ありふれた職業と選ばれた勇者で世界最強   作:わったさん

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押し寄せる軍勢

翌朝、朝早くに宿を出て行き、早速冒険者ギルドにて雫・香織の冒険者登録を終わらせる光輝達。この町で起こったハジメ達のトラブルを考えた光輝は、食料と共に最寄の店で地味なマントを買い、なるべく目立たないように街中を歩くように心がけ始める。光輝達はキャサリンから受け取った地図を頼りに服屋へ向かう。その店は品揃え豊富、品質良質、機能的で実用的、されど見た目も忘れずという期待を裏切らない良店だった。ついでと言う事もあり、光輝達は普段着と下着をまとめて購入する事にした。

 

クリスタベル「あら~ん、いらっしゃい♥可愛い子達ねぇん。来てくれて、おねぇさん嬉しいぃわぁ~、た~ぷりサービスしちゃうわよぉ~ん♥おねぇさんの名前はクリスタベル♥よろしくねぇん♥」

光輝「ど・・・どうも。」

雫「あの・・・地味目のマントと普段着と下着を買いに来たんですが・・・」

クリスタベル「はいはい♥お安い御用よ~ん♥」

 

身長が二メートル強のオネエ系大男がそこに現れる。劇画かと思うほど濃ゆい顔、禿頭の天辺にはチョコンと一房の長い髪が生えており三つ編みに結われて先端をピンクのリボンで纏めている。クリスタベルと名乗る店長はどういうわけか龍太郎を凝視し始める。

 

クリスタベル「(・・・あらやだ!!!ゴリマッチョ!!!)」

龍太郎「な・・・なんスか?」

クリスタベル「あなた・・・ハァハァ・・・良いわねぇ・・・。」

龍太郎「・・・ちょ・・・なに触ってくんだよ!光輝、早く買って帰ろうぜ!」

香織「あの・・・私達先を急いでるのでそろそろ・・・。」

クリスタベル「あらやだ失礼!私ったらオホホホホホ!」

 

クリスタベルの人格は置いておいて、見立て事態は見事の一言だった。4人分のバスト・ウエスト・股下の長さに合わせた普段着とマントを見事に揃え、光輝達を驚かせる。その中でどういうわけか龍太郎に対してだけは入念にボディチェックを続けていた。

 

龍太郎「なぁ・・・もう測ったよな・・・服も買ったし。・・・好い加減触るのやめてくれよ・・・。」

クリスタベル「もうちょっとだけもうちょっとだけ~(やっべ!!良い匂い!!男臭さと汗臭さが見事にマッチングしてる!!クンカ!クンカ!)」

龍太郎「なに脇の下嗅いでんだ!!!触んなよ!!光輝!!もう買ったんだから行こうぜ!!」

光輝「あぁ、そうだな。じゃあこれで失礼します。」

クリスタベル「また来てねぇん♥特にあ・な・た♥♥」

龍太郎「あぁどうもな!また今度!」

 

龍太郎は適当に返事をしてクリスタベルの店を出て行き、ブルックの町を後にする4人。ハジメに追いつくため、バイクをフルスロットルで走行し、途中現れた魔物を討伐しながら商業都市フューレンへと直行する。馬車であれば約六日かかる距離ではあるが、今の光輝達ならば丸三日でたどり着ける距離だった。この丸三日の期間を使いながら光輝は錬成を続け、武器と車、その他のアーティファクトが完成したのはフューレンに着いた頃であった。

 

光輝「ここがフューレンか・・・。」

雫「でかい壁・・・。」

香織「東京みたい・・・。」

龍太郎「商業ってだけあって繁盛してんのな。」

光輝「皆、マントを羽織って・・・なるべく目立たないようにな。」

香織「うん。」

 

中立商業都市フューレン・・・高さ二十メートル、長さ二百キロメートルの外壁で囲まれた大陸一の商業都市だ。あらゆる業種が、この都市で日々しのぎを削り合っており、夢を叶え成功を収める者もいれば、あっさり無一文となって悄然と出て行く者も多くいる。観光で訪れる者や取引に訪れる者など出入りの激しさでも大陸一と言えるだろう。早速光輝達は門番にステータスプレート見せ都市に入り、ハジメの足取りを掴むべくギルドへと向かう。

 

光輝「失礼します。」

ドット「!・・・どなたですかな?」

 

フューレン支部のギルドに入り、メガネをかけたいかにもインテリっぽい人物に話しかける光輝。ドット・クロウと名乗るフューレン支部の秘書長に対しハジメのことについて聞き始めるが、どうにも頭の固い人物であるのか守秘義務を盾にハジメについて知ってることを話そうとしてくれない。

 

雫「ですから、私達は先ほどから申してるように南雲君の仲間で・・・。」

ドット「そうだとしても個人の情報を他者に教える事は出来かねます。」

龍太郎「めんどくせぇなぁ!とっとと教えろよ!!」

香織「龍太郎君、教えて貰うのにそんな態度は駄目だよ。」

光輝「!・・・あの、お役にたつかどうかは分かりませんが・・・ブルックのギルド支部からこのような手紙を受け取りました。」

ドット「?・・・拝見いたします。・・・!・・・またしても・・・!少々お待ちを!!・・・君!彼らを応接室へ!!」

「は・・・はい!!」

 

ブルックの町で頂いた手紙を思い出した光輝はドットに差し出す。ドットは表情を一変し、光輝達をVIP扱いしながら応接室に案内する。光輝達が応接室に案内されてから十分後、遂に扉がノックされた。光輝の返事から一拍置いて扉が開かれる。そこから現れたのは、金髪をオールバックにした鋭い目付きの三十代後半くらいの男性だった。

 

イルワ「初めまして、冒険者ギルド、フューレン支部支部長イルワ・チャングだ。光輝君、雫君、香織君、龍太郎君・・・でいいかな?」

光輝「は・・・はい、どうぞよろしく。」

イルワ「そう畏まらなくて良い。君達の事はハジメ君から聞いてるよ。」

香織「南雲君はやっぱりここに来たんですね!」

イルワ「あぁ、彼等も君達同様に先生の御眼鏡に叶ったパーティだ。先生の人を見る目は確かだからね。」

雫「あの、キャサリンさんって何者なのでしょう?」

イルワ「ん?本人から聞いてないのかい?彼女は、王都のギルド本部でギルドマスターの秘書長をしていたんだよ。その後、ギルド運営に関する教育係になってね。今、各町に派遣されている支部長の五、六割は先生の教え子なんだ。私もその一人で、彼女には頭が上がらなくてね。その美しさと人柄の良さから、当時は、僕らのマドンナ的存在、あるいは憧れのお姉さんのような存在だった。その後、結婚してブルックの町のギルド支部に転勤したんだよ。子供を育てるにも田舎の方がいいって言ってね。彼女の結婚発表は青天の霹靂でね。荒れたよ。ギルドどころか、王都がね。」

光輝「やっぱり、とても凄い人だったんですね。」

龍太郎「マドンナねぇ・・・俺には肝っ玉母ちゃんって印象しかなかったが・・・時の流れってのは残酷・・・。」

雫「馬鹿!・・・すいません。」

イルワ「アッハッハ・・・ハジメ君達ならこちらの調査依頼を引き受けて北の山脈地帯に向かっている。」

光輝「調査依頼と言うと・・・。」

 

ハジメ達に依頼した任務を説明するイルワ。最近、北の山脈地帯で魔物の群れを見たという目撃例が何件か寄せられ、ギルドに調査依頼がなされた。北の山脈地帯は、一つ山を超えるとほとんど未開の地域となっており、大迷宮の魔物程ではないがそれなりに強力な魔物が出没するので高ランクの冒険者がこれを引き受けた。ただ、この冒険者パーティーに本来のメンバー以外の人物がいささか強引に同行を申し込み、紆余曲折あって最終的に臨時パーティーを組むことになった。この飛び入りが、クデタ伯爵家の三男ウィル・クデタという人物らしい。クデタ伯爵は、家出同然に冒険者になると飛び出していった息子の動向を密かに追っていたそうなのだが、今回の調査依頼に出た後、息子に付けていた連絡員も消息が不明となり、これはただ事ではないと慌てて捜索願を出したそうだ。

 

雫「その息子さんの捜索に南雲君達が向かったと・・・。」

イルワ「数日前に出発したばかりだ。まだこちらに報告に来ない事を考えると、山脈を探索中か既にウィルを見つけて湖畔の町”ウル”に向かっているかどちらかだろう。」

光輝「ようやく足取りが近づいてきた・・・皆、あと少しだ。」

香織「うん、早く向かおう。」

イルワ「まぁ、そう慌てないで・・・この依頼を受ける際にハジメ君はある条件を私に突きつけた・・・君らに対してだ。」

龍太郎「俺等に?」

イルワ「彼はこう話していたよ。」

 

『この依頼を受けるに当たって条件は3つある。1つはユエとシアにステータスプレートを作って欲しいこと。2つ目はギルド関連に関わらず、アンタの持つコネクションの全てを使って、俺達の要望に応え便宜を図ること。次に3つ目・・・俺達の他にこの街にいずれやってくる4人の俺の仲間が来るはずだ。その4人にも2つ目の条件を適用する事。』

 

当初イルワもドットも焦りと苦悩に表情を歪めた。一つ目の条件は特に問題ないが、二つ目に関しては、実質、フューレンのギルド支部長が一人の冒険者の手足になるようなものだ。責任ある立場として、おいそれと許容することはできない。しかもこの目で見た事も無いハジメの言う4人の仲間に対しても同じ条件を適用しろと言うのだから無茶も良い所である。

 

『君の言う・・・その仲間は信用できる人物かね?』

『それは保障する。あいつ等も俺と同様に特異な存在だ。俺を探しに無茶をしているのであれば教会にも目を付けられる可能性は高い。そうなった時の後ろ盾に、アンタがなってくれ。』

『キャサリン先生が気に入っているくらいだから、悪い人間ではないと思うが・・・君の言う仲間に同様の信用をしろと言うのは些か・・・。』

『分かってる。確かに口約束だけで会った事も無い連中をはいそうですかと受け入れて信用しろと言うのは無理な話だ。だから、担保としてこれを置いて行く。』

 

イルワ「その担保と言うのが・・・これだ。」

 

イルワから担保として置かれた物を見て驚く4人。それは、ハジメが愛用していた銃”ドンナー”であった。イルワの話では、もし4人がイルワの御眼鏡に叶うような人物でなかった場合は、自分の愛銃であるドンナーを譲渡しても構わないとハジメは迷いなく言ったと言う。光輝はオルクス大迷宮で見つけた設計図を一度見ていたことがあるため、この武器が間違いなくハジメが作ったものだと言うのは容易に判断がついた。恐らくここまでの道のりで苦楽を共にした相棒と言っても良い武器だろう。その武器を、自分達の為に担保として差し出したという事実に4人は言葉に出さなかったが心の底から感動する。

 

イルワ「その銃は、君達に渡そう。」

雫「え?」

イルワ「キャサリン先生の手紙、そして・・・周囲を敵に回してでもここまで友の為に旅を続けてきた君達の熱意と覚悟・・・それを加味して、君達に託す。・・・行くのだろ?・・・彼等を探しに・・・。」

光輝「当然です。」

イルワ「ッフ・・・話はここまでだ・・・では・・・。」

ドット「支部長!!!!」

イルワ「何だ?お客の前だぞ・・・。」

ドット「ウルの町に魔物の大群が押し寄せているとの情報が入りました!!!」

イルワ「何!?」

 

慌てて応接室に入ったドットの話では、三万から四万にかけての魔物がウルの町に向けて進撃を開始しているとの事であった。街の混乱を避ける為、この情報は公には晒されてはいないが最早時間の問題であった。

 

イルワ「ウィル・・・!・・・光輝君。」

光輝「?」

イルワ「君達にギルドから正式に依頼したい。今からでもウルの町に向かい、魔物の大群の討伐に当たってくれないだろうか?勿論こちらも最大限の助力は惜しまないつもりだ。今からクエストの依頼を正式に発効後、腕利きの冒険者を募る。彼等と共に事に当たって貰いたい・・・頼む。」

龍太郎「いきなりとんでもねぇ話になってきやがったぜ・・・。」

香織「三万以上の魔物が・・・街に・・・。」

雫「どうするの・・・光輝。」

光輝「・・・少し時間を下さい。・・・ドットさん、魔物の現在地は分かりますか?大まかで良いので出来れば地図で示して下さい。」

ドット「え?・・・あぁ。」

 

地図を広げ、光輝に大よその魔物の場所を指差すドット。大まかな場所を把握した光輝は懐から鳥の文様をあしらった指輪を取り出し指に装着。魔力を指輪に集中させる。

 

『ガルーダァ!!』

ドット「な!?」

 

指輪からガルーダの音声と共に魔法陣が出現。赤いプラモのような型枠にはまった状態で出現したのち、ガシャガシャと自動で変形後、鳥型の使い魔レッドガルーダへと姿を変える。

 

香織「わぁ!可愛い!」

雫「可愛い///・・・けど、あんたこれ・・・。」

光輝「フフン!さぁ、ショータイムだ。・・・この地図の場所に行って偵察して来てくれ。」

雫「やっぱり・・・。」

龍太郎「?・・・なんだ?急にショータイムって・・・。」

雫「今度教えるわ。」

 

アニオタ・特オタの知識をフル稼働させる光輝。光輝に命令されガルーダは窓から飛び立ち指定の場所へと向かう。続いて宝物庫を使い魔方陣を出現させた光輝は錬成の力で自作したノートPCを取り出しキーボードをカタカタと打ち込む。偵察に向かわせたガルーダが見た情報をそのままPCの画面に映し出し、香織達と共に映像をチェックし始める。それを見たイルワとドットは光輝が目の前で見せている数々の行動に口を開けポカンとしてしまっていたが、気を取り直したイルワが話しかける。

 

イルワ「いやはや・・・君は何とも奇怪なアーティファクトを出すな・・・。ハジメ君と言い・・・本当に何者なんだい?」

光輝「ただのしがない錬成師ですよ・・・。あと、ついでに勇者やってます。」

龍太郎「あの鳥はまだ現場に着かねぇのか?」

光輝「もう少しだよ・・・見つけた。」

 

PC上の映像から数万単位の魔物の大群を確認した光輝達。ガルーダの見た魔物の種類から魔物の強さとレベルを頭の中で計算し始める光輝。しばし雫達と話し込み、戦闘のシミュレーションを始める。数十分後・・・4人は入念に話し合い今回の依頼に対し光輝が代表して返答する。

 

光輝「・・・良いでしょう、ハジメの愛銃を俺達に渡してくれたお礼も兼ねて・・・この依頼を引き受けます・・・。」

イルワ「そうか・・・!」

光輝「但し、二つ条件を付けさせて頂きます。一つ目は、今回の討伐は俺達だけで当たります。中途半端な戦力で拙い連携を組んで戦っても混乱を招く上に余計な被害を出すだけですので、今回に限っては他の冒険者への依頼はご遠慮願います。二つ目は・・・まず前金として一千万ルタの支払い・・・そして成功報酬として更にもう一千万ルタの支払いをお願いします。」

 

光輝側からしてみたら当然の要求であった。幾らギルドの正式な依頼とはいえ、軍隊に匹敵するレベルの魔物を相手に戦えと言うのだ。ボランティア活動では無いし、まして自分達の目的はハジメの探索と神代魔法の習得である。本来の目的を一時的にとはいえ犠牲にしてこの依頼を受けるのであれば、それに見合った対価を支払って貰わなければ割に合わない。肩書は勇者であっても、無償で引き受けるほど光輝もお人好しでは無い。今後旅を続けるのであれば資金は無いよりあった方が良い、

 

ドット「な!!!?そんな法外な額を・・・!!!」

光輝「払えないんですか?数万以上の魔物を相手取るんですよ?これでも安く見積もったつもりですがね。慈善稼業では無いので、ここはビジネスの話としてキッチリ進めさせて頂きます。この条件を呑めなければお断りします。多分・・・ハジメも最初は護衛の依頼を渋ったんじゃないでしょうか?彼も彼で別の目的があるにも関わらずあなた達の依頼を引き受けたはずだ。俺達も同じですよ。」

ドット「支部長・・・私は彼等に依頼を求めるのは反対です!幾らキャサリン先生の推薦だとしてもこれは・・・まして実力も分からない子供ですよ。」

光輝「・・・皆、ステータスプレートを見せて。」

香織「良いの?」

光輝「今後この人たちとは長い付き合いになるかもしれない・・・この際、秘密は無しにしよう。」

雫「それもそうね。ある程度の信頼はさせましょう・・・。」

 

光輝の言う通り、隠蔽を外したステータスプレートを提示する3人。その桁外れの実力を見せられたイルワ達はただただ驚き言葉が見つからず絶句してしまう。

 

光輝「どうです?高額報酬に見合った実力だと思いますが。」

イルワ「・・・・・・良いだろう。前金として一千万ルタを用意する。」

ドット「支部長!」

イルワ「彼等の実力を見ただろう・・・そしてあのアーティファクトの数々。光輝君の言う通り、あの魔物の大群を相手するには中途半端な実力では返って被害が出る。・・・ウィルの事も心配だ・・・彼等に託そう。」

光輝「決まりですね・・・皆も良い?」

龍太郎「数万以上の魔物か・・・こいつは気合入れてかかんねぇとな!」

雫「報酬を貰う以上・・・仕事はしっかりこなさせて頂くわ。」

香織「その場所に南雲君がいるかもしれないなら・・・今度こそ私達が守る!」

光輝「では、この依頼を正式に受けさせて頂きます。」

イルワ「ありがとう。では早速馬車を寄こそう。一番早い馬車を使えばギリギリ・・・。」

光輝「それには及びません。俺達は俺達で別の乗り物を使って現地に向かいます。」

 

その後、前金の報酬一千万ルタをギルドの会計士から受け取り、光輝達はギルドを出て行った。その扉をしばらく見つめていたイルワは、「ふぅ~」と大きく息を吐いた。部屋にいる間、一言も話さなかったドットが気づかわしげにイルワに声をかける。

 

ドット「支部長・・・彼等は・・・。」

イルワ「あぁ・・・恐らく彼等がハイリヒ王国の勇者一行だろう・・・イシュタルもとんだ怪物を召喚したものだ。・・・今この世界は・・・ハジメ君を含む彼らを中心に・・・何かが変わろうとしているかもしれん・・・そんな気がするよ。それを考えれば、二千万ルタは安い投資だ。」

 

街の外に出た光輝達。早速バイクで急ごうと龍太郎は息巻くが、光輝は何故かストップをかける。先を急ぐためにバイク以上にスピードが出せる錬成した車で向かおうと光輝は提案するのであった。そして・・・魔法陣から出現したのは・・・

 

『ライドオン!!!トライドロン!!』

香織「凄い!真っ赤なスポーツカーも作っちゃったんだ!」

雫「(もう突っ込まないわよ・・・。)」

光輝「さ、乗った乗った。龍太郎、運転を頼む。」

龍太郎「お・・・おぉ、任せろ。」

 

本来2人乗りであるトライドロンを4人乗りに改造した光輝。龍太郎に運転を任せ光輝は道のナビ、そして現在の魔物の軍勢をPC上で逐一チェックする事に専念した。香織と雫は後部座席で自分の武器の状態をチェックする。最高時速560kmを出せるスーパーカーの性能にご機嫌な龍太郎は車を走らせながら感動する。

 

龍太郎「ウォオオ!すげぇすげぇ!この車めっちゃはぇええ!!!」

香織「龍太郎君・・・速いのは良いけど安全運転でね。人身事故はごめんだよ。」

雫「光輝、状況はどう?」

光輝「まずい・・・軍勢が急に速く動き出した。予定より早くウルの町に到着する。」

龍太郎「何!?じゃあ急がねぇと・・・。」

光輝「いや待った・・・ウルの町の周辺に外壁が立ってる。」

 

ガルーダに指示を出し、遥か上空からウルの町を調査していた光輝。北に山脈地帯、西にウルディア湖を持つ資源豊富なこの町は、現在、ついこの間までは存在しなかった”外壁”に囲まれて、異様な雰囲気に包まれていた。その外壁の内側にはウルの街の住人・・・その中には愛子先生、そして愛ちゃん護衛隊である園部優花・菅原妙子・宮崎奈々・玉井淳史が何故かその場所に居た。驚くべき事はそれだけでは無い・・・そう・・・外壁の上には明らかに指揮を執っている人間がそこに居た・・・金髪の少女・兎人族の少女・黒髪の女性・・・中央には眼帯に黒い衣装、義手みたいなものを装備した白髪の男性が銃を手に立っていた。光輝はその状況と男の装備と武器を見て直ぐに察する・・・。

 

光輝「・・・ハジメ。」

龍太郎「!?・・・マジか!!!」

光輝「あぁ・・・間違いない。随分変わってるけど・・・装備と周りの仲間で分かった。」

香織「いるの・・・南雲君・・・良かった・・・良かったよぉ!」

雫「えぇ・・・。そこに留まってるって事は・・・あの軍勢と戦う気みたいね。」

光輝「?・・・何か喋ってるみたいだ・・・。ちょっと音を拾うね。」

 

「聞け!ウルの町の勇敢なる者達よ!私達の勝利は既に確定している!なぜなら、私達には女神が付いているからだ!そう、皆も知っている”豊穣の女神”愛子様だ!我らの傍に愛子様がいる限り、敗北はありえない!愛子様こそ!我ら人類の味方にして”豊穣”と”勝利”をもたらす、天が遣わした現人神である!私は、愛子様の剣にして盾、彼女の皆を守りたいという思いに応えやって来た!見よ!これが、愛子様により教え導かれた私の力である!」

 

ガルーダ越しにハジメの演説を聞く光輝達。ハジメは演説後、虚空にシュラーゲンを取り出し、町の人々が注目する中、些か先行しているプテラノドンモドキの魔物に照準を合わせ引き金を引いた。紅いスパークを放っていたシュラーゲンから、極大の閃光が撃ち手の殺意と共に一瞬で空を駆け抜け、数キロ離れたプテラノドンモドキの一体を木っ端微塵に撃ち砕き、余波だけで周囲の数体の翼を粉砕して地へと堕とした。

 

「愛子様、万歳!」

「「「「「「愛子様、万歳! 愛子様、万歳! 愛子様、万歳! 愛子様、万歳!」」」」」」

「「「「「「女神様、万歳! 女神様、万歳! 女神様、万歳! 女神様、万歳!」」」」」」

 

光輝「この絶望的状況下で、町の住人を上手く鼓舞してる。愛子先生たちの事も気になるが・・・先生の肩書を上手く利用したもんだ。」

雫「その辺りの事情は追々聴きましょう。今は、南雲君も戦ってるなら・・・私達も急ぎましょう。」

光輝「あぁ・・・龍太郎、急いで・・・。」

 

「御主人さまぁ!!!魔物が一杯じゃあ、怖い~抱いてぇ!!」

「やっぱ一度、土に帰るか!?」

「あぁ///この罵倒・・・タマラン!!」

 

突如聞こえてくる黒髪の女性の声に反応する4人。和服に似ている黒い着物を着た巨乳の女性がハジメに言いより甘えはじめていたのだった。その様子をバッチリと見ていた光輝は冷や汗をかき、そして声だけだがそのやりとりに対し過剰に反応するゴジ・・・女性がいた。

 

香織「・・・ねぇ・・・光輝君。音だけのやり取りだから分からないけど・・・南雲君、今どういう状況?」

光輝「え!?・・・いや、あぁ・・・あの~・・・えっと・・・あ・・・・あ!!龍太郎!この先右に右折だ!」

龍太郎「お・・・おぅ!右な!」

香織「・・・ねぇ・・・誤魔化さないで教えてくれないかな?」

雫「香織・・・落ち着いて・・・。」

香織「雫ちゃん、ちょっと黙ろうか。」

雫「は・・・はい・・・。」

光輝「(駄目だ敬語使っちゃったぁ・・・雫でも止まらない。)・・・・和服を着た巨乳の女性が・・・ハジメに抱き着いて誘惑してる・・・。」

香織「ッチ!!!・・・龍太郎君、遅いよ~・・・もっと速く走らせて。」

龍太郎「いや、でもお前さっき安全運転って・・・。」

香織「後から言う方が正しいから・・・私が言う時は・・・。人?魔物?・・・・知らないよそんなの。ぶっちぎって。」

龍太郎「わ・・・分かったよ。」

 

ようやくハジメの足取りを掴み事に成功した4人。しかし、最悪のタイミングで新しい女性を虜にしていた事を知り得てしまい、暗黒のオーラを身に纏っていた香織は龍太郎を急かしトライドロンをぶっちぎらせる。戦いは目の前・・・親友も目の前だ!色んな意味で頑張れ光輝!色んな意味で負けるな光輝!




さぁいよいよ戦いだぁ
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