ゼノブレイド2 特別執権官補佐   作:青い灰

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明けましておめでとうございます。
投稿遅くなりすいません。

作者のプロフィールを更新致しました。
これからもこの作品をよろしくお願いします。



秘密と、残り火と

「ま、こんなとこか」

 

「な、何が起きたのよ………」

 

「見ての通り、じゃねぇか?」

 

 

俺は力を抜く。

白い光の剣と衣は、空に溶けるように消える。

 

そして、呆然とするレックスたちに向けて

俺は笑いかける。

 

 

「取り敢えず、疲れただろ?

  今日は宿とって休もうぜ」

 

「え、あ」

 

「レックス、確かに奴の言う通りじゃ。

  色々ありすぎた、少し、休むといい」

 

「そうだね、じゃあみんな、戻ろうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜。

俺は部屋で聖杯(ヒカリ)について軽く

レポートをまとめていると、ノックされる。

 

 

「鍵なら開いてるぞ」

 

「分かったわ」

 

「夜分に失礼するぞ」

 

「ヒカリとセイリュウか。

  どうした………って聞く必要もないか」

 

「ええ、あれがなんなのか。

  それと、何故あのとき使わなかったのか。

  それを教えてもらうためよ」

 

「聞く必要もねぇし、分かってたんだけどな」

 

「なに?お主は………」

 

「まぁ待て、場所を変えるぞ」

 

 

ベッドではヤエギリが寝ている。

取り敢えず起こさないように部屋から外に出る。

 

外の椅子に1人と一匹を座らせて茶を出す。

 

セイリュウのはないけど。

いや、だってカップのサイズがね?

 

 

「熱っ………」

 

「お前、猫舌健在か。

 ホムラの時は火のエーテルじゃねぇかよ」

 

「私だって火は熱いと感じるわよ。

  あの子は耐性あると思うけど………」

 

「………日が昇ってしまうぞ………」

 

 

無駄話をしているとセイリュウが

頭を抱え始めたので、俺も向かい合って座る。

 

 

「ま、見りゃ分かったろ?」

 

「「分かるか!」」

 

「あれ?」

 

 

いや、分かるだろ。

 

 

「俺は天の聖杯ってことなんだが」

 

「………ドライバーはどこじゃ?

  お主とてブレイド、ドライバーがいる筈じゃ」

 

「いきなり痛いとこを突いてくれるね……」

 

「当たり前のことよ、私だってレックスがいる」

 

 

んー、そうだな。言うなれば………

 

 

「死んだ」

 

「………は?」

 

「え、死んだ………って」

 

「だから、死んだんだよ。

 生き物なんだから、死んだ。何度も言わせんな」

 

 

俺は本気で2人を威圧する。

 

 

「…………誰じゃ、名前は」

 

「………さぁな、覚えてねぇよ」

 

「嘘をつかないで、

  私でも500年前を覚えてるのよ」

 

「…………はぁ、仕方ないか。

  お前ら、今から言うこと、秘密にしろよ」

 

 

2人は頬を引き締める。

まぁドライバーについては話したくないです。

 

 

「そうさな、だいたい500年前のことだ。

 世界樹から天の聖杯を持ち帰った奴がいたな?」

 

「あぁ……あの胡散臭いやつね」

 

「そうだ。まず、

 天の聖杯が2人って間違いがそこからだ」

 

「そう言えば………そうじゃったな」

 

 

上手い具合に話を逸らして

ドライバーのことは忘れてもらおう。

 

 

「次に俺の力だが………」

 

「……なんで500年前に使わなかったの」

 

「その通りじゃ……お主があの力を使えば……」

 

「使って良かったのか?」

 

 

事実を、事実だけを述べる。

すると、ヒカリは俺の胸ぐらを掴む。

 

 

「…………っ!馬鹿なの!?使えばユーゴが

 死ぬこともなかった!ミルトだって………!!」

 

「お主は………!!」

 

「珍しい、じいさんも怒るか?」

 

「ふざけないで!!」

 

「へぇ………?」

 

 

ヒカリが俺の首に剣を当てていた。

俺はその剣を掴み、力を入れると、

剣はミシミシと音を立て始める。

 

 

「因果率予測、使ってみろよ?」

 

「………ッ!?」

 

 

ヒカリの目が輝く。因果率予測の発動合図だ。

発動は1秒。ヒカリは、俺から全力で離れる。

 

 

「ハッ、なんだよ、その程度か」

 

「ハァッ………ハァッ………」

 

「何が見えた?」

 

 

見せたのは、2つ。

1つは、この巨神獣が沈む光景だろう。

2つは、ヒカリが切り刻まれて死ぬ光景。

 

 

「………っ、巨神獣が………!」

 

「はぁ………何故、

 あんな光景が見えたか教えてやろうか?」

 

「…………」

 

「俺があの力をあと3回使った結果だ」

 

「「!?」」

 

 

俺の力は周囲のエーテルを使う。

エーテルが枯渇すれば、自然は崩壊し、

水は枯れ、生命は息絶える。

 

俺の力は無尽蔵にエーテルを消費し、

周囲のエーテルがなくなれば、

巨神獣からも吸い出す。

 

 

「アルスのエーテルが尽きればどうなるか、

 小さくなったイーラのアルスなら分かるだろ?」

 

「…………成る程、だがイーラは」

「あの時、俺たちはどこで戦った?」

 

「イーラの、腹の近くよ」

 

 

そこからエーテルを吸い出しなんかすれば、

溜め込まれていたイーラのエーテルは暴走し、

吹き飛んでただろうな。

 

 

「まぁ別にそれでも良かったぞ?

  メツは死ぬし。まぁ、俺たちも死んだけどな」

 

「使えなかった……の?」

 

「仮に使ったら、生き残りなんていねぇよ?

 エーテルの巨大爆発だ、全員死亡は確定だぜ?」

 

 

もしかしたら周囲の

巨大なアルスごと消し飛んだかもな。

 

 

「ま、こういうこった。

  俺の力の危険性、分かったか?」

 

「不用意に使える力ではない……という訳か」

 

「そうだ。どちらにせよ、過去には戻れん。

  死んだら生き帰ることはねぇよ」

 

「…………」

 

 

俺は立ち上がって2人に背を向ける。

 

 

「今の俺はスペルビアの特別執権官の補佐だ。

  手を貸すつもりではいる。

  まぁ明日には先に帰るつもりだ。じゃあな」

 

 

今日は眠い。

明日は早朝にはスペルビアに帰るので、

寝るとしようかな。

 


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