ゼノブレイド2 特別執権官補佐   作:青い灰

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風呂

 

 

 

「待て待て待て!?正気かメレフ!?」

 

「私は至って正気だ!!///」

 

 

結局、そのままメレフに宿の風呂の

脱衣場へと投げ飛ばされる。

 

後ろからちゃっかりカグツチもついて来ている。

助けろよ?

 

 

「………だけど、ここで逃げてもなぁ」

 

 

メレフとの関係が崩れるようなことは

出来るだけ避けたい。

 

あんな言動をするということは、

少なくとも俺を想ってくれているということ。

 

…………自分で考えてて恥ずかしいな。

 

ここで逃げるようなことをすれば、

メレフは落ち込むかも知れんし………

 

 

「仕方ない、か………

  元は自分で蒔いた種だしな」

 

 

俺は仕方なく服を脱ぎ始める。

下も勿論脱いで、腰にタオルを巻く。

 

 

「…………よし、行くかぁ」

 

 

俺は風呂へと入る。

 

洗面器でお湯をすくい、

体を露天風呂の湯で流す。

あぁ、気持ちいい。

この感覚が堪らなく気持ちいい。

 

 

「あ、あの………」

 

「あぁ、来たかメレ、フ………」

 

 

俺はかけられた声に振り向く。

そこには、バスタオル一枚の髪を下ろした

メレフの姿があった。

 

まぁその、俺も男なわけで。

布一枚の美しい女性を見れば、

はい。硬直くらいはする。

 

 

「…………」

 

「……あ、あの、まじまじと見ないでくれ………///」

 

「お、おう。悪いな………ははは……」

 

 

なんで今正気に戻ってるんだよ!?

不味い、暴走状態なら大丈夫だと思ってた。

 

頼むから恥ずかしがるな!!

顔赤くするなぁぁぁ!!

モジモジするなぁぁぁ!!

 

 

「す、すまないが私にも洗面器を………///」

 

「わ、悪い!はい!」

 

 

俺はメレフに洗面器を素早く渡して

露天風呂に入る。

 

ヤバい………気持ちいい筈なのに

緊張しまくってるせいか、

もの凄い体がガチガチになる。

 

 

「…………」

 

「…………」

 

 

横でメレフが体を流し終わり、

俺の隣に入ってくる。

 

 

「「…………」」

 

 

や、ヤバい。沈黙がキツイ。

何か話題は…………

 

 

「「あの………!?」」

 

 

被ったぁぁぁぁ……………!

ヤバい、余計キツイ!

 

 

「お、オウカ………あの、だな」

 

「あ、あぁ。何だ?」

 

 

深呼吸して体を落ち着けて、

俺はメレフの話を聞く。

 

 

「お前が………私たちと

  別れて一週間、だったが………」

 

「……あぁ」

 

「…………少し、寂しかった。

  いつもいる人が1人や2人いなくなると、

  ここまで違うのかと、思い知った」

 

「……………」

 

「だから先程はあんな事を口走ってしまって……

  め、迷惑じゃないだろうか?」

 

 

…………確かに、メレフたちと放れて一週間、

何か物足りなさを感じることがあったが………

 

やはり、俺も同じことを考えていたのかもな。

 

それで、迷惑な訳がない。

 

 

「迷惑なんかじゃないさ、

 メレフと一緒に歩いたりすることも減ってたし、

 俺も同じ気持ちだったからな」

 

「…………そうか。なら、良かった」

 

 

急に空が明るくなり、俺は空を見上げる。

雲が今まで覆っていたのだが、

空は既に日が沈み、星、大きな満月が輝いていた。

 

 

「おぉ………」

 

「月か…………」

 

 

俺とメレフは感嘆の声を漏らす。

 

 

「月が、綺麗だな」

 

「!!?///」

 

 

俺がその一言を漏らした瞬間、

メレフは横でバシャッと水と体を跳ねさせる。

 

 

「な、何かおかしい事を言ったか?」

 

「え!?い、いや………

  ほ、本気で言っているのか?///」

 

「本気だが…………」

 

「~~~!わ、私はもう上がる!

 お前も早く上がれ、逆上(のぼ)せているぞ!!?///」

 

 

メレフは凄い速度で風呂場から出ていく。

な、何かおかしいことを言っただろうか?

 

 

「……………まぁ、いいかな」

 

 

夜、俺は月を見上げ、目を瞑る。

 






「ネフェル様、こちらを」

「これは、双眼鏡?
 ワダツミ、どうしたのですか?」

「こちらの窓から、ご覧下さい。
  良いものが見られる筈でございます」

「…………あれは、オウカに、姉さん?
  ふふっ、あはは、そういうことですか」

「どうでしょう、
 進展が楽しみで仕方ないのですが」

「大分、進展したようですね」

「赤飯でもお作りしましょうか?」

「それはまだ早いのでは?」


「「はははははは!」」


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