side 八幡
総武高校を後にして我が家へ帰ってきた。
「ただいま」
「おかえり!お兄ちゃん!」
最愛の妹が抱きついてきてそれを受け止める。小町や両親には迷惑を掛けた時期があったので家族との絆が深まった気がする。両親は忙しくて家にいないが
「ご飯食べよ?お兄ちゃん今日はロールキャベツだよ」
「久しぶりに食べるな」
夕飯のメニューを楽しみに荷物を自分の部屋に置いて手を洗う。袖を捲ると左腕の巻かれた包帯が目に付く。これは以前の贖罪の痕跡だ。手を洗い終わった後、食事を取り今日の出来事を話した。勿論、奉仕部の事もだ。
「なあ小町」
「何?お兄ちゃん」
「俺は入るべきか?その部活に…」
「お兄ちゃんはさ、あの時に後悔したんだよね?」
「勿論だ…」
「その部活ならお兄ちゃんの贖罪に繋がるじゃないかな?困ってる人がいたらもう見捨てない、てそう思ってるんでしょ?」
「ああ」
「もう大丈夫だよお兄ちゃん。今のお兄ちゃんなら人を助ける事ができるよ。自信を持って」
「あぁ…ありがとう…ありがとう小町…」
これが本当の贖罪かどうかは分からない。でもあの時の悲しみ、怒り、喪失感を忘れた事は無い。俺は俺なりの贖罪を見つけた…俺は救いは要らない。でも、他の人を救えるのならばそれで十分だ。
side 小町
今日もちゃんとご飯を食べてお風呂に入って眠りについた。お兄ちゃんは健康な生活を送れている。もう大丈夫かな?去年からあの行為が無くなった。少しずつお兄ちゃんは過去を吹っ切れたのかな?
その行為とは自傷行為だ。お兄ちゃんの左腕に巻かれている包帯はカミソリや包丁で傷付けて痕だ。お兄ちゃんにはとある過去がある。その過去でお兄ちゃんは感情と笑顔を捨てた…自ら…
それは小学生五年生の時に起きた事件だ。それを機にお兄ちゃんは自傷行為に走った。痛いのに痛みで泣いているのにそれでも止めようとはしなかった。そんなお兄ちゃんを見てお母さんは泣いた。お父さんはお兄ちゃんを直そうとあちこちの病院に飛んでいた。私は泣きながらも止めてと何回叫んだ事か。ご飯を作る時にお兄ちゃんのお味噌汁やスープ、カレーに砕いた精神安定剤を何度入れただろうか。
ただ中学生三年生辺りからその行為は減って、まともな生活を送れるようになった。精神科の先生のお陰かな?
「神様…今日もお兄ちゃんを守って頂きありがとうございます…どうか明日も守ってください…お兄ちゃんは誰よりも優しい人なんです…」
私は祈るように呟き電気を消して眠りにつく…いつかお兄ちゃんと家族四人で笑顔溢れる日々が戻れますように…後でお母さんとお父さんにも伝えておこう…
side 八幡
起きて家を後にする。学校でも授業が終わり放課後になる。今まで帰宅部だった俺が部活を始める事になろうとは…親父とお袋が一番びっくりしていたけど。奉仕部に向かう前に会わなくてならない人を探すが…杞憂に終わったようだ。
「比企谷、どうやらやる気があるようだな…心変わりかね?」
「はい…」
「そうだなそれがいい。君の一存で決めたまえ…では私は職員室にいるから手伝える事があったら来なさい」
「ありがとうございます」
俺は平塚先生に一礼して奉仕部がある特別棟へ向かった。これが贖罪の一歩だと信じて
「あ、はい平塚です。彼ですか?今部活に…はい、はい分かりました。後日伺いますので…はい」
「確か…妹の小町君だったな…兄について話とは…一体何だろうか?」
side 八幡
奉仕部のドアをノックし返事を待つ。雪ノ下に対して第一印象は悪かったかもしれないがせめて伝えなければならない事があるので避ける訳にはいかない。
「どうぞ」
「…失礼するぞ」
ドアを静かに開け閉める。そこに昨日と変わらない雪ノ下の姿があった。
「答えは決まったのかしら?」
雪ノ下からの質問…俺に答えを求める目を向ける。これだけは逸らしてはいけない。俺も彼女に目を向けいつもよりも声を出して伝える。
「奉仕部に一員として迎え入れてくれ。俺は俺なりに贖罪の道を見つけられたんだ」
「えぇ歓迎するわ。ようこそ比企谷君奉仕部へ今日からあなたはこの部の一員ね」
「早速だがどうすればいいんだ…」
「依頼が来る頻度はそう多くないの。読書なり自主勉強なり時間を潰してちょうだい」
「意外と暇なんだな…」
少し期待したが結構暇でグランドからは体育会系の部活の掛け声が聞こえてくる。それ程までに暇なのだ。
今更だが俺は雪ノ下に気になる点があった。それは
「失礼だが…お前友達はいるのか?」
「…そうね、まずどこからどこまでが友達なのか定義してもらっていいかしら」
「すまんこれ以上は聴かない…」
「察してもらったけれど何故かイラッとするわ…」
ジト目で見ないで?ほら謝罪してるから許してください。本当に
「お前ならファンクラブくらいできてもおかしくないと思うんだが…あれか」
「好かれる方が辛い事もある、て言ったら?」
「…話してもらっても」
「いいわ、特別に有難く聞きなさい」
いや人の不幸な過去に有難みなんてないんだが…
雪ノ下から過去の話を聞くがどうも女子の嫉妬から碌でもない目にあったらしい。上履きを60回隠されて内50回とかどんだけ嫉妬されたんだが。
まあ分かる。あの人はそうやって…いや今は蒸し返す時じゃないな。
「…大変だったんだな。」
「ええ、大変よ。私、可愛いから。でも、それは仕方がないと思うわ。人はみな完璧ではないから。弱くて、心が醜くて、すぐに嫉妬し蹴落とそうとする。不思議な事に優秀な人間ほど生きづらいのよ、この世界は。そんなのおかしいじゃない。だから変えるのよ、人ごと、この世界を」
それが彼女が出した答えか…アホらしい。正直言って呆れた。
「…馬鹿だなお前」
「何かしら」
「人はそう簡単には変わらない。お前はどのように世界を変えるつもりだよ。お前の都合通り行かないのが世界だ。全てが自分の考えた通りに行く訳ないだろ?お前は自分を認めない人を排除するのか?価値観が違うだけで敵視するのは一方的だろ」
「なら正しくあろうとする事は罪でも言うの?そんなの許される訳がないじゃない‼周りを蹴落とし嫉妬にまみれた醜い人間が正しいと言うの‼あなたは‼」
机を叩き勢い良く立ち上がる。俺に対して怒りの目を向けて
雪ノ下の壮大で子供じみた考えに異を唱える。こいつはこいつで苦労しているが努力する方向を間違えすぎている。見た目と成績は非の打ち所がないようだが…真面目過ぎるのもあれだな。ぶっ飛んだ思考をするもんだな
こいつはある意味現実から逃避している。あまりにも志が高すぎて周りから浮くタイプ…
あの人は良くも悪くも目立ち嫉妬で…雪ノ下も同じような境遇に遭遇したがなんだかんだ言って乗り越えたのだろう。
「そうは言っていない。言ったろお前の考え通りには行かない、それが現実、それが世界。そんなに変えたければデ〇ノートでもドラ〇ンボールでも探して神様でもなるんだな」
雪ノ下は俺に反論されるとは思わなかったようだ。顔を伏せ椅子に座り込む
「…この部に入ってくれるから理解してくれると思ったのに」
「勘違いするな。お前の理想に付き合うと言っていないし俺の贖罪の道だ」
だけど…
「でも、その真っ直ぐさは尊敬に値する。それがイジメを乗り越えるきっかけになったんだろうな」
「…あら、意外ね。その言葉は有難く受け止めるわ」
「でも、その計画は協力しねぇからな?現実に向き合えるように手伝ってやるがな」
「その時はお願いするわね」
俺の孤独体質よりも雪ノ下の野望をどうにかした方が良いと思うが…下手に言えないな。
というか結局依頼は来なかったな。本当に暇だなこの部活。
最近Pixivで鬼滅の刃のクロスオーバーのSSよく見かけるんですが自分は鬼滅の刃を見た事がないのでよくわかりません(´・ω・`)。
あとドルフロの現役指揮官なのでいつかはドルフロのSS…作りたいですね。