だけ素直に“気をつけ”の姿勢をとったが、直ぐに怒った表情となり落とした銃を拾おうとする。

 だが、その前に口から泡を吹いて倒れてしまった。

 

「シャルリア宮!!」

 

「――これは、覇王色……。やはり居るのか……」

 

 ビリビリとした気迫が舞台裏から放たれたことに気付いた私は視線をそちらに向ける。

 

「――ほら見ろ、巨人くん。会場はえらい騒ぎだ……。オークションは終わったし、金は盗んだ。ギャンブル場に戻るとしよう」

 

「質の悪いじいさんだな。――金を()るためにここにいたのか?」

 

「あわよくば、私を買った者から奪うつもりだったんだがなァ。――考えてもみろ……。こんな年寄り、私なら奴隷になど絶対にいらん!! わはははは」

 

 舞台裏から出てきたのは、海賊王ゴール・D・ロジャーの船で副船長を務めていた伝説の男――“冥王”シルバーズ・レイリー……。

 なるほど、今までに会ったどんな強者とも違う……。

 

 なんせ、さっきまで……、私は彼の力を探知出来なかったからだ。ごく普通の一般人と同じくらいの力しか感じていなかった。

 実力をあえて隠すなんてことも出来るのか……。

 

「お、おい。なんで錠が外れてるんだ?」

「知るか、んなこと。まずいぞ巨人が暴れたりしたら……」

 

「レイリー……!」

 

 会場がざわつく中、ハチは彼の名をつぶやく……。

 

「おおっ! ハチじゃないか! 久しぶりだな!! その傷はどうした――!? いや、待て、答えなくていい……」

 

 レイリーはハチに質問しておきながら、答えなくて良いと口にして、しばらく辺りの様子を観察する。

 そして、ハチがケイミーを救うために酷い目に遭ったこと、私たちがそれを助けたことなどを全て察したようだ……。

 覇気とか関係なく洞察力も化物だな……。

 

 

「――さて」

 

 レイリーが目を見開くとビリビリとした気迫が会場全体に飛ばされる。

 

「「――ッ!?」」

 

 覇王色の覇気は意志の弱い者たちをひれ伏させる力がある。レイリーが放ったのはまさにそれだった。

 会場にいる兵士たちが皆、バタバタと倒れていく。

 

「――なんだ、このじいさん。何をした?」

 

 サンジもゾロもその光景を見るだけで、レイリーが只者ではないことに気付いたみたいだ。

 

「その()()()()()は精悍な男によく似合う。会いたかったぞ……!! モンキー・D・ルフィ……!!」

 

 レイリーは真正面に立っているルフィに声をかける。まるで、ずっと彼を待っていたように……。

 漫画だとレイリーがルフィの師匠になったし、そういう運命みたいなのを最初から感じていたのかな? 麦わら帽子も元々は海賊王のモノだったみたいだし……。

 

 その後、レイリーはあっさりとケイミーの首輪を外す。多分、覇気の応用なんだろうけど……、さっぱり意味がわからない。

 

 そして、商品にされていた人たちを解放して、ここから退散することになった。

 

 ルフィはオークション会場に居たユースタス・キャプテン・キッドとトラファルガー・ローと共にいち早く表から出て、正面にいる海兵たちを粗方吹き飛ばして、脱出を楽にする。

 

 おかげで私たちはそれほど派手に戦闘をすることなく、トビウオライダーズ改め、人生バラ色ライダーズと共にこの場から離れることが出来た。

 

 

 

「え〜〜〜〜っ!! 海賊王の船にィ!!!」

 

「副船長をやっていた、シルバーズ・レイリーだ。よろしくな」

 

「「副船長!?」」

 

 元海賊でハチと顔なじみの女店主シャクヤクが経営する酒場、『シャッキー'S ぼったくりBAR』まで逃亡した私たち。

 レイリーの正体を聞いたルフィたちは驚きを隠せない様子だった。

 

 もっともブルックはロジャーの名はルーキー時代で止まっていて、ロビンは元から気付いていたみたいだから顔色は変わってなかったが……。

 

「あら、気付いてなかったの?」

 

「みんな、海賊はやってるけど、他の海賊には興味ないんだから仕方ないよ」

 

 ロビンは不思議そうな顔をしていたが、そもそもルフィは他人に無関心だし、他のみんなも特に海賊に興味もないので顔を知らなくても無理はない。

 

 レイリーはロジャーの話をしてくれたが、知ってる話でも体験した人から聞くと全然違うというか、感慨深いものがあった。

 

「私はモンキーちゃんにも会いたかったけど、あなたにも会ってみたかったわ。ライアちゃん」

 

「えっと、シャクヤクさん? な、なんで私と?」

 

 雑談をしてると、シャクヤクが私に飲み物のお代わりを渡しつつ、私に会いたかったと言ってきた。

 この人も只者じゃない感じだけど、掴みどころがない人だな……。

 

「うふふ、シャッキーって呼んで。だって手配書の写真がとってもキレイだったんだもん。本物はもっと素敵ね」

 

「えっ? えっと……。私はシャッキーの方が女性らしくてキレイだと思うが……」

 

 シャクヤクは私をキレイだと褒めるが、私は彼女の方がキレイというか年齢的にあり得ないくらい若々しくて素敵だと思う。

 

「――まぁ、噂のレディキラーに口説かれちゃったわ。そういうとこ、昔のレイさんみたい」

 

「おいおい。私がいつ君を口説いたって?」

 

 シャクヤクの言葉にレイリーは少し困った顔でツッコミは入れる。

 この二人はまぁ、そういう関係なんだろう……。

 

「都合の悪いことはすぐ忘れちゃうんだから。あなたたちも覚えておきなさい。泣かされるのはいつも女なのよ」

 

 そして、シャクヤクはやれやれと肩をすくめて、タバコの火をつけてそんなことを言っていた。

 いや、それじゃあまるで私が質の悪い男みたいじゃないか……。

 

「キャハハ、まったくもってその通りね」

 

「少しは反省してもらいたいわ」

 

 ミキータとロビンは顔を見合わせて頷きながら、シャクヤクに同意した。

 

「ロビンまで……。ちょっと、待ってくれ。シャッキー、私はだな――」

 

「知ってるわ。女の子なんでしょ? でも、そんなのは関係ないわ。気を付けなさい。知らないところで泣かされてる子もいるんだから」

 

 彼女は私の性別は知っていて、それでも気を付けるように忠告する。

 うーん。泣かされる子ってビビのことかな? 彼女には悪いことをしたとは思ってるけど……。

 

「シャッキー、お嬢さんが困っているだろう。それくらいにしてあげなさい」

 

 言葉に窮していた私に気が付いたレイリーは助け舟を出してくれた。

 なんというか、レイリーは思ってたより気さくで温かい人だ。こういう人だからこそ、ロジャーも彼に背中を預けたんだろうな……。

 

 レイリーはコーティング作業に3日かかると言った。

 そして、彼は自分のビブルカードを渡して、3日後の夕刻に自分のいる所にカードの示す方向を辿って来てほしいと話した。

 

 既に私は黄猿であろう人間の気配を感知している。

 ここから先の展開が漫画と同じとは限らない。バーソロミュー・くまが現れるか……、それとも……。

 

 私はレイリーのビブルカードを見つめながら、この先の行動を何度もシミュレーションしていた――。

 




次回は麦わらの一味が……。
さて、ライアはどこに行くのでしょう?
ここから、原作と違う展開になりますので是非ともご覧になってください!

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