テニスの騒動からGWに突入しそれが明けてからの登校日。いつもと同じ生活を送る予定でいつもは一人だったが戸塚という話し相手ができ自然と話すようになった。ただ最近…川崎の登校が遅れ気味なのが気になるが
放課後になれば奉仕部へそこにいるのは大和撫子の皮被った毒舌美女と見た目がビッチでアホの子満載の少女が待っている。そして、死人のような俺が…って意外と濃い?このメンバー…でも不思議と心地よさを感じる。人なんて裏切るし欲望まみれた醜い存在だと信じて孤独であろうとした。でも…それは間違っていたのかもしれないな。
「それで比企谷…これはいったい何かね」
「文句を一つぐらい言いたいぐらい分かりますよ。でも今の俺はそれが答えです」
「はぁ…文句は十ぐらい言ってやりたいが。何処でも良いから書きなさい再提出だ」
「…分かりました」
白紙の調査票を片手に職員室を後にした。俺に夢はない。いや…見つけられないのが正解か…だから何も書けない…俺には贖罪の道があるからな
奉仕部は休みなので行く当てもなくふらふらしてると屋上に辿り着く。屋上…本当は忌々しい記憶が蘇るがそれでも訪れてしまう。しかし、忘れていけないし逃げる訳にはいかない。目を背けるのは去年までだ今は違う…今なら大丈夫かもしれない。手すりを握り遠い光景を眺める。あの時変わらない空…
『もういいよ…疲れたから…もう…』
『私を助けなくていいから…構わないで…あなたまでも巻き込んでしまうから…』
「…」グッ
歯を食いしばる。後悔、ひたすら後悔。あの時、引かなければあの手を無理矢理でも取っていれば。呼吸が早くなる心臓の鼓動が早くなる。止まれ…止まってくれ…止まるんだ。もう逃げないと…
「比企谷」
聞き慣れた声。その声で俺の呼吸、心臓の鼓動は平常になる。ハスキーな声…忘れた訳じゃない。お前の声はな
「川崎…か」
「大丈夫?あんた顔色悪いよ。汗も」
「いや…助かった」
「そう去年みたいな事をしてたら殴ってでも止めるからね」
「あーやりすぎ…いやその時は頼むわ」
「大丈夫手加減はするからさ」
世話焼きな奴で不良っぽいが優しい奴…それが川崎。去年、俺は彼女と出会った。出会いは最悪だったけれどな、ギャルゲーでもなさそうな展開だ。いや同人のノベルゲームみたいな展開かもしれんな。材木座辺りが知ってそうだな。
「あんた調査票白紙だね」
「…俺は」
「まあアタシが言う道理はないから」
「…」
「じゃアタシ行くから」
「あぁ…じゃあな」
「よお」
「あっヒッキー来たし」
「こんにちは比企谷君。紅茶はどうかしら?」
「ああ頂く」
何時も通りに椅子に座り材木座から勧められたラノベを開き由比ヶ浜は携帯をいじる。雪ノ下は何からしらの本を読む。依頼がなければこの日常を過ごしてる。これが当たり前のように
「そういえばさヒッキー」
「何だ…あ美味いなこれ」
「メールアドレス交換しない?ほらいざっという時さ困るじゃん?」
「そういえばメールアドレス交換してなかったな…ほら」
「ちょ、迷わず渡してくるなんて」
「いやアドレス少ないし見ても困るもんないし」
「それでもどうかしてると思うのだけれど」
「本当にアドレス少ない…?誰この人?」
「あぁその人?まあ…俺を贖罪の道を導てくれた人かな?」
俺の携帯には家族とアマ〇ン、そして、ある人のアドレスしか存在しない。そのある人は俺の恩師…みたいな人だ。その人が居なければ俺は贖罪の道を歩み事はないだろう…
「ますますヒッキーの過去が気になるし」
「まだ話すつもりは」
「…まだ教えられないの?」
「すまんあまり隠し事は…したくないんだがな」
「そ、その…あんまり気にしないから!言いたくない事なんて人それぞれだし」
「そうよね。もし教えられるような時期になったら教えて…私達はあなたの事を知りたいから」
こいつら優しいな…そんで俺は情けねえ。心配を掛けた小町達の気持ちが分かった気がする。本当に申し訳がない
「あっヒッキーアドレス交換しといたよ。ゆきのんのも」
「あ、悪いな…ぁ」
「どしたの~?」
「いや何でもない」
これ由比ヶ浜だよな?何だこのスパムメールっぽいアドレスは?初見だったら消されるぞこれ。今日は何事も無く終わった。次の日、あっという間に放課後へ依頼はまあ来ない。まあ頻繁に来られたら困るがなどんだけ問題だらけなんだっていう話だ。しかし、由比ヶ浜の様子がおかしい。雪ノ下も不思議に思っている。
「どうかしたの?」
「あ、うん…変なメールが来て…ヒッキーには来てない?」
「昨日小町が夕飯がハンバーグという吉報しかねえな」
「吉報なのね…変なメールなら消してしまえばいいと思うわ…一つ残らずね」
「すんげぇ物騒な事を言ってるが…まあ迷惑メールなら消せばいいと思うぞ。そんでどんな内容だ?」
「これだよ。あたしの同じグループの男子なんだけど」
どれどれ…
戸部は稲毛のカラーギャングの仲間でゲーセンで西高狩りをしていた
大和は三股かけている最低な屑野郎
大岡は練習試合で相手校のエースを潰すためにラフプレーをした
「く…くっだらねぇ…」
「チェーンメール、ね。比企谷君言う通り消して方が良いわね」
「…」
消した方がいいが。まあ引っかかるよなこんな時期にするなんて
「…そういえばこの三人だれだっけ?」
「ヒッキー!?同じクラスの男子だよ!?」
「いや俺は知ってるのはお前と戸塚と三浦と川崎だけだが?」
「そ、それはそれで嬉しいけど…」
「はぁ…この前テニス騒動の時の金髪の男の取り巻きよ」
「OK。理解したわ」
由比ヶ浜のジト目で睨む。すまんふざけすぎたわ…
その時、ノックが聞こえる。規則正しく3回叩く音が聞こえ。雪ノ下が入るように促すと
「やあちょっといいかな?」
あっこいつはあの時の金髪だ。
「何か用かしら葉山隼人君?用件なら早く言って欲しいのだけれども…何も無いなら帰って頂戴」
あ、あっれー?こいつ機嫌悪くない?ない?思わず由比ヶ浜と目を合わす。そんで漸く彼の本名が判明しました。葉山隼人君、お前さんそんな名前だったんだな。
「結衣も済まない。ヒキタニ君も…」
「…」
「あ、あの?」
「それって俺か?」
「ああそうだけど?」
「ほう…俺の名字は珍しいかもしれんが。ひ き が や だ。名前を知ろうとしない俺よりも失礼なんじゃないのか?お前…俺の家族を馬鹿にしてる事と同じだぞ?それとお前テニスの時だったな。戸塚に言われるまで練習の妨害にしている事に気が付かなかった葉山隼人君?」
流石にな…名前を間違えられるのは腹が立つ。俺を支えてくれた親と小町を馬鹿にされてる気分だ。イラつくな…だから吾輩はテニスコートの件をぶり返すのだ。
「あの時はすまない。間違えてしまった…馬鹿にするつもりは…」
「あーはいはいいいから。そんで用件は?」
「実はこれなんだけど」
「チェーンメールか…それでどうしたんだ?」
「これが出回ってから、クラスの雰囲気が悪くてさ。それに友達のこと悪く書かれてれば腹が立つし」
ならこのチェーンメールを止めたいのか?律儀な野郎だ
「止めたいんだよね。こういうのってやっぱりあんまり気持ちがいいもんじゃないからさ。あ、でも犯人捜しがしたいんじゃないんだ。丸く収める方法を知りたい。頼めるかな」
何言ってんだこいつ…本当に…
『あの娘ってさ、体売ってるらしいよ?』
『うっわーキモイじゃんそれー?関わらないでおこー』
『それで主役とか取ってるんでしょ?そこまでして売れたいの?』
「…」グ
「ヒッキー?」
「…由比ヶ浜?」
「大丈夫?さっきから怖い顔してるけど」
「いや考えていただけだ…なあ葉山?」
「何だい?」
「何故丸く収めたい?」
「え、えーとそれは…」
俺が質問される事を想定してなかったのか?葉山は何も言えず苦笑いを浮かべる。
「いや笑顔はいらないから理由が欲しんだが?」
「比企谷君。待っていられないわ犯人を捜しましょう」
「え、そうなるのかい?」
「チェーンメール。あれは人の尊厳を踏みにじる最低な行為。自分の名前も顔も出さずただ傷つけるためだけに誹謗中傷の限りを尽くす。止めるならその大本を根絶やしにしないと効果がないわ。ソースは私」
「…わお。まあ俺も賛同する。これは止めるべきだな。由比ヶ浜これっていつからだ?」
「先週末かな?」
「先週末ね…随分暇だねそいつ。そういえば職場見学の話が始まった時だな」
「あーそれだよ…」
由比ヶ浜が言うには職場見学のグループでこのような事態が起きてるのではないかと推測した。俺が意外と冴えてるなといったらデカい胸を揺らしてふふーんと胸を張った。まあ褒めてないけどな
「だとすると犯人はその三人の内誰かなんかじゃないのか?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!三人を馬鹿にしてる内容なんだぜ。それは…」
「カモフラージュ。班別けは確か三人…お前と組みたいから誰か一人を貶めようとしたんじゃないか?それで自分も悪く言って捨てのアドレスで広めたのが筋だろう」
「なるほどね。これは早く大元を突き止めた方が良いわね」
「どうしてだい?噂程度なんだしさ」
葉山の一言で俺と雪ノ下は大きなため息を漏らした。葉山があまりにも状況を理解していないからだ。イラッとしつつキレ気味に返答してしまう。
「知ってるか?噂が真実でも嘘でも広まると色んな奴が勝手に妄想してまた良からぬ噂が広まりそれが真実でもあるかのようになるんだよ」
「そうよ。私はそれを経験しているわ…誰かと付き合ってるだの二股してるのだの色々と言われたわ。取り敢えず噂の三人について教えて頂戴」
「ああ、分かったよ。まずは戸部は…」
葉山は自分のグループにいる男子について語ってくれたが…そいつらの良い所しか言っておらず、雪ノ下が3人に超辛口に評価下していた。的を得てるのかどうか兎も角。俺と由比ヶ浜は苦笑いだった。本当に容赦とか情けとかがねえんだな。色々と案を引っ張り出し暫く葉山グループの周辺を探る事にした。由比ヶ浜も気合を入れていたので怖い女子会に少しだけ期待して今日は解散となった。
そんで次の日。俺は戸部達三人を注視していた。由比ヶ浜の方は三浦と眼鏡の奴に聞き込んでいたが恋バナに展開してしまう。そん時に俺を見つめるな意識しちまうだろ。それにしても葉山グループは
異常だな
放課後になって部長の雪ノ下と部員の俺と由比ヶ浜、そして依頼者の葉山が集まり報告会と対策を行う事になった。
「ごめん!一応女子に聞いたんだけど全っ然わかんなかった!」
だろうね。だって恋バナみたいな展開になってもん。それにしても眼鏡の奴鋭いなあの三人がいつもじゃないということに気付くとは…趣味がヤバそうだがな。必要以上に関わらないでおこう
「何か分かったかい?」
「ああ分かったぞ。お前のグループが歪だってな。本当に仲良いのかお前のグループ?」
「何言ってんだい?今日だっていつものように話していたんだけど」
「じゃあお前抜いてあの三人は?三人だけで話した所を見たか?」
「え?」
俺はあの三人の異常さを指摘する。鳩の豆鉄砲のような顔をする葉山。まさかそこまで仲良くなかった三人…そりゃそうなるべな
「犯人は恐らく三人かもしれない確率が高いしあの様子だとお前と職場見学になりたいから誰かを蹴落とそうしたと推測される」
「そんな…」
「ならその三人を粛清して」
「まーて待て待て…だが仲良くなれるチャンスでもあるぞ」
「雪ノ下、宝石泥棒は宝石があるから盗むだろ?」
「ええそうね当たり前じゃない。それがどうと?」
「なら犯人がチェーンメールを出さないようにすればいいのさ。葉山どうする?」
「そうだな…君の案を教えてくれないかな?」
「いいだろう…葉山お前はな…別の奴と組めそしてあの三人で組ませろ。お前と組みたいからこんな事をしたんだろうな」
職場見学の行先を決める日になった。そして葉山グループの三人はあいつらだけで組んでいた。勿論チェーンメールも止まった。班決めだが俺は戸塚と川崎と組んだ。別に誰でも良かったがな…というの嘘ですはい。やっぱり知ってる奴といい
「おかげ丸く収まったサンキュ」
「おうそれは良かった。だがな一つ言っておくぞ…お前を巡って仲間を売るような奴と一緒に居るんだぞ?」
「それでも俺はあのグループを維持したいのさ」
「まあ好きにしろ。俺だったらソッコー抜けるがな」
「はは…手厳しいな…よかったら一緒の班に」
「もう決まったからいいや」
そうか…じゃ、て言って葉山はクールに去っていた。がしかしあろうことか俺達の行先の所に名前を書きやがった。ふっざんけなお前が来たらほら皆来ちまうだろうが、ああほらもう嫌がらせか。くそぁてめえなんざ助けなければよかったわいちきしょーめぇ。こうしてチェーンメールの騒動は知ってる奴だけで静な見学を期待していた俺の希望が葉山によって見事に打ち砕かれたという不本意な結末に終わった。
『親父…お帰り…』
『ただいま八幡…!?お、おいその腕は!』
『ああちょっと刺してた…』
『待て!右手の包丁を捨てろ八幡!』
『止めないでくれ親父…こうでもしないと俺は…俺は…!』
またあの夢か…たしか八幡は中学に上がる前の頃だったな。もうあんな事は勘弁だ。あの頃は試練だったかもしれないぶっきらぼうだが優しいあいつだったから余計に…しかし彼女の取り巻く環境は最悪だった。それでも八幡は支えようとした。しかし、あの事件で…八幡は壊れかけた。今は何ともなさそうだが…願わくばこのまま平穏に時が過ぎれば良いのだがな