けど二次創作が少ない。
ということで自分の妄想をぶつけてみようと思い切っての投稿です。
よろしくお願いします。
1 洋裁屋の日常
──ロアナプラ。
行く場所を失った者が行き着く最後の場所。
そんな地の果てともいえるこの街で、最悪で最高な人たちに出会うなんて誰が思うのだろうか。
午前六時。私は決まってこの時間に起きる。
この街では比較的健康的な生活を送っている人間だと自負している。
というより、この時間に起きなければ仕事が捗らないからなのだが。
毎日同じ時間に起床し、同じ時間に朝食を終え、同じ時間に仕事にかかる。
それが私の日課なのだ。
良い焦げめのついたトーストと一杯のココア。
これがなければ一日の始まりとは言えない。
……一度コーヒーを試しに飲んでみたが、やはり食事は好きなものを摂るに限る。
朝食を終えたら作業着である黒いTシャツと紺のイージーパンツに着替え、仕事を始める。
最初にこの職の命とも言える裁ち鋏が錆びていないか、念入りなチェックを忘れてはいけない。
私は地の果てのロアナプラでひっそりと暮らし、死ぬまでこの街のBGMである銃声を生で聞かないことを祈っている者である。
所謂、普通の人間だ。
「さて」
今日はどの布に鋏をいれようか。
「よし……今日はここまで」
午後六時。もうそろそろ夜に差し掛かる頃合いなので作業を終えた。
今日も遠くで銃声が聞こえる。毎日飽きないものだ。
溜っていた洗濯物を片付けようと、洗濯機を回す。
そのままシャワーを浴びてから夕食を摂る。
……それにしても、毎日銃声が鳴り響くのは少々ストレスがたまる。
自分で選んだ住処なので強く文句は言えないが、いくらなんでも酷いのではないか。
心の中でぼやきつつ寝巻に着替え、冷蔵庫の中にある缶ビールを一気に飲み干す。
冷えたビールはどうしてこうも美味なのか。永遠の謎である。
──思えば、私がこの街にきて一年が経った。
何故こんな最悪の街に流れ着いて普通の人間が今まで生きてこれたのは不思議だが、「今生きていればなんでもいい」と思えるようになったのは、この街に少しだけ慣れてきた何よりの証拠なのだろう。
我ながら運がいいのか悪いのか分からなくなる。
住み始めたころは毎日怯えていたが、今は悠々自適に暮らしている。
殺し屋、マフィア、ヤク中、孤児が多く蔓延るこの街で、今のような何も変わらない日々をこれからも送れることを祈ろう。
──午前六時。
今日も焦げ目のついたトーストとココアを食し、黒いTシャツと紺のイージーパンツに着替える。
そして、裁ちばさみの念入りなチェックを行う。
今日も素晴らしい一日になりそうだ。