安寧の護り手   作:夜刀ノ神

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第一話

もはや使いなれた、魔法を発動する

 

「わあぁ、すごいや!!」

 

私の手をかざした、男の子の膝が光り

転んで出来たであろう擦り傷がみるみるうちに治っていく

 

「はい、これでもう大丈夫でしょう」

 

「ありがとうお姉ちゃん!」

 

「元気なのはいいですが、時に周りをしっかり見ることも大切ですよ」

 

「うん!」

 

「イリスさんありがとうございます」

 

男の子を連れてきた母親がお礼をしてくれる

 

「いえいえ、森でさまよっていた私をこの村は温かく受け入れてくれました

そのせめてものお礼ですよ、これくらいしかお返しできなくて申し訳ありません」

 

「そんな、そんな素晴らしいことだと思いますよ」

 

「そう言っていただけるとありがたいです」

 

 

 

 

 

長き闘争の果て8人の戦士はちりじりになりさまざまな世界へ渡っていた

 

8人の中の一人イリス・アンテュールもまた異世界へと渡っていた

 

同じ過ちを犯さぬよう、他力本願で安寧を求めるのではなく

自らがせめて自分の手の届く範囲だけでも、救える人を救おうと

 

「とは言ったもののやはり限界はありますね・・・まあそれでも傲慢と言えば傲慢ですね」

 

__村人の皆さんに聞いた感じ、戦争や争いはあっても、魔物や魔法生物などはいなさそうですね

やはり平和が一番です・・・

 

 

 

 

 

 

そんな平和が打ち砕かれる瞬間が刻一刻と迫っているのをイリスが知る由もない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

運命の日~~

 

 

 

この日イリスは村の近くの森へ木の実を拾いに来ていた

 

「この時期は木の実が多いと聞いてはましたがこれほどとは思いませんでした」

 

一人ごちながら見つめる籠の中には色とりどりの木の実が詰まっていた

 

「食べられるといいのですが・・・」

 

__あの男の子は喜んでくれるでしょうか・・・?男の子?

 

 

「ぎゃああああああああああ!!!」

 

「____ッ」_断末魔!?村の方向から!?

 

 

イリスが村の方を見るとちらちらと空へ舞い上がる炎が目に飛び込んでくる

 

__襲撃!、急がねば!!

 

籠を投げ捨て、全速力で村へ戻る

 

 

 

 

 

 

 

「はあ、はあ、____ッーーー」

 

村に到着しすぐに目に着いたのは村人から出る青白い炎のような物を吸い込んでいる異形の怪物だった

顔は異常に小さいのに、肩幅が広く腕が四本生えている、見上げないといけないレベルの怪物だ

 

「はあああっ!!!」

魔力を束ね、杖に収束させ異形の怪物に向け光弾を放つ

 

 

「ぎょ?」

 

「なっ・・・・」

 

怪物はかなりの速度で飛んでくる光弾を四つも付いている腕をクロスするだけで防いでしまう

 

「ぎょぎょぎょ!!」

 

一応はイリスを敵と判断したらしく凄まじい速度で地面をけり急接近してくる

 

「くっ・・・・重い・・・」

 

何とか杖で最初の一撃を受け止めるがそれが限界だった

二撃目を受け止めきれず、異形が暴れ、廃屋と化してしまった家に吹き飛ばされてしまう

 

「くっ・・・こ、れは___」

 

痛みを感じるお腹を見てみると、吹き飛ばされた時に運悪く鋭くとがって突き出ていた木材が()()()()()

そう、お腹から

 

回復を得意とするイリスも自分のお腹を貫かれて、精神が安定しない状況でこれほどの大けがを直すことはできない

幸いと言うべきか、吹き飛ばしてきた異形の怪物はこちらに興味を失ったらしく、追ってくる気配はない

 

だが、もはや致命傷だ助かるはずもない

 

__こんな、こんな、こんなことがあっていいのですか・・・私は何のためにいたのですか

これでは、まるで・・・私に皆さんを護る力があれば・・・

 

≪力が、ほしいの?≫

 

「こ、れは?幻聴ですか・・・もうダメなようです・・ね」

 

≪幻聴じゃないわ、それで力がほしいの?≫

 

「もらえるなら・・・ほしかったです・・ね、ですがもう」

 

≪ほしいのね、なら私と契約してちょうだい、魔法少女にはしてあげられないけど

力を上げることはできるわ≫

 

「・・・ほんとうで・・すか」

 

≪ええ、今なら傷も治る特典が付いてるわ、周りから忘れられちゃうけど・・・大丈夫よね≫

 

「私は、欲しい皆を守れる力が!」

 

≪いいわ、契約成立ね!≫

 

「ぐっ・・・」

__熱い、熱い、何かが入り込んでくる熱いけどどこかやさしい・・・

 

 

気を失ったのは一瞬だったようで、気が付くとしっかりと両足で地面に立っていた

 

「これは?」

 

_「いまは、質問や確認している場合じゃないと思うわよ?」

 

「そう、ですね」

 

いつの間にか感じるようになった、異形の怪物の方へ駆けだす

 

_軽い!とても身体が軽いです

 

_「試しにさっき使ってた、光の弾使ってみなさい」

 

「はい、はっ!!」

 

光弾を放とうとして驚愕するさっきまでそれなりの(それでも短いが)時間を要したはずの

光弾の作成が一瞬で完成したのだ

 

「ぎょぎょ!?ぎぎぎぎぎぎ___」

 

「!?」

 

__威力があがっている?さきほどは傷すら付けられなかったのに、ガードしようとした腕四本

丸ごと吹き飛ばしましたね・・・

 

「ひゅーやるー、とどめも刺しちゃえ」

 

今度は試す目的で、手に持った杖を腕をももがれた怪物にたたきつける

 

グシャッ、という音と共に小さい顔がつぶれる、それと同時に討伐が完了したらしく

巨体が、火の子となって消えていく

 

「・・・私にこんな筋力はなかったはずなのですが」

 

「おめでと―初の”徒”討滅」

 

「”徒”さきほどのが?」

 

「そそ、歩いていけない隣の世界紅の世、”紅世”からやってきたのよ

あの怪物たちは、それを”紅世の徒”て言うの」

 

「貴方は?」

 

「私は、同じく紅世に住んでる王、さっき徒が”紅世”からやって来たって言ったでしょ?

行くのは別にいいんだけどねー”徒”がこの世界で生きていくには”存在の力”が必要なのさ」

 

「”存在の力”ですか・・・」

 

「さっきの”徒”が何かを吸い込んでるのが見えたでしょ?」

 

「はい、青白い炎のような物を」

 

「それが”存在の力”まあ端的にいうと人を食べてるのさ」

 

「・・・」

 

「およ?騒がないんだね」

 

「?」

 

「大体の人間はこの事実を告げると取り乱したり怒ったりするのさ」

 

「ああ、怪物が人を食べるのは見なれたとまでは言いませんが、経験があるのです」

 

「?まあいいや、それでね存在を食べられるということは、初めからいなかったことになってしまうんだ」

 

「!、なるほど途中でこの前回復して上げた男の子のことが靄が掛かったように薄れていたのは

それが原因ですか・・・存在がなかったことにされるとは何とも___」

 

「好き勝手存在の力を食い荒らされると、世界が歪むらしいのね、そして歪みの先に訪れるのは・・・」

 

 

「破滅、ということですか」

 

「正解、それを危惧した王たちがこの世界の人間と契約して暴れ回る”徒”を討滅しようとして生まれたのが

フレイムヘイズ、今の貴方の状態ね」

 

「フレイムヘイズ・・・」

 

「特殊な例を除いて大体のフレイムヘイズは今の貴方みたいに、目の前で大切な物を

壊された人がなることが多いわ、ここで質問なのだけれど貴方は敵の”徒”の討滅に成功した

つまり、もう復讐を果たすべき物はいない、私的にはせっかく契約したのだから継続してほしいけど別に、破棄しても構わないわ、さっきも言った通り貴方自身は復讐を完了してるんだから」

 

「答える前に、いくつか質問をしても?」

 

「もちろん、フレイムヘイズに寿命はないからいくらでも聞いて?」

 

「では、もし破棄した場合普通の人間には?」

 

「戻れないわ、後で詳しく説明するけど私は貴方の”存在の力”を代償って言い方は少し違うけど

まあ、代償にして貴方の中にいるの、私がいなくなると存在が維持できなくなって消えちゃうわ」

 

「出会った”徒”全てを狩り尽くせと、言っているわけではないのですよね?」

 

「そうよ、あんまり数はいないけど”徒”の中には独自の方法で”存在の力”を確保している者もいるわ出会った、”徒”全部ブッ殺せってわけではないわ、まあフレイムヘイズは大体が復讐者だから、出会った”徒”皆殺しって言う人もいるにはいるわ」

 

「・・・分かりました、私は昔から人々の安寧を求めていました、かつては安寧を求めるあまり、住んでいた世界を

滅ぼす原因を呼びこんでしまうことも、ありましたですが今は違います、他人に神に任せるのではなく

自ら人々の安寧を目指して戦おうと思います」

 

「じゃあ!」

 

「ええ、これからよろしくお願いしますえーっと」

 

「まだ名乗ってなかったね」

 

「イリス、イリス・アンテュールと申します」

 

「私はネクサス、”安寧のネクサス”」

 

「えっ・・・・」

 

思い出されるのは、自らが呼び出した、呼び出してしまった破壊と創造の神

 

「貴方との因縁がある、ネクサスとは別人よ記憶を見させてもらったけど

イリス貴方かなり難儀な人生を送ってきたようね」

 

「別人・・・」

 

「ええ、喋り方もなにも違うでしょ、あっちは神らしいし、私は”紅世の王”全然違うわ」

 

「そうですよね、すみません取り乱して」

 

「いいのよ、気にしないでそれでね、一つ相談があるんだけどフレイムヘイズには契約している王と意思疎通するためにそれぞれ”宝具”を持つものなの今は緊急だったから、私が勝手にティアラにしておいたんだけど、イリスにその形を決めてほしいの」

 

今の今まで気が付かなかったが頭に違和感があり手にとって見るとティアラがそこにある

 

「このままで構わないと思います、というかこのままがいいです」

 

「そう?そんなに”宝具オルセー”気に行ってくれたんだね」

 

「装飾が派手すぎず素敵です」

 

「よかった、よかったそれじゃあこれからの話をしようか」

 

                       




イリスの容姿としてはデフォルトに帽子を取ってティアラを乗せたのをイメージしてもらえれば

時代的には、祭礼の蛇が久遠の陥穽に封印されるかなり前です
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