これは瑞田高光さんの作品『遊戯王~友と絆と愛とそして……~』とのコラボ作品です。
本編と『遊戯王~友と絆と愛とそして……~』をご覧になっていない方は、本編と『遊戯王~友と絆と愛とそして……~』を読んでいただいてからをオススメします。
※時間軸について
『遊戯王部活動記』
第2章終了時から第3章始まりの間。
『遊戯王~友と絆と愛とそして……~』
最新話より後。
デュエルアカデミア入学後以降の設定。
※
また、今回瑞田高光さんの要望で『遊戯王~友と絆と愛とそして……~』の登場キャラクターで使用していないデッキを使用させます。設定上、これから使用するかもしれないデッキです。
トリップという言葉がある。
別世界の人物が、とある作品の世界に訪れたり迷い込んだりと二次創作の小説でも多々ある分類の類だ。おそらく異世界への
広義の意味で言うならば憑依、神様転生なども含まれると言えるが、そういう中ではもっとも二次創作にとってメジャーといえる言葉だろう。
中でもトリップした人物をトリッパーなど言われている。
現実世界で仲よしの4人が不思議なカードを拾いトリップした世界で起こった出来事。
──今回は、真っ白なカードによって導かれた。
+ + + + +
「あー、これはいったい……?」
唖然と立ち尽くすのは、黒髪の短髪に中性的な顔立ちの橘晃。
彼は、いったい何なのだと目の前の巨大な建築物を見上げていた。
ありのまま起こったことを話すと、彼は遊戯王部の部活動を終えカードショップに立ちよった時に事件は起こったのだ。1枚数十円のストレージに束ねられたカードを見ていた時、発見したイラストもテキストも書かれていない空白の不思議なカード。
それを手にした瞬間、晃は視界が覆われるほどの閃光に見舞われて意識を失った。
気がつけば屋外。
それも、晃が住んでいる遊凪市とは思えない場所だった。
まず木々と言った自然が多く一般的な住宅など一つも見当たらない。別に大自然のジャングルと言わけではなく人口的らしい道があり自然公園みたいな感じだ。
さらに潮の匂いがするため海が近いのだろう。
そんな場所など15年間住んでいた遊凪市で知らない。
それよりも見当たるのは城……というには風情が無く近代的であるがそれほどの巨大な建造物である。建物の名前は〝遊戯王GX〟で言うデュエルアカデミア。晃の世界には、それに類似した決闘を専攻する決闘高校が存在する。
ただし、晃はアニメ〝遊戯王GX〟を見た事がないため、一目見ればわかる人物とは違いただ巨大で不思議な建造物でしかないのだ。
「わぁあああああ、遅刻だー!」
と、大声で叫びながら走る4人組が突如、現れた。
二人は黄色い制服を着ており、もう二人は別の赤い制服だ。
ちなみに晃の視界に入ってのは、数メートルの距離に入った時だ。それ故、晃は彼らの接近に気がつかず。
「ぐはっ!?」
黄色い制服を着た少年と激突──する寸前に、彼は身を翻したが完全に回避することはかなわず、腕が晃の首元に直撃。ラリアットが炸裂した。
「っ、悪い大丈夫……か?」
「どうしたの兄ちゃん?」
黄色い制服を着た少年が謝ろうとするが、倒れ伏せた少年から違和感を感じた。
それを不思議そうに晃にラリアットをかました人物とそっくりな赤い制服を着た少年が不思議そうに問う。多分、見た目からして双子だと思われる。
「あいつの服……ここの生徒じゃないのか?」
「あっ……そういえば、俺たちの世界に似た制服だな……」
デュエルアカデミアには、〝オシリスレッド〟〝ラーイエロー〟〝オベリスクブルー〟の3つによって生徒が配属される。そして、そのクラスごとに皆、同色の制服を着ることが義務づけられているのだ。
そのため彼らも黄色い制服や赤い制服を着ているだ。〝遊戯王GX〟はサンダーなど後に例外も現れるが、基本的には色の制服だ。
だが、晃はまったく違う。
黒い学生服は、明らかにこの学校の生徒では無く、4人がいう彼らの元の世界ともいえるところでの一般的に思える高校生の制服なのだ。
「っ、痛てて……」
「お前……デュエルアカデミアの学生じゃないのか?」
「デュエルアカデミア……アカデミアって学校か? いや、違うけど俺は遊凪高校1年の橘晃だ」
この時、4人は顔を見合わせた。
何せ晃の言っている言葉本当であるならば、この場所にいるのはおかしい。
「ま、まさか~ここは孤島だろ? 普通の学校の生徒がここに来るなんて……どうやってきたんだ?」
「え……ああ、なんだろ……何も書いてないカードを発見して、それで──」
『それだっ!?』
晃の言葉に、思わず反応する4人は大きなボリュームの声でピッタリと重なるように声を上げたのだった。
聞けば、ここは〝遊戯王GX〟と呼ばれる世界であり、彼らは俗に言うトリッパーと呼ばれるかのような境遇の如く何も書かれていないカードをそれぞれ拾ってこの世界に来たと言うのだ。
同類との邂逅の瞬間だった。
「あ、悪い自己紹介がまだだったな。俺は三林満だ」
「僕は三林龍騎だよ」
「俺は九十九燐平だ。よろしくな」
「トリは俺か遊城遊介って言うんだけど……名字に関してツッコミは無しな」
と、それぞれ自己紹介をする。
聞けば満と龍騎は兄弟であるが、この世界から双子になったとか、遊城遊介の遊城と言う名字は〝遊戯王GX〟主人公の遊城十代と同じ名字であり従兄弟なのだと聞く。
そして、一人九十九燐平が決闘馬鹿の如く発言。
「まあ、せっかく同じ境遇のやつとあったんだ。
「おい、今遅刻しそうで走ったのを忘れたのかっ!?」
燐平にツッコミを入れるのは4人組の中でストッパーを自負している遊介だ。
けれど、他の二人は燐平に賛成の様だ。
「そうだな。同じってならシンクロ・エクシーズも使えるし、使えないとフラストレーションが溜まるからな」
「僕も兄ちゃんに賛成!」
ここで遊介はため息をついて『もう、好きにしろよ……』と呟いた。
遅刻確定の瞬間である。しかし、ここで遊介が一つ疑問を聞く。
「で、シンクロ、エクシーズを使いたいって言うが、いいのか?」
「ああ、そうだな……」
このとき、満がリュックサックから1つのヘッドホン型のインカムを取りだした。装着しどこの誰かは知らないが、誰かと会話するように妙に高性能な機能を用いて繋いだ。
『ふぅん、なんだ。緊急の時に使えと言ったが、大した用でないのなら今すぐ切るぞ』
などと言う声が聞こえる。
ちなみに、連絡先はファンが聞こえば誰もがわかるみんな大好き海馬社長だ。
「いえ、前に言いましたよね。どうしてもシンクロ、エクシーズが使いたい時は連絡しろって……」
『そんなことか……なら、後にしろ俺は忙しい身だ』
「いや……それなら、交換条件でどうですか? 新しい
『《青き眼の乙女》……なんだそれは?』
と、ここで満が海馬社長に《青き眼の乙女》の効果を解説する。
遊戯王において《青眼の白龍》サポートカードであるが、その効果は《伝説の白石》《正義の味方カイバーマン》の比では無い。最高峰ともいえるサポート性能を誇るのだ。
その効果を聞けば、さすがの海馬社長も満足げだった。
『ふぅん、いいだろう。今、磯野に手配させた……数分後には使えるだろう』
「ありがとうございます」
などと言って、回線が切れた。
どうやら交渉は成立したみたいだ。
「これで問題ないな……けどさ遊介。お前は授業に行っても良いんだぞ」
と、若干心配そうに燐平が語る。
彼らは遊戯王の知識においては大概知っているので、多少の授業の遅れがあってもさして問題はない。けれど、彼らの中で遊介だけは優等生タイプと呼ばれるような存在なのだ。
だが、遊介はかぶりを振って『問題ない』と答える。
「どうせ俺達は小テストとかで巻き返すんだからサボったって平気だと思うし……俺も久々にシンクロ・エクシーズが活躍するデュエルを見たいからな」
そんな風に満足げに答えた。
そうして満が一歩、踏み出して晃と対峙する。
「それじゃあ俺がみんなを代表して相手をするぜ! そうだなシンクロ、エクシーズも有りだしたまにはLP8000でやるかっ!」
「え……LP8000が当たり前じゃ……けど、オレはデッキはあっても、決闘盤はないんだけどさ」
「だったら、僕のを貸してあげるよ」
ちなみに晃は決闘盤を持っていない。
彼の世界でも一個、数万という単価で売られているため彼が使用するのは大抵、部の備品として置かれているものだ。そのため晃は龍騎から決闘盤を借りることになった。
これで準備は万端。お互い数メートルの距離を取って決闘盤を構えた
「「
自動で彼らの先攻後攻を選択される。
先手のプレイヤーとなるのは晃からだった。
「よしっ、幸先がいいな。オレの先行だ……手札から永続魔法《炎舞-天璣》を発動し、デッキから《武神─ヤマト》をサーチして召喚!」
武神─ヤマト
☆4 ATK1800→1900
現れる晃のデッキにとって必要不可欠なモンスターであり《炎舞-天璣》の効果によって100ポイントだが強化され1900の攻撃力となる。相手である満のデッキがわからないにせよ、彼にとってコイツがいなければ始まらないと言うほどのカード。
「《武神─ヤマト》……【武神】か!?」
満が目を見開いて声を上げた。
正直な話、彼らは【武神】というカテゴリのカードをあまり持っておらず対戦経験も少ないためそのデッキにおいての知識はあまり無い方だ。確かハバキリと呼ばれるモンスターに注意が必要、光属性のため《オネスト》が入っている可能性があるというぐらいだ。
「オレはカードを1枚伏せてエンドフェイズに入るけど、ここで《武神─ヤマト》の効果を発動する。デッキから武神と名の付く《武神器─ハバキリ》を手札に加えて手札から1枚捨てる」
捨てたカードは除外からモンスターを装備させ特殊召喚させる《D・D・R》だ。今の序盤においてはあまり持っていても意味がないだろう。
●橘晃 手札4 LP8000
□《武神─ヤマト》/ATK1900
■《炎舞-天璣》
■unknwon
●三林満 手札5 LP8000
「なら、俺のターンだぜ……と、こいつは──」
満は引いたカードを確認して思考した。
この場においては随分と面白いカードだ。これならば《武神器─ハバキリ》だろうが《オネスト》を握っていたとしても多少のリスクを負うことになるがなんとか突破できるだろう。
「まずは下準備だ! 《ナイト・ショット》を発動。その伏せカードを破壊させてもらう!」
「っ……《ピンポイント・ガード》が……」
「へぇ、面白いカード使うな。俺は続けて永続魔法《六武衆の結束》を発動!」
満の場に大きな《六武衆の結束》と描かれたカードが出現する。
ソリッドビジョンとしては、大きなカード以外何も映像として出現しないことから今は何も無いのだろうが、あれからはとても嫌な予感がする。
「《真六武衆─カゲキ》を召喚する!」
真六武衆─カゲキ
☆3 ATK/200
現れたのは武士のような姿の侍だった。ただし彼は義手のような機械染みた腕を持っており刀を4つ持った4刀流と日本の武士らしくないような姿でもあった。
モデルはおそらく平安時代の武将、平景清なのだろう。
「行くぜ。カゲキが召喚に成功したことで手札からレベル4以下の〝六武衆〟を特殊召喚できる! 来い《六武衆─ザンジ》。そして他の〝六武衆〟がいることでカゲキは攻撃力を1500上げる!」
六武衆─ザンジ
☆4 ATK/1800
真六武衆─カゲキ
ATK/200→1700
モデルは幕末四大人斬りの一人、人斬り半次郎こと桐野利秋と呼ばれる人物。
赤身を帯びた茶色い鎧を纏ったところがどことなく《武神─ヤマト》に似ており、手には薙刀と呼ばれる武器を構えていた。
「【六武衆】か……」
晃も、この流れを見て満が使用するデッキについて考察する。
直接相手をしたわけではないが、展開力においてはかなり上位に存在すると聞いたことがある。
それよりも、この勝負。
日本神話をモチーフとした【武神】を扱う晃に、日本の侍をモチーフとした【六武衆】を扱う満との勝負。どちらもある意味では共通したカテゴリの対決とも言えた。
「言い忘れてたが《六武衆の結束》は〝六武衆〟が召喚・特殊召喚される度に〝武士道カウンター〟を乗せるんだ。最大、2つだがこれで2つ乗ったことになる」
《真六武衆─カゲキ》《六武衆─ザンジ》はどちらも〝六武衆〟と言う名前が付く。そのために彼の場に存在する《六武衆の結束》のイラストから2つの紋章らしきマークが浮かび上がった。
「そして〝武士道カウンター〟が乗った《六武衆の結束》を墓地へ送ることで、乗っていた数だけドローできる。これで俺は2枚ドローだ!」
「っ……2枚ドローっ!?」
これは、まるで条件付きであるが禁止カードの《強欲な壺》だ。
涼香が扱う《E・HEROバブルマン》も2枚ドローであるが、今の〝六武衆〟の展開力と条件を鑑みれば、ほとんど支障もなく使えてしまうことに晃は愕然とした。
「いいカードを引いたぜ。このカードは〝六武衆〟が2体いる時に手札から特殊召喚できる! 現れろ《大将軍 紫炎》!」
大将軍 紫炎
☆7 ATK/2500
真っ赤な甲冑を身に纏い、鋭い日本刀を片手で携えた紫色のオーラを纏った赤い瞳の武士。邪悪に見える姿ではあるものの、そのモデルとなったのは織田信長なのだ。一気にアタッカークラスの攻撃力を持つモンスターが出て来るその力に晃は驚愕する。
「うわっ……いきなり3体もの展開!?」
「【六武衆】なら良くあることだ! 行くぞ、バトルフェイズだ! 《六武衆─ザンジ》で《武神─ヤマト》に攻撃!」
ここで攻撃して来るのは攻撃力が最も高い《大将軍 紫炎》で無く、現在《炎舞-天璣》の影響を含め100ポイント攻撃力が下回っている《六武衆─ザンジ》だ。それに加えて《武神器─ハバキリ》も手札にあるのだと相手も知っているのだ。
ならば──何らかの意図があると、晃は見た。
「っ──だったら、攻撃対象になったことで場の《武神─ヤマト》を除外!」
「除外っ!?」
勿論、《武神─ヤマト》にそんな効果は持っていない。
続けて晃は場に1枚のモンスターカードを送りだした。
「光属性獣戦士族が戦闘、もしくは効果の対象になったとき対象を除外することで特殊召喚することができる! 《ビビット騎士》を特殊召喚!」
ビビット騎士
☆4 ATK/1700→1800
鮮やかとも言える西洋の貴族のような服装を着た兎のような騎士のモンスター。日本神話に西洋のモンスターが混じってしまったが、この効果は《武神─ヤマト》を守るのには丁度いい。
攻撃表示なのは守備力が800のため。攻撃表示なら100上昇した分を含めて《六武衆─ザンジ》と並ぶのだ。
「成程な、そう来たかー……攻撃力は同じだしバトルは中断する。だが、《大将軍 紫炎》で攻撃するぜ!」
「っ……通す」
晃 LP8000→7300
真っ向から将軍が立ち向かって来ては、刀で《ビビット騎士》を切り捨てる。
その背後、すぐさま将軍が切り開いた道を抜けるかのような連携の如く《真六武衆─カゲキ》が駆ける。
「続けて《真六武衆─カゲキ》で攻撃だ!」
「ぐっ、これも通す」
晃 LP7300→5600
場にモンスターがおらず、伏せカードも存在しない今では防ぐ手段を晃は持ち合わせていないのだ。結果として満からの攻撃を甘んじて受ける羽目になった。
●橘晃 手札3 LP5600
■《炎舞-天璣》
●三林満 手札2 LP8000
□《真六武衆─カゲキ》/ATK1700
□《六武衆─ザンジ》/ATK1800
□《大将軍 紫炎》/ATK2500
■unknwon
場を見渡せば3体の侍が並んでいる。
どれもかしこもアタッカーとして機能する攻撃力を持ち、知っている人物ならば『さすがは【六武衆】』と評価するだろう。伏せカードは何かわからないものの、今の状況と手札とエクストラデッキを鑑みればうまく行きさえすれば覆すのだって難しくないのだ。
「オレのターン、スタンバイフェイズに除外された《武神─ヤマト》は帰還する。そして《武神器─サグサ》を召喚!」
武神器─サグサ
☆4 ATK/1700
《ビビット騎士》が兎の騎士みたいな二足歩行のモンスターであるならば、《武神器─サグサ》は兎を模した造りもののような姿のモンスターだ。攻撃力は現時点で《真六武衆─カゲキ》と相打ちになる程度であるものの、今それは別に関係無い。
「っ……レベル4が2体。エクシーズかっ!?」
「その通り! レベル4武神《武神─ヤマト》と《武神器─サグサ》でエクシーズ! 顕現せよ《武神帝─スサノヲ》!」
武神帝─スサノヲ
★4 ATK/2400→2500
現れるは晃のエースモンスター《武神帝─スサノヲ》。
その効果さえあれば、大量展開なんてなんのその。むしろ烏合の衆を蹴散らすための効果を備えているのだ。
「《武神帝─スサノヲ》の効果発動! エクシーズ素材を取り除くことでデッキからの《武神器─ヘツカ》を墓地へと落とす」
いつもは《武神器─ハバキリ》を手札に加えていたが、今回はすでに手札に握ってあるために違う選択をする。取り除くエクシーズ素材も墓地から発動し1度のみ破壊耐性を付加させる効果を持つ《武神器─サグサ》をちゃんと選択しているため《武神器─ヘツカ》と合わせて耐性は万全だ。
「行くぞ! 《武神帝─スサノヲ》で、まずは《六武衆─ザンジ》を攻撃!」
「くっ……だったら《六武衆─ザンジ》の効果発動! このカードが破壊されるとき代わりに他の〝六武衆〟が身代わりになってくれる。カゲキが代わりに破壊される!」
満 LP8000→7300
切りつける《武神帝─スサノヲ》から《六武衆─ザンジ》を守るかのように立ちはだかった《真六武衆─カゲキ》がやられてしまう。それでも実際には《武神帝─スサノヲ》と《六武衆─ザンジ》が戦闘を行った扱いとなる。
この時、晃はミスを犯した。
今、《六武衆─ザンジ》で無く身代わり効果を持たない《真六武衆─カゲキ》から攻撃を行っていれば相手モンスターを完全に全滅させることができただろう。それも彼の知識不足が招いた結果だ。
「っ……けど《武神帝─スサノヲ》は相手モンスターに1回ずつ攻撃ができる! 《大将軍 紫炎》へ攻撃!」
攻撃力は元々100足りなかったものの、上昇している。
それでも互角ということなので、晃は手札からあのカードを使用した。
「ダメージ計算時、《武神器─ハバキリ》を発動! 《武神帝─スサノヲ》の元々の攻撃力を倍に!」
「っ……受けるが、《大将軍 紫炎》にも身代わり効果がある。《六武衆─ザンジ》を身代わりにする!」
満 LP7300→5000
先ほど身代わりで生きながらえた《六武衆─ザンジ》が今度は身代わりとなって将軍と武神帝の間に割って入って散る。ライフは大幅に削られるものの、それでも《大将軍 紫炎》は健在だ。
「だったら、カードを2枚伏せてターン終了」
●橘晃 手札0 LP5600
□《武神帝─スサノヲ》/ATK2500
■《炎舞-天璣》
■unknwon
■unknwon
●三林満 手札2 LP5000
□《大将軍 紫炎》/ATK2500
■unknwon
「兄ちゃん……」
なんとか《大将軍 紫炎》だけは生き残ったものの、状況はかなり拙い。
その事を察してか龍騎が心配そうに見ていた。今の手札は、うまく行けば爆発的な勢いに乗れそうだが現在はうまく噛み合わないのだ。
ならば、この場で出来ることは何としても時間を稼ぐことだろう。
「俺のターン……《大将軍 紫炎》を守備表示に変更してターンエンドだ」
そのため満は、簡潔にモンスター1体の表示形式を変更するだけで終ターンを終えたのだ。
大将軍 紫炎
ATK/2500→DEF/2400
●橘晃 手札0 LP5600
□《武神帝─スサノヲ》/ATK2500
■《炎舞-天璣》
■unknwon
■unknwon
●三林満 手札3 LP5000
□《大将軍 紫炎》/ DEF/2400
■unknwon
晃は、現在この上ないチャンスと踏んだ。
相手のデッキは展開力の富んだ【六武衆】だ。だが、前のターンでは手札を1枚も使用せずに終えたのだ。手札が悪いのか、今の状況を看破できないのかは不明であるが、この場で一気に畳み掛けない手はないだろう。
「よしっ、オレのターン。《武神帝─スサノヲ》の効果を発動! エクシーズ素材を取り除くことで2枚目の《武神器─ハバキリ》を手札に加え、そして伏せカードの1枚《リビングデッドの呼び声》発動し墓地から《武神─ヤマト》を蘇生する!」
「っ……やっぱ攻めこんできたか。リビデにチェーンして《増殖するG》発動」
「まあな。そして、《武神─ミカヅチ》も通常召喚!」
武神─ミカヅチ
☆4 ATK/1900
並ぶ武神モンスターたち。
普段は展開力が低い【武神】であるが故に、この光景は圧巻だった。攻撃力はアタッカークラスではあるが、さして最上級モンスター1体を出されるだけで越えられるかもしれない数値ではあるが、武神の強さはステータスでは測れないのだ。
「行くぞ! 《武神帝─スサノヲ》で《大将軍 紫炎》に攻撃!」
「っ……今は六武衆がいない。破壊される」
前のターンでは、《六武衆─ザンジ》が身代わりになることで破壊を免れたが、この場では身代わりになってくれるモンスターがいないため《武神帝─スサノヲ》によって切り伏せられる。攻撃表示のままならば攻撃力は互角だったのだが、彼がサーチした《武神器─ハバキリ》。そのカードを鑑みればこちらが正解だ。
「《武神─ヤマト》《武神─ミカヅチ》の順で攻撃」
「ぐっ……」
満 LP5000→3100→1100
半分より多少あったライフが一気に削られて行く。
満の残りライフはリクルータークラスの攻撃を受けるだけで終わってしまうほどまで陥ったのだ。だが、逆に言えばこのターンはなんとか耐え凌いだとも言える。
だからでこそ、晃は次の手を盤石に進めた。
「だったら……こいつを出すのは始めてだけど、獣戦士族《武神─ヤマト》《武神─ミカヅチ》でエクシーズ。降臨しろ《武神帝─カグツチ》!」
武神帝─カグツチ
★4 ATK/2500→2600
青い炎を発し、武神器を身に纏った《武神─ミカヅチ》が降臨する。
武神はモンスターの大量展開を苦手とするが、その中でも獣戦士族とされるカード限定という出しづらい条件のため普段はあまり見かけることは無い。だが、この場で守りを固めるためならばこの上ないカードだった。
「エクシーズ召喚に成功した《武神帝─カグツチ》の効果発動! デッキトップ5枚を墓地へ送り武神と名の付くカードの数だけ攻撃力を100上げる」
うまく5枚落ちれば《青眼の白龍》と同等の3000とまでなれるカード。
とはいえ、そこまで運良く落ちることはないだろうが、それでも一度に5枚の墓地肥やしは大きい。
そうして晃はデッキの上から5枚のカードを墓地へと送るが、送られたのは《死者蘇生》、《激流葬》、《神の宣告》、《おろかな埋葬》、《大嵐》だった。全て現在、制限や準制限カードとされる強力な魔法や罠のカードばかりだ。
「…………」
「…………ドンマイ」
唖然とする晃に、とりあえず慰めることしかできなかった。
運が左右する効果とはいえ、さすがにこれは無いだろう。
「ま、まあ……《武神帝─カグツチ》は武神の獣戦士族が破壊されるとき、それをエクシーズ素材を取り除くことで無効にできる効果がある。オレはこれでターンエンド」
とはいえ、晃が《武神帝─カグツチ》を出した理由はこちらの破壊耐性だ。
エクシーズ素材を鑑みて破壊耐性は2回。加えて墓地には《武神器─サグサ》に《武神器─ヘツカ》手札には《武神器─ハバキリ》を握っているのだ。
これ以上無いほどの優位だった。
●橘晃 手札1 LP5600
□《武神帝─スサノヲ》/ATK2500
□《武神帝─カグツチ》/ATK2600
■《炎舞-天璣》
■《リビングデッドの呼び声》/対象:無し
■unknwon
●三林満 手札4 LP1100
■unknwon
だが、晃は知らない。
満が扱う【六武衆】の本当の恐ろしさを。
「俺のターン、ドロー! っと、来たぜ。手札から《紫炎の狼煙》を発動。デッキからレベル3以下の六武衆、《六武衆のご隠居》を手札に加えそのまま特殊召喚だ!」
六武衆のご隠居
☆3 ATK/400
持つ効果は、相手の場のみにモンスターが存在するとき特殊召喚できる効果だ。《サイバードラゴン》と同じ効果であるが、このカードの攻撃力は400と低くアタッカーとはなれないのが残念だ。
「さらに手札から《六武衆の荒行》を発動! 場の《六武衆のご隠居》を選択しデッキから同じ攻撃力400のチューナーモンスター《六武衆の影武者》を特殊召喚する!」
六武衆の影武者
☆2+ ATK/400
現れるのは緑色の鎧を纏った侍。
影武者故に強そうに見えないものの、この流れは【六武衆】において必勝パターンなのだ。
「おおっ、ついに出たか!」
今まで静観していた一人である遊介がこの場面で声を上げた。
心なしか、若干興奮気味である。
「行くぜ! レベル3《六武衆のご隠居》にレベル2《六武衆の影武者》をチューニング!」
《六武衆の影武者》が2本の緑色の輪へと変貌し《六武衆のご隠居》を包み込む。ご隠居の中から現れた3つの小さな星と輪から浮き出る2つの星が一直線上に並んだ時、一本の巨大な光の柱が巻き上がった。
「出でよ! 《TGハイパー・ライブラリアン》!」
TGハイパー・ライブラリアン
☆5 ATK/2400
現れたのは戦士では無く魔法使い。
それも本を携えた司書館だ。デッキとのイメージは全然違うがこのカードの効果はシンクロ使いとなるデッキにおけば1、2を争うほど重宝するカードでもあるのだ。
「さらに《諸刃の活人剣術》を発動! 墓地から六武衆《六武衆のご隠居》《六武衆の影武者》の2体を特殊召喚! この効果で特殊召喚エンドフェイズに破壊され攻撃力の合計ダメージを受けるが、関係ない!」
満の場に先ほどシンクロ素材となった2体が舞い戻る。
エンドフェイズに破壊されるのは関係無いと言ったのは当然の如く、またシンクロ素材にしてしまえば問題無いのだから。
「再び、レベル3《六武衆のご隠居》にレベル2《六武衆の影武者》をチューニング!」
またしても同じエフェクトが発生し光の柱が立ち上る。
そこから現れたのは、魔法使いで無く今度はデッキのイメージに相応しい武士の姿だ。
「開陣せよ! 《真六武衆─シエン》!」
真六武衆─シエン
☆5 ATK/2500
「出た、シエン!!」
今度は燐平が鼻息を荒くして叫ぶ。
《大将軍 紫炎》の若かりし姿であり【六武衆】において。そして、満のデッキにおいてのエースモンスターである。
「シンクロ召喚に成功したことで《TGハイパー・ライブラリアン》の効果! 1枚ドローし、手札から《貪欲な壺》を発動する。墓地の《六武衆─ザンジ》《真六武衆─カゲキ》《大将軍 紫炎》《六武衆のご隠居》《六武衆の影武者》をデッキに戻し2枚ドロー!」
先ほどのシンクロ召喚で丁度5枚のモンスターが墓地へと送られていたのだ。
だが、このカードの発動で何故か龍騎が不思議に思い尋ねる。
「あれ、兄ちゃんのデッキに《貪欲な壺》って入ってたっけ?」
「いや、昨日サイドデッキから抜き忘れてたんだよ。まあ、今回はラッキーだったけどな。っし、良い引きだ! 《六武の門》に《六武衆の結束》を発動させる!」
《武神帝─カグツチ》の落ちの酷さと運の悪さを見せつけた晃と対象的に、凄まじい運の引きを魅せる満のデッキは回る回る。前と同じ場に大き目の《六武衆の結束》のカードと彼の背後に巨大な門が聳え立った。
「《真六武衆-シナイ》を召喚! さらに《真六武衆-キザン》も特殊召喚だ!」
真六武衆-シナイ
☆3 ATK/1500
真六武衆-キザン
☆4 ATK/1800→2100
《真六武衆-キザン》は場に六武衆が存在する時に特殊召喚することができるカードだ。複数展開が重要となる【六武衆】においては極めて強力だ。さらに他に六武衆が2体存在することで攻撃力が300上昇する効果もある。
「これで《六武の門》には2つずつの計4つ、《六武衆の結束》には2つの武士道カウンターが乗った。また《六武衆の結束》を墓地へ送ることで2枚ドローだ!」
またしても《強欲な壺》効果を発動する。
引いたのはなんと永続魔法《紫炎の道場》だ。それも2枚。
六武衆が場に出る度に武士道カウンターを重ね、このカードを墓地へ送ることで乗っていた分以下のレベルを持つ六武衆または紫炎の効果モンスターをデッキから特殊召喚する効果。この場で手札が無く、これ以上の大量展開を望めないこの場ではあまり意味が無い。
ここで引きが悪くなったか、と満は一瞬思ったが、この場を見ればそれは──。
「これ以上無いってほどの最高の引きだなっ! 行くぜ、《紫炎の道場》を2枚発動だ!」
「最高の引きっ!? けれど、オレの場は……」
「いや、見せてやるぜ! 遊戯王には思いもよらない戦い方があるってことを!」
満が猛々しく語る。
これで舞台は整った。
──今、この場から三林満の独壇場だ。
「《六武の門》の第二効果だ! 武士道カウンターを4つ取り除くことでデッキか墓地から六武衆1体を手札に加えることができる。これで《真六武衆─ミズホ》を手札に加え──このカードは場に《真六武衆-シナイ》が存在する時、特殊召喚できる! そしてもう1枚手札にあるミズホも召喚!」
真六武衆─ミズホ
☆3 ATK/1600
真六武衆─ミズホ
☆3 ATK/1600
ちなみに、この逆《真六武衆─ミズホ》が場に存在する時に手札から《真六武衆-シナイ》を特殊召喚することもできる。互いにシナジーする赤と青の侍たち。この2枚は揃うことでコンボカードとしても力を発揮するのだ。
「これで六武衆が特殊召喚されたことで《六武の門》に4つ、《紫炎の道場》にもそれぞれ武士道カウンターが2つ乗る」
《六武の門》には2つの紋章が。
《紫炎の道場》2枚のカードには1つずつの紋章が宿る。
「行くぜ! 《真六武衆─ミズホ》の効果だ。場の他の六武衆もう1枚の《真六武衆-ミズホ》をリリースし場のカード1枚を破壊できる。これで《武神帝─スサノヲ》を破壊させてもらう!」
「っ……だったら《武神帝─カグツチ》の効果! エクシーズ素材を取り除き破壊から守る!」
赤い女侍が円弧を描いた曲刀を投擲するが、それを《武神帝─カグツチ》が弾く。
いくら攻撃力関係無く破壊できる効果と言えど、破壊を防ぐ効果に対しては無力だ。
だが、それが1度のみとは限らない。
「破壊できないのは織り込み済みさ! だが、《六武の門》の第二効果を再び発動! このカードの武士道カウンター2つと《紫炎の道場》に乗ったカウンター1つづつを取り除くことで合計4つ! 墓地から《真六武衆-ミズホ》を回収!」
ちなみに《六武の門》の効果は1ターンに1度では無い。さらに、取り除く武士道カウンターはこのカードだけで無く自分の場であれば他のカードからも扱うことができるのだ。
それ故に、このコンボは完成していた。
「《真六武衆─シナイ》がいることで回収した《真六武衆-ミズホ》を手札から特殊召喚しまた《六武の門》と《紫炎の道場》2つの3枚に合計4つの武士道カウンターが乗る! そして《真六武衆─ミズホ》の効果をもう一度! 効果を使ったミズホをリリースし《武神帝─スサノヲ》を破壊!」
「ぐっ……だけど、また《武神帝─カグツチ》の効果で破壊から守る!」
またしても破壊を防ぐ。
だが、これで《武神帝─カグツチ》のエクシーズ素材は0。もう破壊から守ることはできなくなってしまった。それに対し──。
「《六武の門》の効果をもう一度発動! 4つ取り除くことで三度、《真六武衆-ミズホ》を回収し特殊召喚!」
「っ……まさか、これはっ!?」
「そう、無限ループだ!」
晃は驚愕する。
満が使用したのは《真六武衆─ミズホ》の効果を幾度となく使用できるループである。
《真六武衆─シナイ》がいる時、《真六武衆-ミズホ》が無条件で特殊召喚できる。それに合わせ合計4つの武士道カウンターが取り除くことができる状態であるならば《真六武衆-ミズホ》2枚を交互にリリースする度に墓地から《六武の門》で回収する。
これは破壊できるカードが無くなるまで繰り返せるのだ。
「気付いたなら、めんどくさいから以下略な、また《真六武衆─ミズホ》の効果で《武神帝─スサノヲ》を破壊するぜ」
「っ……墓地の《武神器─サグサ》を除外し効果を発動。1度のみ破壊を無効にできる」
それでも抗う晃。
しかし、悲しいかなもう結末は見えている。
「もう1度だ」
「……今度は《武神器─ヘツカ》を墓地から除外、武神を対象とする効果を無効にする」
「けれど、これで打ち止めだな。また《武神帝─スサノヲ》を選択するぜ」
「っ……」
4度の破壊を防ぐ。
それだけも、十分過ぎるほどの守備の堅さだがすでに種切れである。防ぐ手段が無くなったため《武神帝─スサノヲ》は切り裂かれ破壊される。
「さらに《武神帝─カグツチ》を破壊。続けて《炎舞-天璣》、伏せカードとも破壊させてもらうぜ!」
「ぐっ……」
場を蹂躙して行く。
《武神帝─カグツチ》、《炎舞-天璣》、伏せカードの《聖なるバリア─ミラーフォース─》が消滅していき晃の場は、完全な死地へと変貌させられたのだ。
「さて、これで終わりだが……悪いな。エクシーズも出したいんで俺のもう一体のエースを出させてもらうぜ。まずは下準備だがレベル3《真六武衆-シナイ》と《真六武衆─ミズホ》でオーバーレイネットワークを構築! 現れろ《M.X─セイバーインヴォーカー》!」
M.X─セイバーインヴォーカー
★3 ATK/1600
現れるのは、晃も良く知る〝X─セイバー〟シリーズのカードだ。
このカテゴリは晃が所属する遊戯王部の部長である新堂創が使用するためだ。
「《M.X─セイバーインヴォーカー》の効果を発動! オーバレイユニットを1つ取り除くことで地属性、戦士族で2枚目の《真六武衆-キザン》を守備表示で特殊召喚!」
真六武衆-キザン
☆4 DEF/500
現れる2体目の《真六武衆-キザン》。
攻撃力が上昇する効果の条件を満たしてみるものの守備表示では意味がないが、その様なことは別にどうでもいい。今この場で肝心なのはレベル4の《真六武衆-キザン》が2体出揃ったことだ。
「さあ、お披露目だ! 六武衆レベル4《真六武衆-キザン》2体でオーバーレイ! オーバレイネットワークを構築! 出陣しろ《六武衆の影─紫炎》!」
六武衆の影─紫炎
★4 ATK/2500
《真六武衆-キザン》たちが茶色の球体へと変化し渦を描きながら出現した黒い孔へと吸い込まれて爆発を起こす。中から出現するのは、《真六武衆-シエン》と鎧が酷似した侍だ。
かつて遊戯王最初期のvol.1に登場した通常モンスター《紫炎の影武者》の真の姿という噂を持つモンスターであるが、その力は《真六武衆─シエン》や《大将軍 紫炎》と同じ2500にまで上り詰めているのだ。
並ぶ《真六武衆─シエン》、《六武衆の影─紫炎》の2体が並んだ。
その光景は圧巻である。
「す、凄い……」
晃は、今の光景を見ては震えていた。
無限ループでの破壊コンボ。大量展開からの2体の切り札の召喚。
彼が言っていた〝遊戯王には思いもよらない戦い方がある〟という言葉は確かに本当だった。晃はまだ知らないだけで、世界にはこんなにも凄い決闘者たちがいるのだ。
「まずは《TGハイパー・ライブラリアン》で直接攻撃!」
「っ……」
晃 LP5600→3200
直接攻撃でライフが大幅に減少する。
これで5000を下回ったためか、満は終わりの宣言をした。
「これで終わりだ! 《六武衆の影─紫炎》、《真六武衆─シエン》でとどめだ!」
二体の〝紫炎〟による連撃。
この攻撃を防ぐ術も無く、晃はただ目の前の決闘者の姿を捉えたまま攻撃を受けた。
晃 LP3200→700→0
ライフが0となり決闘の終了を告げるブザーが鳴り響いた。
それと同時に決闘馬鹿と呼ばれる燐平が身を乗り出し決闘盤を構えていた。
「いや~、良い決闘だったな! 今度は、俺が……って、あれっ!?」
ここで異変に気付いた。
先ほどまで決闘を行っていた晃の姿が無く、彼が立っていた位置には龍騎から借りた決闘盤が装着者とセットしていたデッキを失い落ちていたのだ。それを満が歩いては拾い上げる。
「あいつは……どうしたんだ?」
と、不思議そうに遊介が聞く。
それを〝さあな〟と頭を振って満が語った。
「もしかしたら、元の世界に戻っちまったかもな……元々、俺たちだって何でこの世界に来てしまったのかも理由だってよくわかってないしな」
満はただ、空を見上げていた。
そこにはただ青い色しか映っていないが、彼が見ているのはきっと空では無くもっと別の何かなのだろう。
「まあ、また会えるさ……きっと」
確証は無い。
ただの直感だけどそれは何となくそんな気がしてくる。
「うん、そうだね……」
それを龍騎が同意する。
語りはしないが、燐平と遊介だって意見は同じなのだ。
この時、すでにアカデミアの授業開始を告げるチャイムが鳴り響いていたのはまた別の話。
+ + + + +
「はっ……!?」
途端、晃は目を覚ました。
目に映るのは見慣れた自宅のリビングの景色であり、晃は不覚にもリビングのソファの上で寝てしまっていたのだ。テレビが付けっ放しだったのか、そこには侍たちが刀を振るって悪党を倒す時代劇が放映されていた。
「夢オチ……なのか?」
なんとなく、夢の中で誰かと決闘を行っていた気がした。
しかし、その内容を思い出そうとしても思い出すことはできず内容はおろか対戦相手だって正直、おぼろげにしか覚えていない。
ただ、それでも今放映されている時代劇の侍の姿を見るとなんとなく思い出しそうな気がしてくる。苛烈にして強烈な戦術を使った決闘者がいる事を。
「オレが知らないだけで……世界には、多くの凄い奴がいる、か……」
なんとなくそんな言葉だけは思いだせた気がする。
彼は気付いていないが、リビングのテーブルの上には晃が使用するデッキがあり、その傍らには何も書かれていない真っ白い遊戯王カードが放置されていた。
だが、風に煽られたのか真っ白いカードはふわりとまくり上がり窓の外から空へと地上からは見えない高さまで舞い上がっては消えていったのだった。
というわけで、『遊戯王部活動記』コラボ作品第二弾『遊戯王~友と絆と愛とそして……~』とのコラボ作品でした。瑞田高光さん企画に乗っていただきありがとうございました。
【六武衆】はやはり鬼畜。
なにせ禁止カードである《強欲な壺》モドキを使えるのだから。
ちなみに、まだ多作者さんとのコラボは募集しています。
ただし、毎週更新を目標としているので企画後から数週間はかかりそうですし、1カ月に1つというペースになってしまいそうです。