RACING CLIMAX(「Progress Dream」として仕切り直し予定) 作:カノンノ
雪菜はこの日の放課後、愛車 FDで秋名を走っていて秋名のダウンヒルスタート地点で休憩をとっていた。
雪菜「たまには放課後に夕方の秋名で走るのも悪くないですね。」
雪菜はバトルやタイムアタックのような本気の走りではなくただ「走る」ことを楽しんでいた。また、この時間帯は夕方であるため夜や早朝とは一味違う峠も楽しめた。
そこへ雪菜の近くに黒いFDが・・・
雪菜「このFD・・・前期型ですね。しかもウィングも後期型みたいですし・・・」
そのFDはBORDER製フロントバンパー、後期仕様純正リアウィング、RE雨宮製ホイールをまとったブリリアントブラックの前期型のFDだった。FDから降りてきたのは・・・セミロングの女性だった。
FDのドライバーの女性「えっと・・・あなたも走り屋なの?」
雪菜「そうですけど・・・?」
FDのドライバーの女性「そうなの!女の子のFD使いめったにみないし、かわいいって思ったから声かけちゃった」
そのドライバーは同じFD使いの女の子である雪菜に興味をもって声をかけたのだった。
FDのドライバー「あたしは岩瀬恭子。埼玉の走り屋だけど今日は気分転換に群馬に来たの」
雪菜「姫柊雪菜といいます。秋名の走り屋なんです。よろしくお願いします!」
恭子「雪菜ちゃんがFD使いの秋名の走り屋かあ・・・あたしと気が合いそうかも」
同じFD使いの女性の走り屋ということで気が合う雪菜と恭子だった。
恭子「ねえ、雪菜ちゃん。よかったら・・・あたしとバトルしない?」
雪菜「バトル・・・ですか?」
恭子は雪菜にバトルを持ち掛ける・・・
雪菜「ええ、いいですよ!私も恭子さんとバトルしてみたいです!」
雪菜は恭子とのバトルを受ける。
恭子「そうこなくちゃね!」
それぞれのFDがスタート地点に並びバトルの開始を待つ・・・
恭子「コースはダウンヒル1本でいいかな?」
雪菜「構いませんよ。」
恭子「雪菜ちゃんの好きなタイミングでスタートしていいよ。」
雪菜と恭子はそれぞれの愛車に乗り込みエンジンを始動させる。スタート地点の頂上に2台のロータリーサウンドが響き渡る・・・
(イメージレースBGM Golden Time/堀江由衣(ゴールデンタイム))
雪菜はスタートの前にブレーキを踏んだままアクセルを踏み込む・・・
そしてこの状態から雪菜のFDが走り出しバトルスタート!恭子のFDもスタートする!
前に出たのは雪菜のFD・・・!
恭子「気を引き締めて走るよ」
冷静に雪菜のFDの追撃に入る恭子・・・
最初のヘアピンカーブ、2台とも135km/hオーバーのスピードでドリフトに入っていく!
・・・だが、コーナーを抜けた後。恭子のFDはコーナーの立ち上がりから強烈な加速を見せる。
雪菜(独白)「FDなのにコーナーからの立ち上がりであの加速なんて・・・!?」
恭子のFDはビッグシングルターボに換装されており、高回転域からの強烈なブーストを得て加速力を得るチューニングが施されていた。対する雪菜のFDはコーナリング重視のセッティングでターボも純正ではあるものののシーケンシャルツインターボが装備。
雪菜「私のFDよりもパワーのあるFDを相手に選んでしまいましたけど・・・でも、相手にとって不足はないですね!」
だが、雪菜は恭子に負けるつもりはなかった。
雪菜「それに・・・恭子さんとも走ることが楽しいですから!」
それと同時にこのバトルは紗夜とバトルしたときのような本気のバトルではないため同じFD使いである恭子ともバトルを通して楽しく走るつもりでいた。
続くコーナーも135km/hオーバーのドリフト。コーナーのドリフトでは雪菜のFDが優位に立つがコーナーからの立ち上がりとストレートに入ればビッグシングルターボのパワーを得る恭子のFDが有利になり互角の勝負となった。
続く2連続ヘアピン。雪菜と恭子との差は10mに達していた。コーナーからのドリフトで差を広げようとする雪菜だったのだがコーナーで差を広げてもコーナーの立ち上がりとストレートで加速力の高さを見せる恭子のFDに差を詰められてしまった。
スケートリンク前を通過し恭子はオーバーテイクのチャンスをうかがう!
・・・そのバトルの様子を見ていた1台のロケットバニーエアロのNA1NSXがあった・・・
NSXのドライバー「これが葵が言ってた秋名のFDね。後で一度こっちで手合わせしてみてからあとで舞ヶ原でバトルしてもらおうかな」
そのNSXが雪菜とどう絡んでいくのか・・・・雪菜には知る由もなかった・・・
スケートリンク前のストレートを抜けたコーナーセクション、恭子のFDがじわりじわりと差を詰めていく・・・!
雪菜「すごいですね。あの強烈な加速。ですが・・・私のFDも負けませんよ!」
それでもシーケンシャルツインターボのFDを駆る雪菜も負けるわけにはいかなかった。楽しくバトルといえども本気で走るバトルでもあるのだから
コーナー区間を抜けヘアピン、2台とも125km/hオーバーでコーナーを駆け抜けるがストレートの立ち上がりに強い恭子のFDが前に躍り出る!
雪菜「前に出られた・・・っ。だけど・・・!」
だが、まだレースは半分で5連ヘアピンがまだ残っていた。さらにそこが雪菜にとってチャンスのポイントでもあった!
5連ヘアピン・・・雪菜と恭子との差は20mに達しようとしていた。恭子のFDが先行してドリフトでコーナー通過!続く雪菜のFDもドリフトへ!・・・だが・・・?
雪菜「!」
コーナーを抜けて次のコーナーへと入ろうとする恭子のFDが少し加速でもたついていた・・・!
雪菜「恭子さんのFDが・・・このコーナーの加速でもたついている・・・?」
このもたつきこそビッグシングルターボの弱点でツインターボよりも強烈な加速を得る反面ターボラグが大きくもたついてしまうという弱点もあった。
雪菜「ならば・・・ここで差をつめます!」
チャンスと見た雪菜は溝落としを繰り出し差を詰めていく!
恭子「!・・・雪菜ちゃんもなかなかやるね。」
溝落としの様子を見た恭子も冷静にドリフトでコーナーを攻略していく。
ターボラグを見抜いた雪菜の怒涛の走りと溝落としによりアドバンテージは一気に6mに!
雪菜「あとは・・・ストレートに入る前に前に出るだけ・・・っ!」
ストレートに入れば勝負はない・・・そう思った雪菜はストレートに入る前のヘアピンに入るまでに決着をつけるつもりでいた・・・!
5連ヘアピンを抜けて2つのヘアピン。雪菜のFDが恭子のFDと並びサイドバイサイドへ!しかし、ビッグシングルターボが恭子のFDをストレートでパワーを上げ、わずかに前に出る!
2連ヘアピン1つめのヘアピン、恭子のFDがインに、雪菜のFDがアウトに入る!恭子のFDが前に出て次のコーナーの主導権を握る!
ストレート区間までの残りのカーブはあと2つ・・・!だが・・・
雪菜「今です!」
ビッグシングルターボの弱点を見切った雪菜は恭子のFDのターボラグの瞬間を見逃さなかった。次のコーナーに入る手前に雪菜は恭子のFDとサイドバイサイドに!
恭子「しまった・・・っ!ここで並ばれた・・・っ!」
そして、ストレート区間突入前最後のコーナー!インに雪菜のFD、アウトに恭子のFD!サイドバイサイドからのドリフト!そしてサイドバイサイドのドリフトの末に雪菜が前に出る!
ストレートに突入するもターボラグの影響で雪菜のFDとの差が少し開いてしまうが、それでもドッカンターボで開いた差を少しずつ取り戻していく・・・
このバトルの残すコーナーもあとわずか・・・!アドバンテージは10m程度・・・!
・・・!
最終コーナー・・・!真っ先に駆け抜けてきたのは・・・!
・・・
(イメージレースBGM終了)
アドバンテージ5mの差で僅差で雪菜が勝利!パワーの差が大きいビッグシングルターボのFDを相手に雪菜はドラテクで勝利した!
・・・
バトルを終えた雪菜と恭子はふもとの駐車場で語り合う・・・
恭子「雪菜ちゃんすごいね。あんな走り・・・ここを走っているっていう秋名のハチロクみたいですごかった!」
雪菜「いえ・・・恭子さんのほうがすごかったです。私のFDなんてダウンヒル仕様でパワーチューンなんてほとんどしてませんし、恭子さんのFDのほうがかなりチューンされててストレートのパワーがすごかったですよ!」
恭子「そんなことないよ。確かにあたしのFDは雪菜ちゃんのFDよりもチューンしてるしビッグシングルターボにしてるから」
パワーでは恭子のFDが上だったが雪菜のドラテクのほうが勝ったのだった。だが、雪菜はクルマのパワーで負けていたため謙虚になっていた。むしろ、恭子のFDの良さをほめていた。
雪菜「ビッグシングル・・・ターボ?えっと・・・それって何でしょうか?」
しかし、雪菜はなぜか世間知らずであるがゆえにビッグシングルターボという言葉さえ知らなかった。
恭子「ビッグシングルターボっていうのはね、より大きなターボなの。過給圧も高いからより大きいブーストで高い加速力が得られるの」
雪菜「だからストレートとコーナーの立ち上がりで強烈な加速を見せたり低速コーナーからの立ち上がりでもたついたりしたんですね。」
恭子の説明で大体ビッグシングルターボ(別名ドッカンターボ)を理解した雪菜であった。
恭子「でも、あまりチューンしてないFDであたしに勝ったじゃない。雪菜のドラテクならどんなライバルとでも通じると思うよ。この先のバトル、応援してるから頑張ってね。」
雪菜「恭子さん、ありがとうございます!」
恭子「今日は楽しかったよ。また、会おうね!」
雪菜にエールを送った恭子はFDに乗り込み秋名を後にする。
雪菜「バトルは苦戦しましたが・・・それはそれで楽しかったですね。」
このバトルを振り返る雪菜・・・
雪菜「私もそろそろ戻らないと!」
そして、雪菜も愛車FDとともに家路につくのであった・・・
・・・
家路につく途中、オレンジのAE86トレノと黄色のシルエイティとすれ違う。しかし、雪菜はある異変に気付いた・・・
雪菜(独白)「あのオレンジのハチロク・・・まさかロータリー!?」
オレンジのハチロクからはロータリーサウンドを響かせていた・・・そのハチロクはロータリーが搭載していた。
オレンジのハチロクの少女「・・・」
シルエイティの少年「・・・」
一方のオレンジのハチロクのドライバーとシルエイティのドライバーは雪菜のFDを見向きしなかった。
ロータリーハチロクとシルエイティ、そしてロケットバニーエアロのNSX・・・この先に何が待ち受けているのだろうか・・・!?