──陽が沈み、夕焼けの色が空にまだほんの少し滲んでいる頃。
ロック達はロベルタの情報をリロイから聞き出し、手練れな殺し屋──シェンホアとたまたま彼女の家に居合わせ、暇だったので着いてきたソーヤーとロットンをガルシア家の費用で雇い、猟犬がいるであろう場所へと驚くほどスムーズに行きついた。
だが時すでに遅く、多くの銃撃音が鳴り響いていた。
それが件の米軍とロベルタの交戦が始まった合図であることは誰もが一瞬で理解した。
ガルシア達はロベルタを止めるべく、銃撃戦の渦中である建物へと入っていった。
──残されたロックはただ一人、車の中で事が終わるのを待っている。
煙草を取り出し、火を点け眉間に皺を寄せながら煙を吐く。
彼にできるのは、外で響き渡る銃声を静かな車中で聞きながらひたすらに待つことだけ。
彼が
なぜならすでに、手元にあった手札は使い切ったのだから。
肺に残った煙をすべて吐き出し、半分以上が灰と化した煙草を灰皿へ押し付けたのと同時に、携帯の着信音が鳴り響く。
今、この時に連絡を寄越す人物に心当たりはなく、ズボンのポケットから取り出し見知らぬ番号からの着信に応じようと耳に当てる。
『俺だ。ちと間に合わなかったみたいだな、ロック』
聞こえてきたその声の主が誰なのか、名を聞かずともすぐさま理解する。
自身の計算に入ってなかったタイミング、かつ相手からの電話にロックは眉根を寄せた。
『残念だが賭けはここで終了だ。事後は俺たちが引き取る。お前は店を畳め』
有無を言わさないような口調に携帯を持つ手に力が入る。
「…………張さん、まだ幕は引いてませんよ」
眉根を寄せたまま、固い口調で告げる。
「だから、舞台袖から降りるわけにはいかない。役者はまだ残ってる、あの子もメイドも。──だから……」
まだ、終わらせるわけにはいかない。
そう発するのが憚られてしまい言葉が詰まる。
高層ビルの屋上で優雅に街を見下ろしているであろう相手は、ロックの言葉に一つ息を吐いた。
『だから、なんだ?』
淡々と発せられた短い一言に、思わず目を見開いた。
『ロック、俺がこの世で一等嫌いなことは偽善だ。それは悪事よりも質が悪い。相手だけでなく、己自身すら欺く毒だ。匂いは薔薇の香りでも、糞である事実は隠せない。──ラブレスの若当主や女中は、ただの駒にしか過ぎない。俺にとっても、お前にとっても』
突きつけられる言葉の羅列に、無意識に更に手に力が入る。
このまま携帯を捨ててしまいたい衝動に駆られる。
『お前は王手が打てるといい、俺はそれにオッズを張った。それで十分じゃないか。──だが状況は俺たちに些か不利に働き、別の一手を講じることになった。そうなった以上、彼や彼女の何を憂う必要が?』
ガルシアやメイドがどうなろうと知ったことではない。
彼らが必要なくなったから切り捨てる。ただそれだけ。
淡々と言い放った張に対し、侮蔑の感情にも似た怒りが湧き上がる。
マフィアだとしても、ほんの少しの欠片程度は情があるものと思っていた。
悪徳の都で凛と生きている彼女が認めた男ならと、そんなほんの少しの期待があった。
だが、この短い時間でそれらすべてが打ち砕かれた。
彼を勘違いしていた自分と、自分が焦がれてやまない一人の女を縛り付けているのがこの男である事実に、怒りとは別にどうしようもない吐き気もこみ上げてくる。
「──Mr.張。俺は誤解してた。あんたは、ひとでなしのクソ野郎だ……ッ」
隠すことなく、苛立ちを声音に乗せ告げる。
自身の感情を止める術は、今のロックに持ち合わせてはいなかった。
『ハッハッハッハ! いいぞ! そんなセリフを投げる奴は久しくいなかったな!』
「なんで……なんであんたみたいな奴が……!」
感情を露にする自身を嘲笑うかのように響く高らかな笑い声が、更にロックの苛立ちを募らせた。
ひとしきり笑った後、張は冷静な口調で言葉を投げかける。
『さっきも言ったはずだ、偽善は己を欺く毒だと。俺はお前よりはるかに正義ってもんを知っている。お前のそれが、本当に善意なのかよく考えてみることだな』
「……あんたは
苛立ちを隠さないロックの問いに、張は優雅に
『どうして語れる? その理由を知りたいか。──今お前と話をしてる男は、その昔法の番人だったから、だよ』
返ってきた答えに、ロックは思わず目を見開いた。
『別に大した話じゃない。この街には
「そんな、ことは」
『違わない。お前が今無性に苛立っている本当の理由は──血も涙もない、人を人と思わないマフィアに女を取られていることにある。結局お前も、ただの男に過ぎないってことだ』
否定しようにも言葉が出てこない。
ロックは思わず口を噤む。
『今回の件をこなせば認められると勘違いしたんだろうが、アイツはそんな簡単じゃない』
「……あんただって、彼女のすべてを支配できてるわけじゃない。彼女は、あんたのものじゃない」
『俺のもんさ。あの腕も、身も心も、命さえな」
当然と言わんばかりに言い放つ様に、思わず窓ガラスを殴る。
そうして一つ息を吐き、ほんの少し冷静さを取り戻す。
「──あんたが、彼女の何を知ってるっていうんだ」
絞り出すように、固い声音で語る。
「彼女がどんな思いでこの街に来たのか……どれだけアンタに信頼を寄せてるか。あんたは道具のように彼女を利用し、いざとなれば簡単に切り捨てる。そんな男に縛られていい人じゃない」
『やれやれ、よほどぞっこんらしい。俺相手によくそこまで言えるもんだ。まったく大した野郎だよ。──ま、俺は優しいからな。同じ女に入れ込んでる男として一つ教えてやる』
電話の向こうで息を吐く音が聞こえる。
余裕さを感じさせる声に拳を握ったまま耳を傾ける。
『アイツはお前の手に余る。飲み込まれちまったら最後、こっちが先に地獄を見る羽目になる。だからアイツのことは俺に全部任せて、別の女に入れ込んだ方が身のためだ。──ああいう女は、誰かが手綱を握らなきゃならん。だが、それはお前じゃない』
「…………手綱を握らせる相手を決めるのはあんたじゃない」
『本人が俺をご指名したんだ。お前がこの街に来る何年も前にな』
日本で得られなかった自由を得るために、この街へ流れ着いた彼女が命を預けている。
それがどんな意味を持つのか分かっているからこそ、言い返す言葉を持ち合わせていなかった。
『ま、どうしても諦められねえってんなら好きにしろ。あくまでも、
そこまで言い終えると、一方的に通話が切れた。
「──言われなくても最後まで足掻いてやるさ。彼らの退場を決めるのはアンタじゃないぞ、張」
ツーツー、と通話が切れた音を聞きながら、ロックは小さく呟いた。
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「──郭、
「彪が今通達を取っています。じき報告があるかと」
社長室とは別の位置にある屋外プール。
水着に着替え、バスローブを羽織っている格好でデッキチェアに腰かけている兄貴分へ近寄りながら、郭は淡々と答えた。
張がサイドテーブルの上にある煙草に手を伸ばしたのを見て、ジャケットの内ポケットからすぐさまライターを取り出し、咥えるのと同時に煙草の先端へ火を点す。
「それにしても、まさかロックがあそこまでムキになるとはな。アイツの天然たらしには困ったもんだ」
「……忠告したにも関わらずまだキキョウに?」
「ああ、嫌われたのがよほど癪だったらしい。この期に及んで、まだ振り向かせようと足掻いてやがる」
見苦しいったらねえなあ、と張は楽しんでるような軽快な声音で呟いた。
「大哥、なぜあの男を生かしておくんです? これまでの行動を考えれば、始末しても問題ないかと思いますが」
これまで、キキョウに
見せしめとしてなのか、はたまた別の思惑か。
何であれ、キキョウに手出しした人間は始末されるというのがこの街の常識となっていた。
それが、何の力も持たないただの洋裁屋が今も五体満足でいられる要因の一つでもある。
──だが、今回は彼女に
これまでとは異なる張の意思を、三合会の組員が気にならない訳もなかった。
「あれからキキョウとそこまで関わってなかったのもあるが──なあ、郭。お前から見てロックはどんな男だ」
「……銃も扱えない非力な男です。この街では珍しく、情に弱いようにも見受けられます」
唐突の問いに内心驚きながらも、表情に出すことなく答える。
「確かにあいつは善人の皮を上手く被ってる。だが、ああいう奴ほど化けるのさ。自分の利益のためならなんだって利用する。それこそ相手を顧みずにな。今だってたかが女一人を振り向かせるためだけにこの状況を、ラブレス家を利用してる」
「……」
「そんな面白い奴を殺すのは惜しい。新しい大悪党が目覚める瞬間を見届けるのも、悪くはないだろう」
愉しげに口元に弧を描く様に、郭は自分たち悪党を束ねる男の末恐ろしさを改めて感じた。
「あー、ただキキョウがロックに入れ込むってんなら話は別だ。ま、そんな心配はないだろうが」
「当然です。大哥以外にキキョウを落とせる男はいないでしょうから」
「はっ、なら早く落ちてほしいもんだがなあ」
キキョウが他の男に言い寄られても張が余裕なのは、彼女が張以上に信頼を寄せ、体を許した男がいないからだ。
粋すぎるほどのダンディズムさを兼ね備えた伊達男でさえ抱くまでに何年もかかったガードの固い女を、この街に来てたかが一年経った程度の男が振り向かせられるわけがない。
揺るぎようのない事実に郭は張にバレない程度に口端を上げ、一瞬頭によぎった『邪魔者を始末する』という考えを捨てた。
ティアドロップのサングラスをサイドテーブルに置き、羽織っていたバスローブを郭へ渡すと、張は軽い足取りでプールへと向かっていった。
水しぶきの音を聞きながら、郭はタオルを取りにプールを後にする。
一人になった張はやがて泳ぐのをやめ、濡れた黒髪をかきあげ空を仰ぐ。
空に浮かぶ満月の下では、今も銃撃の音が激しく鳴り響いている。
──そんな喧噪から離れた場所で響いたもう一つの音。
音の発信源である携帯を一瞥し、水の中を歩いて行った。
――――――――――――――――――――――――――――
ロベルタと米軍が銃撃戦を繰り広げてから数時間後。
朝日はいつものように燦燦と輝き始める。
日差しが照りつける河川の上を、ラグーン号が静かに走っていた。
昨晩、
だが、今回の客は彼らだけではない。
この先で落ち合うのは、今回の騒動の中心である米軍部隊。
どのような経緯で、どんな手段を用いたのか誰も分からないが、ロックが単独でお膳立てしたことで、最後の最後にラグーン商会は張から
緊張感が漂う船の密室では、ガルシアが一人神妙な面持ちで座っている。
そんな彼に近寄る影が一つ。
「──ガルシア君」
淡々とした声音で呼びかけられ、ガルシアは目の前に立っている男を見上げた。
「顔が変わりましたね」
「ここからは素顔じゃ話せないからね」
ガルシアの目に入ったのは、口元は歪み、瞳には一切の光が入っていない顔。
その表情は、まるで何かを愉しんでるかのような。
「今から彼らが乗り合わせる。今度こそ決着をつけざるを得ない。――そこで君の出番だ。君にしかできないことがある」
「……だから、僕に電話をくれた。そうでしょう、セニョール・ロック」
「そうだ。これ以上誰も死なせない。あの街で片をつけられなかったが、君も彼女もまだ生きてる。なら、まだ終わってない。──次こそ外さない。君が黄金のカギだ」
歪な顔で話すロックに、ガルシアは思わず拳を握った。
米軍との待ち合わせ場所に着き、停泊しているラグーン号の甲板で潮風を浴びながらレヴィは錨を上げていた。
ロベルタを追っている最中に負ってしまった両腕の銃創の痛みをひしひしと感じながら、錨を上げ終わると煙草を取り出し火を点ける。
壁にもたれかかり、煙を吐き出しているレヴィの傍らでは、ファビオラが神妙な面持ちで立っていた。
しばらくの間の後、やがて耐えかねたように、ファビオラがおずおずとレヴィの方へ顔を向ける。
「ねえ、アンタ。……アンタはどう思ってるの」
「何がだ」
「セニョール・ロックのことよ。彼が何を考えてるのか分からない。今若様とどんな話をしてるか……」
「さあな。なんであろうと決着は必ずつくぜ。オメエの若様に今更何ができるのか知ったことじゃねえが、あのボケは
ファビオラが不安となっているのは、ロックが歪んだ表情でガルシアと話している様子を見たことにある。
今まで見たことないロックの表情に得体の知れない不安感を募らせていた。
そんなファビオラの心中を知るはずもないレヴィは、暗い海上を眺めている。
「随分信頼してるのね、彼のこと」
「アイツは土壇場ででかい一発をぶちかますのさ。今回は特に気合が入ってるみたいだからな。必ず何かやってくれるさ」
淡々と言い放つ様に、ファビオラは思わず怪訝な表情を浮かべる。
「彼は若様のことをそこまで?」
「さあ? だが、アイツは多分……」
言いかけて、レヴィはそこから先の言葉を出すのをやめた。
ごまかすように代わりの言葉を返す。
「何にせよ、ロックは必ず何かをやらかす。ここまで来たら腹を括るしかねえ。どんな結果になろうと、次が最後だ」
煙を吐き、遠くを見つめるレヴィの横顔を見やり、ファビオラも同じ方向へ目を向ける。
「……分かってるよ。若様は変わったんだ。今の彼なら必ず婦長様を連れ戻せる」
「そうかい」
これから起こる最後の舞踏に思いを馳せながら、ファビオラは固い声音でそう告げるとガルシアの元へ向かうべくその場から離れる。
──すぐ近くでは、米軍の声が飛び交っていた。
――――――――――――――――――――――――――――
「──若様と何を話してたの」
「これからの事さ」
「具体的に話して。若様に何を吹き込んだの」
「ひどい言い草だな。……ガルシア君はどこに?」
「さっき
「──なるほど、そう来たか。上手くいけば……」
ロックはファビオラに聞こえないほど小さく何かを呟きながら、煙草を取り出し火を点す。
やがて考えがまとまったのか、怪訝な表情を浮かべるファビオラへ一歩近づき顔を見据える。
「ファビオラ、聞いてくれ。ガルシア君は彼らを巻き込むつもりだ。確かに、ロベルタの前に立つ役者は多い方がいい。……だが、まだ足りない。狂気の狭間に立っているお姫様を正気に戻すには、
「私に何をしろって?」
「それは──」
淡々と告げるロックをまっすぐ見つめ、言葉の続きを待つ。
──次に彼の口から出た話に、次第にファビオラの顔に焦燥の色が滲む。
話が終わると同時に、ファビオラは冷や汗をかきながらすぐさま口を開く。
「できるわけないでしょそんなこと! ひょっとして本気で言ってる!?」
「もちろん」
「これは魔法でもなんでもない! 一歩間違えば人が死ぬ! それを」
「逆に聞こうか、お嬢さん。何かを賭けないで通れる状況か?」
ロックは冷えた視線と声音でファビオラへ問いかける。
「これ以外に何ができる? 手札はすべて出し切り、あとは運だけが残った。――これからの舞台は、舞台に立つ役者によって色が変わる」
言葉を区切り、煙を吐き出す。
「最上のクライマックスを迎えるためには、運以外の賭けられるもの全て賭けるしかないんだ」
一切の光が入らない瞳で言い放つロックに、ファビオラは背筋が冷える感覚を味わう。
「アンタ、最初からこうなることを……!」
「これが俺のやり方だ。これで事が為せるならとことん地の底まで落ちてやる。そうでもしなきゃ、この賭けに勝てないのさ」
それはまるで自分に言い聞かせるような声音にも聞こえ、ほんの少しの違和感を覚えた。
これまでのロックの行動を振り返り、ファビオラは胸の内に残っていた疑問を思い出したかのように声に出す。
「何が、アンタをそこまで駆り立てるの」
その問いに一瞬目を見開いた後、ロックは自嘲の笑みを浮かべた。
「……さあね。ただ、意地を張ってみたくなっただけの話さ」
――――――――――――――――――――――――――――
──夜が明けるまで数時間。
米軍の最終目的地である
ガルシア達もロベルタを取り戻すため任務を遂行する米軍と共に、ラグーン号を降りた。
森林の暗闇に消えていく彼らを見送り、船上にはラグーン商会のメンバーのみ残った。
甲板では、ロックがただ一人紫煙を燻らし立っている。
そんな彼に近づく人影が一つ。
「ロック、中で待たねえのか」
「……妙に落ち着かなくてね。もうしばらくはここで待つよ」
「そうかい」
淡々と言葉を交わし、レヴィもまた煙草を取り出し火を点ける。
やがて壁に凭れ掛かり、ロックの背中を再び見やる。
「お前、何やけになってたんだ」
「なってない」
「嘘つけ。今回のお前は
「……」
ロックは何も返すことなく、煙草の煙を吐き出した。
レヴィは反応がないことに少しも苛つく態度は見せず、冷淡な声音で続ける。
「今までとやり方が違った。今までのお前だったら、しなかった」
「今回は事の大きさが今までと違ったからな。今のままだと、上手くいかないと思った」
「お前はこれでよかったのか」
「ああ、これが俺のやり方だ。──不思議と後悔は一切ないんだ」
どこか清々しささえ感じる声音に、レヴィは片眉を上げる。
一瞬躊躇った後、意を決し口を開く。
「アイツに、認められなかったとしても同じこと言えんのか」
「……なんのことだ」
レヴィの言葉にロックは固い声音を出した。
「とぼけんな。お前がここまで変わったのは、あいつのため──
「……」
風が吹き、ロックの煙草の先から長くなった灰が落ちる。
「この先、お前の思い通りの結果になったとする。お前の手柄をあいつに語ったとしよう。──それでもあの堅物がお前に振り向くなんざ、
ロックの煙草を捨てようとする手が止まる。
レヴィの言う『あいつ』が誰かなど、問うまでもなかった。
一つ息を吐き、煙草を河川へ捨てると箱からもう一本取り出す。
火を点し、落ち着かせるかのように吸う。
やがて、肺にある煙を一気に吐き出した。
「レヴィ。一体何を勘違いしてるのか知らないけど、俺は彼女に何も求めてない」
「お前この期に及んで」
「本当さ」
間髪入れず返って来た言葉に、レヴィは思わず口を噤む。
「このゲームの駒も、シナリオも俺の掌の上にある。ほんの少しの運に恵まれ、ここまで来た。あの街で、やっとロックとして手応えを感じてるんだ。一刻も早く結末を知りたい。その結末が俺に何をもたらすのか、今はそれだけにしか興味ないよ。──でも」
言葉を区切り、ロックはそこで初めてレヴィへ顔を向ける。
「もし、あの人が俺をロックとして認めてくれたらっていう期待は、捨て切れてないけどね」
まあ、期待してもしょうがないさ。そう言って自嘲するような笑みを零す。
その表情にレヴィは眉根を寄せ、盛大なため息を吐き船内へと戻っていく。
──その時、森林の奥からは二つの銃声が響き、朝日の色が輝き始めていた。
次回はロベルタ再来編、エピローグになります。
P.S
アンケートのご協力ありがとうございます。
皆様いちゃいちゃ大好きってことがよく分かりました。
糖度120%(個人的な推測)の小話を今後投稿予定なので今しばらくお待ちください……!