これはkohatukaさんの作品『遊戯王*ASTERISKs*(アスタリスクス)』とのコラボ作品です。
本編と『遊戯王*ASTERISKs*(アスタリスクス )』をご覧になっていない方は、本編と『遊戯王*ASTERISKs*(アスタリスクス)』を読んでいただいてからをオススメします。
※時間軸について。
『遊戯王部活動記』
第5章と6章の間。
『遊戯王*ASTERISKs*(アスタリスクス)』
第23、24話ほど。
DM、GX、5D’s、ZEXAL、ARC-V。
遊戯王と呼ばれる世界には様々な種類が存在するが二次創作を含めてしまえば数えきれないほどの無数の世界が存在する。その中でも正史である原作とはまったくの関連が無い世界も存在する。
デュエルモンスターズによって全てが左右される世界。
6つの大陸が有する世界で生まれたくましく生きる少女の物語。
──これは、6つの大陸を有するデュエルモンスターズの世界の話。
+ + + + +
大都市シガマ。
6つの大陸が交流する中でもっとも文明の開発が著しいと言われる『
未開拓などと言われているが名前の通り大都市としては十分にビルが立ち並び空で別大陸とを繋ぐ空港も存在する。
現在では、このシガマの街でSSCと言われる大きな大会が行われており多くの観光客が訪れている。
その街中を褐色の肌に焦げ茶色の髪、琥珀色の瞳を宿した12,3歳ほどの少女ユーリ・ベルガモットが比較的目立つメイド服に身を包み街中を出歩いている。彼女もまたSSCの大会に【にじいろ団】という決闘旅団のチームとして参加をしているのだ。
「あのなぁ、兄ちゃん。こちとら慈善事業じゃねえんだ。無銭飲食なんて見過ごせねえよ」
「だーかーら、ちゃんと払うって言ってるって!」
ふと口喧嘩のように荒げた二人の声が聞こえた。
声がした場所かと思われる木造建築の飲食店はヒヨリ=タマキという少女と始めて出会った場所だった。
デジャブなんて言葉がある。
前にもこの場所でヒヨリと店主が『激辛ラヴァルカレー』のおかわり自由の限界についてひと悶着があったのだ。今回は口喧嘩をする二人ともが男性という声からまったく別の事なのだろう思わず覗いてみることにした。
「あのー、すみません」
人垣の隙間から覗くと口喧嘩をする一人は、予想通りこの店の店主だ。
対してもう片方はどこの民族衣装なのだろうかスーツにも似た上から下まで黒一色の服を着た男性または下は黒だが上は白く薄そうな布地を着たもう一人の男性のヘンテコな二人組だ。今まで農村で暮らしていたベルにとっては見慣れない服だけでなく素材自体もどのような物が使われているのか検討も着かない。
二人組を観察している間も口論は続く。
上下黒一色の服を着た男性は整った顔立ちに180はあるだろう高い身長。年齢はおそらく17ぐらいだろう少年は1枚の長方形の紙切れを見せつけて語る。
「ほら、支払いはこれでいいだろ?」
「こんな通貨見たことねえよ。いったいどの大陸のなんだ」
「大陸? 日本銀行発行の千円札だぜ。ほら、この野口英世の顔を見ればわかるだろ」
「ニホンギンコウ? ノグチヒデオ? 聞いたことねえなぁ」
と、見せつける通貨と思われる紙はベルも見覚えがない。
それどころか人垣と化す周囲も小さな声が話合うが誰一人としてそのような通貨は見たことが無いと聞こえてくるのだ。
「あー、だから店に入るのはやめようって言ったんスよ。部長」
「何を言うんだ橘! ここに書かれている『激辛ラヴァルカレー』なんて遊凪市には絶対無いだろ? 今を逃したら絶対に御目には書かれないだろ!?」
「それで通貨が通じないって言ってるんスよ! そもそも、ここはどこなんスか? 外国?」
もう一人の上は白い服と黒いズボン。
黒髪に中性的な顔立ちで年も背ももう一人より少し低そうな少年はため息を吐いた。まるで見知らぬ土地に放り出された迷子のようだ。その間にも茶髪の少年は財布から他の紙を取り出そうとする。
「だったら、こっちも最終兵器の諭吉を出すしか──」
「わかったよ兄ちゃん」
「ん?」
「金が無いんなら仕方ねえが、だからと言ってこっちもそれで帰すわけにはいかねえ。それならコイツで勝負しようじゃねえか」
「おっ! こいつは……」
店主が取りだしたのは全世界の共通言語のデュエルモンスターズだ。
旧型のデュエルディスクを構える店主を見て茶髪の少年はわなわなと震えだした。
「デュエルか! いいぜ。乗った!」
(あれって、デュエルディスク……?)
勢い良く手持ちのリュックサックから取り出したのは通貨と同じように旧型と違いましてや新型とも違う見た事も無いデュエルディスクだ。ただしカードだけは同じなのかちらりと見えた裏面の柄はベルも良く知っているものだ。
「おう、ディスクもヘンテコか。とはいえ最初に言っておくが容赦はしないからな」
「勿論!
互いに距離を取り今にも決闘が行われる状況。
デュエルディスクが起動し周囲が光に包まれ始めた。
『
途端、周囲を塗り替えるように闘技場であるコロッセオのような景色へと変貌し出したのだ。それこそこの世界における決闘スタイルの基本だというのに景色の変貌を見てはを見て少年は驚きで声を荒げた。
「おおっ! よくわからんが、こいつはすげえな!」
「これが普通だろ? 変な奴だな」
だが、少年はさらに驚愕することになる。
『呼ばれて飛び出て、呼ばれなくても飛び出る美少女審判員コパールちゃんここに参上っ!』
突如、陽気な声と共に現れたのは『審判員機構』と言われる存在。
不正を見抜く公平な審判として立ち、決闘者に危害が加わるようなことがあれば仮想技術を応用し、身を守ってくれる。
というのだが、ワインレッドの髪に青い大きなリボンとどこからの双子姉妹の姉に良く似ている。加えて彼女は審判だと思っていいのか『サリー』と呼ばれるインドやネパール等の南アジアで着用される民族衣装をコスプレの如く着こなしているのだ。
「おおっ! 今度は何だ!?」
知りもしない『審判員機構』にさらに驚きを見せる少年。
それを見てコパールはニヤリと笑った。
『ふっふっふっ、どうやら私を知らない方なので簡単に自己紹介をしますが私は『審判員機構』または決闘者の皆さんのアイドルのコパールちゃんです。さぁて、今回はそちらの方のディスクが見たことの無い仕様になっていましたがなんとかアクセスすることに成功しましたー。問題無く行えますよー』
「審判員。アンティの設定だ。俺が負けたらコイツらが飲み食いした代金はチャラ。代わりに俺が勝ったらその分、店で働いてもらう」
『はいはい~、その場合対戦相手の了承が必要になりますが大丈夫ですかー?』
「おうっ! 俺はそれでいいぜ」
準備も万全となり後はただ勝負の開始を待つだけだ。
ほんの数秒の間を開けて決戦の火蓋が落ちる。
『
「おっしゃぁああー! 《XX─セイバーガトムズ》《神樹の守護獣─牙王》《ガントレット・シューター》で総攻撃だ!」
「くそぉおっ! 常識外れに強ぇじゃねえかっ!?」
勝者はヘンテコな服装な方の少年だ。
かつてのヒヨリの華麗なワンショットキルとはまったく違う。序盤は店主の《BK 拘束蛮兵リードブロー》の破壊耐性と自己強化を駆使して善戦していたのだが途中からまるで火山の噴火の如く勢いよくモンスターの大量展開とシンクロ、エクシーズでの力押しという強引でダイナミックな内容だ。
「約束は約束だ。勘定はいらねえよ」
「おっ、悪いな。って、言いたいけどさすがに悪い気がするからな。使えないみたいだけど千円札を払っとくぜ」
気持ちだけでもと見慣れぬ紙幣を店主に手渡す。
二人組はそのまま店の外へと出ようとするが。
「腹ごなしも済んだしどうすっか?」
「そうッスね。幸いにして言葉は通じるみたいだしここは情報を集めるのがいいと思うんスけど」
「おお街人から情報収集か。RPGっぽくていいな!」
「また呑気な……」
一人はテンションを上げては、もう一人は逆に下がっているようにみえる。
そのうちのテンションが上がった方が周囲をキョロキョロと見渡し始めてはふと、ベルと目が合ってしまったのだ。
「え……?」
ズンズンと近づいてくる。
見知らぬ男性に手を伸ばせば届くぐらいの距離まで詰められてほんの少し警戒してしまうが、彼はまるで子供のような無邪気な笑顔を浮かべて尋ねてきたのだ。
「悪い。ちょっといいか?」
+ + + + +
「俺は
「同じく1年の
場所は移り代わり彼女、ユーリ=ベルガモットことベルたち決闘旅団の『にじいろ団』が使用している宿へと来ていた。その際、二人分の宿泊費を店主に決闘で挑み勝ち得ることでなんとかした。
「つまり、アンタらは
数分に渡り事情を聞き。
チームの頭脳の役割も務める
「おうっ! 多分、そういうことだぜ!」
「それにしても他の大陸からなんて聞かない話ね」
今度は
(藍さんでも知らないなんて……もしかしてユウさんなら)
「…………」
ベルは気付かれないように視線を一人の男性へと向ける。
視線の先にはユウ=キリサキ。決闘者として実力者であり彼女にとって決闘の師匠とも言える存在だ。彼はかつて『この世界』とは別の『世界』にいたのだと語っていた。
そのために何か心当たりは無いかと尋ねようと思ったものの察したのか彼は首を横に振ったのだ。
「それで、他の大陸というのは置いておいて私たちに何を求めていらっしゃいますの?」
創たちの話を聞きながら有名なブランドコーヒー『ブルーアイズ・マウンテン』を味わい優雅なブレイクタイムをとっているのはアンリエール・ラムジョレーン。『
「ああ、元の世界に帰りたいんだけどな──」
なんとなく口ごもるように創は語る。
次に彼は満面の笑みで告げた。
「そんなことよりも
「おいおいっ、唐突すぎんだろっ!?」
「というか部長。帰ることをそんなこと扱いッスか!?」
まったく空気が読めない決闘馬鹿発言にクラドと晃がツッコミを入れる。
これが新堂創という男なのだが彼を知っている晃だけならまだしも初対面の面々も呆れたような表情を浮かべるのだがポーカーフェイスのユウ=キリサキは表情を変えることなく創の発言に肯定の意を見せる。
「いや、いいかもしれないな」
「えっ!? ユウさん?」
「
ユウ=キリサキの発言に成程と皆が小さく頷いた。
特に反論する理由も無く彼らは決闘することとなった。
+ + + + +
「それで誰が行くんだ?」
近くの広場は幸いにも人がおらず決闘をする場所としては最適だった。
これから決闘を行うにせよ本番はからっきしということで行うなら自分以外とクラドは誰が行くか聞く。
ユウ、ベル、藍、アンリの4人の中から決まるのだがアンリが一歩前へと出る。
「それではこのアンリエール・ラムジョレーンが──」
「いや、ベルがいいだろう」
だがユウがベルを指名した。
「えっ、わ、わたしですかっ!?」
「相手は未知数の決闘者だ。そういう相手との経験を積むのもいいだろう」
それは決闘者の師匠としての言葉なのだろう。決闘をするにあたり相手を知っているかどうかというのは大きな違いだ。その一つだけで戦術が大きくかわることさえある。だからでこそ未知の相手との経験を一つでも積むべきだと。
「ぐっ……!? ま、まぁユウ様がそうおっしゃいますなら私は賛成いたしますわ」
ユウに思いを寄せるアンリは即決で賛同する。思慮深い藍も異議を立てることもなく指名されたベルは少しだけ迷うような素振りを見せるものの。
「はいっ、頑張ります!」
決闘盤を掲げて一歩、二歩と前へと出る。
広場の中心に二人の決闘者が対峙するのだが相手は最初に決闘をしようと発言した新堂創かと思われていたのだが、目の前に立つのはもう一人の男性である橘晃だった。
「あれ創さんでは無いんですか?」
「ハハ、いや部長が──たまには知らない相手との勝負をしてみるのもいいって」
同じだった。
どうやら晃と創もベルとユウに似た関係なのかもしれない。
ふと創を見れば笑顔でサムズアップしている。
「あはは、わたしも同じです」
「そうか。まあ、決闘をやる以上、手加減はしないよ」
「わたしだって全力でいきますよ!」
お互いが十分な距離を取り決闘盤を展開する。
それと同時に周囲の景色が広場から一変するのだが、それはベルたちが見たことも無い知らない景色だった。
風が吹きピンク色の桜の花が舞う。
綺麗な緑色の芝に等間隔で生え並ぶ桜並木。その近くには四角いコンクリート状の巨大な建物が立っているのが見える。
(知らない場所ですけど、凄い綺麗)
(また景色が変わった。というかどこの学校なんだ?)
見知らぬ景色ながら感銘を受けるベルと景色ごと変わるソリッドビジョンに慣れないような素振りを見せるものの何となく見覚えがあるように見える晃。そのまま決闘盤の機能は起動を続ける。
『
『学生時代は甘酸っぱい青春の味! 美少女審判員にて先輩コパールちゃんと』
『同じく後輩ネフ、参上致しました』
現れた『審判員機構』は先ほどの店とは違い二人。衣装も今回はコパールは一昔前にあったような黒い学ランと帽子を着用しておりネフは白いセーラー服だ。
『おやおや、今回は特に設定は無しですか。ですがそちらのさえない学生さんの決闘盤はライフ設定が8000に固定されていますね。フルかハーフか決めていないのであれば、よかれと思って用意してみましたぁ~!』
ジャン、と勢いよく現れたのは巨大な円形のルーレットだった。
円を割るように真ん中にラインが入り半分づつ『ハーフライフ』『フルライフ』と書かれている。その外側には等間隔に電球のようなランプが取り付けられている。
『それでは行きますよー! ネフちゃんやっちゃってください!』
『はい姉さん。ルーレット、スタート』
軽快な音を立てながら高速で外側のランプが回転するかのように点灯し続けていく。時間が立つにすれスピードが徐々に落ち始めて来た頃に晃は気付いた。円形で二つに分かれたルーレットの上部の中心に第三勢力の『たわし』と言う文字が小さく書かれているのだ。
(何故にたわし?)
それはなんとなく遊凪高校で創たちがふざけているときのような感覚に似通っていた。
ランプの動きがそろそろ止まりそうになってきたときだ。秒感覚で点灯しては消えての繰り返しを行っては一番上の『たわし』の文字で止まりそうになる。
『おおっと、これはたわしで止まってしまうかぁー!?』
(いや、だからなんでたわし?)
ここで止まったらどんな決闘になるか興味が無いわけではないがとりあえず嫌だ。
だがギリギリにもランプの動きは止まることなくギリギリにも『たわし』の枠を超えて『フルライフ』の枠で止まった。
『これは《こっちが本当のフルライフ》で決まりました。いつもの倍ありますのでご注意くださいね!』
(よかった。いつもの勝負だ)
どうやらこの世界ではライフ4000が当たり前のようだが晃たちの場合はフルライフの8000が当たり前だ。いつもと変わり映えの無い勝負ができそうだと胸をなでおろした。
『では、お待たせしました。フルライフ8000スタートの決闘で他の申請は無いですね。それではデュエル開始ィィー!』
コパールは片腕を天へと突き出してまるでどこかのサングラスをかけた社員の如くデュエル開始の宣言を行った。
「「
【ベル】 LP8000 VS 【橘晃】 LP8000
「先攻はオレか。まずは《強欲で謙虚な壺》を発動!」
先攻の晃が開始に使用したのは二つの顔を持つ壺のカード。この効果によりデッキトップの3枚のカードが露わになる。橙色の枠の効果モンスターが1枚と緑色の枠の魔法カードが2枚。その中から彼は迷うことなく効果モンスターを選んだ。
「よしっ、オレは《武神─ヤマト》を選択し手札に加えて召喚!」
《武神─ヤマト ☆4 ATK/1800》
それは橘晃が所有する【武神】デッキの代名詞とも呼べるモンスターの1枚。
自然界の生き物には見えない見た目に内側から光が漏れている人型のモンスター。ステータスは普通の下級アタッカーと大差は無い。
(やっぱり、知らないカードだ)
ベルは彼が召喚したモンスターを目を丸くして見つめた。
デュエルモンスターズを始めて間もないため仕方が無い。そのために晃が使用する【武神】の特徴も知らないのだ。
「さらにカードを1枚伏せてエンドフェイズに入るがここで《武神─ヤマト》の効果を発動。デッキから武神モンスターを1枚加えて手札を1枚捨てる。デッキから《武神器─ハバキリ》を手札に加えて──そのまま捨てる」
『おやおや、これは妙な選択ですね』
この晃のプレイングはデュエルを知る審判員のコパールさえも目を丸くさせた。
「まあな。ダメージ計算時に手札から墓地へ送ることで武神の獣戦士の攻撃力を元々の倍に捨てるカード。それをわざと墓地へ送るのは晃ぐらいなもんだ」
解説混じりに創が語る。
彼の言葉にユウが使用する【ライトロード】に入る《オネスト》にも似たようなカードをわざと墓地へ送ったのだとベルも理解できた。普通はプレイングミスであるのだが、それを行うのが橘晃という決闘者の戦術なのだ。
「わたしのターンです。ドロー!」
次いでベルのターン。
彼女のデッキは特にカテゴリが定まったデッキというわけでは無く旅先で得たカードを投入した所謂寄せ集めのデッキであるが手札は悪くなく戦術を立てるのに十分だった。
「行きます。まずは《増援》を発動! デッキから《切り込み隊長》を手札に加えて召喚。効果で手札から《カードガンナー》を特殊召喚です!」
《切り込み隊長 ☆3 ATK/1200》
《カードガンナー ☆3 ATK/400》
早速2体のモンスターが並ぶ。このままエクシーズ召喚と行いたいところだったがベルのエクストラデッキで今呼べるランク3のモンスターは攻撃力1800の《銀嶺の巨神》だけだ。2枚の手札を使って相手の下級モンスターと相打ちでは損でしかない。
「《カードガンナー》の効果を発動。デッキトップの3枚を墓地へと送って攻撃力をアップさせます」
《カードガンナー ATK/400→1900》
(よしっ! いいカードが落ちた)
墓地へと落ちた3枚のカードを見てベルは心の中でガッツポーズを取った。攻撃力を上げるコストでありながらどちらかというとこちらの墓地肥やしをメインで投入することが多い。
「これで《武神─ヤマト》を上回った! いいぞメイドちゃん!」
クラドが声援を送る。
たった100とはいえ攻撃力が上回っているのであれば戦闘では勝てるが
「《補給部隊》を発動してバトルです! 《カードガンナー》で《武神─ヤマト》へ攻撃!」
「なっ!? お馬鹿!?」
「えっ……!?」
ベルの攻撃宣言にアンリエールが思わず声を荒げてしまう。
驚くベルだが攻撃宣言は完了してしまっている。
「悪いな。伏せカードの《剣現する武神》を発動! 墓地から《武神器─ハバキリ》を回収してダメージ計算時に発動。ヤマトの攻撃力を倍にする」
《武神─ヤマト ATK1800→3600》
どこから隠し持っていたのか攻撃を受ける間際に天羽々斬と呼ばれる刀を取り出しては居合斬りの要領で赤い小型機械を切り伏せる。
ベル LP8000→6300
『おおっと、冴えない学生さんはなんとも意外な奇襲を魅せました!』
『さすがです。持っていますね』
「うぅ……《カードガンナー》《補給部隊》の効果で2枚ドローします」
予想外の逆襲に出鼻をくじかれながらも十分なリカバリーは得られた。
だがしかし残るモンスターは攻撃力1200の《切り込み隊長》だけのために攻撃を行うには力不足だ。
「そちらの彼は面白い戦い方をするのね」
「ああ、そうだぜ。なにせウチの橘晃は
気が付けば創が【にじいろ団】の面々と語り合っていた。
かつて遊凪高校遊戯王部に所属する橘晃は果てしないほどに弱かった。それを克服するために選んだ道がわざとプレイミスを起こし出来た隙に罠をしかける事。相手の裏をかいて攻める戦術はまさにトリックスターに相応しいだろう。
「わたしはカードを2枚伏せてターンエンドです」
「よし。オレのターン《武神器─ヘツカ》を通常召喚! そして《烏合の行進》を発動して場の獣戦士と獣族がいるため2枚ドロー」
《武神器─ヘツカ ☆4 ATK/1700》
今度は亀の甲羅が鏡となったモンスターが召喚された。
ベルはまだ知らないが【武神】というカテゴリは武神モンスターを武神器でサポートして戦うのだ。
「このままバトルフェイズ。ヘツカで《切り込み隊長》に攻撃をしヤマトで直接攻撃!」
「う……《補給部隊》で1枚ドローします」
ベル LP6300→5800→4000
亀が敵のモンスターを蹴散らしヤマトが本陣を襲撃する。
おかげで残りライフが大きく失うこととなったが今回はいつもの4000では無く倍のためにまだ終わらない。
「メイン2に入り武神レベル4の2体でエクシーズ!」
「えっ! エクシーズ召喚!?」
「顕現せよ! 《武神帝─スサノヲ》!!」
《武神帝─スサノヲ ★4 ATK/2400》
二つのオーバーレイユニットが衛星のように周囲を回り場に降り立つのは《武神─ヤマト》がありとあらゆる武装を纏った姿のモンスターだ。攻撃力も十分に高く【武神】においても晃にとっても切り札となるモンスター。その出現によりコパールは盛り上げるように実況する。
『学生さんはここで切り札を投入です! さあベルさんはどう巻き返すのでしょうかー?』
「スサノヲの効果はエクシーズ素材を取り除くことでデッキから武神モンスターを手札に加えるか墓地へ送れる。この効果で素材のヘツカを落として2枚目のハバキリを手札に」
(えっと、たしかあのカードは攻撃力を倍にするカード)
先ほどの経験で《武神器─ハバキリ》の効果を把握できていた。
今、目の前に立ちはだかるモンスターはただの攻撃力2400では無く1度のみとはいえ4800という巨大な壁なのだ。それを正面から突破するのは彼女のデッキでは難しい。
さらには墓地の《武神器─ヘツカ》も効果があり武神の獣戦士モンスターが対象となった効果を除外することで無効にできる。まさに鉄壁ともいえる布陣だ。
「カードを2枚伏せてターン終了だ」
「わ、わたしのターン」
恐る恐る引いたカードは緑色の枠の魔法カードにS字のようなマークのついた速攻魔法。
使い道が難しいカードでありながらも相手の場のモンスターがエクシーズモンスターのみと自分の伏せカードから見れば最適な引きなのかもしれない。
(これなら……)
「この子は墓地の魔法カードを除外することで特殊召喚できます。墓地の《増援》を除外します」
《マジック・ストライカー ☆3 ATK/600》
魔法陣が出現しその中から小さな魔法戦士が現れる。
「そして伏せていた《リビングデッドの呼び声》を発動し墓地から《切り込み隊長》を特殊召喚します」
「蘇生カードか……。なら《増殖するG》を発動!」
発動ターン中に相手が特殊召喚する度にドローするドローソース。本当なら《マジック・ストライカー》の特殊召喚する前に発動したかったがチェーンブロックを作らない関係上、発動タイミングがなかった。
このまま相手にドローを許してしまうためにほんの少しだけ迷う素振りを見せたがそれでも構わず押し進むことを決めた。
「ドローソース……ですけど隊長が特殊召喚に成功したとき《地獄の暴走召喚》を発動!」
「ぼ、暴走召喚!?」
『ベルさんも負けじと大量展開の予感です。これが反撃の狼煙となるかぁー?』
思わず晃が目を見開く。
攻撃力1500以下のモンスターが特殊召喚されたときに同名カードが可能な限り場へと駆り出されるカードは扱いが難しいかわりに状況によっては必殺の1枚ともなりうる。
「デッキから残りの2体の《切り込み隊長》を特殊召喚!」
《切り込み隊長 ☆3 ATK/1200》
《切り込み隊長 ☆3 ATK/1200》
《切り込み隊長 ☆3 ATK/1200》
『お見事です! ベルさんは見事、切り込みロックを3体で成立させました。これは突破するのは難しいぞー!!』
『流石です。持っていますね』
「切り込みロックか……リビデと暴走召喚で2枚ドローする」
《切り込み隊長》は他の戦士族モンスターの攻撃をできなくする。それが2体以上ならべば攻撃不可となるのが通称『切り込みロック』だ。かつてはそれを1体のモンスター効果を無効にする《禁じられた聖杯》により突破されたが今回は3体が並ぶため以前よりも強力な壁となる。
(っ、スサノヲはエクシーズモンスターのために召喚できない)
《地獄の暴走召喚》は発動条件としてまず相手の場に表側表示でモンスターが存在すること。そして相手は自分の場のモンスターを選択して同じように可能な限り特殊召喚できるデメリットを持つが彼の場にはエクシーズモンスターしか存在しないために場には出せなかった。
「続けて《共鳴虫》を通常召喚して《マジック・ストライカー》に《団結の力》を装備! 攻撃力をわたしの表側モンスターの数だけ強化します!」
「っ!?」
《マジック・ストライカー ATK600→4600》
現れた小さな魔法戦士は仲間の力を借りてグングンと巨大化する最初はベルよりも小さな体であったが今ではまるで《巨大化》を使ったかのように相手のスサノヲさえ大きく上回った。しかし、晃はそれさえ上回る術を持ってはいるが今回に限りそれは関係無い。
「よしっ、いいぞメイドちゃん! これなら相手がどんな強力モンスターでも突破できる!」
クラドが声援を送る。
《マジック・ストライカー》には相手へ直接攻撃する効果を持つためどんなに強いモンスターがいるとしても問題無く攻撃ができる。さらには守りは切り込みロックで完璧。問題である《マジック・ストライカー》の低い攻撃力も今では《団結の力》で克服されているのだ。
「バトルフェイズ! 《マジック・ストライカー》で直接攻撃!」
「悪いな。オレは手札を1枚捨て伏せていた《サンダー・ブレイク》を発動する。対象は勿論《マジック・ストライカー》だ」
攻撃を仕掛けようと魔法戦士がスサノヲの頭上を飛び越えた瞬間だった。
晃が開帳した1枚の伏せカードの絵柄から雷が線上に伸びて魔法戦士へと解き放たれる。
「させません! 《シフトチェンジ》を発動。対象を《切り込み隊長》へと変えます」
だがそれを1体の《切り込み隊長》が魔法戦士と雷の間に割って入り身代わりとなる。
《団結の力》の効果でわずかに攻撃力が落ちるものの《マジック・ストライカー》は無事でありそのまま晃へとハンマーを掲げてその力を振るう。
さらに《切り込み隊長》が破壊され《補給部隊》により1枚ドローする。
《マジック・ストライカー ATK/4600→3800》
晃 LP8000→4200
『ベルさんの反撃の一撃が見事に命中! これは痛恨の一撃だぁ!!』
クラドが声援を送る。
ベルの残りライフと晃の残りライフはたった200の差にまで縮んだ。
攻撃力を上げるために昆虫族の《共鳴虫》を攻撃表示で出してしまったがそれでも残りライフは十分にある。
「メイン2、バックカードを2枚伏せてターンエンドです」
「思ったよりもやるなぁ。だけどベルちゃん。悪いけど今のオレに切り込みロックは通用しないよ!」
「え……!?」
彼の発言に思わず肩をすくめるベル。
晃は即座に1枚の伏せカードを発動させる。
「《DNA改造手術》を発動。フィールドのモンスターは全て宣言した種族になるオレが宣言するのは『獣戦士族』!!」
途端、元々獣戦士族のスサノヲは元よりベルの場の《マジック・ストライカー》《切り込み隊長》《共鳴虫》のカードテキストの種族が『獣戦士族』へと書きかえられた。元々は晃が使用する【武神】は獣戦士族に対して発動するカードが多いためにそれ以外の種族の武神器でも使用できるための奇策用カードだったが思わぬ形で効果を発揮した。
『残念。戦士族の強固な絆もこれまでかー!?』
「《切り込み隊長》は戦士族にしか効果を発揮できないためこれで攻撃が可能! 《武神─ミカヅチ》を召喚してバトルフェイズ!」
《武神─ミカヅチ ☆4 ATK/1900》
これでベルのモンスターは全て無防備な攻撃表示となってしまった。
「まずは《武神帝─スサノヲ》で1枚目の《切り込み隊長》へ攻撃! そのダメージ計算時に《武神器─ハバキリ》の効果を発動!」
「それだけはさせません! カウンター罠の《透破抜き》を発動します!」
「っ……だけどスサノヲは全体攻撃モンスター! 《切り込み隊長》2体と《マジック・ストライカー》《共鳴虫》の順で攻撃!」
相手の場の全てのモンスターへと攻撃が可能なために攻撃がベルのモンスター全てに襲いかかる。順番も先に《切り込み隊長》2体を破壊するために《マジック・ストライカー》の攻撃力も3800から1800まで落ちて破壊される。
ベル LP4000→2800→1600→400
「《補給部隊》で1枚ドロー。《マジック・ストライカー》の戦闘で受けるダメージは0になります。そして戦闘破壊された《共鳴虫》の効果で2枚目の《共鳴虫》を守備表示で出します」
「ならスサノヲで続けて攻撃!」
「3枚目の《共鳴虫》を守備表示で出します!」
「さらに追加攻撃!」
これでリクルーターの《共鳴虫》は打ち止め。
ベルは何を出すか迷った末に1枚のモンスターを守備表示で出した。
「《ダニポン》を守備表示で出します」
《ダニポン ☆2 DEF/600》
それは可愛らしくデフォルメされたダニのモンスターだ。
ベルとスサノヲの間に割って入るように現れる。
「これで最後。スサノヲでもう1度攻撃!」
「うっ……《ダニポン》の効果。デッキから守備力1000以下の昆虫族《電動刃虫》を手札へ加えます」
『さあさあ、学生さんのナナレンダァアが炸裂! ここで終わってしまうのかぁー!!』
これでモンスターは打ち止め。
伝説の5連打を超える脅威の7連打を行った《武神帝─スサノヲ》だがこれ以上は攻撃をすることはできない。
しかし、晃の場にはいまだ攻撃を控えている《武神─ミカヅチ》が存在するのだ。
「これは防げるか? ミカヅチで直接攻撃!」
「《ガード・ブロック》を発動! 戦闘ダメージを0にして1枚ドロー」
(っ、伏せがれたか)
本来ならこのターンで終わらせるつもりだったがカウンター罠にリクルーターと戦闘ダメージ無効のカードの連続で残りライフをわずか300残して終わった。彼女の手札も加えられた《電動刃虫》と次のターンのドローで4枚と多い。
反撃に備えて場を固める選択を晃は取る。
「メイン2に《武神器─ヤサカニ》を手札から捨てることでデッキから武神モンスター《武神─ヒルメ》を手札に加え墓地のヤサカニを除外することで特殊召喚! そして光属性ミカヅチとヒルメでエクシーズ!」
残りライフ300ならばバーン効果を持つ《ガガガガンマン》が望ましいが残念なことにエクストラデッキの限りのために入れていなかった。そのために守りを固めるのに今、必要なのは手札補充。
「《武神帝─ツクヨミ》をエクシーズ召喚!」
《武神帝─ツクヨミ ★4 ATK/1800》
スサノヲとは別の武神帝が姿を現す。
攻撃力は素材となったミカヅチとヒルメに劣るもののその力をすぐに発動させる。
「ツクヨミの効果は手札を全て捨て2枚ドローする効果。素材のミカヅチと残りの手札1枚を墓地へと送り2枚ドロー! そしてカードを1枚伏せスサノヲの効果で最後のハバキリを手札に加えてターン終了だ!」
気迫混じりにターンの終了宣言を行う。
ライフ差3900に加えて2体のエクシーズモンスターとオマケに攻撃力を倍にする《武神器─ハバキリ》も握っている。状況は崖っぷちに限りなく近い。
「わたしのターン、ドロー!」
それでも彼女は知っている。
どんな絶望的な状況であろうともライフが残っている限り決して諦めない人のことを。
「よしっ。わたしは《貪欲な壺》を発動! 墓地の《共鳴虫》3枚と《ダニポン》《切り込み隊長》を戻して2枚ドロー。今引いた《至高の木の実》を発動してわたしのライフの方が低いため2000回復します!」
「ライフ、回復カード!?」
ベル LP300→2300
晃は思わず驚いた。
主にモンスターの攻撃で相手のライフを0にするルール上、モンスターの展開や除去のカードが優先される環境で単純なライフ回復のカードが入れられることは珍しいからだ。
「これでわたしの墓地の地属性モンスターが5枚丁度になりました!」
「5枚!? 《切り込み隊長》2枚と《マジック・ストライカー》と《カードガンナー》と──」
《貪欲な壺》で戻したカードを差し引いてどう見ても4枚。
だが最後に口にしたカードで晃はハッと気付いた。
「そうか《カードガンナー》の効果で落ちたカード!?」
「条件を満たしたことでこのカードを特殊召喚します。眠れる死者を呼び起こせ《地霊神グランソイル》!!」
《地霊神グランソイル ☆8 ATK/2800》
大地を裂き現れる黒鋼の巨神。
ベルの父・グレーユ・ベルガモットが受け継いだ1枚は彼女のデッキにおいて切り札の1枚だ。その効果は生きる《死者蘇生》であり墓地からモンスターを呼び起こす。その効果によりベルはさらなる切り札を呼び込む。
「グランソイルの効果により墓地からモンスター1体を自分フィールドに特殊召喚します。私が呼び出すのは──」
選択するのは晃でなくベル自身の墓地に存在するモンスター。
墓地から取り出したカードは晃も今まで存在自体知らずおそらくは《カードガンナー》の効果により墓地へと送られたカード。
「力を貸して! 《―
《―**―翼戦神 ☆10 ATK/2800》
「ヴァル、キュリア……!?」
風が吹き荒れる。
グランソイルが鉄腕を振るい地を割って現れたのは『ネイティブ』に伝わる民族衣装を象った金属装甲を纏う暗暖色の機械天使。『─
「すげぇ! そんな見たことも聞いたことも無いカードがあったなんてな!」
「部長でも、知らないカードがあったんスね」
遊戯王を始めてから3,4カ月ぐらいの晃ならともかく幼少の頃より行っていた創さえも見た事も聞いたことさえ無いカードに声を出して驚きの声を上げる。
「《自律行動ユニット》を発動します。1500のライフを払って相手の墓地からモンスター1体を特殊召喚できます。私が選択するのは《武神─ヤマト》! それを場のヴァルキュリアへと装備!」
「そ、装備!?」
ベル LP2300→800
《―**―翼戦神 ATK/2800→3400》
ヴァルキュリアの効果の一つは場か手札のモンスターを装備する効果。
そして装備したモンスターの数だけ攻撃力を600上げるのと同時に名称とモンスター効果を得る。今のヴァルキュリアは《武神─ヤマト》としても扱い同じ効果を持つ。
「面白い効果だな。それで次は何を見せてくれるんだ?」
「わたしはまだ通常召喚を行っていないので《電動刃虫》を通常召喚します。そして墓地の《切り込み隊長》2枚を除外することで《神剣-フェニックスブレード》を回収します」
《電動刃虫 ☆4 ATK/2400》
またしても《カードガンナー》で落ちたカード。
《電動刃虫》の召喚で攻撃力2000を超えるモンスターが3体も並ぶがそれでもまだ足りない。
しかし、ベルは知っている。
デッキは一人だけでは完成しない。
自分がいて相手がいてそれで始めて完成する。
相手のデッキを、手札を、フィールド。全てのカードを自分のデッキの流れに組み込む。
それが決闘者として前へ踏み出す、大きな一歩になる。
「わたしは手札から──」
今の彼女の手札や場、墓地では後一歩足りない。
ならば話は簡単な事だ。
「──《エクスチェンジ》を発動!!」
「なっ!?」
自分が持っていないのなら相手のカードを使えばいい。
「わたしの手札はフェニックスブレードだけです」
「オレの手札は《強欲で謙虚な壺》と……《武神器─ハバキリ》だ」
前のターンに《武神帝─スサノヲ》の効果で手札に加えられていた《武神器─ハバキリ》と《神剣-フェニックスブレード》が交換される。
本来ならば武神と名の付く獣戦士モンスターでしか扱えないのだが……皮肉なことにもヴァルキュリアの効果は装備モンスターへの名称変更。そして《DNA改造手術》によって全てのモンスターは『獣戦士族』として扱われる。
「バトルフェイズ! グランソイルで《武神帝─ツクヨミ》へ攻撃!」
「──だったら罠カード発動! 《光の召集》! 手札2枚を捨て墓地から……」
このカードはユウが使用したこともあるために効果はよく知っている。
そして、今の彼の墓地の光属性モンスターに何があるかも知っている。
「私は墓地から《スキルサクセサー》をグランソイルに発動します!」
「これも《カードガンナー》で落ちたカードか……オレは墓地から2枚の《武神器─ハバキリ》を手札に加えダメージ計算時にハバキリ1枚を使用する!」
《地霊神グランソイル ATK/2800→3600》
《武神帝ツクヨミ ATK/1800→3600》
お互いが強化カードにより攻撃力を上げてぶつかり合う。
攻撃力は互角故に両者相打ちとして墓地へと送られた。
「《補給部隊》でドローして……
「くっ、オレもダメージ計算時に──」
「「《武神器─ハバキリ》を発動!!」」
《―**―翼戦神 ATK/3400→5600》
《武神帝─スサノヲ ATK/2400→4800》
両者の声が重なり合う。
2体がそれぞれに天羽々斬を携え切り合うが効果は元々の攻撃力の倍にする効果のためにステータスの地力の差が出てしまう本家本元である《武神帝─スサノヲ》が撃ち負けてしまう。
晃 LP4200→3400
「くっ……」
「追撃です! 《電動刃虫》でダイレクトアタック」
晃 LP3400→1000
さらにはチェーンソーの角を持つクワガタの追撃が命中。
晃のライフも残りわずかへと追いやられてしまう。
「っ……けど《電動刃虫》の効果で1枚ドローさせてもらう」
「わたしはメインフェイズ2に最後の手札を伏せてターンエンドです」
両者互いに譲らず一進一退。
しかし、それも残りライフから考えて決着は間も無いだろう。
「凄いな。オレも相手を驚かすプレイをするのが生業なんだけど、まさか【武神】でないデッキにハバキリを使われるなんて思ってもみなかった。けどベルちゃん。悪いけどこの勝負はオレが貰う!」
勢いよくカードを引く。
彼の最後は奇策では無く純粋な正攻法。
「《武神集結》を発動。墓地のミカヅチと除外のヤサカニを特殊召喚し2体のモンスターで──」
おそらくまたエクシーズ召喚を行うのだろう。
何が来るかはわからないが今の彼女では攻撃を防ぐことはできずに残りライフ300なんてあっという間に削られてしまう。だからこの勝負は勝てないと確信した。
「ですが負けません! 私は罠カード──」
けど負ける気もさらさら無い。
これは運命なのか何なのか。前のターンでグランソイルとツクヨミが相打ちになった時に《補給部隊》で引いた最後の1枚を発動させた。
「──《
「は、《破壊指輪》!?」
『こ、これはまさかの展開かぁー!!?』
それは意外を飛び越えたカードだった。
何せこのカードで得られる結末というのは──。
「わたしは《電動刃虫》を破壊しお互いに1000のダメージを受けます」
《電動刃虫》の前足に小さな指輪が取り付けられる。
それは導火線が付けられており爆弾付き。小さな火が導火線を伝いながら指輪へ達した瞬間にボンッと破裂し爆風が二人を襲った。
ベル LP300→0
晃 LP1000→0
「おいおい大丈夫かよ。二人とも!」
決着が付き心配そうにクラドたちが歩み寄る。
「いてて……って、あれ?」
爆風で舞い上がった煙が晴れた頃には尻もちをついているベルだけで勝負をしていた晃の姿がなかった。
『あらあら? 学生さんの反応が消失してしまいました」
「あら、もう一人の方もいらっしゃらないようですが?」
「そういえば……そうね」
気が付けば創の姿も見えなくなっていたのをアンリエールが気付いた。
晃と創。二人の姿が消えたのだが不思議と不安な気持ちが沸いてこなかった。まるで元のあるべき場所へ帰ったと思えるような感覚だ。
『まあ、決闘自体は両者の引きわけで着きましたのでこれで終了ですね。では皆さん。またどこからの決闘場で!』
『それでは失礼致します』
後を追うようにして、審判員の姉妹も消えてしまう。
残されたのは見慣れた面々であったが……何かが欠けてしまったような、そんなもの悲しさがポトリと心に落ちていった。
「また。会える、のかな?」
ベルはシガマの空を見上げながら思わず呟いた。
彼女の言葉を返答するようにユウが言葉を紡ぐ。
「それはわからない。だが……デュエルモンスターズを続けていればあるいはな」
「……はい、そうですよね!」
それは彼自身に向けられた言葉でもあったが――ベルは笑顔で頷いた。
ユウにとっては『久しく』見た彼らの服装。彼らなら何か知っているのでは……と期待していたのだが、今や夢幻のように姿を消してしまった。
もし再び相見えることがあるとすれば、そのときはきっと――。
(ここではない、どこかかも知れないな……)
+ + + + +
チャイムの音が鳴り響く。
既に日が落ちかけており部室の中が夕暮れ色に染まっている頃だった。
何故か机に突っ伏して眠っていた晃と創が目を覚ました。
「あれ……なんで寝てたんスかね」
「さあな。というか氷湊たちは帰ったんだな。寝ている俺たちを置いて」
部室に残されているのは二人だけ。
覚えているのはいつも通りに遊戯王部で部活をしていたところまでだ。
「…………」
「ん、どうしたんだ?」
「いや、夢を見ていた気が。そこで女の子と
「何、夢の中で決闘だと!? 羨ましいぜ!」
頭の中はまるで霞みがかかったようにおぼろげでうまく思い出せない。
それでも思い出せるのは対戦相手の女の子は決して勝負を諦めなくて心がとても強かったことだ。
(オレも、まだまだだな)
思わず思い更けてしまう。
その中で創は大きく一言だ。
「なんか知らんがカレーが食いたい!」
「えっ……カレーって向こうで散々食べて……」
「え?」
「あー、それも夢か。いいッスよ部長。どこかカレーを食べに行きましょう」
デッキを仕舞い鞄を手に取り部室を後にする。
そこに残されたのは晃が使用している部の備品である決闘盤だ。それが突然、起動し始めてノイズ混じりに一人の割烹着を着た女性の姿を映し出した。それは晃の決闘盤にアクセスした際の残滓なのかもしれない。
『呼ばれて飛び出てコパールちゃんの登場──って、あらあら誰もいませんね』
当たりを見渡してももぬけの殻。
どうしたものかと、考える素振りを見せたもののまるでご都合主義の如く正面を向いてお辞儀をした。
『それでは皆様。今回はここで終わりです。また会える日まで──どこかの決闘場でお会いしましょう♪』
久々のコラボは『遊戯王*ASTERISKs*(アスタリスクス) 』とのコラボ作品でした。
kohatukaさんありがとうございました。
また今回、登場しましたオリカの紹介です。
《―
☆10/地属性/天使族・効果/ATK 2800/DEF 3000
①:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。自分の手札・フィールドのモンスター1体を攻撃力600アップの装備カード扱いとしてこのカードに装備する。このカードはこの効果で装備しているモンスターと同名カードとしても扱い、同じ効果を得る。
②:このカードの装備カードを全て墓地へ送って発動できる。このカードの攻撃力は300ダウンし、このターンに1度だけ戦闘・効果では破壊されない。この効果は相手ターンでも発動できる。
作品のクオリティが比較的高く尊敬している作品ですので一度でも『遊戯王*ASTERISKs*(アスタリスクス 』をご覧になることをオススメします。
いや、本当に凄いッス!