深淵卿に憑依しました リメイク 作:這いよる深淵より.闇の主人
いや〜悩みました。頑張って書きましたけど後から訂正するかもです!
11月23日、後半の内容を変えました。続きですが、もう少しお待ち下さい
それではどうぞ!!
「すみません、間違えました」
そう言ってそっと扉を閉めようとするハジメ。それを金髪紅眼の女の子が慌てたように引き止める。といっても、その声は掠れて呟きのようだった
だが、その必死さは十分に伝わった。
「ま、待って! ……お願い! ……ここから出して……」
「嫌なこった」
面倒そうに間髪入れずに言うと、やはり扉を閉めようとするハジメ。はっきり言って鬼である。
(二人がイチャイチャしてたのが印象的過ぎて忘れてたが……そういや、出会い当時の二人ってこんな感じだったな。まぁ、奈落の底から這い上がってきたんだし、この反応は当然っていえば当然か)
「何でもする……だから……私の話を」
「断る」
女の子は時折咳き込みながらも必死に顔を上げて話を聞いて貰おうとするが、ハジメは聞く耳を持たない
「ど……どうして」
「どうもこうもあるかよ、こんな奈落の底の更に底で閉じ込められてるヤツを信用できるわけないだろう? 見たところ封印されてるようだが……そう見せかけた罠かもしれん。かなりヤバイ奴だってのは容易に想像がつく。そんなものを解放する訳ねぇだろ……それじゃ」
その言葉を最後に閉じられていく扉。女の子はこの機を逃せばもう二度と此処から出ることが出来なくなるかもしれないと、泣きそうな表情で必死に声を張り上げる。
「ち、違う! ケホッ……私悪くない……私は——」
知るかとばかりに扉を閉じていき、あと僅かで完全に閉まり切るという時、女の子の一言がハジメの心を揺さぶった
「裏切られただけ!」
女の子の叫びに、閉じられていく扉は止まった。そこから僅かな光が差し込んでいる。助けてくれないと諦めていた女の子が不思議そうに扉を見つめている
十秒、二十秒と過ぎていき、やがて扉は再び開かれる。そこには不機嫌そうに顔を歪めたハジメが扉を全開にして立っていた。
「……?」
まさか戻ってきてくれるとは思っていなかった女の子は困惑しながらもハジメを真っ直ぐに見つめる。
「——…………なにやってんだかな 俺は……」
少しして、盛大にため息を吐いたハジメが頭をカリカリと掻きながら、女の子に歩み寄る。もちろん警戒は解くことはない
「裏切られたと言ったな? だがそれは、お前が封印された理由になっていない。その話が本当だとして、裏切った奴はどうしてお前をここに封印したんだ?」
先程までとは打って変わった様子のハジメに呆然としている女の子。
何も答わず、戸惑いの視線を向けてくる女の子にハジメがイラつき「おい。聞いてるのか? 話さないなら帰るぞ」と言って
「私は先祖返りの吸血鬼、すごい力持ってる……だから国の皆のために頑張った。でも……ある日……家臣の皆……お前はもう必要ないって……これからは叔父様が王になるって……私……それでもよかった……でも、私のすごい力が危険だって……殺せないから……封印するって……それで、ここに……」
必死にポツリポツリと語る女の子。それを聞きながら所々気になるワードがあったハジメはそれを一つずつ尋ねていく
「お前って何処かの国の王族だったのか?」
「……(コクコク)」
「殺せないってのはつまり……不死って事か?」
「……多分? 怪我しても直ぐ治るし、首落とされてもその内に治る」
「……そ、そいつは凄まじいな。……すごい力ってそれか?」
「これもだけど……魔力、直接操れる……陣もいらない」
「なるほどな……」
「魔力が回復すればあなたの力になれる。だから……」
「お願い……助けて……」
「……」
真剣に見つめ合う二人と‘’気配遮断,,を使っているからか、完全に蚊帳の外となっている浩介。一応ハジメから少し距離を置いた所で話を聞いている。
(この兵士達はなんだ? 俺という転生者がいる影響という可能性が高い……なんだったら転生させた神がそうしたのか?)
といっても、ある程度は知っている二人の会話よりも原作では無かったはずの兵士の銅像が気になっているので、意識はそちらにいっている
浩介がそう思考しているうちに、女の子と見つめ合っていたハジメはため息を吐きながら立方体に手を置くと、錬成を発動させる。
ハジメから濃い紅色の魔力が放電するように迸る。が、本来ならイメージ通りに変形するはずの立方体はその形を変えない。といっても全く通じないわけではないらしい
ハジメは更に魔力をつぎ込む。先程よりも大量の魔力を消費してようやく魔力が立方体に浸透し始める。周りはハジメの魔力光により濃い紅色に煌々と輝き、部屋全体が染められている
「まだまだぁ!」
かなりの魔力を注ぎ込んだものの、まだ足りない。未だに変形しない立方体にハジメはヤケクソ気味に全魔力を放出する。立方体を迸っていた紅い輝きはハジメ自身を覆っている。
(……なるほど、〝紅き閃光の
直後、女の子の周りの立方体がドロッと融解したように流れ落ちていき、少しずつ彼女の枷を解いていく。
胸部から腰、そして両腕、太ももと彼女を包んでいた立方体が流れ出す。一糸纏わぬ彼女の裸体はやせ衰えていたが、そんな事が気にならない程に美しかった。そのまま、全てが解き放たれた女の子は地面にペタリと女の子座りで座り込んだ。
限界だったのかハジメも崩れるように座り込んだ。肩でゼハーゼハーと息をしながら震える手で神水を出そうとして、その手をギュッと女の子が握った。
横目にその様子を見ると女の子が真っ直ぐにハジメを見つめている。顔は無表情だが、その奥にある紅眼には彼女の気持ちが溢れんばかりに宿っていた。
そして、震える声で小さく、しかしはっきりと女の子は告げる。
「……ありがとう」
「……おう——んぐっ!?」
「邪魔しちゃ悪いとは思うが……神水だ。飲め」
返事をして女の子の手を握り返そうとしたハジメの口に神水の入ったビンを押し込む。突然の事に驚きつつも浩介の言葉を聞くと神水を飲み込んでいくハジメ。対してユエはというと、目を丸くして「!? ……だ、だれ?」と驚愕と共に警戒心を露わにする
「ぷはっ……そんなに警戒するなよ。コイツは俺の仲間だ」
「……なか、ま……でも、入ってきた時……一人だった?」
「コイツの天職が"暗殺者〟でな。"気配遮断〟を使えるのと、異常なほどに影が薄くてな」
「……まぁ、そういう事だ。それより早く——」
「……二人の名前、教えて?」
ハジメの説明に一先ず納得した女の子が囁くような声で二人に尋ねる。そういえばお互い名乗っていなかったと苦笑いを深めるハジメと、(やらかした)と、顔を青ざめさせる浩介
「ハジメだ。南雲ハジメ。んでこっちが……おい、浩介?」
「……遠藤浩介だ」
「……で、お前は?」
女の子は「ハジメ、ハジメ……コウスケ」と、繰り返し呟く。そして、問われた名前を答えようとして、思い直したようにハジメにお願いをした。
「……名前、付けて」
「は? 付けるってなんだ。まさか忘れたとか?」
長い間、幽閉されていたのなら可能性はあると聞いてみるハジメだったが、女の子はふるふると首を振る。
「もう、前の名前はいらない。……ハジメの付けた名前がいい」
「……はぁ、そうは言ってもなぁ」
困ったように唸るハジメは隣で頭を抱えている浩介に意見を聞く……だが、
「焦り過ぎた……俺に期待しないでくれ。助けたのはお前なんだ。自分で考えてくれ、頼むから」
浩介の様子に首を傾けながら確かに一理あるなと、女の子を見つめる。彼女は期待するかのようにハジメを見ている。少しの間う〜んと唸った末に仕方ないというように彼女の新しい名前を告げた。
「……〝ユエ〟なんてどうだ? ネーミングセンスないから気に入らないなら別のを考えるけど……」
「ユエ? ……ユエ……ユエ……」
「ああ、ユエって言うのはな、俺の故郷で〝月〟を表すんだよ。その金色の髪が月のように見えたんでな……どうだ文句あるか?」
ハジメが少女の名前を”ユエ,,と命名した時、浩介は青ざめていた顔を安堵の色に変えた。
(……良かった。危ねぇ……ユエが
……いや、今はそんな事より此処から早く出ないとな。サソリ程度なら問題なく倒せるが、あの黒騎士と一緒に
早々に此処から出る事を決めた浩介が二人に出るように言おうとして……
「ハジメのエッチ」
「……」
「……いちゃつくのは後にしろ……早く出るぞ」
「……いやん、浩介もエッチ」
俺の事にハッとしたユエは体を庇うような素振りをして、そうふざけたように言う。ハジメは標的が自分から浩介に移ったので好都合とばかりに知らんぷりしている。
「……ッ!? ハジメ!」
「……なっ!?」
原作知識と”直感„の技能を持っている浩介は突如として現れた天井にいる存在にいち早く気が付き、声を張り上げる。その数秒後には俺たち三人目掛けて大質量が落ちてくる
目線だけでハジメと意思疎通を行うと、少し離れていたハジメはそのまま”縮地,,を使って回避し、すぐ側にいた浩介はぶかぶかの外套を羽織ったユエを抱き上げると同じように〝縮地〟を使用して回避をする。一瞬で、移動した二人が振り返ると、直前までいた場所にズドンッと地響きを立てながらソレが姿を現した。
目の前にいるのは体長五メートル程もあるサソリの魔物。浩介は見た目も登場のタイミングも原作と全く同じ事に安堵しつつも同時に”直感„による嫌な予感を感じ取り、一抹の不安を残しつつも今にも襲いかかって来そうなサソリモドキへと意識を集中させる
(此処は原作通り……だが、これだけでは終わらない気がする。黒騎士や兵士達は未だに動きを見せてはいないし、何も反応はない……いや、何にしても今は目の前のコイツを先に倒さねぇとな)
「ユエ……後はハジメに背負ってもらってくれ。あと、これを飲めば多少は動けるようになるから……」
ユエを近づいてきたハジメに任せ、ついでに神水の入った瓶を飲むように言って握らせる。浩介は近接メインで、ハジメは中から遠距離メインなので適任だろう
「……ッ!?」
ギィィンッ!
抜刀の構えを取り、いざ魔物へと突貫しようとした浩介は唐突に真横に現れた黒騎士に斬りつけられてしまう。それをギリギリのところで防御するも、片手ではその勢いをいなすことが出来ず、そのまま押し切られて奥へ吹き飛ばされてしまった
「……浩介ッ……テメェ!!」
呆気にとられていたハジメは直ぐ様、黒騎士にドンナーを向ける。しかし、発砲する前にそれを邪魔するかのようにサソリの魔物が尻尾の針を射出する、避けようとするハジメだが、針が途中で破裂し散弾のように広範囲を襲う。
「ぐっ!」
ハジメは苦しげに唸りながら、迫りくる針をドンナーで撃ち落とし、〝豪脚〟で払い、〝風爪〟で叩き切る。なんとか凌ぎ切り、お返しとばかりにドンナーを発砲。直後、空中にドンナーを投げ、その間にポーチから取り出した手榴弾を投げつける。
サソリモドキはドンナーの一撃を再び耐えきり、攻撃に移ろうとする。しかし、その前にコロコロと転がってきた手榴弾がカッと爆ぜる。その手榴弾は爆発と同時に中から燃える黒い泥を撒き散らしサソリモドキへと付着した。
流石のサソリモドキも摂氏三千度の付着する炎は効いているようで攻撃を一時中断して、付着した炎を引き剥がそうと大暴れする。その間に、キャッチしていたドンナーのリロードを素早く完了させる。
リロードが終わる頃には手榴弾のタールが燃え尽きたのかほとんど鎮火してしまっていた。しかし、あちこちから煙を吹き上げているサソリモドキにもダメージはあったようで強烈な怒りが伝わってくる。
「キシャァァァァア!!!」
「行かせねぇって事か……はっ、邪魔者は 死にやがれッ!」
いかがだったでしょうか!
次回、黒騎士vs深淵卿……サソリモドキvsハジメ&ユエの二本立てでお送りします!次話も見て下さいね!
11月23日、後半の内容を変えました。続きですが、もう少しお待ち下さい
あ、そろそろ恵里ルートも書き始めるのでそちらもよろしくお願いします!!
次の話、結構じかんが掛かります。すいません!!
それではまた会いましょう!