ウソップっぽいポジションに転生したはずなのに、なんで私は女の子なんだろう   作:ルピーの指輪

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この辺りのライアの立ち回りも色々と考えて二転三転しました。
結局書きやすさを優先した感じです。
彼女の立ち回りはベストではないと思うし、失策もあると思いますが、私が描いてるんだから仕方ない。


頂上戦争開始!

 

「――諸君らに話しておく事がある。ポートガス・D・エース……。この男が今日ここで死ぬ事の大きな意味についてだ――!」

 

 センゴクが電伝虫を利用して全世界に発信をする。

 エースという男を処刑する意味を――。私はもちろん理由を知っているが……。

 

「エース、お前の父親の名前を言ってみろ!」

「――っ!?」

 

「オヤジ?」

「何だ? こんな時に……」

 

 海兵たちはその質問の意味を知らない。当然だ。

 前の世界と違ってこの世界では親の罪が子の罪となる理不尽が通っている。

 この秘密が知られていれば、エースはもっと畏怖されるべき存在になっていたに違いない。

 

「おれのオヤジは白ひげだ!」

「違う!」

「違わねェ! 白ひげだけだ! 他にはいねェ!」

 

 彼は自分の()()()は白ひげだと答える。

 エースの言葉は心底の本音なのだろう。

 

 しかし、センゴクは説明した。彼の出生の秘密を……。

 

 彼の母親が父親の秘密を知られないように必死になって20ヶ月も腹に彼を隠してきたという事実。

 それを突き止めたとき、彼の父親の正体がわかったとのことだ。

 

 そう、エースの父親は――。

 

「知らんわけではあるまい――! お前の父親は! 海賊王ゴールド・ロジャーだ!」

 

「「――っ!?」」

 

「おぬし、知っていたか? ルフィの実の兄ではないと……」

「まさか。驚いているよ……」

 

 エースの父親の名前がセンゴクの口から言い放たれたとき、周りの海兵たちはどよめいた。

 そりゃあそうだ。海賊王であるゴール・D・ロジャーの関係者は容赦なく処刑されてきたのだから。

 フランキーの恩人のトムだって、船を作っただけで処罰の対象になったし。息子など本来見逃して良い存在じゃないんだ。

 

 つまり、エースは生まれたときから十字架を背負わされたことになる……。

 

「お前を放置すれば、必ず海賊次世代の頂点に立つ資質を発揮し始める! だからこそ今日ここで、お前の首を取る事には大きな意味がある! たとえ”白ひげ”と全面戦争になろうともだ!」

 

「「ウォォォォォッ!!」」

 

「このタイミングで彼の出生を話すとは……。士気を上げるには絶好のタイミングだね」

「うむ。世界を守るという大義名分が出来たということじゃな……」

 

 マリンフォードに雄叫びが響き渡る中で、私とハンコックはそんな会話をしていた。

 こちらの士気は最高潮だ。戦争を始めるには最高の滑り出しという感じのようだ。

 センゴクって人はトップとしての仕事を確実にこなしているな……。

 

 しかし、ここで大きな異変が起きる。開くはずのないマリンフォードの“正義の門”が開いたのだ。

 海兵たちは動揺したが、間髪を入れずに続々と姿を現したのは”白ひげ海賊団”傘下の海賊総勢43隻の大艦隊である。

 

 遊騎士ドーマ、雷卿マクガイ、ディカルバン兄弟、大渦蜘蛛スクアードなど、いずれも“新世界”に名を轟かせている船長ばかりだ。

 私は一応大きい賞金首の名前はチェックしてるけどルフィは一人も知らないだろうなぁ。

 

 確か、スクアードとかいう奴が最初に白ひげに深手を負わせるんだよな。

 それを阻止したら、ちょっとはルフィが楽になるかな……? 私にそれが出来るか甚だ疑問だけど……。

 

 海軍は白ひげの出現に警戒しているけど、彼は見える位置からは来ない。なぜなら白ひげが出てくる場所は――。

 

「湾内の海底に影が!」

「そうか! あいつら全船――コーティング船で海底を進んでいたのか!?」

 

「うわァアアア! モビー・ディック号が来たァ!!」

 

 白ひげの乗る“モビーディック号”を始めとする4隻の”白ひげ海賊団”本家の艦は、コーティング船で海底を進み、海軍本部の湾にいきなり浮かび上がってきた。奇襲は成功したって感じだ。

 あの人が白ひげか……。病気の年寄りって聞いてたけど、世界最強って言われるに相応しいくらいの力を感じる……。

 さらに白ひげ海賊団の面子は揃いも揃って化物軍団と言ってよいほどの戦闘力だ。

 私なんかちょっとでも油断したらあいつらに簡単に殺されるな……。

 

「グララララ! 何十年ぶりだ? センゴク。おれの愛する息子は無事なんだろうな! グララララ! ちょっと待ってな、エース!」

 

 白ひげは男らしく豪快に笑う。エースは彼らに何故来たのか問うていたが、彼らの意志は固い。

 全員が一丸となり、エースの救出をしようと意気込んでいた。

 

「――あの男は世界を滅ぼす力を持っているのだ!!」

 

 センゴクが叫ぶのと同時に、白ひげはグッと拳に力を込め、それを”大気”に叩きつけ、”大気”にヒビを入れる。

 すると海が急激に浮き上がり、マリンフォードの島を挟むように巨大津波が発生したのだ。

 攻撃の規模と威力が桁違いだ。私の銃ではどうにもならない。

 

 漫画で読むのとは大違いの特大スケールな白ひげの初撃に、私は息を飲んで身構えた。身構えたところでどうしようもないんだけど……。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 氷河時代(アイスエイジ)やら大噴火やら、大将たちのアホみたいな火力によって、白ひげたちの進軍は一時的に止められる。

 しかし、リトルオーズとかいうオーズの子孫が暴れだし、白ひげ海賊団とその傘下の海賊たちは私たちの持ち場にまで迫ってきた。

 

「ふぅ、しばらくはこれ一本と(ダイアル)で頑張らなきゃな……」

 

 “ライア”の武器である銀色の銃(ミラージュクイーン)は目立ち過ぎるので、ライアンの状態では使えない。

 ルフィと合流できる状況になるまでに色々と戦闘のドサクサに紛れて私も下準備をするつもりなので、“ライア”の姿に戻るわけにはいかないのだ。

 なので、私は海軍に支給してもらった拳銃で戦うこととなった。

 物理無効の能力者には通じないから防戦がやっとだろう。

 

「オーズに気を取られているうちに攻め落とすぞ!」

 

「まったく、レディの背後を狙うとは不躾だな――とか、サンジだったら言うのかな? 必殺! 鉛星ッ!」

 

「ぐはぁっ!? お、おれの仕込み銃の銃口に!?」

 

 ハンコックを仕込み銃で狙う男がいたので、私は銃口めがけて鉛玉を放つ。

 やっぱり火力低いなぁ。いつもの銃でも不足してるのに。

 

 とりあえず、ここに来る前に処刑台付近にこっそりいくつか罠は仕掛けて来たから、ルフィが来るタイミングで上手くライアンは死んだことにして、ライアに戻らなきゃ。

 

 なぜ、タイミングを大事にしているかというと、下手にライアンが麦わらの一味だったとバレるとハンコックに迷惑がかかるからだ。

 だから、ライアンには死んでもらうし、ライアの登場も違和感がないようにしなくてはならない。

 

 そのために用意はしてるけど、出来ればそれを使うのはルフィが来たあとの方が効果的なんだよな。この戦争の真っ只中で上手く立ち回れれば良いけど……。

 

「ライアン。この程度の攻撃、わらわなら自分で――」

 

「一応、君の護衛だからさ。仕事くらいさせてもらうさ」

 

 そう、今の私はラグナー・マク・ライアン少尉だ。

 その任務は“海賊女帝”ボア・ハンコックの護衛。それならばその任務はきちんとこなすさ……。

 

「おぬしは真面目な奴よ。見ておれ、これがわらわの力じゃ……、チュッ――虜の矢(スレイブアロー)!」

 

「「ぐわぁぁぁ!」」

 

「か、海賊女帝ッ!」

 

 ハンコックの投げキッスはハートを生み出し、そこから放たれる矢に刺さると海賊たちは次々と石になってしまう。

 とんでもないチート能力だな。やっぱり。

 

芳香脚(パフューム・フェムル)!!」

 

 さらに相手を石化させつつ砕くという荒業も披露した。

 武装色の覇気と能力の併用か……。さすがは七武海……、女帝と言われるだけはある。

 

「貴様! 海兵にまで!」

「ちょっと、あなた護衛役でしょ!? しっかりコントロールしてよ!」

 

「わらわの美しさに免じて許してほしい」

「すまないね。私が代わりに謝っておこう」

 

 ハンコックが海兵もろとも自分の技の餌食にしてしまったので、私まで怒られた。

 だから、私もハンコックと共に謝る。

 

「う、美しい……、ゆ、許してしまう」

「な、なんて美形なの……、誰にだってミスはあるから仕方ないわ……」

 

 ちゃんと謝ったら気持ちは通じるもので、何とか許してもらった。

 なんか、いろんな視線がこっちに向いてる気がする。

 

「あまりの麗しさに攻撃を躊躇ってしまう。なんだ、あの芸術的な美しさは……」

「だ、ダメよ……、彼は倒すべき敵なんだから……! 躊躇なんかしちゃ!」

 

「あの二人はなんだ!?」

「絶世の美女と世紀の美男子――!?」

「攻撃するのも憚られる……」

 

 さらに視線と同時にこちらへの攻撃が緩めになった。

 これはここから動くチャンスかもしれない。

 

「今じゃ、ライアン! おぬしにはおぬしのやるべきことやらがあるのじゃろう?」

 

「すまないね。ハンコック……、この埋め合わせはいずれまた……!」

 

 そう、私は何としてでもルフィと合流して、彼を守らなくてはならない。

 そして、伝えなきゃならないこともある。あの世界最強の男に――。

 

「急がないと、ルフィはきっともうすぐ――」

 

 ルフィが本当に現れるかどうかは疑っていない。

 それがいつになるか分からないけど、もう来てもおかしくないくらいの時間は経っている。

 

 

「――っ!? 海賊船!? 風貝(ブレスダイアル)!」

 

 その時だ、青キジによって作られた氷塊を砕いて海賊船が侵入してきた。

 私は靴に仕込んだ風貝(ブレスダイアル)を発動させて大ジャンプする。

 

「“氷の魔女”ホワイティベイかっ! くそっ! 急がなきゃいけないのに……!」

 

 ホワイティベイは白ひげ傘下の海賊団で“氷の魔女”と呼ばれ恐れられている大物海賊だ。

 目の前に立っていた水色のウェーブがかった髪を靡かせている彼女を見て、私は戦慄した。

 感じられる力は白ひげ海賊団の隊長たちと比べても遜色ないレベル。

 私じゃ逆立ちしたって勝てないし、海兵の格好をして一人で乗り込んでいるこの状況は非常に不味い。

 

「お手のモンだよ。こんな氷塊! ん? 海兵が紛れ込んだようだね。消してあげるよ」

 

 彼女はナイフ片手に私との間合いを急速に詰める。

 そこから感じられたのは容赦のない殺意――。

 

「――っ!? 速い! ぼ、帽子が風圧で――」

 

「死になっ!」

「ちっ――」

 

 あまりの風圧で私の帽子は吹き飛ばされて中にしまっていた短い銀髪が顕になる。

 そして、私は彼女の攻撃を何とか見切ろうと、ホワイティベイの視線を読むために眼光を光らせた――。

 ダメだ、何とか急所を外すくらいしか……。

 

「船長の攻撃が躱された?」

「いや、今の船長が手を一瞬緩めたような……」

 

「あんた何者だい!? あたしに何をした!?」

 

 よくわからないけど、彼女の攻撃が急速に緩まって、私は容易に避けることが出来た。

 そして、ホワイティベイは頬を赤らめて、私に何をしたのか怒鳴ってくる。そんなの私が知りたい。

 

「えっ? いや、そのう……」

 

「よ、寄るな! その顔を近付けるな! なんてこった。このあたしがこんな若造に……」

 

「せ、船長の様子が変だ」

「まさか、あの男は何かの実の能力者なんじゃ……」

 

 私は今の状況を理解出来ずにいる。彼女はなぜ攻撃を止めたのか。そして、なぜ私を見て後ずさりするのか……。

 

「来るなと言っている! このっ!」

「うわっ!」

「な、なんでこっちに!?」

 

 私が三歩ほど彼女に近づくと、ホワイティベイはこちらにナイフを投げつけて来た。

 そのコントロールはめちゃくちゃで、私はそれを躱そうと動いたが、焦って足に仕込んでいた風貝(ブレスダイアル)を発動させてしまい、彼女に体当たりしてしまう。

 

 ホバーボードが使えない代わりにこの靴を作ってみたけど、割と失敗作だな……。

 

「……ご、ごめん。大丈夫? 押し倒すつもりはなかったんだけど……、不可抗力で……」

「ば、バカ野郎。くそっ! 間近で顔を見ちまった! こんなことやってる場合じゃないのに――」

 

 ホワイティベイを押し倒してしまった私は文字通り目と鼻の先で彼女と顔を見合わせることになってしまった。

 彼女の顔はますます赤くなり、耳まで朱色に染まっている。

 

「せ、船長のあんな表情見たことねェ」

「あ、ああ。あれじゃまるで、十代の乙女……、実年齢は言ったら殺されるけど……」

 

「な、なんで、拳銃(そいつ)であたしを撃たない!? あんた海兵だろ!?」

 

 そして、ホワイティベイは私が銃を使おうとしないことに疑問を持ったようだ。

 ああ、そういえば私は今、海軍側だったよ……。

 でも、今はこの船に海兵は居ないし、私が単独で乗り込んでいる感じになっているし、いいタイミングかもしれない。

 

「いや、海兵じゃないよ……。ちょうどいい。君が白ひげ傘下の中でも特に信頼を受けている海賊だということは知っている。信じてもらえるか分からないけど、私はエースの弟――麦わらのルフィの船のクルーだ。一応、懸賞金も出てる。ほら、私と船長の手配書……」

 

 私は時が来たら、上手くどこかの海賊船に侵入して身分を明かして協力をお願いしようと思っていた。

 

 タイミング的にはルフィが現れた後のほうが良かったのだが、エースは自分の弟の話を身内によくしていたらしいから、彼女ならルフィの名前くらい知っていると思い、彼の手配書を彼女に見せたのだ。

 

 そして、彼の海賊船のクルーである証明として私の手配書も一緒に……。

 帽子が取れて銀髪が出てるから、並べてみれば私だということは分かるはずだ。

 

「“レディキラー”ライア……、知らない名だね。でも、ルフィって名は知ってるよ。うるさいくらい、あの坊やに話を聞かされたからねぇ。なんで、海兵の格好をしてるんだい?」

 

「エースを助けるために海軍本部に潜入したから」

 

「――っ!? あっはっは。なんてこった。エース坊の弟の船のクルーがあたしらより無謀なことしてるなんてね。なんで、正体を明かした?」

 

 エースに聞かされてルフィの名前を知っていた彼女は私のことを海賊だと信じてくれた。

 そして、海兵になりすました理由を聞くと上機嫌そうに笑う。

 

「そろそろ、堅苦しい海兵のフリをやめたかったのさ。私の船長も来てくれたしね」

 

「はぁ? 何言って――」

「船長! 上を見てください! 船が降ってきましたァァァァ!!」

 

 私はずっと頭上に見聞色の覇気を集中させて、ルフィの到着を待っていた。

 そのせいで、相手の攻撃に反応が遅くなるポカをやっちゃったけど……。

 とにかく、ルフィがついにここまでやって来たのだ。

 

「あああああっ! あっ!? おれゴムだから平気だ!」

「貴様、一人で助かる気カネ!? 何とかするガネ〜〜!」

「こんな死に方ヤダッチャブル! 誰か止めて〜〜ンナ!」

「てめェの提案なんか聞くんじゃなかったぜ! 畜生! 麦わらァ!」

 

 漫画と同様にインペルダウンの名だたる囚人たちを引き連れて、精悍な顔立ちの彼はこの戦場に降り立った。

 

「助けに来たぞ〜〜〜! エ〜〜〜ス〜〜〜! やっと会えたァ!!」

 

「ルフィ……、元気そうで良かった……」 

 

 ルフィの叫び声を聞いた私は思わず口が緩む。何か数ヶ月くらい離れてた気がするよ。 

 

「あ、あれがあんたの船長……、それで、それがあんたの本当の姿……」

 

「髪が短いままだとさ、色々と迷惑がかかる人がいるからね……。そこでお願いなんだけど、私がこの船に乗って来た、ということにして欲しいんだ」

 

 私はいつものスーツ姿となり、切った髪で作ったウイッグを付けて前と同じ格好に戻る。

 そして、念の為にホワイティベイに私は彼女の海賊船に乗せてもらってここに来たことにしてほしいと頼んだ。

 

「ふっ……、それくらいお安い御用さ。野郎ども! この男! レディキラーはあたしらと一緒にここに来た! いいね! 覚えたかい!?」 

 

「「イエス! マム!」」

 

 私がこの海賊船に乗っていたという既成事実がここに出来た。

 これで、私は違和感なくルフィの元に駆けつけられる。

 でも、その前に――。

 

「あのさ、よく間違えられるんだけどね。私は女なんだけど……。久しぶりに言うけどさ……」

 

「「えっ!? えええええッッッ!!!」」

 

 とりあえず、嫌すぎる誤解は解いておきたい。

 そして、彼女たちはいつかのビビとかミキータとかと同様に死ぬんじゃないだろうかってほど驚いた顔をした。

 早く手配書に性別も明記してくれないかな……。

 

「な、なんでいつも性別を言うだけで、こんなにショックを……」

 

「じゃ、じゃあ、あたしは年甲斐もなく若い女にときめいていたってことかい……? いや、30歳くらい若けりゃ、それでもあたしは――」

 

「……ん?」

 

 さらにホワイティベイはショックを受けながら、何かをブツブツ言っていた。

 一体どうしたんだ……。

 

「と、とにかく、あんたの心配してることはわかった。行きな。麦わらのルフィの元へ! 若い海兵はあたしらが殺しといたことにしておくさ」

 

「ありがとう。あと、これは知ってて欲しい話なんだけど。君たちの船ならあるいは状況を打破できるかもしれないんだが――」

 

「――ふーん。なるほどねぇ。そりゃあ、あたしらの得意分野だ。そのときが来たら何とかしてみせるよ」

 

 私は海軍の計画について口早に彼女に伝えた。

 もちろん、白ひげに伝えるつもりではいたけど、最前線の彼女にも伝えといたほうが良いと思ったからだ。

 

「それじゃ、あとよろしく! ホバーボード――」

 

 そして、私はホワイティベイの海賊船からホバーボードで飛び出して、船長の元へと空から向かって行った。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

「おれは知ってんだぞ! お前、海賊王になりてェんだろ! “海賊王”になるのはこのおれだ!」

 

「クソ生意気な……、足引っ張りやがったら承知しねェぞ、ハナッタレ!」

 

「おれはおれのやりてェようにやる! エースはおれが助ける!」

「おれじゃなくて、私たちで助ける、だろ? ルフィ……!」

 

 世界最強の男に一歩も引かないで啖呵を切る船長を頼もしく思いながら、私は空から彼に声をかけた。

 

「ライア〜! すげェな! もう来てくれたのか!」

 

「戦況が芳しくないんでね。情報を共有しようと思ったんだ。そちらの大将とね」

 

 私はホバーボードを操って、ルフィの隣に着地した。

 白ひげは間近で見るとますます威圧感が増しており、対峙するだけで震え上がりそうになる。

 

「ハナッタレの次は小娘か? まったく礼儀がなってねェな。最近の若ェのは」

 

「なぁ、ルフィ聞いたかい? やっぱ、白ひげって凄い海賊じゃないか! 私を小娘だって、小娘!」

 

「あっはっは! お前いっつも男と間違えられるもんなァ! 仕方ねェけど!」

 

 しかし白ひげが私を女だとすぐに認識してくれたことが嬉しくて、緊張感が一気に解けた。

 というか、ルフィ……、仕方ねェですまさないでくれ……。

 

「まぁ、それはどうでもいいんだけど、エースの処刑時刻が早まる」

 

 私はルフィと白ひげに本題を切り出した。これからの話は知っておくのと知らないのとでは大きく戦況が異なるはずだ。

 

「おっ、ライアも聞いたのか! おれもそれは教えとこうと思ってた。エースを助けてェのは一緒だからな。何かの準備のあとって言ってたけど、暗号でよくわからなかった。ライアは知ってるか?」

 

「海軍は全世界に放送している電伝虫の通信を切るつもりだ。後で結果だけ知らせるつもりでね。そして、ここからが重要なんだが、この湾岸にはそれをぐるりと囲む鉄壁の包囲壁が仕込まれているんだ。通信を切った瞬間に包囲壁を作動させ、連中は速やかにエースの処刑を実行する。ここまでが奴らの計画さ」

 

 センゴクの立てた計画は恐ろしく秀逸だった。

 地の利があるマリンフォードの特性を活かしきった作戦。これが成功するなら白ひげ海賊団と傘下の海賊たちは一網打尽に出来るだろう。

 

「驚いた。随分と詳細に海軍どもの情報を手に入れてるじゃねェか。どうやったんだ?」

 

「ライアは海軍本部にそのために行ったんだもんな」

 

「そういうこと。私はエース救出に動くはずの君たちとウチの船長をサポートする目的で色々と調べてきた。だから、上手く利用してくれると助かる」

 

 そもそも、ルフィがあまりにも遅かったりしたら、白ひげだけにでも何とかしてこの情報は伝えようと思っていた。

 彼は大海賊だけあって、指揮を取ることにも当然、長けていたし……。

 

「でけェ借りが出来ちまったな。そいつァ貴重な情報だ。助かる」

 

「いいんだ! 気にすんな! ウチの狙撃手がすげェだけだから」

「よせよ。照れるじゃないか……」

 

「ふっ……」

 

 ルフィが私を持ち上げるものだから、ちょっとだけ照れくさくなってしまった。

 だけど、船長に褒められるのは素直に嬉しい。

 

「じゃあ行くぞ! ライア! 絶対におれに付いてこいよ!」

「ああ、もちろんだ。でも、その前に……、もう一つ内緒話がある」

 

 そして、私は白ひげにあのことを伝えようと小声で話をしようとした。

 彼の命に関わることだから、伝えておかないとな。

 

「まだ、何かあるのか?」

 

「これは、信じなくてもいい。君が仲間を家族同然に想っていることは知っているからね。ただ、心のどこかで覚えておいて欲しいんだ――」

 

「――それをおれに信じろと? 奴ァ息子も同然の男だぜ……、小娘の戯言が聞けるかよ」

 

「だろうね。別にいいんだ。ちょっと覚えておくだけで。それで十分だし。じゃあ、お互いに頑張ろう。目的を果たすためにね」

 

 大渦蜘蛛スクアードの裏切りの話を彼にしたが、仲間を大事に想う彼は信じてくれなかった。

 まぁ、力説したり助けたりするほどの義理はないからこれくらいで良いだろう。

 お互いに利用し合う程度の関係だし、私は彼の仲間ではないのだから。

 

「終わったか?」

「ああ、準備オッケーだ」

 

「「行くぞ!」」

 

 そして、私は銀色の銃(ミラージュクイーン)と新たな武器を用意してホバーボードに乗ってルフィの頭上で援護の構えを取る。

 さて、今度は真正面から行くとするか……。どんな死線も天国だと感じられるような――そんな戦場(じごく)へ――。

 




最初はライアンとしてもっと長く暗躍したりするつもりでしたが、どうにも傍観者になりがちで書きにくくて全部ボツにしました。
ホワイティベイとかいう謎だらけの人をヒロインっぽくしたりしましたけど、この人多分50歳前後なんですよね〜。
ここから、ライアとルフィのタッグで頑張ります。
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