ウソップっぽいポジションに転生したはずなのに、なんで私は女の子なんだろう   作:ルピーの指輪

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頂上戦争――エース救出大作戦

「よし、ルフィ準備オッケーだ。白ひげたちに遅れを取らないようにするぞ!」

 

「ら、ライア! それすっげェカッコいいな! 何かメリー号に似てるぞ!」

 

 私は新たな武器である黒色の大筒(シャドウエンペラー)を取り出す。

 メリー号のような装飾を施したバズーカー砲で私は火力不足を補うつもりだ。

 (ダイアル)とフランキーの技術によって実現したこの武器は弾数は少ないがそれなりに強い。

 

「うん。フランキーと一緒に作ったんだ。海軍本部でコーラをたくさん補給しておいて良かった。これが私の新しい武器――“ガオン砲・メリーVer(バージョン)”だ! これで道を切り開く!」

 

「――っ!?」

 

 サニー号のガオン砲に近い威力の砲弾は海軍の精鋭たちをも吹き飛ばして道を切り開いた。

 連射が出来ないのが難点だけど、私の弱点はかなり補えたはず……。

 

「おおおおおおおッ!」

 

「涙を流すほどかい? さすがはフランキーだ。いい仕事をしてくれたな」

 

 ルフィは涙を流して格好いいと褒めてくれた。

 私はメリー号と戦えたような気がして少し嬉しい。よし、このまま突き進むぞ――。

 

 と、思ったのも束の間……目の前に現れたのは、先日私を氷漬けにしてくれた青キジ――“海軍本部”の大将だ。

 

「まずは鬱陶しいお前さんから死んでもらおうかねぇ。今日は前みたいに加減してやらねェぞ。レディキラー」

 

「――青キジ!?」

 

 青キジは明らかに私を狙っている。彼は見聞色の覇気を駆使して、私の動きを捉えようとした。

 

「ギア(セカンド)ッ! やらせるかァあああッ!」

 

「お前らにゃ、このステージは早すぎるよ……」

 

 ルフィが折れた柱をぶん投げて私を助けようとしてくれたが、彼はいとも簡単にそれを凍らせる。

 そして、再び私を狙ってきた。

 

「だとしても! 私たちは引くことを知らないからねェ。必殺! 鉛星ッ!」

「ゴムゴムのォォォ! JETガトリング!」

 

「あらら、無鉄砲すぎる。そんなことをしても――」

「無駄なことだと思うじゃん」

「んっ? この臭いは……」

 

 私はこの処刑場の至る場所に匂貝(フレイバーダイアル)などを仕込んでいた。それを鉛星で破裂させることで青キジの周りはガスが充満する。

 

「これが、私のガオン砲のもう一つの決戦機能! 燃焼砲(バーンバズーカ)だッ!」

 

 炎貝(フレイムダイアル)匂貝(フレイバーダイアル)、さらに風貝(ブレスダイアル)を合わせて、ガスを一直線に噴出してそれを点火することで、灼熱の火柱を発生させることが出来る私の2つ目の切り札――。

 青キジだってこれにまともに当たれば、無傷ではないはずだ。

 

「な、なんつー威力だ」

「エースの火拳みてェなのを出しやがった」

「こりゃあ、青キジだって……」

 

 青キジは私の作り出した火柱に飲み込まれた。

 氷結人間とて、炎の攻撃を不意打ちで受ければ、タダでは済まないはず――。

 

「――っ!? 何で私の後ろに?」

 

「――いい腕をしてる。まさかてめェに傷を負わされるとはな」

 

 青キジは肩から血を流しながら私の背後に回って攻撃しようとしていた。

 嘘でしょ。完全に油断してたと思ったのに――。

 

「あれ? タイミングばっちりだと思ったのになァ」

 

「こちとら、死線を幾つも越えてんだ。あんな臭いを発生させといて、警戒しねェ方がおかしいだろ? 掠らせただけでも大したモンだ。お疲れさん」

 

 青キジの戦いの勘とやらは私の力を大きく上回っており、攻撃を見事に躱していた。

 あー、まずいな。彼から一撃もらうと私は即ゲームオーバーだ。

 

「やらせねェよい!」

 

「――っ!? き、君は白ひげ海賊団――一番隊隊長の……、なんで?」

 

 もう駄目だと思ったとき、白ひげ海賊団の一番隊隊長の“不死鳥マルコ”が私を助けてくれた。

 いや、なぜこの人が私を? 絡んだことないんだけど……。

 

「オヤジは義理堅い男だ。恩を受けた、お前さんたちを死なすなという命令を守っただけだよい!」

 

「そっか。随分と高く売れたもんだ。ありがとう」

 

「行けよい。エースの弟を守るのがお前の役目だろい」

 

 彼は白ひげの命令で私を助けたと言う。ありがたいけど、大将の相手を押し付けたのは気が引けるな……。

 でも、私じゃあの人の相手はどうにもならないし……。

 

「いやァ、参ったよ。危うくまた氷漬けにされちゃうところだった」

 

「ライア! 無事で良かった!」

 

「しかし、次に大将と対峙したら私たちの命も危ないかもしれないね」

 

「麦わらのルフィ……、レディキラー・ライア……。排除する……」

 

 再び処刑台に向かうルフィと私だが、危機は終わらない。

 パシフィスタが私たちの前に立ちふさがったのだ。

 いや、こいつを倒すのも相当面倒なんだけど……。

 

「クマに似た奴!」

「まったくいちいち厄介だな……! んっ? は、ハンコック?」

「あ、危ねェぞ!」

 

 そんな折、ハンコックが飛び出してパシフィスタと私たちの間に入り込んだ。

 な、なるほど、そういうことか……。

 

「………」

 

「攻撃中止……」

 

 パシフィスタは味方と識別したハンコックへの攻撃をストップした。

 ふぅ、助かった。ありがたいことだ……。

 

「ありがとうハンコック」

 

「はぁ……、ま、また名前を呼んで……」

 

 ルフィが彼女にお礼を言うとハンコックは頬を赤らめて感激している。

 

 よし、もう少しで処刑台だ。行くぞルフィ。

 

 

 ルフィと私は前線で戦っている白ひげたちにようやく追いついた……。

 

 

「なんだ小娘、ハナタレを連れてここまで追いついてきたのか」

 

「おかげさまでね。傷は大丈夫かい」

 

「――大丈夫か、だとォッ!!」

 

 私が白ひげの体を気遣った言葉をかけると彼は怒りながら、巨大な薙刀を振るった。

 なんていう威力だ……。世界最強って言われてたけど、この人、病人だよね? 

 海兵たちは次々と吹き飛ばされる――。

 

「「うわァああああッ!!」」

 

「ガキに心配されるほどおれァ落ちぶれちゃいねェ!」

 

 どうやら私が心配したことが彼の逆鱗に触れたらしい。

 確かにちょっと失礼だったかもしれない。

 

「確かに生意気なルーキーだ」

「オヤジにゃ、おれたちがついている」

「てめェら、てめェらで勝手にやってな」

 

「行くぞライア! もう立ち止まらねェ!」

 

 ルフィは今までになく真剣な表情で私に早く進むように促した。

 うん。一気に決着をつけよう。エースを救出するのに手こずっている場合じゃないしね……。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

「やめろォ〜〜〜〜〜ッ!!」

 

「こ、これは覇王色の覇気……」

「考えてみれば当然の資質だっチャブル……道理で人を惹き付ける」

 

 エースの処刑が巻きで執行されようとしたとき、ルフィは覇王色の覇気を無意識で発動させて、それを阻止した。

 

「ただのルーキーだと思うな! 全力で叩き潰せ!!」

 

 海兵たちはルフィをより警戒して彼を狙おうとしている。

 覇王色の持ち主ってだけで、これだけ警戒されるのか……面倒なことになったな……。

 

「白ひげも弱ってる! こっちのケリを付けるぞ!」

「何としても薙ぎ倒せ!」

 

「ナメるなァ!!」

 

「「ぎゃあああああッッッッ!」」

 

「野郎共ォ! 全力で麦わらを援護しろ!」

 

 ルフィに対する攻撃が増え始めたとき、白ひげは手下たちに命令する。

 彼を援護するように、と。すごいなぁルフィは、こんなにも人を惹き付ける才能があるのだから……。私にはとても真似できないよ……。

 

「ルフィ! おそらくこのチャンスが最後だ。みんなが君にベットする。大将たちが来る前にエースを助けるぞ!」

 

「おう! まだまだ走れるぞ! うおおおおおッ!」

 

 ルフィはさらに勢いを増してエースの元に急いだ。これなら何とか間に合いそう――。

 

 とっておきのアレの出番だ――。

 

 

「よし! ルフィ! これから君を処刑台まで飛ばす! 派手に暴れてくれ!」

 

「ら、ライアッ!?」

 

「必殺ッッッ! JETロケット彗星ッッッッッ!」

 

「うっはァ! すげェ! これならエースのとこまで行けるぞ!」

 

 私はルフィの背中にロケットを取り付けた。処刑台まで飛ばせるように。

 彼にはコツがいるホバーボードには乗れない。だから、私は彼を発射してエースの元に届けようと考えたのだ。

 

「凄い勢いで空中に! 何てことを!」

「麦わらが向かった! 撃ち落とせ! ダメだ的が定まらない!」

 

「うわああああああッッッ!!」

 

 空高く打ち上がったルフィは物凄い勢いで処刑台に突っ込む。

 処刑台にいるのは、センゴクとそして――。

 

「ルフィ! この先に行かせるわけにはいかん!」

 

「じいちゃん……! そこをどいてくれ!」

 

 伝説の海兵ガープがルフィを迎え撃とうと拳を構えた。

 エースを救うには難関だらけだ。普通なら勝ち目のない相手だけど、彼には迷いがある……。

 

「どくわけに行くかァ! わしは“海軍本部”中将じゃ! ――なんじゃああッ! 邪魔するのは!? ――あっ!?」

 

「行け! ルフィ!」

 

 私もホバーボードで空中へと飛び上がり、空から“ガオン砲”をガープの顔面に叩きつけて注意をこちらに向けた瞬間にルフィは彼の横をすり抜けてエースの元に到着した。

 見聞色の覇気でガープの精神状態を探ったけどガタガタだった。私の不意討ちに当たってしまうくらい……。

 

「エ〜〜ス〜〜!! 助けに来たぞォォォ!!」

 

「ルフィ……!」

 

 エースはついに側にたどり着いたルフィに驚きを隠せない。

 たくさんの人間が彼を援護することで成し遂げた奇跡みたいなものだから仕方ない。

 まぁ、それだけエースを救いたいという人が多いんだけど……。

 

「馬鹿が! 鍵もなくどうやって助ける! 貴様も私の手で処刑する!」

 

「逃げろ! お前まで!」

 

 ルフィが大立ち回りに対して、センゴクは鍵の有無について言及する。

 エースは彼に逃げるように言っているが、実はもうその心配は終わった話である。

 

「鍵ならあとは回すだけだァ〜〜!」

 

「「――ッ!?」」

 

「い、いつの間に!? 鍵が錠にピッタリとハマって……!?」

 

 なぜなら、すでにエースの手錠にはピッタリと鍵が刺さっているのだから。

 ルフィをロケットで飛ばして派手にエースの元に届けたのには意味があるのだ。

 

「もっと空からの射撃には注意したほうがいい。必殺ッッ! 脱獄星だッッッ!」

 

「あ、あいつ鍵を撃ったのか!? ルフィに視線が集中したその瞬間に!?」

「しっしっしっ! ウチの狙撃手はすげェだろ!?」

 

 そう、私は鍵をシャボン玉で包み込み銃弾としてエースの手錠の鍵穴にハマるように撃ちだした。

 アリの眉間だって、私は狙える。止まっている的に当てるなんて造作もない。

 

 ただ、面倒な連中の意識だけは逸れて欲しかった。ルフィを陽動に使ったのにはそんな理由がある。

 

「ちっ! まさかお前らに助けられちまうとはな!」

「エ〜〜ス! 助けられて良かった!」

 

 ルフィは手早く手錠の鍵を開けてエースを助け出す。

 センゴクはあまりの展開にあ然としていた。

 

「火拳のエースが解放されたァ〜〜!」

 

「やったぞ! 麦わら!」

「エースを奪い返しやがった!」

 

 海兵たちは悲痛な声を出し、白ひげの陣営の士気は上昇した。

 しかし、大事なのはここからである。この修羅場から退却しなければならないのだから……。

 

「再会を喜ぶのは後にして逃げてもらえないかい?」

 

「まさか、お前がルフィの無茶にここまで付き合ってくれるなんて思わなかった」

 

「君は前に私のことを彼の世話焼き係って言ったじゃないか。係の仕事をこなしたまでさ」

 

「だっはっは! お節介もそこまでくると笑えるぜ! “火柱(ひばしら)”ッッッ!」

 

 エースはルフィの世話焼き係の仕事をこなしたと答えた私を見て笑い。一瞬のうちに処刑台を炎上させてしまった。

 

 やっぱり自然(ロギア)系は半端ないな……。

 

「さて、ここから今度は逃げ切らなきゃいけないのか……。まったく厄介だよ……」

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

「お前らとおれはここで別れる! 全員必ず生きて!! 無事新世界へ帰還しろ!!」

 

「白ひげが背水の陣で殿を務める、か……」

 

 海軍本部からの退却は熾烈を極めた。やらかした大渦蜘蛛のスクアードが戦場の殿を名乗り出て突撃をしようとしたが、白ひげがそれを止めて、自らが海軍の足止めをすると宣言した。

 

 そして、“最後の船長命令”として仲間たちに無事に逃げろと叫んだのだ。

 

 彼からは決死の覚悟というものを感じる……。

 

「オヤジ……!」

 

「行けェ!! 野郎共ォ〜〜〜!!」

 

「イヤだ! オヤジ! 一緒に帰ろう!」

「何言ってんだ! それじゃまるでオヤジが!」

 

「船長命令が聞けねェのか!? さっさと行けェ! アホンダラァ〜〜!!」

 

 白ひげ海賊団や傘下の海賊たちは当然、白ひげの身を案じて逃げることを憚ったが、彼の決意は固い。

 それを感じ取ったのか、皆は撤退を開始した。

 

 

「エース! 行こう! おっさんの覚悟が」

「君の気持ちはわかるが……白ひげの気持ちもわかってるんだろ? 私たちよりも」

 

「わかってる。オヤジの覚悟は無駄にはしねェ!」

 

 エースは撤退することを飲み込んだ上で周囲の敵を一層して、白ひげに向かって土下座した。

 最後の挨拶をするということか……。

 

「エース、一つだけ。言葉は要らねェが――おれがオヤジで良かったか?」

 

「勿論だ!」

 

 白ひげとエースは血のつながりはないけど、家族以上の絆があると私は確かに感じ取れた。

 私は本当の親父とそこまでの絆はないもんなぁ……。

 

 

「ルフィ、エース……君たちは特に急げ。海軍は君らを徹底的に狙うから! “ガオン砲”ッッッ!」

 

 私は最後の“ガオン砲”を放って退路を作る。ルフィとエースには助かってもらわなきゃ、私も後味が悪い。

 特にルフィの目の前でエースが死ぬなんてことは止めてほしい。それは阻止しないと……。

 

「軍艦を奪ったぞ〜〜! 早く乗れェ〜〜!」

 

「「ぐわぁァァァ!」」

 

「危ねェ! 赤犬だ!」

 

 私はかなり急いで退却を促したつもりだが、大将赤犬はとんでもない火力のマグマの一撃を放ちながらこちらに近付いてくる。

 さて、と。私が彼を足止めするのは無理ゲーだから……。

 

「エースを解放して即退散とは、とんだ腰――」

「そういう煽り文句とか要らないんだ。赤犬ッ! 必殺爆音星ッッッッッ!」

 

 私はそこら中に仕込んである音貝(トーンダイアル)を発動させる。  

 音貝(トーンダイアル)には爆裂音から大音響までありとあらゆる雑音を吸収させていた。

 

 戦場はまたたく間に大きなノイズに包まれた。

 

「「――ッッッ!?」」

 

「うるせェ〜〜〜!?」

「頭が割れる! なんだ、この音は!?」

「耳がジンジンする〜〜!」

 

 漫画では、赤犬の煽り文句に激怒したエースが彼に特攻して、その後ルフィを庇って死んでしまった。

 私は大きな音を発生させて海兵たちの気を逸らしただけでなく、赤犬のくだらない台詞をエースに聞かせないようにしたのだ。

 

「な、なんだ……?」

 

「と、とにかく今のうちに!」

 

「よしっ! 逃げ切れそうだ!」

 

 ルフィとエースは足を止めずに撤退している。これなら何とか逃げ切れるかもしれない。

 

「逃がすつもりはないけぇ! ああ、うっとうしいのォ!」

 

「赤犬が追って来たァ〜〜!」

 

 しかし、大きな音くらいで諦めてくれる赤犬じゃない。すぐにこちらに狙いを定めて、こちらに向かってきた。

 

 赤犬を何とかしなきゃ撤退は無理かもしれない……。

 

 その上、トラブルは続く――。

 

「おいっ! 海軍要塞の裏に何かいるぞ!?」

「それだけじゃねェ! 処刑台の上にも!? 誰だ!?」

 

「ゼハハハハ! ようやく気付いたか!? 久しいな! ……死に目に会えて良かったぜ! オヤジィ!!」

 

 そう。ついに奴らが現れたのだ。この戦争を起こした元凶と言っても良い人物とその仲間――黒ひげ海賊団が。

 

 頂上戦争はついに佳境へと突入した――。

 




なんかね、この小説書き始めたときはエース死亡ルートにする気満々だったんだけど、書いてみると出来ないものですね。

たくさん面白い作品のある中でまだ拙作を読んでくれてありがとうございます!
更新頻度は遅くなりますが、頑張りますのでよろしくお願いします!
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