凍てついた心に花束を添えて   作:ネム狼

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花は咲きつつある


エリンギウム 「秘めた愛」

 この気持ち、本当に何なのかしら……。暁さんを思うと胸が苦しくなる。どうして彼のことになるとここまで苦しくなるのかしら。

 

「紗夜、それってさぁ……」

「まさしく恋だよ!おねーちゃん!」

 

 今井さんと日菜が口を揃えて言った。私は今circleの隣のカフェテリアに来ている。この気持ちについて今井さんや日菜に相談することにしたのだ。したのはいいけど、直球過ぎないかしら?

 

 湊さんに相談してみたけど、え?と言われただけでわからなかった。白金さんの場合は相談する直前にこう言われた。

 

 氷川さん、青春してますね。このように言われたのだ。白金さんはすでに気づいているかもしれない。私も薄々だけど、気づきつつあるのだ。でも、認めたくない。

 

「そ、そうかしら……」

「しかしあの紗夜が恋かぁ……いいなぁ、いいなぁ!」

「リサちーだってその内春が来るよ!おねーちゃん、さと君のことどう思ってるの?」

「……暁さんのこと?」

「そうそうさと君だよ。好きなのか、友達なのか、そこをはっきりした方がいいよ!」

 

 日菜が笑顔で私に言った。好きなのか、友人なのか……。よく考えたらどっちなのかしら。最近の私は暁さんのことで頭が一杯になる時がある。暁さんの笑顔が見たい、暁さんの側にいたい等、いくつかある。

 

 ここまで来ても私はこの気持ちがなんなのかわからなかった。はっきりした方がいい、なんて言われても困るわ。

 

「そんなことを言われてもわからないわ。暁さんのことをどう見たらいいのか……」

「ねえ紗夜、アタシから提案があるんだけどいいかな?」

「提案?何ですか?」

「明日夏祭りあるんだけどさ、誘ってみようよ。それで、暁っていう人?と楽しんで、紗夜自身で答えを出そうよ」

「私自身で……ですか?」

 

 そうだよ、と今井さんは真剣な瞳で言った。私自身で答えを出す、それは私にとって最大級の爆弾だ。これからのことにも繋がる。夏祭りに行って、楽しんで、それでどうするかを決める。

 

 ここまではまだいい、夏祭りに誘うっていうのは私からしたら難しいことなのでは?誘うのは簡単だけれど、どう誘ったらいいのかしら?

 

 

▼▼▼▼

 

 

 次の香水何にするか。いくつか花を使ってきたが、花言葉を使って紗夜に遠回しに告白してみるか?いやいや、それは気持ち悪いって思われるからやめた方がいいか。てかやったら口聞いてもらえなくなるな。

 

「告白しようにもどうするか。はぁ、恋愛は初めてだからわかんねえよ」

 

 つーか紗夜っていかにも鈍感だよな?真面目過ぎる、努力家、多分恋愛とか目にないだろうな。こんなこと紗夜には言えないな。でも、笑顔は可愛い、何かギャップ萌えを感じる。花に例えたらどういう花になるんだ?

 

 そんなしょうもないことを考えていると、バイブレーションが鳴った。何だ?俺は疑問に思いながら電源を付けた。メールか?これは……紗夜!?何であいつから……。

 

 俺はドキドキしながら届いたメールを開いた。内容は明日空いていますか、だけだった。明日は何もない、予定は大丈夫だな。

 

 空いてるが、どうしたんだ。スマホで打ち、メールを返した。何だ何だ?何が起きようとしてるんだ?これはあれか?緊張して電話できないから、メールで話しましょうだてことなのか?

 

「あんまり考えない方がいいな。あ、メール来た。えっと、よかったら明日夏祭りに一緒に行きませんか?OK、一緒に行こう、と。うん?夏祭り?へ!?マジでか!?」

 

 やべ遅かったか!時すでに遅し、俺は自然の流れかのようにメールを打って紗夜に返してしまった。おい、何でこうなったんだよ。嬉しさのあまりに即決かよ。何で俺こんなことで決めちゃったの?馬鹿なの俺?

 

 そしてメールが返ってきた。はええよ紗夜!メールを見たらありがとうございます!公園で待ち合わせでいいですか、か。ああもういいよ!どうにでもなっちまえ!

 

「いいよ、と。はぁ、浴衣出さなきゃじゃん。後で探すか。夏祭り行くこと言わねえと……」

 

 明日紗夜に問いただそう。嬉しいからいいけど、恨むからな。つーかありがと紗夜。こんな俺を誘ってくれてありがとう。問いただすのもいいけど、お礼も言わないといけないな。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 やってしまった、やってしまったわ!私は机に項垂れながら思った。勇気を出して誘ったのはいいけれど、これでよかったのかしら。

 

「やったじゃん紗夜!」

「おねーちゃんファイト!」

「私、これでよかったのかしら。今井さん、明日休んでいいですか……」

「ダーメ!ここまで来たらやるっきゃないでしょ!紗夜、勇気を出して!」

 

 今井さんに頭を撫でられた。ここまで来たらやるしかない、それはわかっている。でも、上手くいくのか。それが心配だった。私に出来るのかしら?

 

 落ち込んでいると、日菜が近づいてきた。日菜は両手で私の手を握り、額を私の頬にくっつけた。熱い、でも心地いい。心が落ち着いてくる。貴女は私を励ましてくれているの?

 

「おねーちゃん、さと君と色々あったんでしょ?友達になれたんでしょ?」

「私は……」

「だったら逃げちゃ駄目だよ!逃げたらさと君といられなくなるんだよ!」

「っ!?それは……それだけは……」

 

 それは嫌だ!せっかく出来た友達なんだ!暁さんがいなくなったら私は……私は……!

 

「もうわかるでしょ?」

「日菜……私はどうすればいいの?」

「決まってるでしょ。思いっきり楽しむんだよ!全力でね!」

「そうね、そうよね。ありがとう日菜、今井さん」

 

 私は二人にお礼を言った。そうだ、私は何を落ち込んでいるんだ。暁さんを誘ったんだ、だったら楽しまなきゃだめじゃない。

 

 明日は私にとって大事な日になる。私の全てを賭けた一日になる。暁さんと楽しんで、どうするかを決めないといけない。だから、暁さんとの関係をはっきりさせよう。ちゃんと向き合わなきゃいけないわ。

 




少女よ、全てを賭けろ
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