深淵卿に憑依しました リメイク 作:這いよる深淵より.闇の主人
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すこーし早足風ですが、どうぞよろしくお願いします!
「早く……急がねぇ……と」
爪熊との闘いから離脱した浩介は負傷した左腕に一時的な応急手当を施しながら慎重に、しかし迅速に来た場所を引き返していた
「クソッ、駄目だ。はぁ……はぁ……ここでやるしかない」
浩介は最初に流れ着いた川へ向かっていたものの、流石に距離がありすぎて辿り着いた時には出血多量で危険な状態になると判断、しゃがむと地面に血で魔法陣の式を描いていく
「ぐっ……!! 求めるは火、其れは力にして光、顕現せよ、〝火種〟」
ハジメと一緒に濡れた体を乾かすために使用した"火種"を出すと、購入したばかりの短刀を取り出し、火に当てる。
浩介のやろうとしていることは焼灼止血法と言い大昔から伝わる方法で、出血面を焼コテなどでを用いて焼くことで熱凝固作用によって止血する方法である。
「……ふっ!!」
ジュゥー
「ぐ、う……ああああ゛っ!!」
意を決して左腕の切断面へとナイフを押しつけ……次の瞬間には肉が焼ける音と共に浩介の絶叫が洞窟に響き渡る。
此処は奈落の底であり、自分よりも格上の相手がウジャウジャと存在している危険地帯だ。声を上げる事は自殺行為に等しい。だが、熱と共に引きちぎられるような猛烈な痛みに襲われ、耐えきれずに叫んでしまう
「…………!!」
(熱い、熱い、熱い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い!!)
浩介は熱さ……痛みを軽減させるためか、それとも声を抑えるためか無意識的に右腕に噛み付いていた
「ぐっ……うううぅ……!!」
それから数分、腕に噛みついたことで幾分か楽になった浩介はチラリと左腕の切断面の様子を見る。血は止まり、うっすらと黒くて焦げたようになっている。
「ハァ……ハァ……痛ッ、早く此処から……離れ……ないと」
薬を塗り込み、残りわずかとなった包帯を急いで巻きつつ移動を開始する。普通ある筈の左腕が無いので少し違和感を感じるが剣を振るのには問題ない
「……ッ」
直感が危険を察知したようで警鈴を鳴らす。即座に剣を抜き放った浩介は左斜め上からの攻撃に剣を払うようにして合わせ、軌道を無理やり曲げて受け流した
「……クソッ!!」
勢いそのまま壁に激突すると思われた蹴りウサギは、一回転することで態勢を整え空中を踏みしめると、再び突進してくる。声を荒げながらも迎え撃つように上段に構えた剣を振り下ろし——
蹴りウサギの回し蹴りによって浩介の剣は折られてしまった
「……なっ!?」
絶句してるのも束の間、またもや空中を踏みしめ隕石のように落下してきた蹴りウサギは着地をすると、どうだ! とでも言わんばかりに鳴き声を上げ、耳をファサッと前足で払う。
「キュ!」
「……完全に舐められてんじゃねぇか」
折れてしまった剣を捨てると、短剣に持ち替え——
「……あ」
が、体は俺の意思に反して動いてくれない。それどころか目の前がぼやけて見え、いつの間にか俺は地面へ倒れ伏していた
(体が……血を流しすぎたのか? 意識が……死……)
薄れゆく意識の中、『少し手をかそう……俺』という声を最後に浩介は意識を闇へと落とした
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あれから数日、蹴りウサギに殺されたかに思われた浩介は生きていた。
どうやってあの状況から生き延びることができたのか、その疑問は近くで絶命していた蹴りウサギから他の魔物が運良く現れて殺し、俺の事は持ち前の影の薄さから気付かなかった。という推測で一旦、納得する事にした。
それからは水を飲んでは見つからないように隠れて過ごし、寝ている時に魔物が近くに来れば直感で分かるので直ぐ様《+気配遮断》を発動しつつその場を離れる。という事をずっと繰り返していた
(あの時の声はなんだったんだ?)
死なないようにうまく立ち回りながらふと頭の端で浮かんだ疑問がそれだった。寝ようと岩陰に隠れている時、見つからぬように移動している時も異様に気になって仕方がなかった。
それから更に数日が経過した
(あの時の声はなんだったのか)という疑問は既にどうでもよくなっていた。今の浩介にそんな事を気にしている余裕はない
一時は和らいだかにみえた飢餓感だったが、少しすれば再び、より激しくなって襲い来る。無理やりにでも腹を満たそうと水をがぶ飲みすると苦しみは増す一方、左腕は幻肢痛が酷くヤスリでグチャグチャと削られるような苦痛が続いており、しかもその痛みは日に日に増している
(腹が……腕が痛い……こんな、いつまで耐えればいいんだ……いっそ死んだ方がマシに……別に俺がいなくても支障は……雫、恵里すま——)
この苦痛から逃れる為に自殺を考える……が、ふと脳裏をよぎったのは雫と恵里、二人の事だ。
(……そうだった……バカか俺は! まだ死ねない……此処で俺が
自殺という楽な道を選ぼうとした浩介は直前で踏み止まる。腹がねじ切れんばかりの猛烈な飢餓感や幻肢痛で気が狂いそうになる程の苦痛だが、それより雫と恵里の身の安全を優先する
「……っと」
飢餓感と幻肢痛のせいで最近まともに眠れていなかったせいか、強烈な睡魔に襲われ危うく転倒しかけるが、右手を岩につく事で堪える。すると
「…………!!」
遠くない場所で魔物の悲鳴と、微かではあるが誰かが叫ぶ声が聞こえてくる。
(ハジメ……なのか?)
この奈落の底で自分以外の声といえばハジメ以外にはあり得ない。しかし、この声がハジメという確証も無ければ、戦う事も視野に入れておくと現在のコンディションで向かうのは危険だ。
「ハジメ……!」
危険だ。嫌な予感がする。直感が警鈴を鳴らしている
だが、この声が本当にハジメであれば、左腕を襲うこの尋常じゃない痛みと飢餓感を無くすことができる。そして何より、一人で無力に怯え隠れなくていい
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「グルゥア!?」
おぼつかない足取りながらも何とか魔物の悲鳴が聞こえた場所に辿り着いた浩介が見たのは、体の大半を壁に呑まれ、悲鳴を上げて逃げようともがく二尾狼の姿だった。
「錬成……だよな? ……っ、ハジメ! 何処に——」
「グルゥア!!」
「しまっ……」
ハジメが近くにいる。そう思い気が緩んでしまった浩介は背後から襲いかかってきた二尾狼への反応が遅れてしまった
「クソッ……!! ここまできて……死ねるかぁぁ!!」
覆い被さられ、首元に噛みつこうと大口開ける二尾狼の頭を咄嗟に掴んで、わざと肩を噛ませる
「ぐ、ああああぁぁぁぁ!!」
激痛に悲鳴を上げつつも掴んだ手を離さず、逆に潰す勢いで力を込める
(少しでも手を緩めてコイツが肩から離れれば間違いなく死ぬ……どうすりゃいい?! いつまでも抑えてるわけにはいかない、かといって今の俺じゃあ握力で頭を潰すことなんて……)
まさに絶体絶命、どうしようにも殺される未来しか見えない。何もしないで死ぬよりも一か八かの賭けにでようとしたところで……
「何してんだこのクソ犬がぁぁっ! 」
怒鳴り声と共にハジメが横から現れ、二尾狼の腹目掛けて武器? をフルスイングして吹っ飛ばす。続けて地面に手をついて錬成を行使、二尾狼は首から上を残して地面に呑まれてしまった
「グルァアアー!?」
「よくもやってくれやがったなテメェ……ッ!」
焦ったようにジタバタともがく二尾狼へ、ハジメは追撃とばかりに頭部目掛けて何度も武器を振り下ろす
「死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね……!」
そうして何度も殴りつけていると、断末魔の絶叫を上げていた二尾狼は、突然、ビクッビクッと痙攣したかと思うとパタリと動かなくなった。
「はぁ……はぁ……大丈夫か? 浩介」
「あぁ、助かったよ。ありが——」
「生きててよかった! 俺があの時すぐに……そのせいで浩介が……本当によかった!」
「——ハジメも生きててよかったよ……それと、
「もう気にしてねぇよ……それに——」
(気にしてたのか……いや、するよな普通……ん?)
「それに?」
「何でもねぇよ……よっと、着いてきてくれ。安全な場所に案内する」
錬成で壁に穴を開けると、地面から二尾狼を取って担ぎ、開けた穴へと入っていく。少し驚いた様子の浩介もそれを追うようにして後ろを着いて行った
……はい、心が折れそうな時に助けてくれるのは雫と恵里です。
いや〜短めですいません……断食してみたり、経験ある人からどんな感じだったのか聞いてみたりしましたが、難しいものです……
さて、次は爪熊倒すところまでやりたいな〜
それでは次話でまた会いましょう!
投稿スペースについて
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遅い。リメイク前と一緒でもええから早く
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普通、このペースでこの内容なら普通程度
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このまま数ヶ月に一話でもいい