次回は遊戯部編ですよ。八幡の過去は大体、千葉村編で明かします。尚、彼の過去を知っているのは小町を通して平塚先生だけです。今はあんまり、出番はありませんが…段々と出番を増やします
side 八幡
職場見学が終わり気温が上がり夏を実感する暑さになったこの頃。俺は変わらず学校に来る。ただ過去と違うのは話す相手がいるということだ。ただ、ちょっとした拗れが生まれているが
「あ…」
由比ヶ浜と目が合う。それはそれは気まずそうにな
「よお」
「あ、うん…」
だからって態度は変えない。普通に挨拶して普段通り過ごすこれが俺のルーティンだ。教室に入れば聞き慣れた喧騒が絶え間なく聞こえる。いつもの光景を見ていつもの席に座っていつものようにホームルームまで時間を潰し時間が段々過ぎ放課後に突入する。そこでは葉山グループの会話が良く聞こえる本当に声でけねえな
ただ…由比ヶ浜はこちらを見るばかり。時折会話に混ざるがぎこちない返事で慌ただなる由比ヶ浜を傍目に俺は彼女の視界から消えるように教室を後にした。由比ヶ浜は優しい馬鹿な部分が見えるがまあ優しいし八方美人でこんな俺にも気を遣う。嬉しい…嬉しいのかもしれないこんな感情を捨てたはずなのにあの日から俺は優しさと親切さを受ける権利は無いのに
自分が罪深い人間とこじつけてあいつの優しさに向き合わない自分自身にイラつく。
俺は馬鹿だな。あいつの優しさを…否定するなんて。お陰で奉仕部に行きにくいもんだ
「ちょっといい?」
「なんですか新入部員の川崎沙希さん?」
「洒落てる場合?とにかく奉仕部に来な」
「はいはい」
新入部員の川崎に連れられ奉仕部へ向かう。なんかやってるのか?意外と力強い
「連れて来たよ雪ノ下」
「ご苦労様川崎さん。比企谷くんあなた由比ヶ浜さんと何があったの?答えなさい」
「別にあいつが入学式に助けた犬の飼い主だったということを知っただけだ以上」
今だから明かされる真実!新聞でよりありそうな見出しを連想させつつ報告する。報告は大事。うん
「そう、それでこいつは由比ヶ浜の優しさを否定した」
「…比企谷くんちょっといいかしら。その入学式に轢かれた車は…どんな種類だった?」
「黒くてやたら高級な車だったな。あと趣味悪そうな像?みたいなもんがボンネットの先にあったな。それがどうした」
あの時の記憶を思い出す。足に違和感を感じながら元気に飼い主の元に戻る犬を探す傍らふっと視界に入った車を見る。黒い車で高級そうな車であったのはよく覚えている
「成程ね…比企谷くんごめんなさい。遅い謝罪で」
「はぁ?」
「その車私が乗っていたの。まさか轢いた男子生徒があなただったなんて…」
お前もか、あの現場にいたのは
「別に気にしねえよ。もう過ぎたことだ。いちいちそれを引っ張られても困る」
「ありがとう…でも」
「由比ヶ浜との仲もなんとかするんだよ。このままにしとくのは駄目、比企谷」
「比企谷くん…事故とは関係無しに彼女の由比ヶ浜さんの優しさを受け入れて頂戴。あなたにどんな過去があったかは知らない…でも、そのあなたが言う権利はあるのかしら?それはあなたの我が儘よ。小学生と変わらない物…だから由比ヶ浜さんの優しさを無駄にさせないであげて、あなたはもう一人ではないわ」
「…俺は一人だ。いつまでも」
「この奉仕部の部員である限り部長の私を始め由比ヶ浜さん、川崎さんに平塚先生もいる。もう独りよがりは辞めて頂戴…」
「今が無理でもいつかは向き合ってあげて、アンタには助けられたのだから今度はアタシたちが手を貸すよ」
そうか…そういうことか、俺はもう一人ではないのか。そうだこいつらは違う小学生時のあいつらとは違う…信じよう。こいつらを信用することはできると思う
もう一人で背負うことをしなくてもいいのか…俺は…なら向き合おう。人とちゃんと向き合おう。考えたくもないがまた幻滅するかもしれない、また醜い部分を見るかもしれない。だけどそれから逃げる続けるのは…もう辞めよう
許してくれ、でも贖罪の道は続ける…許されるまで
「そこで由比ヶ浜さんの誕生日会をやろうと思うわ。本人がここにいないから話は進めるわ」
雪ノ下が提案したのは由比ヶ浜の誕生日会だった。由比ヶ浜のメールアドレスから6月18日が彼女の誕生日と推定した。そして、その日にもう一度由比ヶ浜と話し合いよりを戻す。それが今回の目的だ。今度の休日にららぽでプレゼントを買いに行くことに、尚、その前日に戸塚と材木座と出会いプリクラ取ったり材木座がシナリオライターに転向すると言った時に俺がキレたことをここに記す…本当にあいつは…
「おいてめえ…あんときの声援返せや…」
「ひぃ!?すまぬ、八幡よ!?それ以上睨まないで!?」
「あははっ…仲良いんだね」
いやどこが…リアル格ゲーで材木座をボコボコに仕掛けるところだったぞ
プレゼントの買い物当日…事情を知った小町と由比ヶ浜を除く奉仕部のメンバーが揃った。雪ノ下はいつものロングからツインテール…清楚な印象が強い彼女だがこればかりは可愛いらしい。川崎は割とラフな感じの上着にジーパンというスタイルで川崎らしい大人な感じの印象を受けた。小町が俺に二人の服装について一言を求めてきたので思ったことをそのまま伝えたら二人とも暫く顔を合わせてくれなかった。なんでだ
気を取り直して買い物を始める。しっかし、まあ広いこと
「驚いた…かなり広いのね」
「何アンタら、あんまりここに来ないの?」
「まあな…」
「お兄ちゃんあんまりこういうとこ来ないもんねー。私としては目的を絞った方が」
「なら効率重視だ。雪ノ下はここ、川崎はここ、小町はあっちだ。俺はここを…」
「ストップです♪」
「…なんで俺の指を曲げってんの?」
川崎はため息を吐き、ジト目で俺のことを見てくる。なんだよ賛同してくれたのは雪ノ下だけかよ
「お兄ちゃんも雪乃さんも、そのナチュラルに単独行動取ろうとするのはやめましょう。せっかくなのでみんなで回りませんか?そのほうがアドバイスし合えるし、お得です」
「というか部活だけの交流もあれですし今回は買い物序に楽しみましょう」
「ええでも…」
「いいじゃん。あんまりこんな機会ないんだからさ」
「それもそうだな」
別々で動くことから纏まって行動することにシフトチェンジ。色々見て回ることになるが
「この道でいいんだろう。小町…て、いない」
最愛の我が妹がどこかに姿を眩ませていた。雪ノ下も川崎も俺の質問で気付いたようで俺が電話しても出ないのでやむを得ず買い物を続けることに…それから歩き続けると千葉にあり日本で有名なテーマパーク、ディスティニーランドの人気キャラクターのパンダのパンさんをぬいぐるみが置かれてる店を見かけたが、リア充の由比ヶ浜なら行ってそうなのでこれは除外だな、というか他の可愛いぬいぐるみとか持ってそうだし
…どうして二人ともそこで歩みを止めた…原因は十中八九、あの目付き悪いパンダだな、うん
「どした?」
俺のそう言ってる頃に二人とも袋を携えたまま戻ってくる。
「別に…」
「妹のお土産だよ、アタシは」
「あっそ」
これ以上の追求するような野暮な真似はしなかった。ところ変わって別のフロアで由比ヶ浜のプレゼントを探すがこのエリア…女性物を取り扱うエリアで店員から目が冷ややかなだ。だが、雪ノ下と川崎がいるので最悪な状況にはならないだろう。後、道中にて雪ノ下が方向音痴であることが判明…だって目を離した隙にどっか行きそうになっていたからな俺と川崎が慌てて連れ戻すが…それも何回もだ。雪ノ下も申し訳なそうな感じだったが、あえてこういう弱点があるんだな、とある意味ホッとした俺たちがいた。
由比ヶ浜の趣味趣向を考えていくと、川崎の鶴の一声で大きく進展する
「由比ヶ浜ってクッキー作りに来たんでしょ?なんか料理に関係するもんでいいんじゃない?」
「「それだな(それね)」」
周りを見渡して丁度良さそうな雑貨店へと足運んだ。さっそく、調理器具コーナーへと足を運び商品を見ていくと雪ノ下がエプロンを選別していて何やら引っ張ったりしてる
「耐久性かいな…デザインでいいんじゃね?」
「そう…あなたと川崎さんがいてよかったわ。分かっていると思うけど…私のセンスではどうしようもないから一言頂戴」
「そうだね…デザインで決めれば?あいつは可愛い系が良いと思うけど」
「そうね…これはどうかしら?」
川崎の助言により猫をあしらったエプロンを試着する雪ノ下を見て、川崎と声がハモった。
「「それはお前(アンタ)が好きなもんだろうが」」
「あれだ雪ノ下、由比ヶ浜はなんだろう…ぽわぽわした感じ…頭悪そうな」
「「それは悪口よ(だ)」」
「アンタら真面目にやりな!」
「「これが平常運転なんだが(なのだけれど)」」
頭を抱える川崎。なんだよ俺たちが変人みたいなもんじゃないか………そうだけどさ。改めて自覚すると何だろう悲しい
「これならどうかしら」
「ピンクのエプロンか、いいんじゃね?あいつが好きそうだしな」
ピンクのエプロンをお買い上げとなり、後は小町と合流するだけ…何してんだが。あと雪ノ下があの黒いエプロンも買いました。衝動買いっすね…これは…
「なんか時間が余ってるな…小町と合流して適当に店で食うか?それと寄りたい所があるんだが」
「賛成、でもたくさんあるけどどこにする?」
「ごめんなさい、あまり外食をしないものだから…分からないわ」
「サイゼ…でも微妙だな安いけど」
今後を予定について話して行動に移す。俺が寄りたかったペットショップによりある物を買う。割とすぐに終わったが雪ノ下が猫をもふっていたので暫くゆっくりしていた。川崎はアレルギーなので外で待ってもらい、小町と合流しようと向かうと、ふとゲームセンターのクレーンゲームに目が入ってしまう。ここで意外な人物が足を止める、そう雪ノ下だ。普通ならこんなゲームには興味など微塵もないだろう…だがそこにはパンさんがいたのだ。
俺は思った…さっき買ったじゃん
「時間あるし…やれば?」
「結構よ。別にゲームがしたいわけではないもの」
「その割には見てるけどね」
川崎の指摘でそっぽを向いた雪ノ下。けどやることを決意しまずはワンコインを入れる
「あっ」
ミス…何回も繰り返すが失敗を繰り返す。
「あと…あともう少し…」
埒が明かないのでここで切り札を投入する。
「すみませーんいいですか?」
「はーい」
店員さんを召喚する。そう店員頼みでパンさんをゲットだぜ!……そんな眼でみんじゃね二人共
「あなた恥ずかしくないの?」
「比企谷らしいね」
「いいんだよ。別に誰かに頼っても…一人でなんとかするのもいいが、それは融通が利かないという一面があるぞ雪ノ下?」
取って貰ったパンさんを雪ノ下に手渡し、いざ小町の元へ。雪ノ下がパンさんが好きな理由が昔読んだ絵本で好きになったらしい
「あれー?雪乃ちゃん?あ、やっぱり雪乃ちゃんだ!」
雪ノ下の名を呼ぶ声に三人が振り向くと、そこにセミロングで年上っぽい女性がそこにいた。顔立ちが雪ノ下に似ている上に雪ノ下を名前で呼ぶあたり…親戚か誰かが?
「姉さん…」
「「えっ?」」
思わず顔を合わせてしまった俺と川崎…
「こんなところでどうしたの?――あ!デートか!デートだなっ!このこのっ!」
雪ノ下の姉、またの名を姉ノ下さんが雪ノ下のことをおちょくりご本人はそんな姉に冷めた目で見る。ここからでも分かるぐらいに冷気とイラつきが伝わる
「ねぇねぇ、あれ雪乃ちゃんの彼氏?彼氏?もう一人はお友達?」
「彼は同級生よ。彼女も同じ部活の同級生よ」
「まったまたぁ!別に照れなくてもいいのにっ!」
雪ノ下はイラつくが姉をあしらうあたり慣れている様子だ。
「あの雪ノ下が困ってるんでいいですか?」
「ふーん、あなた名前は?」
「そっちから名乗るのが先では?」
「そうだ!自己紹介しないとね。私は雪乃ちゃんの姉、陽乃です。雪乃ちゃんと仲良くしてあげてね」
「比企谷八幡です」
「川崎沙希…です」
「比企谷…川崎…へぇ」
俺たち二人を頭から足の先まで見られる。その時寒気を感じた…隣にいる川崎も感じてるようだ。それを察したのか雪ノ下は姉である雪ノ下陽乃を睨み付けた。
俺はこの時違和感を感じた。何故、寒気を感じるのか?そして、彼女の一つ一つの言葉に何か胡散臭さを感じた。特に彼女の表情一つ一つに、とてもそれが本心なのかと思える程…そして、俺たちを舐めまわすような眼…何かに期待している眼でもあった。そこである考えが俺に浮かんだ
「そうですね、妹の雪乃さんとはいつも仲良くさせて貰っています。まさか、お姉さんがいるとは思いませんでした」
「あっ、やっぱり~?雪乃ちゃんって素直じゃないからさ~照れてるんだよね~」
「こんな綺麗な人が雪ノ下のお姉さんとは思いませんでしたよ~」
「いや~そんなことないよ~うんうん、ところでさ…」
「それって君のキャラクターかな?」
「…あなたが普段話しかけてうんざりしそうな人間の真似をしたんですけど、どうです?」
「へぇ…君面白いねえ…分かっちゃうんだ…」
「気でも悪くしましたか?それなら」
「いいよ謝罪しなくても、じゃまたお姉さんと会おうね~」
「それと雪乃ちゃん。一人暮らしのこと…お母さんまだ怒ってるよ?」
「じゃあね…比企谷八幡くん。また会えるといいね」
興味が失せたと思ったら俺の演技に気付いたようだった。ちっ…彼女のようにはいかなかったか…まあいい。最後は俺に満面の笑みを向けてきたけど、寒気が走る。なんだろう…死神に憑りつかれた気分だ
「比企谷くん」
「比企谷」
「おーヤダヤダ。できれば会いたくねえなお前の姉ちゃん…それとお前の姉ちゃん凄いな」
「そうね、皆そう言うわ。私を超える人…まさに完璧な人」
「いやそうじゃない。あの鉄仮面?強化外骨格みたいなあれよ」
「気付いていたの?」
「昔取った杵柄さ…」
あの頃の彼女が付けていた仮面に比べれば…雪ノ下陽乃の仮面はまだ分かりやすい。何故、彼女がその仮面を被ったのは知らない。まっ俺には関係ないが
「捕捉するけど姉さんの仮面はよく仕事柄、パーティーでよく挨拶するのよ」
「ふーんあっそ…なんだろう…またどっかで会いそうな気がする」
「案外、近くにあったりして」
「ねえ、それフラグって言うんだけど」
あーなんだろう疲れたぞ、俺は…あの後小町と合流し適当にランチを取ってそれぞれ帰路へと着いた。後日、由比ヶ浜の誕生日会と仲直りが決行される日となった。登校日、教室に入るとクラスに由比ヶ浜がいた。いつも通りに葉山グループに混ざっている。そして、放課後…
「何してんの」
「うひゃあ!……あ、ヒ、ヒッキー。や、やーその、なに?空気がおいしかったぁら、というか……」
「…嘘が下手だな。待ってるぞ」
由比ヶ浜の手を掴み奉仕部の扉をあける。そこには
「「ハッピーバースデー由比ヶ浜(さん)」」
「え、え、えぇ~!?」
「今日はお前の誕生日だろ。実は奉仕部の皆で計画していたんだよ…お前も奉仕部の大切な部員だからな」
「ヒッキー、ゆきのん、サキサキ…」
「まあそのなんだ…この前は悪かったな。もうあんなこと言わねえよ」
「うん、絶対だよ?約束だっかんね!破ったら…えーと、サボテンを飲ませるからね!」
「針ではないんかい」
川崎の手料理と雪ノ下の手作りケーキを堪能しつつ祝いの言葉を掛けて行く、確か…あの頃か。俺と彼女だけのバースデーパーティー。いや、今はよそう、由比ヶ浜を祝うことだけを考えよう。幾らでも悔いることはできる…だから今じゃない。それに…この奉仕部に愛しさを感じることが多くなった。俺がいて、雪ノ下、由比ヶ浜、川崎…そして、知り合った戸塚、材木座…俺はここを居場所にしたい。ここは俺を真っ当な「人間」に戻してくれるかもしれない、だからこそ…ここを守りたい
「由比ヶ浜、プレゼントだ。受け取ってくれ」
俺が買ったプレゼントを渡したのだが…
「ありがとうヒッキー。これ似合う…かな?」
「ふーんチョーカーか、アンタにしては珍しいね」
「あら、そんなファッションとか詳しかったかしら、てなんでそんな渋い顔をしているの?」
「…あの、その」
「犬の首輪なんだが…お前の犬の用にな」
「さ、先に言ってよ!バカっ!」
や っ ち ま っ た
これは俺の悪いな。先に言わなかった俺が…ハッ
「由比ヶ浜がまともな指摘をしただと!?」
「それは言えてるわね。由比ヶ浜さんにしてはまともね」
「さっきのサボテンといい…」
「それってどういうことだし!もう…」
「ありがと!」
「「「どういたしまして!」」」
『あいつの過去についてアタシはちょっと知ってるよ』
『そうなんだ。だったら』
『待って二人とも…ねえ由比ヶ浜さん。こればかりは待たない?』
『えぇ…でもヒッキーのこともっと知りたいし…』
『私もよ。でも彼ならいつか…いつか話してくれる。それまで待ちましょう…ね?』
『ゆきのんが言うなら…』
『そう…なんか悪いねぇ余計なことをして』
『いいえ。気にしないで川崎さんそれに彼に一体どんな過去が…』
『アタシもそこは知らないけど…予想以上の辛い過去かもね』