ありふれた職業と選ばれた勇者で世界最強   作:わったさん

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光輝に魔物の肉を食べさせるかどうかで少し悩んだ次第です。


親友として

一先ず落ち着いた一同は、今後の事について話し合いを始める。次に目指す大迷宮はグリューエン大砂漠にある七大迷宮の一つグリューエン大火山。これは確定だが問題なのは光輝の今後である。

 

光輝「しばらくオルクスの住処で鍛錬してるよ。こんな一般人以下のステータスじゃ皆のお荷物だからね。」

雫「でも・・・錬成師の天職が無くなったのは残念ね・・・。」

光輝「それね・・・折角勉強して習得できたのにまたやり直しだもんね・・・錬成師の知識とか技術も頭の中からすっぽり無くなっちゃってるから・・・。」

香織「・・・身勝手な言い分かもだけど・・・光輝君なら頑張ればまた錬成師になれるよ。」

優花「そうそう!あたしですら一週間でレベル爆上げ出来たんだし、天之河なら余裕っしょ!」

光輝「そういうフラグ立てないでぇ~・・・なんか上手くいく気がしなくなる~・・・。」

龍太郎「なんなら俺が一から鍛え直してやるよ!」

光輝「俺、今勇者から一般人以下に格下げだよ?鍛える以前の問題な気がするけど・・・。まずは座学からかな・・・。」

龍太郎「根性でなんとかしやがれ!」

光輝「そんな無茶な・・・。」

 

光輝はひょうきんに振る舞い、仲間達と冗談交じりに会話を楽しむ。若干光輝が空元気気味なのを一同は何となく察しは付いていた。現実問題、ただ普通に鍛錬したとしても天職を習得するのは非常に難しいからだ。これまで成長が異常に早かったのは要因として勇者の天職があったからでもある。しかし今現在、光輝の天職は無し・・・これでは今後の成長は殆ど見込めない。その事を仲間達よりも光輝自身が重々承知していた。メルドも仲間達のやり取りを外で見ながら光輝の為に何かできないか必死に考えるが何も思いつかず頭をグシャグシャかいていた。特にハジメは光輝が天職を失った原因は、不用意にユエ達を連れて行き不敬罪という余計な罪を光輝に被せてしまった自分にもあると考え、どうにかして光輝の力になれないか考えていた。いや・・・強く慣れる手っ取り早い方法はある事にはあるが・・・それをハジメはどこかで拒否していた。魔物の肉を食べる事を・・・

 

ハジメ「・・・。(これからの成長にもよるが・・・今の光輝は奈落での俺のステータスの半分にも満たない数値だ。神水の飲みながらにせよ・・・そんな数値で魔物の肉を食べて光輝の身体が果たして持つかどうか・・・)」

リリアーナ「皆さん!」

メルド「姫!?」

香織「!・・・リリィ!」

 

リリアーナは父親である国王から今回の話を聞き、久方ぶりに仲良しの香織達に一目会う事も兼ねて、光輝達の元へ駆けつけてきた。自分の力ではもう光輝の天職をどうこう出来ないが、居ても経っても居られずやってきたそうだ。リリアーナはどうにか光輝を元気付けようとするが言葉が見つからない。

 

リリアーナ「父から話は聞きました光輝さん。あの・・・えっと・・・。」

光輝「そんな顔しないでよリリィ。こうなったのはあのクソジジィの神託のせいだし・・・なろうと思ってなったわけじゃない与えられた勇者の称号にそこまで未練も無いしね。俺の天職の事は何か考えてどうにかするよ。」

雫「気遣いに来てくれてありがとう。光輝は大丈夫だから・・・ね?」

リリアーナ「で・・・ですが・・・。」

ランデル「姉上、そんな無能に優しくする必要はないですよ」

 

リリアーナの後ろから弟であるハイリヒ王国王子ランデル・S・B・ハイリヒが現れる。彼は勇者で無くなった光輝に何の魅力も無くなった為か、あからさまに見下した態度で光輝を無能扱いする。本人は本当の事なので特に気にしてないが仲間達は明らかに不機嫌な顔つきでランデルを睨む。

 

リリアーナ「ランデル!あなた何てことを言うの!」

ランデル「事実ではないですか。その男は香織を引き連れて尻尾を巻いて逃げた負け犬な上に、自分だけ助かる為に王宮の仲間を置き去りにまたしても逃げようとした臆病者ですよ?勇者を失格にされて当然です!香織、そなたにその男の隣は似合わぬ!香織の身の安全のためにここに留まるべきだ!どうだ?仲間達も共に来ても構わぬ!その無能のことなど放っておいて余と・・・。」

香織「ランデル殿下・・・無礼をお許し下さい。」

ランデル「え?」

パァアアアアンンンンンン!!!

 

香織はランデルに向かって思い切り引っ叩いた。この怒りは檜山を殴った頃に匹敵する怒りに近く、普段あまり感情的に怒る事の無い香織は眉間に皺を寄せランデルを睨みつける。引っ叩かれたランデルはしりもちをつき、わけも分からずキョロキョロする。

 

光輝「お・・・おい香織。」

雫「良いから、少し下がりましょう。」

香織「光輝君の事情を良く知りもせず、なぜそう次々と侮辱する言葉を並べるんですか?よくそれで王子になれましたね。殿下がここまで小さい人間とは思いませんでした・・・これ以上私の大事な幼馴染を馬鹿にするのであれば、もっと強く殴ります。」

ランデル「あ・・え?・・・香織・・・?」

リリアーナ「下がりなさいランデル・・・今日のことを誰かに喋ることがあれば、場合によっては父に頼み勘当も考えます。王子としてあまりにも品格に欠け過ぎている。」

ランデル「し・・・しかし・・・。」

リリアーナ「下がりなさい!!!これは命令です!」

ランデル「は・・・はい・・・。」

 

光輝に侮辱を働いたランデルに同じく怒りを露にしたリリアーナ。そそくさと立ち去るランデルを見た後、改めて光輝達に謝罪する。メルド自身もランデルの侮辱は流石に行き過ぎた事もあり、当然香織の不祥は見なかったことにする。リリアーナは一言、光輝達に対し”あなた方の旅の無事を祈ります”と残し、その場を立ち去る。とりあえず今日一日は王宮に泊まり、光輝を残し明朝に一行はユエ達を連れて明朝にでもグリューエン大砂漠に向かう事にした。一方、光輝はもう勇者で無くなった事をイシュタルに聞かされクラスメートたちは困惑していた。頼みの綱である勇者はもう居ない・・・今後は自分達が主力として戦うしかなくなった事からクラスメートは光輝の陰口を次々と愚痴り始める。そして翌朝、王宮の入り口前で光輝は一同と一旦のお別れをする時が来た。

 

光輝「じゃあね、皆とはここで一旦お別れだ。」

ハジメ「おぅ、そっちはそっちで頑張れよ。」

ミュウ「ママァ~・・・。」

光輝「ミュウ?お父さんの言う事をちゃんと聞くんだよ?」

ミュウ「分かったの~。」

光輝「ユエ・・・皆・・・ハジメ達の事、よろしく頼む。」

ユエ「任せて・・・あなたが居ない分はフォローする。」

シア「光輝さんが作ってくれた武器は大事に使います!」

ティオ「心配無用じゃ!お主が居ずとも、ご主人様とその仲間達はしっかり守ろうぞ!」

光輝「それはそれでちょっと凹むかも・・・。おめぇの席ねぇからって事だよね・・・。」

雫「いちいち凹まない!・・・待ってるわよ。」

光輝「・・・あぁ!龍太郎、俺のトライドロンを壊すなよ?」

龍太郎「わーってるよ、大切にするぜ!」

光輝「香織、早くハジメを自分のものにしろよ?」

香織「モチだよ!!」

光輝「園部、非常食を沢山作ってくれてありがとう。大切に食べるよ。」

優花「ま、ささやかな選別だけどね。気長に鍛錬してきなよ。」

 

こうして一行と別れた光輝。一人になった光輝は予め魔法力が蓄えられた再来の腕輪を使い隠れ家へテレポートしようとする。そこへ、重吾・浩介・鈴・恵里が何故か駆け付けてきた。

 

重吾「天之河・・・。」

光輝「!・・・どうしたの?」

浩介「イシュタル様から聞いたよ・・・勇者・・・剥奪されたんだってな。」

鈴「本当なの?」

光輝「ご覧の通りさ・・・。」

 

光輝はステータスプレートを重吾達に見せる。天職が無しになった事でステータス値は著しく下がり、一般人以下の身体能力値を見て二人はようやくイシュタルの言葉が本当である事を受け入れる。

 

鈴「こりゃあ・・・見事なまでに下がっちゃってまぁ・・・。」

光輝「それで?・・・用件はそれだけ?」

浩介「なぁ天之河・・・俺達と一緒に鍛錬しないか?」

光輝「このステータスじゃ足引っ張るだけだって・・・意味が無いよ。」

恵理「いや、でも・・・。」

光輝「クラスの連中、俺が勇者じゃ無くなった事で手のひら帰して陰口叩いてたでしょ?無能に成り下がっただのなんだの・・・。」

鈴「そ・・・それは・・・まぁ、ちらほらあるかなぁ~なんて・・・。」

光輝「良いさ、気を使わなくて。ステータスでしか評価しようとしない薄っぺらな人間を気にしても仕方がない。戻ったら戻ったで厄介払いされそうだし、俺は俺のやり方で鍛錬するよ。・・・その方が君らも居心地が良いだろう・・・。」

 

ありのままの事実を重吾達に話し、今度こそ隠れ家へテレポートしようとする。しかし、浩介は光輝に対しどうしても伝えたかった言葉を述べる。

 

浩介「・・・俺達は違うよ・・・。」

光輝「・・・!」

重吾「出来る事はたかが知れてるだろうが・・・協力できることや相談したい事があればいつでも言ってくれ・・・ここに居る連中も俺のパーティ達も・・・少なくとも天之河の味方だ・・・。」

鈴「そうだよ!ステータスとか関係ない!戻ってきてクラスを率いて欲しいとかそういう事じゃない!ただ、鈴達は単純に天之河君だからこそ力になりたいんだよ!他のクラスの連中の事は何とか説得するからさ!」

恵理「うん・・・だから・・・寂しいこと言わないで・・・戻りたかったら、いつでも戻ってきて。」

光輝「・・・クス、ありがとう。」

 

彼らなりの気遣いが伝わったのか、微笑する光輝はそのままテレポートし、隠れ家へと向かう。隠れ家へ着いた光輝、感謝を込めて誰も居ないところで重吾達にお辞儀をする。光輝は館に向かい、一人座学に励み始めるのであった。

 

 

・・・赤銅色の世界。グリューエン大砂漠は、まさにそう表現する以外にない場所だった。砂の色が赤銅色なのはもちろんだが、砂自体が微細なのだろう。常に一定方向から吹く風により易々と舞い上げられた砂が大気の色をも赤銅色に染め上げ、三百六十度、見渡す限り一色となっているのだ。また、大小様々な砂丘が無数に存在しており、その表面は風に煽られて常に波立っている。刻一刻と表面の模様や砂丘の形を変えていく様は、砂丘全体が生きていると表現したくなる程だ。照りつける太陽と、その太陽からの熱を余さず溜め込む砂の大地が強烈な熱気を放っており、四十度は軽く超えているだろう。舞う砂と合わせて、旅の道としては最悪の環境だ。現在、そんな過酷な環境を、知ったことではないと突き進む黒い箱型の乗り物、と真っ赤なスポーツカーが砂埃を後方に巻き上げながら爆走していた。道なき道だが、それは車内に設置した方位磁石が解決してくれている。ハジメ達の乗る車内の後部座席で窓にビシバシ当たる砂と赤銅色の外世界を眺めながらシアとティオが雑談を交す。一方、車内では何か考えているかのようにハジメは黙って運転を続けていた。ジャンケンに勝ち、念願叶ってハジメの助手席の隣に座っている香織は内心ヒャッハー状態でミュウを自分の膝の上に乗せながら夫婦体験をしていた。

 

ハジメ「・・・。」

ミュウ「前に来たときとぜんぜん違うの!とっても涼しいし、目も痛くないの!パパはすごいの!」

香織「そうだね~。ハジメパパはすごいね~。ミュウちゃん、冷たいお水飲む?」

ミュウ「飲むぅ~。香織お姉ちゃん、ありがとうなの~」

香織「?・・・ハジメ君?どうしたのボーっとして・・・。」

ハジメ「あ?・・・あぁ・・・ちょっとな・・・ってか、ハジメパパは止めてくれよ。」

香織「うふふ!良いじゃない・・・こうしてると夫婦みたいだね///・・・私もいつか子供が出来たら・・・その時は・・・。」

ユエ「何度も言わせないで・・・先約は私。約束済み」

香織「全然関係ないし、ね?ハジメくん。」

ハジメ「あのなぁ・・・。」

 

途中の魔物を苦も無く討伐し、一行はグリューエン大火山へ先を急ぐ。夕刻となり、焚火を炊いた一同は簡易型のテントを張り今夜は道半ばで野宿をすることにした。本来であれば再来の腕輪を使い隠れ家にて休めるのだが、今回光輝が一人鍛錬に励んでいる為、その邪魔をするわけにはいかず遠慮する事となった。ミュウが早々と寝静まった夜、一行と焚火を囲う中、ハジメは焚火を炊きながらまたしても考え込んでいた。

 

ハジメ「・・・。」

ユエ「何を考えてるの?」

ハジメ「!・・・・。」

雫「光輝の事?」

ハジメ「・・・まぁな。・・・あいつの事だから座学や鍛錬に励んでいるだろうが・・・個人的に・・・成長は見込めないと考えている。」

「・・・。」

 

誰しもが思っていたことをハジメは口にする。今の光輝ではただ普通に鍛錬しただけではトントン拍子にレベルアップする事は極めて難しい・・・そこでハジメは重たい口を開き、魔物の肉を食べる事で身体能力向上だけでなくその魔物の能力も取得する事が出来るとハジメは告白する。一行は今までハジメが劇的に変わった事に関して特に気にも留めずこれまでと変わりなく接していたが、その理由を聞き納得した。

 

龍太郎「何でそれを光輝に教えなかったんだよ。その方法があれば光輝だって・・・。」

ハジメ「さっきも言ったろ・・・魔物の肉は人間にとって猛毒だ。神水で回復しながら摂取したとしても・・・地獄の苦しみでしばらくのた打ち回る・・・だから・・・。」

雫「光輝には無理だって言いたいの?・・・本気でそう思ってるの?」

ハジメ「!」

優花「確かに・・・あいつなら多分、それすらも乗り越えて強くなるとあたしも思うけどね。ギブアップする方が考えにくいよ。」

シア「ハジメさん・・・正直に答えて欲しいです・・・何故光輝さんに魔物の肉の事を話さなかったんですか?」

ハジメ「・・・。ハァ・・・・。・・・・・ありのままの光輝でいて欲しかったからだよ。」

 

ハジメは自分の本心を正直に答える。魔物の肉を食べた事で劇的に変わった自分を見てもこれまで通り接してくれた仲間達に感謝しているが、光輝にまで自分と同じ思いをさせるのがどうしても出来なかったと言う。その言葉を聞いて行く中で、雫はハジメの事を軽蔑した目で見るようになる。

 

ハジメ「俺と同じ苦しみや痛みをあいつに与えるのなら・・・あいつにはこのまま退場して貰っても良いとさえ思ってる。俺達の目的は故郷に帰る方法を探す為に神代魔法を習得する事だ。パーティメンバーも充実した今、無理にあいつをこの危険な旅に同行させる必要も無い・・・何日か経って様子を見に行った時に成長速度が芳しくなければ・・・あいつには隠れ家で待機して貰う。」

雫「・・・。・・・臆病な男ね。」

ハジメ「・・・何だと?」

雫「それ、単純に南雲君の自己満足の為だけに光輝を遠ざけようとしてるだけよね?光輝が傷つかずに済んで助けたつもりになって、強くなれる可能性があるのに自分が罪悪感を背負いたくないから隠して言いわけに光輝を使ってるだけよね・・・。それでも光輝の親友なの?光輝の事、本気で考えてるの?」

ハジメ「っ!・・・本気で考えてるからこうやって悩んでんだろうが!!!奈落に落ちた俺の時とは状況が違う!!!選択を選べんなら、あいつが傷つかない選択を選ぶのが当然だろう!!八重樫こそあいつの彼女なら・・・!!」

雫「それが自己満足だってのよ!!!!!!」

ハジメ「!?」

雫「光輝がどんな気持ちで一人で鍛錬に励んでるか理解してるの!?自分だけ天職が無くなって、仲間を危険な目に会わせているにも関わらず、ただ何も出来ずに待ってるだけの時間がどれだけ辛いか考えたことあるの!?まだ強くなれる可能性があるのに中途半端な所で退場させられて、戦わせず後悔させる方が光輝にとって一番の苦痛だって事が分からないの!?」

ハジメ「・・・!」

香織「雫ちゃん、落ち着いて・・・ミュウちゃん起きちゃうから・・・。」

雫「・・・ごめんなさい・・・ちょっと熱くなり過ぎたわ。」

ティオ「ご主人様・・・残念じゃが、今回ばかりは雫の言い分が正しいと妾も思う。」

 

雫の手痛い指摘にハジメ顔をしかめながらは黙りこくる。熱くなり言い過ぎた所はあるものの、雫の言う通りだったからだ。ただ、ハジメがここまで悩み彼らしくないあまりにも甘い事を口にした事にユエ達は驚いていた。間違った考えにせよ、それだけ光輝の事を親友として大事に考えている事は容易に想像がついた。怒鳴り合う二人を一先ず落ち着けた一同の様子を見て、龍太郎が話しをまとめはじめる。

 

龍太郎「本人が居ないのに今ここで魔物の肉を食べさせる食べさせないの決断をするのは早いんじゃないか?決めるのは光輝だ。何日か経って、あいつの成長度合いを見て、見込みがあればそのまま鍛錬を続行させりゃ良いし、成長がおそけりゃ魔物の肉の事を話せ。・・・今はそれでいいと思うぜ。」

ハジメ「・・・。・・・・あぁ、そうだな。」

優花「魔物の肉を調理した事無いからまだ何とも言えないけど・・・私、料理人の天職でどうにか魔物を上手く調理して少しでも食べやすく尚且つ副作用を減らせるかどうか試してみるよ。天之河の負担を軽くできるように、出来る限りの事を尽くす。」

 

話しは一応まとまり、これでお開きとなった。テント内で一行が寝静まる中・・・ハジメは一人黄昏るようにテントから少し離れた場所で星空を眺めていた。その後ろから、ネグリジェ姿の香織がハジメの傍に近寄る。

 

香織「ハジメ君・・・。」

ハジメ「!・・・白崎・・・。・・・またその恰好か・・・風邪引くぞ。」

香織「ありがと・・・。」

 

自分の上着を貸し、香織に羽織らせるハジメ。香織は照れくさそうにハジメの上着を羽織りながら、こっそりとハジメの臭いを満喫していた。

 

香織「スンスン!・・・ハァ~・・・ハジメ君の匂いがいっぱい・・・。」

ハジメ「ったく・・・何の用だ?」

香織「用が無かったら来ちゃ駄目?」

ハジメ「まぁ好きにしろ・・・。」

香織「フフ・・・。・・・光輝君の事・・・考えてくれてありがとう。」

ハジメ「・・・。」

香織「雫ちゃんはああ言ってたけど・・・多分、ハジメ君と同じ気持ちだと思うよ。・・・だからこそハジメ君の言う事が許せなかった・・・自分の気持ちばかり優先して、光輝君の気持ちを無視したから・・・。」

 

香織は雫自身も光輝の事が大切故にハジメと同じ考えを抱いているとハジメに話す。しかしそれは光輝を傷つけたくないと言う自分だけの一方的な気持ちの押し付けである事は分かっていた。だからこそ自分と同じ考えのハジメが許せなかったと香織は語る。

 

ハジメ「魔物の肉・・・食うだろうな・・・あいつは・・・。」

香織「うん・・・食べるね。」

ハジメ「・・・。・・・あいつには、変わって欲しくないと思ってる・・・俺みたいに苦しんで見た目が変わってまで強くなるぐらいなら、いっそここで・・・そう願う甘ったれた自分がいるんだよ。・・・間違ってんのは・・・分かってんだけどな。」

香織「・・・大丈夫、変わらないよ。何も・・・ハジメ君と同じように・・・光輝君がどんなに変わったとしても・・・私達との関係は・・・絶対変わらない。それだけは確かだから・・・だから・・・光輝君の決断を信じようよ・・・ね?」

ハジメ「・・・そう・・・だな。」

香織「そう・・・どんなに変わっても、心の奥底で変わらない想いはある・・・私も同じ・・・。ハジメ君・・・。・・・・私、あなたの事が・・・。」

 

香織は隣に座るハジメの手を取ろうと、そっと触ろうとするが・・・そこへタイミングよく、金髪の髪を棚引かせた吸血鬼幼女が登場する。

 

ユエ「あれ?奇遇・・・。」

ハジメ「ユエじゃねぇか?お前も眠れないのか?」

ユエ「目が冴えちゃった・・・抱いて・・・。」

香織「ッチ・・・何真ん中に割り込もうとしてるのかなぁ?」

ユエ「気にしない気にしない・・・。それハジメの上着・・・返して。」

香織「い~や~!!離せ~!!」

ハジメ「止めろ!!破れるだろうが!!」

 

折角良い雰囲気でのシチュエーションであるにも関わらず、香織の告白はまたしてもユエに邪魔されてしまう。香織の明日はどっちだ!?




皆、光輝が好き過ぎる感が少しは出せたかな?

ハジメに気のある園部優花はウルの町での騒動以降、ハジメ達の仲間として付いて行く

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