ありふれた職業と選ばれた勇者で世界最強   作:わったさん

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さぁいよいよ最後の戦いだ!(オルクス大迷宮での・・・)


4人の強者

野宿を終え、その日からも大迷宮の探索を進める4人。光輝が先頭に立ち、迷宮内を歩いていく中でハジメの手がかりを隈なく探し続ける。そして・・・地下75階層目に到達した。

 

光輝「光爆!」

ヘカトンケイル「ォオオオオオオオオオオ!!!」

 

光輝達は現在、75階層目のボスクラスであろう魔物”ヘカトンケイル”と死闘を繰り広げていた。人間同様の甲冑を纏った巨人であり、6本の腕が生えその手には剣・盾・槍・斧・鉄球・鉄棍を装備した攻守共に隙の無い強敵である。75階層・・・ここまで何の情報も無い状態なため、光輝達は試行錯誤を繰り返しながら魔物との戦いを繰り広げていた。光輝の技”光爆”もヘカトンケイルに届く前に盾で受け流されてしまう。

 

光輝「(6本の武器が邪魔だな・・・。・・・よし!)香織!少しの間だけ奴の腕を氷漬けにして動けなくしてくれ!」

香織「うん!」

 

香織が呪文を詠唱する最中、ヘカトンケイルの鉄球が香織を狙う。そうはさせまいと龍太郎が香織の目の前に立ちはだかり、鉄球を受け止めそのまま投げ返す。龍太郎が香織を守っている間に、香織の呪文詠唱は終了する。

 

香織「氷華!!」

 

氷属性の中級魔法”氷華”を繰り出す香織。一定範囲継続的に凍らせることが出来る氷魔法を操り、光輝の指示通りに6本の腕を全て氷漬けにする。

 

光輝「雫!!奴の十八番を斬り落とせ!」

雫「雷の悉く、駆け抜けろ刃・・・鳴神(なるかみ)!」

 

光輝から譲り受けた武器”疾風迅雷刀”の固有能力を使用する雫。刀を鞘に納刀後、電撃を刀に纏わせ抜刀術の構えに入る雫。電撃は刀のみならず両足に溜め込まれ、詠唱が終わった瞬間に雫は完全に姿を消し、再び元の位置に戻る。その瞬間、雷の雷撃音が後から鳴り響き、雫の目にも映らない神速の一閃がヘカトンケイルの6本の腕全てを斬り落としていた。ヘカトンケイルは突然の事に訳が分からず悲鳴を上げる。

 

光輝「龍太郎!奴のど頭をぶち抜け!!」

龍太郎「しゃあ!!・・・炎よ!猛り怒り我に集まれ!!・・・焔拳(えんけん)!」

 

“轟火灼熱拳”の固有能力を行使する龍太郎。右拳の炎のエネルギーを溜め込み、必殺技を放つ準備を整える。更に新たにクラスアップした事によって得た能力”気功”を使い、両足に目に見えないエネルギーを溜めこむとそのまま空中を浮遊し始め、そのままヘカトンケイルの頭に突進する。

 

龍太郎「オォオオオオオオオラァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

ヘカトンケイル「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

光輝の要望通り、ヘカトンケイルの頭をブチ砕きそのままフィニッシュする龍太郎。75層のボスを個々の能力を生かした光輝の巧みな指示で苦も無く撃破する事に成功する。

 

光輝「3人共、もう少しだけ周囲を警戒しててくれ。こいつから戦利品を調達する。」

雫「分かったわ。」

 

生首が転がるヘカトンケイルの死骸から魔石の回収は勿論、使える素材が無いかを探し始める光輝。龍太郎の必殺技である焔拳をまともに受けてもヘカトンケイルの頭部の甲冑が無傷だったことに気づいた光輝はヘカトンケイルの装備品に着目し始め、ステータスプレートを使い装備品の素材を鑑定する。

 

光輝「ナノジウム鉱石・・・魔力を込める事で強度・材質を素粒子レベルで自在に変化させる特殊鉱石・・・(・・・素粒子・・・レベル・・・この鉱石だけで複数の武器を魔物が錬成していたのか・・・。)」

香織「何かあった?」

光輝「あぁ、面白い素材が手に入った。今後役に立つと思う。」

 

光輝はニヤリとしながらナノジウム鉱石を回収し始める。回収後、更に下の階層へと進む光輝達は、またしてもハジメの手がかりを見つけ始める。

 

光輝「また火を炊いた跡がある・・・。」

香織「?・・・金属の小さい筒みたいなのが沢山転がってる・・・なんだろう?」

光輝「ちょっと貸して・・・。・・・銃弾の薬莢に似てる・・・。クンクン・・・微かに火薬の臭いが残ってるし、まず間違いないと思う。」

雫「銃弾?そんな近代兵器・・・。」

龍太郎「おい、見ろよ。何か板みたいなものに落書きがしてあるのが数枚あったぜ。光輝、分かるか?」

光輝「見せて。・・・。・・・・リボルバー・・・グリップエンド・・・銃を構成するパーツの設計図だ。」

香織「・・・じゃあ・・・!」

光輝「このファンタジーな世界に銃なんて存在しない。銃という概念を知っているのは俺達と同じ異世界の人間のみ・・・この設計図を書いたのは・・・間違いなくハジメだ。」

香織「!?」

 

ハジメである絶対的な手がかりを手に入れた4人。この有力な情報からハジメがまだこの大迷宮内のどこかに居ると言う確率がかなり高くなり、香織はハジメの無事をほぼほぼ確信した瞬間半泣きしながら口元を隠し跪く。

 

香織「良かった・・・生きてる・・・!南雲君・・・!」

光輝「・・・可能性はある。ただ、この階層の時点では生きている証拠だったとしても・・・その先の階層であいつが無事だと言う保障にはならない・・・先に進もう。」

雫「えぇ。」

光輝「(そう・・・ハジメがこの先で生きていると言う絶対的な保証は無い・・・。ただ・・・剣や杖とか・・・単純な武具なら俺も作れるし、ハジメなら楽勝だろうけど・・・さっきのパーツを見る限り、相当緻密な技術力と構造を理解してないと銃なんて複雑な代物簡単には作れない・・・錬成師として相当なレベルが要求される。・・・ハジメは・・・俺達が知らない間にここで恐ろしく実力を底上げしたに違いない・・・。)」

 

大迷宮内でハジメはたった一人で自分の実力を飛躍的に高めた事を直ぐに理解した光輝。こうして光輝達の迷宮攻略は進み数日後、襲い来る魔物を倒し続け、遂にオルクス大迷宮の最下層と思われる”100層”に到達する。

 

雫「マッピングしてない箇所は、ここで最後よ。」

光輝「いよいよか・・・。」

龍太郎「蛇の装飾をあしらった豪華な扉・・・あからさまにここだな。」

光輝「俺が開ける・・・皆、戦闘準備を怠るな。」

香織「うん!」

光輝「(結局・・・隈なくマッピングしたがハジメはどこにも居なかった・・・。・・・残る可能性はこの先・・・。・・・ハジメ・・・!)」

龍太郎「(無事でいやがれってんだ・・・ハジメ。)」

雫「(私達は絶対諦めないわ・・・南雲君。)」

香織「(お願い・・・この先に居て・・・南雲君!)」

 

4人全員がハジメの無事を祈りながらドアを開け、最後の柱の間を越えた。その瞬間、扉とハジメ達の間三十メートル程の空間に巨大な魔法陣が現れた。赤黒い光を放ち、脈打つようにドクンドクンと音を響かせる。光輝達はその魔法陣に見覚えがあった。忘れようもない、あの日ハジメが奈落へと落ちた日に見た自分達を窮地に追い込んだトラップと同じものだ。だが、ベヒモスの魔法陣が直径十メートル位だったのに対して、眼前の魔法陣は三倍の大きさがある上に構築された式もより複雑で精密なものとなっている。魔法陣はより一層輝くと遂に弾けるように光を放った。咄嗟に腕をかざし目を潰されないようにする4人。光が収まった時、そこに現れたのは体長三十メートル、六つの頭と長い首に鋭い牙と赤黒い眼の化け物。神話の怪物ヒュドラに似た化物だった。

 

「「「「「「クルゥァァアアン!!」」」」」」

光輝「こいつか・・・この大迷宮のラスボスは・・・キングギドラの方がまだマシだったよ。」

龍太郎「どんな野郎だろうと・・・行くしかねぇ!!」

雫「この先に南雲君が居るかもしれないなら・・・!!」

香織「私達は負けない!!」

 

不思議な音色の絶叫をあげながら六対の眼光がハジメ達を射貫く。常人ならそれだけで心臓を止めてしまうかもしれない壮絶な殺気が光輝達に叩きつけられた。同時に赤い紋様が刻まれた頭がガパッと口を開き火球を放つ。前に出た龍太郎が右手に気功を纏わせ火球を片手で軽く受け止め投げ返す。火球は赤い頭に直撃、木端微塵に吹き飛ばした。

 

龍太郎「っへ!!見かけ倒しかよ!」

光輝「!・・・待て!」

 

まずは一つと龍太郎がガッツポーズを決めた時、白い文様の入った頭が「クルゥアン!」と叫び、吹き飛んだ赤頭を白い光が包み込んだ。すると、まるで逆再生でもしているかのように赤頭が元に戻った。白頭は回復魔法を使えるらしい。

 

雫「白い頭の奴が回復役みたいね・・・。」

龍太郎「だったら白いのから潰すだけよ!!」

雫「縮地!」

 

言うや否や、縮地を使い白い頭めがけて真っ直ぐに突進する雫。そうはさせじと黄色の文様の頭が雫の射線に入りその頭を一瞬で肥大化。雫の剣戟を受け止め白い頭を守る。黄い頭に付けた雫の斬り傷も白い頭によって瞬時に回復させられる。

 

光輝「(盾役か・・・攻守に全く隙が無い・・・。)全員、一時後退!!!」

 

光輝の指示を聞き、一時後退する3人。その間に光輝は目くらましに”フォースメタリカルソード”に備わっている火属性の固有能力を行使する。

 

光輝「我、今ここに炎の牢獄を示さん・・・”炎牢(えんろう)”!!」

 

ヒュドラの周りに円を描くように炎の柱を発生させ、牢屋の様に封じ込める魔法”炎牢”を発生させる光輝。その間に柱の影に隠れ作戦を練り始める。

 

龍太郎「流石に手強いな・・・。」

香織「うん、白い頭から先に狙おうにも、他の首が目を光らせてるからね。」

光輝「もっと違う手を使おう・・・香織、あの魔法使えるよね。」

香織「うん、今私もそれを考えてた。ただ魔力を練るのに時間がかかるから・・・。」

光輝「俺と龍太郎であいつを翻弄する、・・・雫・・・香織の準備が終わるまで傍で護衛だ。」

雫「分かったわ。」

光輝「香織が例の魔法を行使したら・・・龍太郎・・・頼む。」

龍太郎「おうよ!!」

「「「「「「クルゥァァアアン!!」」」」」」

 

炎牢の魔法が切れた瞬間、再び活動を再開するヒュドラ。二手に別れた光輝・龍太郎は香織の魔法詠唱が終わるまでの時間を稼ぎ始める。火・氷・雷・・・属性魔法のオンパレードの攻撃を二人に放つも、全てやり過ごしながら二人は時間を順調に稼ぐ。その際、光輝は奇妙な違和感を感じ取った。

 

光輝「(火・氷・雷の属性攻撃に回復役と盾役・・・ひとつ足りない・・・後の一匹の黒い頭は・・・何をしてくる?)」

 

光輝の違和感は的中した。残った一匹の黒い頭が光輝達の一瞬の隙を突き、雫達の方へと向かう。残りの頭の相手をしながらも光輝は雫に叫び始める。

 

光輝「雫!!気をつけろ!!」

「クルル・・・!!」

雫「!」

 

黒い頭が不気味に瞳を光らせ雫を睨みつける。その瞬間、雫の視界が暗くなり始め、その先には雫の忌まわしき過去がリプレイされる。四歳の時に剣術の才能の片鱗を見せ、家族や門下生達から期待されたことで剣の道を歩んだ当時の自分。道場に入門したばかりの光輝に好意を寄せ、小学生の頃から光輝と一緒にいることが気に喰わなかった少女達からやっかみや嫌がらせを受けるようになった自分を見ていた。そして・・・光輝はその場から立ち去り苛められる自分を見捨てて逃げる光景をまざまざと見せられる。対象に幻を見せつけ恐慌状態に陥れる、これこそが黒い頭の能力であった。

 

雫「・・・。」

龍太郎「おい!何ボケッとしてんだ!!」

香織「(雫ちゃん・・・!!)」

光輝「・・・!」

雫「(私は・・・。)」

光輝「・・・!!!雫ぅうううううううううううううううううううううううううう!!!」

雫「(!・・・光輝!・・・フフ・・・そうよね・・・光輝は・・・ここで誰か見捨てるような弱い人じゃない・・・私の知ってる光輝を、おかしな思い出で捏造させる奴は・・・。)お前かぁああああああああ!!!」

「ギャアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

光輝の叫び声を聞き、一瞬のうちに正気に戻った雫は剣戟を食らわせ、黒い頭を怯ませる。その瞬間、呪文詠唱が完了した香織が魔法を発動する。

 

香織「優し過ぎた光よ・・・その光を持って全ての魔さえも救い、そして罪の重さから魔は自ら滅ぼさん・・・・聖罰(せいばつ)!!」

 

相手に”過剰”な回復魔法をかける上級魔法”聖罰”をヒュドラにかける香織。そもそも回復魔法とは、元来生き物が持っている肉体の代謝活動(ほっといても勝手に傷が治る)を活性化させて傷を修復する仕組みである。それはヒュドラも例外ではない。しかし花に水をやりすぎると枯れるように、相手を過剰に回復させれば生体組織を壊死させ破壊するという悲惨な結果が待ち構えている。それを可能にしたのが過剰回復魔法”聖罰”。これを受けたヒュドラは生体組織がたちまち壊死してしまい崩れ去る。白い頭が必死に回復魔法をかけるが、既に壊死してしまった生態組織には何の効果も与えず、瀕死状態から免れずにいた。

 

光輝「龍太郎!!」

龍太郎「っしゃあ!!・・・我に眠る凄まじき闘気よ、この手に宿り具現化せよ!!・・・波動閃光拳!!!」

 

両手を腰にひき、詠唱しながら体内の気を練り上げ気功の塊を作り上げた龍太郎。両手を上下に開いた形で前方に突き出し掌から気功の塊を放ち、ヒュドラへ命中。その瞬間、練り上げた気功の塊が眩い光を放ちながら爆発、胴体を残した状態で6本の頭を跡形も無く消し去るのであった。

 

龍太郎「おっしゃあああああ!!!」

香織「やった!」

雫「フゥ・・・。」

光輝「・・・。(僅かだけど胴体が蠢いてる・・・いるな・・・。)ブツブツ【神意よ・・・全ての邪悪を滅ぼし光をもたらしたまえ。神の息吹よ・・・】」

雫「!?・・・皆気をつけて!!」

 

3人が安心する中、雫が叫び事件は起きる。音もなく七つ目の頭が胴体部分からせり上がり、銀色の頭が4人を睨んでいた。動揺する中、唯一人、その戦況を冷静に看破していたのは光輝だった。そんな事は露知らず、その鋭い眼光から予備動作もなく極光を放つ銀色の頭。その前に立ちはだかる光輝はブツブツと詠唱呪文を唱え始め、唱え終えた頃には必殺技を打つ準備を既に整えていた。

 

光輝「神威!!」

 

剣から光属性である強烈な極光のエネルギーを発射して攻撃を行う神威を発動させ、極光を極光で相殺する光輝。その眩い光で数秒何も見えなくなり、ようやく視界が空けた頃には光輝の姿はどこにも無かったため若干動揺する香織達であったが、直ぐに安心する。

 

雫「・・・おいしいところを持ってってまぁ・・・。」

「クル!?」

龍太郎「いけぇ!!光輝!!!」

香織「光輝君!!!」

 

縮地を使い、上空へと既に移動していた光輝。完全に光輝を見失っていた銀の頭はキョロキョロと見回す間、光輝はとどめの一撃を放つ準備を整え始めた。

 

光輝「天よ・・・地よ・・・火よ・・・水よ・・・・・・森羅万象を司る4大元素よ・・・我の元に集い、悪しき者へ穿ち滅ぼせ・・・!」

 

自身が考案した武器”フォースメタリカルソード”の4大元素を刀身に集結させ、必殺の一撃を放つ準備を完了させた光輝。虹色に輝く刀身から火・水・土・風の魔法陣を銀色の頭の四方に出現させ、4大元素の攻撃が魔法陣から継続的放出。銀色の頭を逃がさないように拘束する攻撃を続ける。そして、上空から止めの一撃を振り下ろす光輝は最後の必殺技名を言い放つ。

 

光輝「光よ!!最後の理を持って邪悪に鉄槌を!!・・・天覇四聖剣!!!」

 

虹色に輝く刃を銀色の頭に食らわせ、完全に消滅させることに成功する光輝。最後はおいしいところを全て持っていった光輝で戦いは終わり、100層のボスを完全に攻略した瞬間であった。光輝は剣を鞘に納め周囲を警戒する。

 

龍太郎「今度こそやったか・・・!?」

光輝「油断するな。周囲を警戒して。」

 

少しの油断を見せない4人。敵が完全にいなくなったかどうか入念にチェックし、完全に誰もいないことを確認する。そして・・・確実に戦いが終わった事を確信するのであった。

 

雫「やったわね・・・光輝。」

光輝「あぁ。・・・行こう、ハジメがいるかもしれないこの先に。」

香織「うん!」

龍太郎「おぅ!」

 

彼らはその先に進む。ハジメがいるかもしれないであろうその先に・・・そして・・・待っていたものは・・・?




さぁ、ハジメはいるかな?
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