ロアナプラにてドレスコードを決めましょう   作:華原

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日本編、最終話です。






52 雪解け

――午前六時。冬の朝の空にはまだ陽は昇っていない。

藤崎仁はそんな薄明るい空を見上げ、縁側でただ一人佇んでいる。

 

 

感情を全く乗せていない表情で、白い息を吐いた。

 

 

刹那、すぐ近くから微かに足音が聞こえてくる。

老いて耳が遠くなってはいても、人の気配には敏感な仁は誰かが近づいていることに気づいた。

すぐさま、僅かに聞き取れた足音とその気配が誰のものか瞬時に理解する。

 

「雪緒か。おはよう」

 

「……おはようございます」

 

薄暗い廊下の奥から現れたのはパジャマに身を包んだ雪緒だった。

雪緒は声を掛けられたたことに驚きつつ、丁寧に挨拶を交わす。

 

「どうしたんだ、こんな朝早くから。散歩か?」

 

「いえ、その……えっと……」

 

 

言い淀む雪緒の姿を目にし、仁は柔らかく微笑んだ。

 

 

「丁度一人で暇していたところなんだ。こっちにきて老人の話に付き合ってくれないか?」

 

仁なりに気を利かし、そう言いながら隣をぽんぽんと叩き座るよう促す。

その誘導に少し躊躇った後、雪緒はゆっくりと足を動かし仁の隣へ腰かけた。

 

「寒いだろう。これでも羽織っておきなさい」

 

「私は大丈夫ですよ」

 

「いいから羽織りなさい。君に風邪を引かれたら銀次たちにどやされちまう」

 

そう言いながら自身が着ていた羽織を雪緒へ差し出した。

相変わらずの頑固ぶりに雪緒の方が折れ、苦笑しながら「ありがとうございます」と羽織を受け取る。

灰色の布で仕立てられた、人肌の温もりがある羽織に身を包み小さく息を吐いた。

 

「……」

 

「……」

 

どちらも言葉を発さない。

仁はただ微笑みながら再び空を見上げ、雪緒は困ったように眉を顰め仁をちらちらと見ていた。

雪緒の視線に堪らず「ふっ」と息を洩らす。

 

「そんなに見つめられたらこの老人の体に穴が空いちまうぞ」

 

「あっ、すみません……」

 

「別に構わんさ」

 

クスクスと笑った後、微笑みを携えたまま庭の方へ顔を向ける。

 

「お前さん、儂に何か話したいことがあるんだろう」

 

「……」

 

「最近ゆっくり話すことができなかったからな。気づいてやれずすまん」

 

「いえ……」

 

「またこの後も動かなきゃならんくてな。話すなら、今日はこの時間しか取れない」

 

「…………」

 

「話してみなさい」

 

柔らかい声音で話を切り出す。

仁の言葉に雪緒は拳に力を入れ、やがて意を決したように口を開く。

 

「藤崎さんには、感謝しています。裏社会の事について私に知られないよう気を遣っていただいて……おかげで、あの日から嘘のように穏やかな日々を過ごせています」

 

「……」

 

「銀さんや吉田さん達もよくしてもらっていると聞きました。――本来私達にここまでする義理はないはずの貴方に、こうしている今も救われています。生き残った鷲峰組全員が、こうして無事にいられるのは貴方のおかげに外なりません」

 

 

まるで自身でその言葉を噛みしめるように、ゆっくりと言葉を紡いでいく。

 

 

 

「でも……それでもやっぱり、私は皆さんの事が、心配です」

 

「……」

 

「私がこうして平和に過ごしている間、いつか貴方たちが香砂会へ襲撃をかけ……もし、大怪我を負っていたら? もし、もう二度と戻らなくなったら? そう考えると、どうしようもなく不安なんです」

 

「……」

 

「何も知らないまま、ただ平穏に過ごすなんて嫌なんです」

 

寒さのせいか。はたまた緊張のせいか。或いはその両方か。

その声音はほんの少し震えていた。

 

仁は横目で雪緒の不安そうな表情を一瞥し、黙って続きを待つ。

 

 

 

「せめて、今どういう状況なのかだけでも教えてください」

 

 

 

 

懇願するように仁の方を見据え、はっきりと告げた。

その真っすぐな目をしばらく見つめ、仁は真剣な表情で話し出す。

 

「一度組を継ぐと決めたお前さんの事だ。確かに、気にするなというのは無理な話しだったな」

 

「ごめんなさい、折角気遣ってくれたのに……」

 

「謝らないでくれ。お前さんの気持ちを察してやれなかった儂にも非はある」

 

「……」

 

「詳しいことは教えてやれん。教えてやれることと言えば……今は最後の局面まで来ているってところか」

 

「最後?」

 

 

白い息を短く吐いて、腹を括り仁は話を続ける。

 

 

「――今日、香砂会に仕掛ける」

 

「……そう、ですか。とうとう」

 

いつか来るとは思っていた。

香砂会を潰すために鷲峰組は藤崎組と手を組んだのだ。

今日がその日だということに驚かざるを得なかったが、元々覚悟を決めていたのもありそこまで動揺はしなかった。

 

「といっても、いきなり銃やら刀やら持って突撃する訳じゃない。最初は穏便に、だが最終的には確実に息の根を止める。そのための手札も戦力も揃えたんだ」

 

そう言う仁の目は、覚悟を決めたヤクザ者のそれだった。

あの日、泣き崩れた雪緒に見せた――とてつもなく真っすぐな瞳と同じもの。

 

 

「無傷ではすまんかもしれん。だが儂も、鷲峰組の奴らも必ず生きて帰ってくる。――約束だ」

 

 

雪緒は告げられた言葉に目を見開き、やがてゆっくりとほんの少し微笑みを浮かべ口を開く。

 

 

 

 

「約束ですよ」

 

 

 

そう言って、右手の小指を差し出した。

仁も微かに笑みを浮かべ、同じように小指を立て絡ませる。

 

「破ったら針千本、ですよ」

 

「なら、何が何でも帰らねえとな」

 

お互い顔を見合わせ同時にくす、と笑みを漏らす。

 

 

 

――そんな二人は、傍から見れば血の繋がった孫と祖父のようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「――という訳で、こいつらの面倒は儂が見る。ロシア人の方も好きにさせないようこっちで動く。これで文句ねえだろ」

 

「勝手なことされちゃ困るぜ、藤崎さんよ。鷲峰組は香砂会(うち)の傘下。面倒を見るのはうちの仕事だ」

 

陽も高く昇り、雲の隙間から暖かい日差しが差している頃。

藤崎邸に負けず劣らずの大きな日本家屋――香砂会本邸では香砂会会長、香砂政巳と藤崎仁が対面していた。

 

二人はそれぞれ何らかの理由によりお互いを毛嫌いしており、元より仲は良くない方ではあった。

だが、その仲をより険悪なものへと変貌させた決定的な出来事があった。

 

それは、数年前の関東和平会の総会。

鷲峰龍三が亡くなり鷲峰組をどうするかの話の場で、当時鷲峰組を陥れようと次期組長を直系のみしか認めなかった香砂政巳と、堅気を巻き込むことを禁忌とする仁はお互いの意見のすれ違いで長い間対立していた。

そんな二人が相容れるはずがなく、現在もその仲の険悪さは健在である。

 

――犬猿の仲である二人が醸し出す雰囲気は、極寒と呼ぶに相応しい冷たさと針で刺されるかの様な鋭さを纏っている。

お陰で、仁に着いてきた銀次、吉田、佐伯。香砂の後ろに立っている香砂会組員、両角は指一本動かせない状態になっていた。

 

「勝手、なあ……それをお前が言うのか」

 

「なに?」

 

「自分の利益のためだけに堅気の女の子をこっちの世界に巻き込んだ。勝手な事をしてきたのはお前の方だろうが」

 

「まだそれを根に持ってんですか。“そんなもん”今蒸し返す話じゃねえでしょう」

 

「――そんなもん、だと?」

 

瞬間、仁の声音が更に冷徹なものへと変わる。

殺されそうな程鋭い目線で射貫かれ、大組織である香砂会会長でさえも一瞬息が止まった。

 

「儂の前でもう一度その言葉を吐いてみろ。二度とその口利けねえようにしてやる」

 

「……まあ、ここでその話をする必要も理由もない。今は先の話をしましょうや、藤崎さん」

 

流石にこれ以上怒りの琴線に触れるのはまずいと思ったのか話題を切り替える。

目を伏せ、小さく息を吐いてほんの仁の目線から少し鋭さが無くなった。

 

「さっきも言ったように、鷲峰組はうちの傘下。こいつらをどうするかはこっちが決めさせてもらう」

 

「お前が儂より先に露助の事を何とかしていたらそれでもよかったさ。だが、東京で常に大手を振って歩いてる割には肝心な時は速やかに動けず、自分の縄張りもロクに守れない。そんな奴に任せるのはあんまりだろう」

 

「…………あんたもこっちと同じ状況になりゃそんな口叩けねえと思いますがね」

 

「一緒にすんじゃねえよ。儂がどれほど外のモンについて気を張らせてると思ってんだ。それだけじゃない、自分の縄張り(シマ)でどっかの馬鹿がヤクまき散らさねえよう常に動いてんだ。――いつ血を浴びせられるか分からないのがこの世界。どんな些細な変化だろうと気を巡らせ、動くのが常識だ。多くの組員達が路頭に迷わないようせめてそうするのが組長の義務だろう。んなことも分からねえ若造が舐めた口叩くな」

 

「ありがたいご高説をどうも。だが、いくらあんたでも親と子の関係に口を出すのは許されねえ。うちが鷲峰の親である限りこれだけは譲れないな」

 

「……そうか、じゃあ聞かせてもらおう。鷲峰組(こいつら)をどうするつもりなのか」

 

頑なな香砂の姿勢に、ひとまず話を聞こうと問いを投げかける。

香砂政巳はそこで初めて少し口の端を上げ話し始めた。

 

「結論から言わせてもらえば、鷲峰組は解体させる。親であるうちに喧嘩吹っ掛けた上、あんたに火の粉をかかせようとしたその罪は重い。たかが一人の命を賭けたからといって、それはけじめの内には入らねえ」

 

「解体した後は」

 

「全員東京を出て行くか、首を括ってもらう」

 

「成程、お前にしては賢明だな。そうでもしなけりゃまた同じことをやらかそうとするヤツが現れる」

 

「やるからには徹底的にだ。それが極道ってもんでしょう」

 

 

 

お前が極道を語るなクソガキ。

 

 

 

瞬時にそう口をついて出そうになったが、何とか堪えすぐさま思考を切り替える。

 

少しの間考え込むように黙り、顎鬚をなぞる。

やがて、何を言うか決めたらしく仁は再び口を開く。

 

「解体はまあしょうがない。お前がそれで納得するなら別にいいだろうさ」

 

「じゃあ、後はこっちに任せ」

 

「もう一つ聞かせろ。解体させた後、鷲峰雪緒……龍三の娘のことはどうするんだ」

 

「それはあんたが引き取るつもりなんじゃないんですか? あの娘をどっかに匿ってんでしょう」

 

一体どこでその情報を仕入れてきたのか。

仁は一瞬気にはなったが、とりあえず話を進めることに専念する。

 

「儂が引き取るつもりはない、と言ったら?」

 

「娘はもう十六だ。だったら仕事して一人で暮らすってのもできなくはない。それに、女なんだったら運が良ければ嫁に貰ってくれる奴がいるかもしれないしな」

 

「……まだ高校生だぞ。そんなんじゃ確実に路頭に迷う」

 

「知りませんね。そいつらが蒔いた種だ。そこまで面倒をみる義理はない」

 

平然と言ってのけた香砂にこれまで以上の殺意を抱いた。

しかし、それは仁だけではない。

後ろに控えている吉田と銀次は今にも殴ってしまいそうな面持ちを携えている。

特に銀次は雪緒を傍で見てきたせいか、より一層瞳には怒りが込められる。

 

そんな二人が行動を起こしていないのは、仁から予め“何を言ってこようと絶対に動くな”と言われているからである。

このどうしようもない怒りをぶつけるのは今ではないと、辛うじて保っている理性でなんとか気持ちを押し殺す。

 

 

「お前の言い分は分かった。ならこっからは儂の言う事を聞いてもらおう」

 

 

仁も湧き上がる殺意をぐっと抑え、できるだけ冷静に言葉を紡ぐ。

 

 

「以前香砂会が中国人に縄張りを荒され崩れかけた所に助け舟を出した時の事、覚えてるか」

 

「……勿論、忘れる訳ないでしょう。それがなんですかい」

 

「その時の借りを今ここで返しちゃくれねえか」

 

「というと?」

 

「鷲峰組解体後、組員達は全員儂の組に加わってもらう。それを何も言わず認めろ。それであん時の借りはチャラだ」

 

香砂は思わず顔を引き攣らせた。

次第に眉を寄せ、不機嫌さを隠すことなく声音に乗せる。

 

「あれは前組長の時の話だ。俺には関係ないですね」

 

「お前もそん時若頭だっただろうが」

 

「少なくてもあの時兄貴がしっかりしてりゃ、あそこまで追い込まれることはなかったんだ」

 

「中国人につけ入れられた隙を作ったのはお前だろうが。あん時お前が麻薬の取引でアイツらを騙そうとしたせいで話がこじれた。それをあいつはなんとか自分の組だけで場を納めようと躍起になって動いていた。だというのに、関係ねえなんてよく言えるな」

 

「騙そうとしたわけじゃない、向こうさんがこっちの言い分を無視して行動していたから、少しばかり優位に動こうとしただけだ。――結局、その後俺がここまで香砂を立て直した。俺にはあんたに借りなんてありませんね」

 

悪びれもしない香砂に、仁は怒りを通り越して呆れていた。

尊敬すら覚えるほどのクズ野郎に成り下がっていたとは、流石に仁も思っていなかった。

 

 

 

「そうかそうか……お前の言うことは、よおく分かったよ……」

 

 

 

仁は何の感情も乗っていない声音で呟いた。

 

徐に、傍らに置いていた自分の杖を手に取る。瞬間ミシッ、と音が鳴った。

 

 

「ここまで落ちぶれていたとはな政巳。お前の兄貴も向こうで泣いているだろうよ。自分の弟が糞にも劣るカスに成り下がり、平然と生きていることにな」

 

「あ?」

 

「せめて借りを返す気概があったならまだてめえを五体満足で生かしておいてもよかった」

 

底の冷えた声音で呟かれたその言葉と共に立ち上がり、杖の中に隠されていた刃を抜く。

常に持ち歩いていた仕込み杖から現れた刃は、仁の瞳に負けず劣らずの鋭さ。

 

かつて刃を振るい、常に血を滴らせ“釁の藤”と恐れられた男が刀を抜いた。

 

 

予想だにしていなかった仁の行動に、香砂はここで一番の動揺を見せる。

 

 

「おいおい……! てめえ、一体何のつもりだッ!」

 

「見て分からねえか。そこまで勘が鈍ってるならどの道お前はもう終わりだ」

 

「ふざけんな! てめえ俺を殺そうってのか!? そんなことしたら例えアンタでも和平会は黙ってねえぞ!!」

 

「だろうな。だから事前に話を通してある」

 

「は?」

 

「佐伯」

 

「はい」

 

表情を一切変えることなく不動を貫いていた佐伯は懐から一つの書状を出した。

流れるような手つきで封を開けながら仁の隣へ立つ。

文面を香砂の方へ向け、凛とした声音で告げる。

 

「ここには、関東和平会に名を連ねる貴方以外の親分衆全員の署名があります。内容は、不肖この佐伯秀が拝読させていただきます」

 

何が起きているのか理解できていない香砂を一瞥した後、手元にある書状の内容を読み上げる。

 

「当文書に名を記した者は、香砂会を関東和平会脱退に同意したものとする。署名後、同意の取り消し、香砂会への助力を一切禁ずる―― 一部略しましたが、内容はお分かりになったかと」

 

「……は?」

 

淡々と読み上げられた内容を把握できず、香砂は口を開け呆然した。

理解が追いついていない様子に仁は無表情で冷淡に告げる。

 

「和平会に名を連ねる総勢十六名の親分衆が香砂会を和平会から追い出すってのに同意した。親分衆の過半数以上が認めたものは覆せない。つまり、香砂会はもう和平会に名を連ねていないんだよ」

 

「なに、言ってやがんだ」

 

「とどのつまり、お前をどうしようと和平会は動かない。ここでどんなに惨めな殺され方をしても“和平会の者じゃない人間”のことなんざどうでもいいんだよ」

 

あまりにも唐突の事で香砂は頭が真っ白になる。

だが組長としての意地なのかそれでもなんとか言葉を続ける。

 

「そ、そんなもん無効に決まってる! 第一うちを追い出してメリットなんざ何もねえ! 上納金もウチが一番多いんだ! そう簡単に親分衆が認める訳がッ」

 

「儂がお前を終わらせるためにどれだけの時間をかけたと思ってんだ。まさか、一年やそこらで全員に署名させられるわけねえだろ」

 

はっ、と鼻で笑い、哀れむような目を向ける。

香砂は目を見開き、微かに声を震わせた。

 

「一体、いつから」

 

「お前が組長になって権力振りかざすようになってからだな。そん時から潰したくてたまらなかったよ。ここまで来るのに本当に長かった……これに関しちゃ佐伯に一番苦労をかけたな」

 

「署名のお願いをした時、二橋の親分に殺されかけたこともありましたね」

 

懐かしい、と佐伯はほんの少し口の端を上げた。

香砂は事の重大さを改めて感じ、焦燥の色を浮かべ声を出す。

 

「冗談じゃねえ! こんなこと認められるか!」

 

「お前に認める認めないの権利なんざねえよ」

 

「うるせえ老いぼれがッ! 下手に出てりゃいい気になりやがってッ!!」

 

「そりゃこっちの台詞だクソガキ」

 

感情を昂らせる香砂とは対照的に仁はただ淡々と言葉を交わす。

やがて、仁は底の暗い瞳を見せながらゆっくりと香砂の方へ歩み始める。

 

明らかな殺意を纏わせ、近づいていく。

 

香砂は仁が本気だと分かると、勢いよく立ち上がり懐に入れていた銃に手を伸ばし銃口を向ける。

 

 

「それ以上こっちに近寄るなクソ爺ィ!」

 

 

だがそれでも仁の歩みは止まることはない。

我を忘れて引き金に指をかけようとした瞬間、仁は老人とは思えない速さで距離を詰める。

 

発砲される一瞬前に体を少し横に逸らし、勢いよく香砂の手首へ刃を切り込む。

銃を握った形のまま右手は腕を離れ血飛沫と共に宙を舞う。

 

「が、ああああああ……ッ!」

 

右腕を抑え、蹲りながら呻き声を上げる香砂を見下ろしながら刀についた血を振るい落す。

 

「親父ッ! てめえよくも……!」

 

狼狽えていた両角が親を切られ怒りを露にし、彼も腰から自前の銃を抜きすぐさま仁へと向ける。

刹那、佐伯も勢いよく駆け出し、一瞬で両角の前に移動した。

そのまま流れるように顎を殴り、意識を飛ばした後銃をはたき落とし首を掴み床に叩きつけた。

 

「銀、吉田。どっちかこいつ抑えるの手伝ってくれ。俺一人じゃ力負けしちまうかもしれねえ」

 

「佐伯さん、あっしが」

 

「頼む銀。吉田は外見張ってろ」

 

「へ、へい分かりやした」

 

二人はすぐさま立ち上がり、指示された通り動き始めた。

 

そんな中、仁は蹲る香砂の髪を掴み顔を上げさせる。

苦痛を感じながらも香砂は仁を鋭い目線で睨みつけた。

苦し紛れの抵抗なのか、残っている手で仁の手首を掴み返す。

 

「こんなことしてタダで済むと思うなよッ……!」

 

「負け犬の遠吠えだな。お前とはもう口をききたくない」

 

そう言うと、仁は刀の切っ先を香砂の口へと向ける。

そのまま紙を割くようにいとも簡単に口の端から奥まで切り込んだ。

 

 

「が、あッ!」

 

 

呻き声を上げる様を無表情で見つめながら、反対側にも同じように切り込みを入れていく。

口からは大量の血が流れ、ボタボタと床に赤い滴が落ちる。

 

「今頃、香砂会系列の事務所には元鷲峰と儂の組員が襲撃してるはずだ。降参する者は生かし、抵抗する者は容赦なく殺す。一体何人生き残るだろうな?」

 

「はがッあ……!」

 

「喋ろうとするな、着物に血が付く。――本来ならここで殺してやりたいとこだが、生憎約束があるんでな。非常に残念だが生かす必要がある」

 

仁はそう言いながら香砂の太ももへ刃を突き立てる。

 

「あ、がッ!」

 

「逃げられちゃ困るからな」

 

「ぐぞ……ッ、いづがぜっだい、ごろじでやる……!」

 

太ももに深く刃が突き刺さっているにもかかわらず恨み言を忘れない香砂の様子に、哀れみの目を向けながら鼻で笑った。

 

すると、廊下から何やらドタドタと慌ただしい足音が近づいてくる。

外を見ていた吉田は現れた見知った顔を、そのまま部屋に通す。

 

姿を見せたのは、屋敷で香砂会組員を抑えるための人員をまとめていた高橋だった。

高橋は仁を目に映すとすぐさま声をかける。

 

「親父、無事で何よりです」

 

「言ったろ? 儂もまだやれるんだよ」

 

「だからといって無理はしないでくださいよ」

 

「分かってる分かってる。……それで、もう来たのか?」

 

「はい、表玄関に豪華な送迎車が到着してます」

 

「流石、仕事が早いな」

 

高橋からの報告を聞いた仁は、ゆっくりと香砂の太ももから刃を引き抜いた。

一人では歩けない香砂を髪の毛を掴んだまま歩き出す。

刀を吉田と渡し、引き摺る様に部屋を出てそのまま廊下を突き進む。

 

その後ろを高橋は無言でついて行く。

 

「どごに、いぐんだ……ッ、はなぜっ」

 

「行けば分かる」

 

短く答え、仁はひたすら香砂を引っ張る。

そのまま家の外へ連れ出し、表玄関までの道を辿る。

 

やがて大きな門の前で立ち止まると、仁は冷徹な声音で香砂へ言葉を投げかける。

 

 

 

「家畜にも劣るお前には、豚箱が一番お似合いだ」

 

 

 

そう呟いたのと同時に、高橋が門の扉を開けた。

 

 

――扉が開いたそこには、武装した大勢の警官が二人を待ち受けるように立っていた。

 

 

「待たせてしまったかな。高槻警部殿」

 

「挨拶はいい藤崎。……にしても、ちょっとやりすぎじゃねえか?」

 

「ちと暴れられて仕方なかった。不可抗力じゃ通らんかね?」

 

「こっちにも書類ってもんがあんだ。仕事増やさないでくれよ」

 

「いいじゃないか、これでお目当てのもんを捕まえられてお前さんも出世できるんだから。――ほら、約束だ。とっとと持っていけ」

 

そう言うと香砂を前に投げ飛ばす。

瞬時に複数の警官が身動きが取れない香砂を抑え、手錠を嵌めた。

 

「サツどもとでをぐんでやがっだのが……!? ごのじじいッ」

 

「早く連れってってくれ。そいつの相手はもう懲り懲りだ」

 

呆れたように吐き捨てると、警官たちは香砂を引き摺る様に護送車へと連れていく。

香砂の姿が見えなくなり、仁は一つ息を吐いた。

 

「高槻、すまんがもう少し儂の我儘に付き合ってくれ」

 

「こっちはあんたに今までの借りがあるからな。だが今回きりだぞ」

 

「分かってる。そう何度も警察と手を組むのは気が引けるからな」

 

「こっちの台詞だよ」

 

普段は敵対している同士ではあるが、今回は特別であった。

仁は香砂会との抗争にしばらく静観を決めてもらう事を条件に、香砂政巳を捕らえる警察の目的を果たさせるという協力関係を結んでいた。

過去に仁のお陰でヤクザ者が引き起こした事件を解決できたのもあり、警察は仁からの申し出を強く断ることができなかった。

 

「いつかお前も捕まえてやるからな。覚悟しとけよ」

 

「おお、怖い怖い」

 

何年も自身を逮捕する機会を窺っている高槻の言葉に、仁はどこか嬉しさも滲ませた精悍な笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

――香砂会と藤崎組の抗争はそう長引くことはなかった。

仁が用意周到に以前から準備していたのと、香砂会を潰すことに心血を注いだ鷲峰組が加わったことにより、広い縄張りを持てど頭を失った組は本気で殺しにかかった彼らの相手ではない。

 

 

一般市民も巻き込むかと思われた抗争は、ヤクザ者以外被害者を出すことなく終結した。

 

 

慌ただしかった空気も今では穏やかな日常へと戻りつつある。

かつて極道のいざこざに巻き込まれた雪緒もそれを実感する日々を送っている。

 

雪が解け、春の訪れを報せる暖かな空気を肌で感じながら、縁側に座り藤崎邸の庭園を眺めていた。

そんな彼女の隣には、誰よりも雪緒の幸せを願った銀次の姿。

 

「もうすぐ春ですね、銀さん」

 

「ええ。すっかり寒さもなくなりましたね」

 

「暖かいですね、本当に」

 

庭の方へ顔を向けたまま、二人は静かに言葉を交わす。

雪緒はほんの少し微笑みながら、話を続ける。

 

「まさか、またこんな平和に暮らせるなんてあの時は正直思ってませんでした」

 

「……これも全て、親っさんのおかげだ。あん人がいなけりゃ、ここまでできなかった。もう一生あの人には頭が上がらない」

 

「そうですね。――藤崎さんに、全てを救われました」

 

結局鷲峰組は、頭のいない組となり存続させる理由がないとして解体となった。

元鷲峰組組員達は現在藤崎組の配下に加わり、仁の元で今も生きている。

 

当初の目的だった組の存続は叶わなかった。

だが、もう二度と再興できないほど徹底的に潰し、これまで味わってきた雪辱を晴らせた。志半ばで息絶えた坂東の仇もこれで果たせただろう。

 

満足のいく結果を迎え、鷲峰組で文句がある者は誰一人いない。

 

「……お嬢。親っさんから言われた、“あの話”はどうなさるんで」

 

銀次は遠慮気味に雪緒へ問いかけた。

その問いに少し苦笑しながら、一つ間を空けて返答する。

 

「藤崎さんはとても信頼できる人です。きっと、私が養子となることを了承したらこれまで以上に守ってくださると思います」

 

「……」

 

「でも、いきなり家族というのは……正直まだ答えが出せません」

 

「……これはお嬢の問題だ。あっしが何か言える立場じゃないのは重々承知です。――ですが、一つだけ言えるのは」

 

 

銀次は一つ深く息を吐き、意を決したように言葉を続ける。

 

 

 

「あの人の傍なら、どんなヤクザ者よりも安心できると思いますよ」

 

 

真っ当な幸せを掴んでもらいたい。

そのためだけにここまで生きてきた。

 

例え自分の傍から離れるとしても、望みが叶うのならそれでいい。

 

雪緒はここで初めて銀次の顔を見据え、柔和な笑みを浮かべる。

 

「幸いなことに考える時間はたっぷりあります。あの人と親子となるかは、もう少し一緒に過ごしてから決めようと思います」

 

「……ええ、そうですね。それがいい」

 

そう、彼女には時間がある。

自分の行く末を、とっくりと考える時間が。

その事実がどうしようもなく銀次の胸を熱くさせた。

 

雪緒ははっ、と右手の腕時計に目を映し、すぐさま腰を上げた。

 

「銀さん、私そろそろ」

 

「……ああ、もうそんな時間で」

 

「復学初日から遅刻はまずいですもの。もう行かなくちゃ」

 

久々に身を包んだ制服をチェックし、よしと意気込み足を動かす。

 

振り返り、銀次の顔を見据え口を開く。

 

 

 

「じゃあ銀次さん、行ってきます」

 

 

 

挨拶を告げた雪緒の顔は、とても穏やかで柔らかな笑み。

そこにいたのは、もう二度と見られないと思っていた“堅気”そのものである本来の彼女。

 

その姿を目にし、ほんの少し震えた声音で言葉を返す。

 

「行ってらっしゃい、お嬢」

 

できるだけ笑顔を努めそう言うと、雪緒は笑顔でその場から去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

――残された銀次は、人知れず一筋の涙を流した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よう、遅くなってすまなかったな」

 

東京の中心街から少し離れた場所に位置する大きな墓地。

多く並ぶ一つの墓石の前に、日本酒とおちょこの入った紙袋を下げ、杖をついた藤崎仁が立っていた。

その後ろには、色鮮やかな花束を抱えた佐伯が着いてきている。

 

ヤクザ者の頂点と名高い男とは思えない程、穏やかで柔らかい表情と声音で墓石に話しかけた。

 

 

その墓石には“重富春太之墓”と刻まれている。

 

 

 

数年前にあの世へ旅立った親友の墓参りを仁は毎月欠かさず行っているのだ。

 

 

佐伯がバケツに汲んできた水を仁がゆっくりと暮石へかけ、一切の汚れを許さないようにスポンジで丁寧に磨いていく。

親分のその様を目の端で捉えながら、佐伯はてきぱきと花瓶に入っている水と花を新しいものへ入れ替える。

 

軽く周辺を箒で掃き綺麗になったところで火を点けた線香をあげ、二人は目を瞑り同じ時間合掌する。

 

しばらくし目を開け、仁は佐伯に声をかけた。

 

「手伝ってくれてありがとな、佐伯」

 

「いえ」

 

「すまんが、二人きりにしてくれ」

 

「はい。車で待ってます」

 

淡々と言葉を交わし、佐伯は仁の言う通りに足を動かしその場を去った。

 

一人残された仁は、持ってきた日本酒を二つのおちょこへ注ぐ。

一つは自分に。もう一つは唯一無二の親友へ。

 

墓石の前へ置き、軽くおちょこをぶつけた。

 

静かに酒へ口をつけ、喉に通す。

 

 

やがて仁は徐に口を開き、墓石へと語りかける。

 

 

「ここ数か月ちいとばかし忙しくってよ、来るのが遅くなっちまった。……色々あった。極道の恥だったクソ野郎のせいで、堅気の女の子がこっちの世界に巻き込まれちまったんだ。その子を放っておくことができなくて、養子にならねえかって提案した。“俺”らしくねえよな」

 

 

 

穏やかな口調で話すその表情は、どこか寂しさの色が滲んでいる。

 

 

 

「守るものが増えた。だからまだそっちへはいけねえ。もう少しだけ待っててくれよ、ハル」

 

 

 

親友の名を口にし、再び酒を飲む。

一つ息を吐き、今度は固い声音で言葉を発する。

 

 

 

「この前、話を聞いたんだ。……お前の家族がよ、あの街でまだ生きてるんだって。お前から受け継いだものを糧として、無頼者の街で洋裁屋を営んでるんだと」

 

 

 

おちょこの中にある透明な清酒を見つめながら、話を続ける。

 

 

 

「“キキョウ”って名乗ってるそうだ。お前があの子に似合うって言ってた花を名前にしてる。あの子のためにお前が考えたこの印も使ってるらしいぞ」

 

 

 

懐からハンカチを取り出し、懐かしむように指で撫でた。

 

 

 

「俺は、さ……正直もう死んでるもんだと思ってた。せめて最後くらい父親に縛られず、自由に生きて死んでもらおうと思っただけなんだ……それがまさか、これほど功を奏するとはな」

 

自嘲するような笑みを浮かべ、ハンカチを持つ手の力を少し強めた。

 

 

同時に、仁は親友と最後の会話を思い出す。

 

当時の親友は、病のせいでやつれた顔とやせ細った体という変わり果てた姿と化していた。

それでも、彼自身の優しさを表している柔らかな微笑みだけは変わらない。

 

 

 

その微笑みを携えながら、親友は話を切り出した。

 

 

 

『――あの子に作ってもらったカーディガン、本当に着心地が良いんだ。仁も作ってもらいなよ』

 

『お前、貰ってから何回おんなじこと言うんだ。もう十回は聞いたぞ』

 

『そうだっけ? でも本当に着心地が良いんだ。自慢の教え子だよ』

 

『……そうか』

 

『僕は本当に幸せ者だ。――なあ仁』

 

『なんだ』

 

『親友の君に、あの子の育ての親として聞いてほしい頼みがある』

 

『……言ってみろ』

 

『あの男を、もう二度とあの子に会わせないでほしい』

 

『…………』

 

『やっと、笑えるようになったんだ。最初に会った時も、服作りを見せてほしいって頼んできた時も、ものすごく震えてたんだ。まるで何かに怯えるみたいに。……あんな男が父親じゃ、笑うことも、我儘を言うこともできないはずだよ。そんなあの子が、服を作ってる時はとても生き生きしてるんだ。腕が上達してくごとに、どんどん自信がついて……少しづつ笑えるようになったと思ったら目の前で“あんなこと”が起きて、また心を閉ざして……でもね、このカーディガンを渡してくれた時、今までで一番の笑顔で、“育ててくれて、ありがとうございました”って……“幸せだ”って……!』

 

『分かった、分かったよハル。よく、分かったから』

 

『だから、頼む。もうあの子は、あいつに振り回されちゃいけないんだ。だから……』

 

『分かった。必ず、お前の“家族”に、あの男は近づけさせない。約束だ、ハル』

 

『ありがとう、仁――――』

 

 

 

普段滅多に取り乱すことのない親友が、最期に見せた辛そうな表情。

今にも死にそうな体で必死に懇願してきた。

 

結局、たった一人の親友が命尽きる瞬間まで想っていた家族を“あの男”から守ることができず、裏社会が根付いている街へ逃がすことになってしまった。

 

 

 

 

「お前はどう思う。あんな危なっかしい街にたった一人の家族を放り込んだ俺を……最後の約束さえ守れなかった俺を、甘いお前でも許さねえか?」

 

 

 

 

仁は悲し気な表情で、答えが返ってくるはずのない墓石へと問いかけた。

 

刹那、一つの風が吹いた。

咄嗟に目を瞑ると、ふと脳裏に蘇る。

 

 

 

 

『馬鹿だなあ、仁』

 

 

 

 

かつて、ヤクザ者の立場から何度も迷惑をかけ、その度に謝る自身に毎回あの柔らかな微笑みで返してくれた言葉。

 

寂しそうな、呆れたような。はたまたどこか嬉しそうな。

仁は様々な色が入り混じった表情を浮かべ、おちょこに残った酒を飲みほした。

 

 

「また来るよ、ハル」

 

ただ一言最後に告げ、颯爽とその場から足を動かす。

 

 

 

 

――春を告げる暖かな風が、墓石の前の酒を少し揺らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――なあ」

 

「なんですか?」

 

「キキョウってのは、誠実、気品って花言葉があるそうだぞ」

 

「それが何か」

 

「いや、随分お前らしいと思ってな」

 

「……名前負けしてると思いますけどね」

 

「お前以上にこの花言葉が似合う人間はこの街にいないさ。誰につけてもらったんだ? それとも自分で?」

 

「……師から“これが似合うよ”と言われたので、この街で新たな人生を歩むのに使わせてもらっただけです」

 

「ほう。ということは、本名じゃねえってことか。俺はそろそろ、お前の本当の名前を知りたいね」

 

「……内緒です」

 

「どうしてもか?」

 

「キキョウじゃ不満ですか」

 

「いや? ただ、お前の事は何でも知りたいと思ってるだけだ」

 

「…………」

 

「照れてるのか?」

 

「照れてません」

 

「はは。まあ、教えてくれるまで待つとするさ」

 

日本から離れた異国の地――ロアナプラで張とキキョウがそんな会話を繰り広げている。

キキョウは張のからかうような口調を受け流しながら、一つの言葉が頭をよぎっていた。

 

 

『“ ”ちゃんにはこの花が似合うよ。凛としててとても綺麗だから』

 

 

 

張の「飲み足りないだろ」という声にすぐさま脳裏から言葉を消し、いつものように酒を堪能する。

 

 

 

――そんな彼女の過去に触れた一人の男が街に帰ってくる。

 

 

 

 

彼の帰還は彼女にどんな影響をもたらすのかは、神以外誰も分からない。










日本編、これにて終話です。

実は双子編よりも日本編の終わり方に衝撃を受けました。
双子は場所がロアナプラっていうのもありああいう結末になるのはまだ納得できたのですが、誰も死ぬことを望んでなかった雪緒が最後に自害するという結末が衝撃過ぎて「えっ」て声に出てました。

日本編をどうしようか考えた時に原作で銀次が言っていた「誰かが許してくれるなら」という言葉を思い出して、仁というなんとかできそうなキャラを登場させました。

少なからず犠牲を出したものの、雪緒や銀次にとって最良の結末なのかな? と思っております。




ここからは、再びキキョウさんのロアナプラでの生活に戻ります。
キキョウさんが過去に何をやらかしたのか、次回で分かります。
今まで過去に何があったのか、なんとなく察しがついている方もいるかと思いますが、いつものように温かい目で見守ってくれると幸いです。
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