アレンジを随所で入れております。
天之河 光輝・・・何て事は無い普通の家庭に生まれる。そんな普通な環境で育った彼にとっての憧れの的・・・敏腕弁護士の祖父――天之河完治であった。お爺ちゃん子の光輝は祖父をとても慕っており、直接完治が仕事をしている姿を見たことがあるわけではなかったが、家に遊びに行く度に聞かせて貰った敏腕弁護士として経験に基づく物語の数々に光輝は目を輝かせる。そう・・・光輝にとって人間ドラマに満ちた物語の、勧善懲悪を成す主人公である完治はまさに光輝が憧れでありいつかは自分もと目指した理想像・・・ヒーローだった。・・・しかし、事件は起きた。弁護士として勝ち取ったはずの裁判、その裁定に納得のいかなかった被告人から不意にナイフで刺され重傷を負ってしまう。直ぐに病院に運ばれるも、元々高齢も相まって衰弱しきっていた完治は自分の命があと僅かである事を悟り、病室で光輝と二人きりで話しはじめる。・・・現実の厳しさと理不尽さを教え込む為に・・・
光輝「なんで・・・なんでこうなっちゃったの?おじいちゃんは正義のヒーローで・・・正義の為に・・・頑張ったのに・・・なんでぇ・・・?」
完治「・・・聞きなさい、光輝。・・・世の中には、正しいと思った事がそのまま受け入れられるほど単純に出来ていない・・・理不尽で自分の常識や正義が通じない事も・・・沢山ある。今日、私を刺した犯人も・・・確かに犯罪者だ・・・。」
光輝「だったらなんで・・・!?」
完治「でもね・・・その犯人は、息子を過労死で追いつめた上司のかたき討ちの為に今回殺人未遂を犯した。人殺しはいけない事だ・・・でも、過労死に追いつめたその上司は証拠不十分で不起訴にされ自分だけが罪に問われた事が納得できなかったのだろう。」
光輝「でも、おじいちゃんは正しいことをしたよ!・・・なのに・・・人殺しをしたきっかけを作ったその上司が何も悪くない扱いになった・・・正義ってなに!?正しいってなに!?」
完治「それはね・・・・・。・・・・自分で考えなさい。」
光輝「!」
完治「沢山のことを学び、沢山の経験を積み、沢山の人々と触れあい、何が正しく何がいけないのか・・・悩んで悩んで悩みながら・・・その正しさを見つけなさい。”正しい事”というのはとても難しい・・・簡単に見つかるものではないよ・・・おじいちゃんもね、この仕事をいつも悩みながら続けていた。今日自分が行った弁護は本当に正しかったのか・・・もっと他に正しい解決策は無かったのか・・・弁護士の仕事に就いてから・・・ずっと・・・。」
光輝「おじいちゃん・・・。」
完治「光輝・・・考える人間になりなさい・・・。目の前で何が起きて・・・何が真実か・・・一番大事なのはそこだ・・・悩んだって良い・・・悩んで悩んで悩みぬいて・・・苦しくても自分なりの答えを見つけて進みなさい。・・・そして、本当に自分が信じられる友達を作りなさい。光輝自身を理解してくれる、そして光輝自身もその友達を理解する・・・そんな友達を・・・少なくても良い・・・その友達は、光輝が迷ったときに必ず力になってくれる。自分の歩み道が間違っていたときに、指摘して正しい方向へ導いてくれる手助けもしてくれるだろう。・・・光輝は何にだってなれるし、なんだってできるさ・・・。」
光輝「本当に?」
完治「本当だとも。自分で悩みぬいて出して決めて、友達と共に進む道は・・・光輝いている・・・だから光輝と・・・名付けた。・・・きっと出来ると・・・おじいちゃんは・・・信じてる・・・・よ・・・。」
完治は光輝への言葉を最期に息を静かに引き取った。完治は死ぬ間際になって、光輝に対し現実の厳しさと難しさを教えるのであった。結局、完治を刺した犯人はそのまま罪は殺人未遂から殺人容疑で再逮捕された。・・・この事件のきっかけとなった上司は、何もお咎めも無く今も太陽の下を歩き回っていることも知らず・・・。・・・光輝は、この理不尽な世の中に幼いながらも悩んだ・・・何故おじいちゃんはこんな理不尽な世の中で何故弁護士という仕事に就いたのか・・・何故理不尽な死を迎えなければならなかったのか・・・考えても考えても・・・その答えは出なかった。ただ一つ分かったこと・・・それは、今目の前で起きてることに対して、自分がどう向き合わなければならないのか・・・何が起きているのか・・・常に考えて行動すること・・・それを彼は心がけるようになった。光輝は完治の死後、様々な新聞を読み漁り始めた。今この世の中でどんな動きがあり、何が起こっているのかを知るために・・・考える力をつけるために・・・。大好きなおじいちゃんが亡くなったそんな光輝のオアシスは、おじいちゃんみたいなヒーローが数多く登場するアニメ・特撮・漫画だったのだが、自分の趣味を理解してくれる友達は中々居なかった・・・。そして、自分を鍛える為に入った八重樫道場。そこで出会った雫と親しくなり、仲良く話すようになる。そのことが気に喰わなかった少女達からやっかみや嫌がらせを受けるようなる事実を雫から相談される。・・・そして、雫を苛める少女達に接触する。
「あ、おはよう光輝くん!」
「今日も良い天気だね!」
「ねぇねぇ!今度私達にも剣道教えて!」
光輝「(あぁ・・・もう分かった。多分・・・この子達は・・・俺の上辺しか見てないんだな・・・俺に関わろうとする周りの子達と一緒の取り繕い方だ・・・)ちょっと待ってて。」
少女達を呼びとめた光輝。しばらくするとたっぷりの水を入れたバケツを持ち込み、バシャア!!っと突然少女達に水をぶっかけ泣かしてしまう。少女達の一人が光輝に訴える。
「何すんの!!」
光輝「うるさいブス女共!!!!お前らなんかに話しかけられる筋合いは無いんだよ!!!今度俺に関わろうとするなら蹴飛ばすからね!!二度とこの道場にくるな!!!!!!目障りなんだよ!!!帰れ帰れ!!!」
当然このことから道場の師範や少女達の親御さんにたっぷりと叱られた光輝。バケツに水をかけた理由は”あのブス達が気に食わないから”というただそれだけの理由と嘘をつき更に怒られてしまう。光輝に幻滅し恐れた少女達は雫への虐めをピタリと止め二度と関わることは無くなったが、光輝は罰として道場の掃除を2ヶ月命じられることとなった。その様子を、雫は遠目で見ながら光輝近づく。
光輝「・・・。」
雫「・・・光輝・・・。・・・・あの・・・。」
光輝「いじめは・・・無くなった?」
雫「うん・・・。・・・・でも・・・そのせいで光輝が・・・。」
光輝「女の子に水をぶっかけて泣かせたのは悪いことだからね・・・。ちゃんと罰は受けなきゃ・・・。」
雫「・・・光輝・・・!」
そう、今の光輝は完治を刺した犯人と同じ状況であった。少女に水をかけたのは悪いことかもしれないが、そういう事態を引き起こしたのは少女達の虐めが原因であることに。自分のこの行動が正しい行動であったかどうかは光輝自身も分からなかったが、話して納得してくれるような連中ではなかったのはまず間違いなかった・・・自分なりに考えた行動である。彼は内心悩んでいたが、この行動の結果として雫を虐めから救えたのも事実であった。雫は申し訳なさから光輝に話しかける。
雫「光輝・・・。私・・・光輝に何かしてあげたい・・・何をしてあげたら・・・。」
光輝「・・・・。・・・・じゃあ、一つだけ・・・・・俺と・・・友達になってくれる?」
雫「・・・っぷ!アハハ!!・・・変なこと言わないでよ!・・・もう、とっくに友達だよ!!」
光輝「うん、ありがとう・・・。」
こうして、光輝にとってようやく信じられる友達が出来た瞬間が訪れた。この頃から雫は光輝に対する好意を徐々に上げていき、高校に進学して異世界に転移してからようやく相思相愛になるのは未来の話である。
そして・・・光輝が小学三年生だった頃・・・日課のランニングをしていたときに少女が鉄橋の欄干に手をかけた姿を目撃した。少女の暗い表情を見て、尋常ならざる事態と察した光輝は無理やり少女の腕を引っ張り上げ連れて行く。少女は離せと訴えるも光輝は無視する。連れて行ったその先は、交番であった。
光輝「この子が自殺しようとしてました!!!助けてください!!!!」
自殺という問題に直面した光輝の取った行動、自分には少女を救える力も説得する言葉も無いと判断し、大人に助けを求めることだった。光輝のこの訴えが功を奏したのか、少女から事情聴取する警官。これがきっかけとなり、児童相談所の職員へ情報が行き届き、少女の母親から虐待の疑いをかけられ児童虐待の疑いで任意同行させられる。その後、少女は亡くなった父親の親戚に預けられることとなり、少女は親戚から快く受け入れられ少女はようやく普通の生活を手にする事となった。その日から光輝も少女に対し一人の友達として、少女に会話するようになった。ただ・・・それと同時に少女は、光輝に対し底知れない愛情を潜めると同時に底知れない憎しみを抱えることとなった事が分かるのは少し先となる。
その後も、完治の最期の言葉を守りながら人生を歩んでいった光輝。信頼できる友達も少しずつだが増えていき、高校生になった光輝は楽しく日々を過ごす。ただ唯一の不満としては、自分の趣味と共有できる友達が中々出来ないことに会った。この時代では”アニメが好き=キモい”という方程式がいつの間にか出来あがっており、自分の趣味を明かした瞬間、相手は遠ざかってしまうのであった。だがそれはそれで光輝としても都合が良かった。自分に嘘を付いてまで付き合う友達に意味は無い・・・本当の意味で理解しあえる友達を、彼は求めていたのだから。
光輝「(たまには気分転換に屋上でご飯食べようかな。)」
雫「あら?どこいくの」
光輝「屋上。今日は一人で食べるよ。」
香織「いってらっしゃーい。」
龍太郎「またなぁ。」
屋上にたどり着いた光輝。一人だと思っていた矢先に一人の男子生徒がいたのだった。こっそりと後ろから近づいた光輝はその男子生徒が夢中になって見ていた動画を見て思わず声を出す。これが・・・親友との最初の出会いであった。
光輝「このアニメ・・・機動戦士ガンダムUCだね!」
進んだ先が正しいかどうかは誰にも分からない・・・