ありふれた職業と選ばれた勇者で世界最強   作:わったさん

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龍太郎が最近目立った話を書いてない気がしたので書いてみました。
こちらも箸休め回です。


龍太郎の悩み

園部優花のレベル上げ期限の前々日・・・ハジメは光輝との約束通り、今日は自分が錬成の作業に取り掛かっている間、今日一日は雫とゆっくりと過ごさせるのであった。武器の調整と錬成を半日で終わらせたハジメは気分転換に一人で街をブラブラしようと部屋を出て行こうとする。今日はどうにも一人で過ごしたかったのか、宿屋の中を歩く香織達に見つからないようメタルギアよろしくの隠密行動で気配を消しながら宿屋を出て行った。商店街で果実を一つ買い、食べ歩きながら適当に街を散策していると、一人何かを探しているように歩き回る龍太郎を見かける。

 

ハジメ「よぉ、龍太郎。」

龍太郎「ん?おぉ!ハジメ。」

ハジメ「一人でウロウロ何してんだよ?」

龍太郎「あぁ・・・実はな・・・。」

 

龍太郎はフューレン支部から簡単なクエストを一つ引き受けたという。クエスト内容は猫探し、とある子供が飼っていたペットが昨日から突然居なくなり、フューレンに訪れクエストを依頼したと言う。下らないクエストだと誰も相手にされなかったが、ギルドに訪れた龍太郎はこのクエストを引き受け今に至る。

 

ハジメ「で・・・まだ見つかんないか?」

龍太郎「あぁ・・・昨日から居なくなったって言うからまだ、この街にいるはずなんだがな・・・。」

 

龍太郎から話を聞き、ハジメは”自分も手伝ってやろうか”と言う。気配感知と手元にある錬成した道具を使えば猫探しも楽になると言うが、龍太郎は自分が引き受けたクエストだから自分だけで果たすと遠慮した。その気持ちを汲んだハジメは、今日は龍太郎に付き添う形だけで特に手を貸さない事にした。

 

龍太郎「悪いな・・・なんだか付き合わせちまったみたいで・・・。」

ハジメ「良いよ・・・どうせ暇だったしな。」

 

ハジメは龍太郎から話を聞き、今の状況を知ろうとする。龍太郎はこのクエストを朝から引き受け猫探しを始めたと言う。現在お昼過ぎだが、午前中に龍太郎は猫探しの為に色々と情報集めと猫探しのポイントを調べていたらしい。草むら、路地裏、猫を探して欲しいと言ってきた子供の家の周り等々、猫がとにかく立ち寄りそうな場所を龍太郎はひたすら当たっていたそうだ。次に龍太郎が注目したのは街の中にある大木であり、龍太郎は大木をよじ登って猫を探す。

 

ハジメ「そんな所に猫が居るのかよ?」

龍太郎「猫探しは思い込みや固定観念を捨てる事が大事なんだよ。・・・本にそう書いてあった。」

ハジメ「・・・お前、本読むのか?」

龍太郎「お前俺の事なんだと思ってやがる・・・。」

ハジメ「単細胞の筋肉馬鹿。」

龍太郎「るせぇ!」

 

猫が隠れていそうなポイントを虱潰しに探すが見つからず、夕刻になってしまい今日はここまでかとハジメは諦めかけていた。気配感知をしようにもこの街では野良猫が多数いるため特定する事は難しかった。龍太郎は一縷の望みをかけていた。二人は猫探しを頼んだ子供の家へと帰ると、そこには探していた猫が子供の元へと帰っていたのだった。

 

ハジメ「おいおい・・・勝手に戻ってきやがってやんの。」

「お兄ちゃん!ありがとう!お兄ちゃんの言う通りにしてたらチャトラ帰ってきた!」

龍太郎「おぅ!良かったな!」

ハジメ「?・・・何か頼んでたのか?」

 

龍太郎は子供にある事を頼んでいたのだった。それは、外に猫がいつも食べる餌を玄関先に用意して待っているようにとの事だった。この作戦は見事に的中し、夕方頃にお腹がすき始めた時間に猫が主人である子供の元に帰ってきた元気に餌を食べていた。クエストは無事に終了し、ギルドに戻った龍太郎は子供から予め渡された報酬を受け取るのだった。

 

ハジメ「(報酬は飴玉二個・・・誰もクエストを引き受けないわけだ・・・。)」

龍太郎「気にしねぇで食えよ。報酬は山分けだ。」

ハジメ「嬉しいね・・・ガリ!・・・お前も優しいとこあんな。子供のクエストを引き受けてさ・・・。」

龍太郎「・・・優しいとかそんなんじゃねぇよ・・・。・・・考える力を身に付ける為だ。」

ハジメ「・・・え?」

 

そう、龍太郎は今日まで心の奥底でずっと悩んでいたのだった。そう・・・光輝がクラスメート全員に言ったあの言葉” どいつもこいつも・・・上辺のステータスだけで人を判断して・・・自分で考える力がないから人に縋って頼ろうとする・・・!!それでよくハジメを無能呼ばわり出来たね・・・・お前等全員無能だ!!!!!!”・・・この言葉は彼にも深く心に刻まれていたのだった。

 

龍太郎「俺はよ・・・光輝のダチとして今日までやってきたつもりだった・・・けど・・・あいつの言葉を聞いてから・・・ずっと考え込んでた。・・・このままで良いのかって・・・あん時の光輝の発言は・・・空手の試合でボディブロー喰らった時みたいにかなり効いたぜ・・・。」

ハジメ「・・・。」

龍太郎「俺もクラスの連中と一緒だったんだなって・・・光輝にさえ付いて行けばなんとかなるって・・・よく自分で考えもしないで・・・ただ光輝に甘えて・・・こんなんでダチと呼べるのかって・・・ずっと思ってる。」

ハジメ「・・・だからクエストか?」

龍太郎「あぁ・・・まずは自分で出来るクエストを見つけて、ちょっとずつ自分の判断と考えで行動してみる事から始めようと思ってな・・・。ギルドの連中に紹介して貰って、本とか読んだりな・・・。」

 

ハジメは龍太郎をマジマジと見ながら、”こいつもこいつなりに悩んでたんだな”と考えを改めていた。今まではただ真っ直ぐ一直線の単細胞だなと心の何処かで思っていたが、今回の一件で龍太郎の思わぬ一面が見えたからだ。自分の事を語った龍太郎は、今度はハジメに対し話題を変えて話し始めた。

 

龍太郎「おめぇはすげぇよハジメ・・・ユエと出会う前はあのオルクス大迷宮の地下迷宮をたった一人で生きて来られたんだからな・・・そこへ行くと・・・俺はただ光輝達の後を付いて行ってただ暴れただけだ・・・同じ攻略者でもお前とは月とすっぽんだ・・・。・・・頼む・・・俺も少しは考える力を身に着けてお前等の足を引っ張らないようにする・・・だから、俺もお前等と一緒に戦わせてくれ・・・俺も家に帰りてぇんだ・・・頼む・・・!」

 

龍太郎は改めてハジメに頭を下げ頼み込む。自分の考えの足りなさのせいでメンバーの足を引っ張りたくないと考えた上での頼みだった。その様子を悟ったハジメは頬をポリポリ掻きながら眼を逸らし、再び龍太郎に目を向けながら話しはじめる。

 

ハジメ「止せよ・・・頭なんざ下げて貰いたかねぇな・・・。本当はしたかねぇが・・・実際する気もねぇが・・・お前等が俺を・・・仲間に入れてくれなかったら・・・今頃俺は・・・いや・・・まぁ何はともあれ、俺は故郷に帰るまで死ぬ気も無かったが・・・だから・・・。」

龍太郎「おめぇ・・・何が言いてぇんだ?」

ハジメ「まぁとにかく!OKだってんだよ!!お前が単細胞で考え無しなのはこちとら百も承知だ!」

龍太郎「な!?・・・分かってんよ!だから俺は・・・!」

ハジメ「そういう真っ直ぐで単純な熱血漢が、お前の持ち味でもあるって言いてぇんだよ。そういう所も俺は買ってるし、光輝もそうだからお前とダチやってたんだろうがよ。・・・ま、お前自身がそういう成長したいって気持ちも間違ってもいねぇと思うがな・・・お前が足引っ張った程度で友達止めるほど、俺もあいつ等も落ちてねぇよ。」

龍太郎「・・・!」

ハジメ「っへ!・・・心配すんな・・・帰る時は、お前も一緒だ・・・。」

龍太郎「お・・・おぅ!たりめぇだ!!」

ハジメ「ヘヘ!・・・なぁ、お前アニメとか見るか?」

龍太郎「あんま見ねぇな・・・。・・・キン肉マンとかなら多少は・・・。」

ハジメ「おぉ~良いじゃねぇか!・・・実はな・・・兎人族にもそのアニメを参考に鍛えてやってよ・・・」

 

龍太郎に対し更に心を許したのか、ハジメは昔に戻ったかのようにアニメの話を持ちかけ始める。今のハジメでは恥ずかしく龍太郎には感謝の言葉を話すことは出来なかったが、”今の俺があるのは、お前らが友達になってくれたからであり、感謝こそすれど使えないからといって見捨てることは有り得ない。”そう内心では考えており、不器用ながらも遠まわしに伝えたのであった。いつもと変わらない何気ない今日一日・・・その一日はハジメにとっての親友がまた一つ増えた一日なのであった。




ハジメの男友達との交流を更に深めてみました。

ハジメに気のある園部優花はウルの町での騒動以降、ハジメ達の仲間として付いて行く

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