ありふれた職業と選ばれた勇者で世界最強   作:わったさん

35 / 36
今回はミュウ叱責回となります。
ハジメと光輝の会話の中で一部ある映画のシーンを取り入れてみました。


大好きだからこそ・・・

ハジメの怪我がほぼ完治を迎え、早速一同は次なる試練としてエリセンに向かいメルジーネ海底遺跡に挑戦・・・と言いたいところであったが、光輝がしばらく武装の強化を提案。今回のようにハジメ達が窮地に陥った時のために仲間達の分のパワードスーツを作りたいと述べる。この意見にハジメ達はしばし考え込むが、今回のように魔人族の突然の強襲といった非常事態が今後も十分あり得ると考え、更なるレベルアップとしてこの提案を受け入れる。まず最初にランスロットを雛形に先行量産型としてハジメ専用のパワードスーツをある程度作れれば製作にかかる時間も把握できるため、旅をしながらでもスーツの開発は可能と光輝は言う。一同は再来の腕輪でオスカーの隠れ家へ再び向かう。

 

光輝「じゃあハジメ、工房で少しスーツについて話そう。」

ハジメ「そうだな。お前らは自由だ。身体を鍛えるもよし、休めるもよし、今後に備えて待機しててくれ。」

シア「了解しました!じゃあ私、ミュウちゃんの遊び相手になります!」

香織「ミュウちゃん、何して遊ぶ?」

ミュウ「・・・パパとママのお手伝い。」

雫「ミュウちゃん・・・。」

 

再会したハジメがボロボロになった姿を見て以降のミュウは、今回提案した光輝の武装強化案を聞き、自分もお手伝いをしたい!パパとママの力になりたい!と言いだし始める。シア達はまだ小さいミュウに錬成の手伝いは早いと説得するが、ミュウは聞かなかった。

 

光輝「ミュウ、我が儘言わない。前の時もそうだったけど、工房は危険だから入ってきちゃ駄目だよ。」

ミュウ「むぅううううう!!!」

ハジメ「いい子だから、白崎達と一緒に遊んで来い。」

 

そう、ランスロット作成の為に光輝と雫の三人で数日過ごしていたころもミュウは光輝の手伝いをしていたが、時折寂しくて光輝と一緒に遊びたかったのか、工房に遊びに入ってくるミュウに対し光輝はミュウへ何度か注意をしていた。今回も同じように光輝から注意を受けミュウは膨れっ面になりながらシア達の元へ戻っていった。工房で光輝とハジメはハジメ専用のパワードスーツについて話し合う。数時間、スーツの方向性について話し合った結果、今までハジメが錬成した武装全てをスーツ一着に搭載し、尚且つ敵の的にならないようバーニアなどをふんだんに盛り込み動き回れるようにしたいとのこと。コンセプトとしては、近接戦闘主体のランスロットとは対照的に重火器戦闘主体とする”歩く武器庫”を目指すこととなった。早速ランスロットの設計図を見本に光輝とハジメはあ~でもないこ~でもないとミッチリ話し合いながら新しい設計図を書き始める。その過程の中で武装について話し合ってる中、光輝から突っ込みが入る。

 

光輝「思うんだけど・・・君が使ってるドンナーとシュラークさ・・・。」

ハジメ「あ?」

光輝「そろそろリボルバーからマガジンに変えない?そっちの方が銃弾も多く入るし、弾の装填とか楽でしょ?」

ハジメ「やだね。マガジンなんて品もロマンもない銃、俺は認めねぇ。」

光輝「なんだそれ・・・。そういえば、家で一緒に映画見てたときも・・・マグナムを使ってる主人公には目を光らせてたのに、ベレッタやトカレフを使ってる主人公には見向きもしなかったね。ベレッタの方が使い勝手が良くて殺傷力あるのに・・・」

ハジメ「あぁ、リアリズム主義のお前と違って、俺はロマンチシズムだからな。特にS&W M19はかっこよかったぜぇ・・・最強の銃に恥じない威力だった。」

光輝「え?ソ連製のポドブィリン9.2ミリオートが世界一強力なピストルでしょ?」

ハジメ「馬鹿言え!最強の銃は昔っからマグナム44と決まってんだよ!次元大介だって使ってたし、あのダーティハリーだって使ってたんだからな!!」

光輝「・・・ダーティハリーって誰だっけ?」

 

そんなこんなの会話を繰り返しながら、二人は着々と作業を進める。あっという間に時間は過ぎ、今日はここまでと一旦切り上げ、一同に混じり優花が作ってくれた手料理を全員で楽しんだ。全員が寝静まった夜、変わらず光輝達は作業を続けていたが、少し休憩を取るために二人は別の部屋へと向かう。

 

ハジメ「うぁああ~・・・流石に肩凝ったなぁ・・・。」

光輝「・・・小腹も空いたね。なんか無かったかな・・・。」

ハジメ「確か戸棚に何か・・・。」

・・・バタン!

ミュウ「・・・。」

 

二人が工房から居なくなった事を確認した後、一人寝たふりをして起きてきたミュウが工房へと一人入り込む。光輝から注意を受けていたにも関わらず彼女は諦めていなかった。”自分だって大好きなパパとママの役に立てる!”、その純粋な想いを胸にミュウは工房へと入り込み、作業途中であろう作業場所へと向かい続きの作業をミュウは取り掛かろうとしていた。

 

ミュウ「私だって・・・力になれるもん・・・!」

ガチャ・・・!!・・・・ドガァアアアアアアアアアアアアアアア!!!

 

光輝・ハジメ「!!??」

ユエ「なんの音!?」

シア「!?・・・ミュウちゃんがいません!」

 

寝静まっていた一同が一斉に起きだし、爆音がした工房へと向かう。居なくなったミュウを心配して、シア達がミュウの名前を呼びながら向かった工房の煙の中から咳き込みながらミュウが出てくる。光輝・ハジメもそこへ駆けつけ、ミュウが工房へと入り何かしたのだと容易に想像が付いた。全員がミュウの無事を喜び心配される中、光輝のみが険悪な表情でゆっくりとミュウに近寄り始める。

 

香織「大丈夫?怪我は無い?」

雫「痛いところは?」

ミュウ「うん、平気。」

龍太郎「よくあの爆発で無事だったなぁ・・・何してた?」

ミュウ「パパ達が作ってた物を進めようとして・・・それで・・・。」

 

バチィイイイイイイイ!!!!

 

一同「!?」

 

光輝はミュウの頬を思い切り叩き尻餅をつかせる。ステータス最低のビンタとは言え、突然の出来事に目を丸くしミュウは殴られた頬に手を当てる。光輝は眉間にしわを寄せこめかみに青筋を立てながら大声で叫ぶ。

 

光輝「ここは危ないから近づくなって、何度言ったら分かるんだ!!」

 

香織「こ・・・光輝君!!」

優花「ちょ!!天之河!!いくら何でもやり過ぎ・・・」

ハジメ・雫「待て園部!(待って香織!)」

香織・優花「!?」

ハジメ「良い・・・。」

雫「ちょっと離れよう・・・ね。」

 

香織達は行き過ぎた指導だと抗議しようとしたが、光輝の心情を特に理解を示していたハジメと雫は二人から離れるように促す。それに合わせるかのようにユエ達もミュウと光輝の傍から離れ、しばし沈黙の雰囲気が流れる。光輝はしばらくして、尻餅をついて涙目になるミュウ傍へ近寄り、悲壮な表情を浮かべゆっくりと跪いてただ一言漏らす。

 

光輝「怪我ですまなかったら・・・・どうするの・・・・?」

ティオ「光輝・・・。」

 

その後、ミュウ達を避難させ工房の修理を急ぐハジメと光輝。ちなみに、今回の事件は機材の一部を出鱈目にミュウが動かした事で爆発物に引火したことが今回の爆発の原因であった事が分かった。幸いにも設計図は無事であり、損壊も最小限であったため修理に時間は掛からずに済んだ。ショックを受けたミュウは一同と自室に戻り、香織達に心配されながら一人泣きじゃくっていた。

 

ミュウ「ふぇえええええ・・・ひっぐ!!!ひっぐ!!!」

香織「ミュウちゃん、泣かないで。」

優花「そうだよ。天之河だってミュウの気持ち、ちゃんと分かってくれてるから。」

ミュウ「わだじ・・・ママにぎらわれぢゃっだ・・・・おでづだいじだがったげど・・・。・・・ミュウのごど・・・ぎらいになっぢゃっだぁ・・・。」

雫「・・・ミュウ、逆よそれは。光輝は、ミュウのことが大好きだからあなたのことを本気で怒ったのよ。」

ミュウ「ふえ?」

雫「相手のことをどうでもよかったら、怒る必要もないからほっとくだろうけど、ミュウは違う。ミュウが傷ついたり、居なくなっちゃったら・・・今度は光輝が泣いちゃうわ。光輝の顔を見て、ミュウだって悲しそうにみえたでしょ?」

ミュウ「・・・うん。」

雫「工房に近づけさせなかったのだって、ミュウが役に立たないからじゃない。ミュウが大切だから、ミュウが大好きだから、南雲君も光輝も工房に近づけさせなかった。・・・大丈夫、パパとママの役に立ちたいミュウの気持ちは、ちゃんと二人に届いてるわ。」

ユエ「ん!雫の言うとおり。」

シア「悔しいですけど・・・あの二人以外にミュウちゃんのパパとママは考えられないですよ。」

ティオ「明日になったら、ちゃんと光輝ママに謝ろう。絶対に許してくれるじゃろうて。」

ミュウ「・・・うん!」

香織「私は諦めない!!ミュウちゃんのママの座はいずれ私が・・・!!」

優花「ちょっちょっちょ、またこじれちゃうからその話はまたで・・・。」

ユエ「空気読めない女・・・!」

香織「何をぉ!」

シア「もう諦めた方が良いような・・・。」

香織「やだ!絶対諦めない!!」

 

香織達がミュウを慰め終えてから数十分後・・・ミュウと同じようにショックを受けていたのはもう一人いた。

 

光輝「・・・。」

ハジメ「修理は終わったな・・・じゃあ・・・。」

光輝「・・・。・・・ん?あぁ、そうだね。続きを・・・。」

ハジメ「なぁ光輝、今日はもう休もうや。俺も疲れたし、お前も疲れたろ?」

光輝「いや、俺は別に・・・。」

ハジメ「焦るこたぁねぇよ。急いだって出来の良いもんが錬成出来るわけじゃねぇんだ・・・。切り上げようや。」

光輝「・・・そうだな。」

 

なんとなく落ち込んでいた光輝を察してたハジメは、光輝肩を軽く叩き部屋に戻る。そこへ二人のことを心配した龍太郎がポットを片手に三人分のコップを持ち込んでやってきた。

 

龍太郎「ホットミルクだ。飲んでみな。」

光輝「・・・ゴク・・・おいしい。」

ハジメ「うめぇなぁ・・・料理下手顔のわりにやるじゃねぇか。」

龍太郎「料理下手顔ってなんだよ?しかも料理じゃねぇし。」

 

ハジメと龍太郎が二人しておどけた会話をする中、光輝は一人ホットミルクの表面をじっと見つめながら上の空であった。そんな心情を察していた龍太郎はミュウのことを話し始める。

 

龍太郎「大丈夫だ。ミュウの怪我もたいしたことないって香織が言ってたし、さっきまでワンワン泣いてたが今は落ち着いて皆と寝てんよ。」

光輝「そう・・・良かった・・・。・・・本当に・・・・。」

ハジメ「・・・。・・・考えたんだが・・・しばらく錬成は休んで休暇を取らねぇか?」

光輝「何言ってるの?錬成は少しでも進めて旅を・・・。」

ハジメ「次の目的地はエリセンだ・・・ミュウの親に会えば、そこでミュウとも別れになる。・・・お前も本当はパワードスーツの作成が終わったら、あいつらに休暇を提案する気でいたんじゃねぇか?ミュウとの別れる前に、楽しい思い出を作るために・・・。」

光輝「・・・。」

龍太郎「錬成はいつでも出来るが、ミュウと仲直りするチャンスはもう来ないかもしれねぇぞ?」

ハジメ「あぁ、その通りだ。」

龍太郎「謝りたいんだろ?・・・ミュウに・・・。」

光輝「・・・・はぁ・・・。・・・・たま~にだけど、龍太郎ってたま~に核心を突いてくるよね。」

ハジメ「そ!こいつ本当にたま~~~~~~~~~~~~に、言う時がある・・・。」

龍太郎「あぁそうかいそうかい・・・・たまにで悪かった・・・な!」

ゴゴン!

光輝「あいて!」

ハジメ「あが!」

 

二人の頭を乱暴に持ち、互いに頭突きをさせる龍太郎。そして翌朝、朝食を済ませたタイミングを見計らい、昨日のショックからまだ落ち込んでいたミュウに話しかけようと近づく光輝。ミュウは落ち込んだ表情で光輝を見つめる。ユエ達はその様子を黙って見守っていた。

 

光輝「・・・。」

ミュウ「ママ・・・昨日はごめんなさい・・・・。・・・・もう・・・・・工房には入らない・・・・。」

光輝「・・・。・・・ミュウ、ちょっと時間ある?」

ミュウ「え?」

 

ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

ミュウ「うわぁああああああ!!すごいすごい!!もっと高く!もっと高く飛んでぇ!!」

光輝「よぅし!次は急降下だ!!いけぇえええええええええええええ!!!!!」

ミュウ「ひゃああああああ!!!すごぉおおおい!!」

 

隠れ家から離れ、ランスロットを装備した光輝がミュウをお姫様抱っこで抱え大空高く舞い上がっていた。光輝は昨日の夜にミュウを引っぱたいたお詫びの印として、空を一緒に飛ぼうと誘ったのだった。ジェットコースターのように時に急降下したりまた大空へと待ったりと、ミュウは初めての絶叫マシーンを体験しているかのように楽しんでいた。少し休憩として崖の上座った二人は大空の下で優花から差し入れとして作ってもらった特製パンを一緒に食べる事にした。

 

光輝「おいしい?」

ミュウ「うん!」

光輝「・・・。・・・・昨日はありがとう。俺とパパの手伝いがしたくて、工房に入ったんだよね?」

ミュウ「・・・・うん。・・・ごめんなさい・・・。」

光輝「工房はちょっと壊れちゃったけど・・・もう直せたから大丈夫だよ。・・・でも、しばらく錬成は休むよ。」

ミュウ「・・・・ミュウのせい?」

光輝「違う違う。ミュウと皆でいっぱい遊ぶためだよ。次の目的地は、ミュウの故郷でもあるエリセンだからね・・・ミュウとお別れする前に、たくさん楽しい思い出を作ろうって思ってさ。」

ミュウ「お別れ・・・ミュウは・・・。」

光輝「俺達だって、ミュウとお別れするのは寂しいんだ。だから、その寂しさに負けないように、今からたっくさん楽しい思い出を作って作って作りまくって、寂しい気持ちをぶっ飛ばしちゃおう!」

ミュウ「・・・!」

光輝「だから約束しよう。お別れが来たとき、ミュウは俺達の事を絶対に忘れないで、本当のお母さんのところで良い子にすること・・・俺も、ミュウの事を忘れないで、別れた後全部が終わったら、もう一度皆と一緒にミュウの元へ会いに戻る。・・・約束だ。」

ミュウ「・・・うん!」

光輝「じゃあ、指切りだ!」

ミュウ「指切りってなぁに?」

光輝「俺の国でよくやる、お互いに約束をするときのおまじないだよ。破った方は針を千本飲まなくちゃならないから大変だ!」

ミュウ「え~こわ~い!」

光輝「約束を守れる良い子は絶対大丈夫!ミュウは、俺との約束破らないよね?」

ミュウ「・・・うん!守るもん!」

光輝「よし!じゃあ約束!一緒に歌って!ゆ~びき~り~げんま~ん・・・。」

ミュウ「ゆ~びき~り~げんま~ん・・・。」

 

こうしてミュウと光輝の仲直りは無事に成功し、二人の親子中はより一層深まったのであった。パンを食べ終えた二人は再び空の大冒険を二人で楽しみ、そのあとはミュウを肩車した状態で光輝は隠れ家へ戻ってきた。すっかり仲直りしたその様子を見た一同はほっこりとし、安心した表情で出迎えるのであった。

 




叱責シーンに関してもとある人気漫画から抜き取りました。あのシーンは個人的に名シーンでした。

ハジメに気のある園部優花はウルの町での騒動以降、ハジメ達の仲間として付いて行く

  • 賛成
  • 反対
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。