ハジメ「・・・フゥ・・・こんな所かな・・・。」
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:10
天職:錬成師
筋力:25
体力:25
耐性:25
敏捷:25
魔力:25
魔耐:25
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系合成][+鉱物分離] [+複製錬成]、言語理解
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訓練の合間を使って王立図書館で自習に励むハジメ。これが二週間みっちり訓練したハジメの成果である。光輝・香織・雫の協力が功を奏し、少しずつではあるが成長を実感できるようになった。錬成としての能力として才能を徐々に開花させたハジメは一般鍛冶師と大差ない技量を身に着け、普通の武具程度なら作成できる程である。(但し座学の範囲内での話)いつものようにハジメの様子を見に来た光輝・香織・雫はハジメのプレートを見て大いに驚く。
光輝「おぉ、錬成に幅が出来てる!凄いじゃないか!」
香織「勉強の成果が出てきたね!」
ハジメ「天之河くんたちのおかげだよ・・・そっちはどう?」
光輝「俺はまぁ・・・こんなとこ。」
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天之河光輝 17歳 男 レベル:10
天職:勇者
筋力:200
体力:200
耐性:200
敏捷:200
魔力:200
魔耐:200
技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読
高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解
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ハジメ「凄いなぁ・・・やっぱり・・・。」
光輝「プレートの数値だけで比べるなよ。ここで勉強に費やしてる分、ハジメの方がクラスの連中なんかより博識になってるんだ。」
雫「その通りよ。その知識で、私達を助けてくれると嬉しいわ。」
ハジメ「うん・・・!」
そう、この図書館で勉強を続けていたハジメはこの世界についてあらかたの情報を頭に入れていた。魔法の仕組み・世界の成り立ち・種族・七大迷宮・・・クラスメートたちから無能・使えないと言うレッテルを張られながらも彼は彼なりに懸命な努力を積み重ねていたのだった。光輝は成長して取得したハジメのスキルを見て、ある考えを思いつく。
光輝「ハジメ、そろそろ鍛冶を試してみないか?」
ハジメ「え?」
光輝の考え、それは鉱物の探索と入手である。座学で充分な知識を身に着けたハジメにそろそろ本格的な鍛冶を試す為、メルドに相談して王宮に最寄にある森から適当な鉱物を入手するために探索に向かおうと言うものだ。自分達の修練の成果も兼ね、光輝は香織・雫・龍太郎をパーティに組むことを更に提案。この提案に香織達は快くOKした。そして・・・メルドに提案を持ち込む。
メルド「ん~む・・・よし、良いだろう。但し、森のその先にある洞窟には絶対に入るな。それと日が暮れる前に必ず帰還する事・・・これを約束しろ。良いな!」
光輝「はい!!やったなハジメ!!」
香織「沢山良い鉱物を見つけようね!」
ハジメ「うん!」
早速パーティを組んで森の探索に向かった5人。龍太郎はそこまで乗り気では無かったものの、光輝の誘いと言う事もあり、自分の力を試すがてら同行するのであった。支給された剣・杖・籠手・防具を装備した5人は光輝を先頭に慎重に森を進む。
光輝「!・・・気を付けろ。何か近くにいる・・・!」
ガササ!!
兵隊アリ「クルル・・・!」
兵隊アリ「クルル・・・!」
兵隊アリ「クルル・・・!」
香織「でっかい蟻がいっぱい・・・!」
雫「香織、下がって!」
龍太郎「ッヘ!よわっちそうな奴だぜ!俺が軽く捻って・・・!」
ハジメ「!・・・待って坂上君!」
龍太郎「あ?」
ハジメ「そのモンスターは兵隊アリだ。何処かに居る女王を倒さない限り永遠に増え続ける。」
光輝「女王の居場所は分かるか?」
ハジメ「フェロモンの匂いを辿れば分かるはずだけど・・・。」
龍太郎「匂いたって俺等は犬じゃねぇんだぞ!」
光輝「いや、方法はある。雫・龍太郎、出来る限り蟻の注意を引きつけてくれ。」
雫「分かった。」
龍太郎「しゃあ!オラオラ!こっちだ!!」
光輝「暗き炎渦巻いて、敵の尽く焼き払わん、灰となりて大地へ帰れ・・・螺炎!」
光輝の指示により兵隊アリを引きつける雫と龍太郎。その間に蟻が通ってきた道を手当たり次第に火炎魔法で焼き払い、アリの道しるべフェロモンを無くす。その瞬間、蟻たちは雫達への攻撃を止め引き返し始める。
龍太郎「なんだ!?・・・急に帰りだしたぞ。」
香織「成程・・・。」
雫「じゃ、女王様の元へ案内して貰いましょうか。」
引き返す蟻の後を付ける5人。その先には女王アリが樹の穴の中で陣取り、兵隊アリに指示を出していた。道しるべフェロモンを掻き消し、次の命令を求める為に女王アリの元へ帰る、蟻の習性を利用した光輝の作戦は見事に的中し、女王アリを見事発見するのであった。
龍太郎「あの赤くてでけぇ蟻が女王か・・・俺がブッ飛ばしてやるぜぇ!!」
ハジメ「坂上くん駄目だ!!」
光輝「!」
女王アリに突っ込んだ瞬間、口から火球を放ち龍太郎を攻撃する。ハジメの叫び声を察知した光輝は龍太郎を咄嗟に体当たりで火球の直線から外し、自ら火球を受け止める。
香織「光輝くん!」
光輝「大丈夫だ・・・。龍太郎!出過ぎだ!自重しろ!」
龍太郎「わ・・・悪い・・・。」
香織「天恵よ、遍く子らに癒しを。」
光輝「ありがとう、香織。」
雫「南雲くん、奴の弱点は分かる?」
ハジメ「女王アリは頭の触覚で平衡感覚を保っている。触覚を狙って!!そうすれば動きを封じられる!」
雫「光輝!」
光輝「あぁ!」
女王アリの元へ真正面から近づく二人。そのまま突っ込むと思いきや、二人は左右二手に別れ女王アリの左右に陣取る。双方は抜刀術の構えを取り、そのまま女王アリに交錯する形で目にも映らぬ速さで通り過ぎ、女王アリの触覚を切り裂く。女王アリはハジメの言った通り動きを止め、その場で酔っ払いの様にフラフラとし始める。
光輝「龍太郎!」
龍太郎「おっしゃあああ!」
右腕に力を込め、女王アリの元へ突っ込む龍太郎。見事に女王アリの頭に右ストレートが炸裂し女王アリはその場に崩れ落ちる。ハジメの知識と連携でパーティは見事にモンスター初撃破を遂げ、女王の居なくなった兵隊アリは一目散に逃げ出すのであった。
ハジメ「やった!!」
香織「皆、大丈夫!」
雫「えぇ、問題無い。」
光輝「ハジメの知識あっての勝利だな。」
龍太郎「・・・。・・・おい。」
ハジメ「え・・・?」
龍太郎「・・・・・サンキュ。」
ハジメ「・・・アハ!」
香織「やったね、南雲君。」
ハジメの事を少しだけ認め始めた龍太郎。不器用ながらもお礼を述べ、ハジメははにかんだ笑顔へ自然に変わる。その後、鉱物探しは順調に進み夕刻に差し掛かる頃には様々な鉱物が手に入りその日は大収穫で終わった。
メルド「鉄鉱石に黒炭石にスチール鉱石・・・大収穫じゃないかお前達!」
光輝「ハジメのおかげです。」
雫「その通り。彼の知識とアドバイスが無ければこう上手くは行かなかったでしょう。」
香織「メルドさん、もう一つ折り入ってお願いがあります。」
メルド「何だ?」
香織のお願い、それは未使用の工房紹介であった。誰も使う事も無いだろうと事から必然的にハジメ専用の工房となり、基本的な鉱石も常備されていた為鍛冶には最適な環境であった。その場所を見たハジメは感激の顔で鍛冶場を弄り満面の笑顔になる。
メルド「何か分からない事があったら聞いてくれ。答えられる範囲で答えよう。」
ハジメ「はい、ありがとうございます!・・・皆も、今日はありがとう。」
光輝「良いんだよ。俺達にとってもメリットがあったんだから。」
雫「そう言う事ね。頑張ってる南雲君の為に少しは応援しないと。」
香織「頑張ってね!南雲君!」
ハジメ「うん!」
龍太郎「あ~・・・え~・・・まぁ・・・頑張れや。」
メルド「・・・(この坊主・・・ありふれた職業に就いてはいるが、ありふれてない素晴らしい友人には恵まれているな。)」
その後ハジメ達は一時解散し、ハジメは一人になる。早速一本だけ普通の剣を作ってみる事にした。名称は鉄の剣、パラメータも普通でこれと言った特殊能力も無いが自分が作った剣と言う事もありちょっと振るってみようと夜の訓練場に一人向かう。
ハジメ「ッフ!ッフ!」
檜山「よぉ、南雲。なにしてんの?自主練?お前が剣持っても意味ないだろが。マジ無能なんだしよ~」
斎藤「ちょっ、檜山言い過ぎ! いくら本当だからってさ~、ギャハハハ」
中野「ってかなんで毎回訓練に出てくるわけ?俺なら恥ずかしくて無理だわ!ヒヒヒ!」
近藤「なぁ、大介。こいつさぁ、なんかもう哀れだから、俺らで稽古つけてやんね?」
檜山達が再びハジメに絡む場面を目撃する光輝達。龍太郎達はその様子を見て現場に介入しようとする。
龍太郎「んだあいつら・・・。」
香織「檜山君達まさか・・・!」
雫「全く・・・。」
光輝「皆待て!・・・少し様子を見よう。」
香織「え!?でも・・・!」
光輝「良いから。(・・・ハジメ・・・お前は無能なんかじゃないからな・・・)」
ハジメ「いや、一人でするから大丈夫だって。僕のことは放っておいてくれていいからさ。」
檜山「はぁ?俺らがわざわざ無能のお前を鍛えてやろうってのに何言ってんの?マジ有り得ないんだけど。お前はただ、ありがとうございますって言ってればいいんだよ!ってか天之河もこんな無能の肩持つとかねぇわ!あいつも無能じゃねぇのか?」
ハジメ「!」
脇腹を殴ろうとする檜山のパンチを受け止めるハジメ。普段のハジメからは考えられない怒気を纏ったハジメは檜山を睨みつけ始める。檜山はその表情に言い知れぬ恐怖を感じ始め、一瞬萎縮してしまう。
檜山「な・・・なんだよ急に・・・!!」
ハジメ「僕の事は幾らでも馬鹿にして良いよ・・・無能とか影でこそこそ言ってても構わない・・・けど、僕の友達を馬鹿にする事だけは・・・!!!!」
檜山「!?」
ハジメ「絶対許さない!!!!!」
檜山に対し渾身の右フックで殴り飛ばすハジメ。その様子に他の取り巻き達はハジメの予想外の反撃に困惑、殴られ気絶した檜山を引き連れ一目散に逃げ出すのであった。小さい頃から人と争う、誰かに敵意や悪意を持つということがどうにも苦手だったハジメが初めて敵意と悪意を持った瞬間であった。誰かと喧嘩しそうになったときはいつも自分が折れていた。自分が我慢すれば話はそこで終わり。喧嘩するよりずっといい、そう思ってしまうのだ。だが今回はまるで違った。自分の友達を馬鹿にしてきた事に対する明確な怒りを抱いて初めて喧嘩をした。その様子を見た光輝達はハジメの傍に近づく。
光輝「ハジメ!」
ハジメ「皆・・・!」
香織「怪我はない?大丈夫!?」
ハジメ「うん、大丈夫。」
龍太郎「へへ、ただのモヤシ野郎かと思ったけど・・・結構頑固で根性あんじゃねぇか。」
ハジメ「いや・・・僕はただ・・・。」
雫「友達の為に怒る事は悪い事でも何でもない。・・・見直したわ、南雲君」
光輝「俺達の為に怒ってくれて、ありがとう。」
ハジメ「・・・・・。・・・・グズ・・・ウゥウウウウ・・・・!!」
香織「泣かないでよ南雲君・・・こっちまで泣きたくなっちゃうじゃん。」
近くに居た香織の傍に駆け寄る泣きじゃくる香織。その様子に香織も半泣きしながらハジメを優しく抱きしめ頭を撫で続ける。大切な友人が一気に増えた事に嬉しさが一気にこみ上げうれし泣きするハジメ。それを当然察した光輝達はその様子をいつまでも見続けているのであった。
友達は大事だ・・・