俺ガイル色々ごちゃごちゃ   作:根王

18 / 33
 ちょっと構成に悩んでいまして…次回は早くなると思います。微アンチ有りです。


彼の初めての依頼で一人の少女に出会う

side 八幡

 

 調理実習か…誰も組む奴はいないな。ただ一人の女子生徒から見られてる気がするが。

 

「結衣ー?それ取ってー」

 

「あっうん…分かった」

 

 それにしてもどうするか。一人でもそれなりできるが…

 

「ねぇちょっと」

 

「…」

 

「ねぇてっば!」

 

「…俺?」

 

 長い黒髪をポニーテールにしている目付きの悪い女子が立っていた。身長は俺よりやや低いぐらい。顔立ちは整っている方だ。そして見覚えがある

 

「アンタさ一人?」

 

「見ての通りだ。川崎…」

 

「アタシも一人だから組まない?」

 

「物好きだなお前。いいぞ」

 

「ありがと。男手が欲しかったからちゃんと手伝ってよ?」

 

「善処しよう」

 

 川崎沙希…だったか?去年、俺が屋上にいて…まあ色々あって彼女に会った。それからたまに話すぐらい仲になってるが他の事は知らんし知ろうとも思わない。俺には関係無いし。それにしても手慣れているなあっという間に料理が完成した。食ってみるとこれがまた美味い。ただ、どっかの班の料理が真っ黒になっていた。爆撃でもされたのか…どんだけ下手くそだよ。

 

 

 

 

 

 

「…」

 

「…」

 

 放課後の奉仕部、相変わらずの退屈ぶりである。認知されてないんじゃないかというぐらいに

 

「…なあ」

 

「何かしら」

 

「本当に依頼なんて来るのか?全然音沙汰無しだぞ。この部活認知されてないのかっていうぐらいによ」

 

「流石にそれはないわね。部として活動しているわ…二人しかいないけど」

 

「それ程に平和という訳か…」

 

 しょうがないぼちぼち待ちますかね…なんて思ったらノック音が聞こえ互い目を合わせる。雪ノ下が声を掛けると上ずった声の返答が返ってきた。

 

「し、失礼しまーす」

 

 いかにも今時の女子高校生の生徒が入ってきた。俺に目を合わせた瞬間に

 

「な、なんでヒッキーがここにいんのよ!?」

 

「いや誰だよお前」

 

 マジで誰?こんなビッチみたいな奴とは知り合った事は無いし話掛けた事も無い。というかヒッキーって何だよ。別に引きこもりじゃねえし俺。

 

「ちょっ!ありえないし!同じクラスなのに知っていないとかふざけてんの!ありえないしマジでキモい!死ねば?」

 

 

 

「…言いたい事はそれだけか?」

 

「!?」

 

「初対面でいきなりキモいわ、死ねばって…ふざけてんのてめえだろこのビッチが」

 

「あ、その」

 

「言葉により痛みは殴られるよりも痛いんだよ馬鹿が。いきなり悪口のオンパレード…喧嘩売ってんのかお前は?いい加減にしろよ。軽々しく死ねとか言うな‼ムカつくんだよ‼」

 

「うぅ…」

 

「比企谷君、言い過ぎでは…気持ちは分かるけども」

 

「知らん。こんな奴にどう思われようが知ったこっちゃないね。大体面識が無い奴に悪口言うこいつの方がどうかしてると思うが」

 

「あの…その…ごめんなさい…うぅ」グスッ

 

 ちっ、泣いたか。でも先制パンチかましたのはお前からだからな。俺に言い返す権利はある。

 

「分かったろ。これが言葉の暴力だ…二度とこんな真似をすんなよ」

 

「う、うん…」

 

「あなたは由比ヶ浜結衣さんね?」

 

「知ってんのかよ…こいつ慰めるの任せたわ。自販機で何か買ってくるから話でも聞いてくれどうせ依頼だろ」

 

「ええ分かったわ。それと『野菜生活100いちごヨーグルトミックス』をお願い」

 

「ちゃっかりしてやんの…」

 

 こいつ人使いが荒いじゃあねえのか?俺はスポルトップを買ったが野菜生活が売り切れだったのでよく似たいちごミルクとカフェオレを買って奉仕部に戻った。

 

「ほら言い過ぎた詫びだ受け取れ。釣りは要らん」

 

「そ、そういうわけにはっ!」

 

「私は違うのだけれども?」

 

「売り切れだったからな近い物を選んでおいた」

 

 買わないよりマシだろうがそんな目で見るんじゃねえ。皺が増えんぞっと思ったらすんごい睨まれた。後、由比ヶ浜の依頼は昔お世話になった人にお礼としてクッキーを作りたいという依頼で家庭科室へ移動となった。本なりレシピなり見ればいいのに…と思っていた自分が甘かったと知る由は無かった。

 

 

 

 

 

「おい何だこれ。真っ黒じゃん誰が炭を作れと?」

 

「す、炭じゃあないし!クッキーだし‼」

 

「どこがクッキーだコノヤロー。完全に焦がしたろこんなもん渡されたら恩人がブチ切れるぞ」

 

「うぅ…やっぱりそうかな…」

 

 落胆するビッチ…じゃなくて由比ヶ浜。まあこうなる事はなんとなく読めていた。エプロンを着慣れない時点で普段から料理をしていないという事を見抜ける。それにしても雪ノ下が頭を抑えている。まあ、気持ちは分かるが…

 

「そんで何入れた?クッキーに」

 

「ええと…桃とか?美味しそうだから」

 

「食べ合わせとか色々あるだろうが…美味い物と美味い物足しても旨くならねえだろ」 

 

「どうして?どっちも美味しいのに」

 

「例えば、辛くて美味い物と甘くて美味い物は合わせても美味しくならないだろ?それと同じだ。後は手際の良さだなそれはお前の練習次第だ」

 

「そうだね…そう言われると分かるかも。手際か…あたしにやっぱり才能は無いのかな」

 

 更に落ち込む由比ヶ浜。しかし、それに不愉快に思う人物が居た。そう雪ノ下だ。

 

「由比ヶ浜さん。その認識は改めなさい。最低限の努力もしない人間には才能がある人を羨む必要はないわ。成功できない人間は成功者が積み上げた努力を想像できないから成功しないのよ」

 

「そうだぞ由比ヶ浜。例えば、プロスポーツ選手だって練習してるだろ?あの人達はな俺達が想像を超える厳しい練習を乗り越えたんだ。だからお前も練習すればできる…そう言ったろ」

 

「それにお前みたいにうじうじしててもいつまで経っても上手くならんぞ」

 

 雪ノ下もこの言葉に同意するかのように頷く。敢えて突き放す様に言う…こいつ事だすぐに諦める…と思ったら

 

「かっこいい…」

 

「「え?」」

 

 鶴の一声になった瞬間であった。その後、お礼にクッキーを貰ったが真っ黒のままだった。解せぬ

 

「ねえヒッキーはさ…女の子からクッキーを貰ったら…どう思う」

 

「別に何とも?ただこんな酷い物だったらすぐ捨てるけど」

 

「ガーンッ!?ショ、ショック…」

 

「まあ上手くなりたいなら練習しろ…頑張る姿を見れば応援はしたくなると思う」

 

「うん…分かった。あたし頑張るね‼」

 

 どうやら依頼は達成したようだな…あ、あいつエプロン着たまま行きやがった。めんどくせえ奴…

 

「これでよかったのかしら?」

 

「人価値観なんてバラバラだ。別に料理人でも目指してる訳ではあるまい…本人が満足すればいいんだよ」

 

「それはただの自己満足よ」

 

「それでもいいんだよ。魚の取り方を教える方針ならそれでいいだろ」

 

 

 

 

 

 

「これも一つの贖罪か…」

 

「?」

 

 

 

 

 

 暫くして俺は改めてクラスの様子を見るようになった。まあ、由比ヶ浜の様に同じクラスの奴に知らないと言ったら失礼…と思ったけど俺の方が知られてない気がする。川崎は窓をぼんやりと見て由比ヶ浜は自分のグループで会話に勤しんでいる…ご苦労なこった。あいつは回りに合わせようとする人間だ。それ故、コミュ力は高い。と思ったが

 

「それじゃわかんないから。言いたいことあんならはっきり言いなよ。あーしら、友達じゃん。そういうのさー、隠しごと?とかよくなくない?」

 

「ごめん…」

 

 はぁ…どっちもどっちで問題有りだな。俺の選択肢は二つだ。一つは無視。由比ヶ浜はただ知り合い友人でもない。もう一つは立ち上がる。由比ヶ浜の為に?果てしてどっちが正解かは…分からん。

 

「…」チラッ

 

 そこで俺を見るな…顔見知りだから尚更助けねえといけねえじゃん。まあ、俺も言いたい事を言うとするか。俺は凄いぞー?なんせ失う物なんて無いしな。

 

「はぁ…うっさい」

 

「は?何アンタ。いきなり何だし」

 

「文句が言いたいのこっちだ…シエスタを楽しんでいたのにそんな馬鹿でかい声出されると煩いんだが」

 

「ちょ、あんたに関係ないじゃん‼」

 

「それでも周りは迷惑してんだよ。そこら辺考えろ…それと由比ヶ浜っ‼」

 

「え、え?あたし?」

 

「お前は雪ノ下と会いに行くんだろう?だったらそれを簡潔に言えば良い話だろ。何だお前らの関係は?俺から見たら我儘女王様とビクビクしてる侍女みたいなもんだぞ?」

 

 しゅんとする由比ヶ浜。言い返して来そうだが、どうやら心当たりがあるんだな。これで言い返すようじゃあただの馬鹿だけどな

 

「いい加減にしろし‼あーしと結衣はダチだから‼」

 

「なあ、二人とも落ち着いて…」

 

「そうか?まあお前の気持ちも分からない訳でもない」

 

「へ?」

 

「威圧的なお前にも問題はあるかもしれんが逆にそれじゃあ相手は怒られそうになるから中々言いづらい。そんな状況にしてるのが由比ヶ浜、お前の態度だけどな」

 

「うぅ…そのあの…」

 

「…へっ友達と聞いて呆れる。顔を伺う関係ならいっそ友達なんか辞めちまえ」

 

「なあ少し待って…」

 

「あ、居たんだ。俺が言いたい事はそれだけだから改めて見直せば?じゃあな」

 

 任務完了…というか金髪のあいつ誰だ?終始存在感が無かったぞ。さてマッ〇ンでも飲むか…ついでに

 

「お前も居たんだ。雪ノ下」

 

「ええ…全く彼女は…色々と世話が焼けるわね。待たされたわ」

 

「あー…連絡先交換してねえな?まあドンマイ」

 

「あなた凄いわね。命知らず?ただの大馬鹿野郎?…兎も角私が出る幕は無かったようね」

 

 どこの三本線だよ…雪ノ下は踵を返してJ組に戻って行った。それにしてもあいつも凄いだろ。会ったばかりの由比ヶ浜の為にここまで来てるんだからな…

 

 俺にも優しさが欲しいんだがな…

 

 

 

 

「あの立ち上がってくれてありがとうヒッキー…あたしさ周りに合わせないと不安になるっていうかさ」

 

「…今回だけだぞ?お前を助けるのは…」

 

「う、うんごめんヒッキー…迷惑かけちゃったかな?」

 

「別にあいつらに何とも思われようとどうでもいい…ただ」

 

 

 

「お前が昔の俺みたいに後悔しそうだからそれを防いだだけだ…三浦は多分お前に信頼されてないと思ったんじゃないか?少しの溝はやがて大きくなり修復できなくなる」

 

「それって…優美子と仲が悪くなるってこと?それはやだな…」

 

「なら今度からはっきり言えばいい…俺みたいになるなよ。じゃあな」

 

 これが由比ヶ浜の為になるならば結構結構。さて、今日も奉仕部に行きますか…

 




 次回は材木座と遊戯部です。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。