夏休みも終わりに近づいていく、林間学校の後、戸塚と材木座と共に映画を見に行ったり川崎と再会したりしていた。ただ、雪ノ下と会えなく由比ヶ浜を筆頭に寂しがっていたがな…あと川崎の妹のけーちゃんに懐かれた…普通なら俺は引かれると思うのだが
何よりも平塚先生に出会いラーメン屋に行ったことであの人物について少しだけ分かった。
雪ノ下陽乃
あの女の目的は分からない。何故、俺に構うのか?林間学校の帰りに掛けた言葉は構ってちゃんの言葉だった。外面に付けている鉄仮面のことを話したら流石と、褒められた…親父の教育と彼女の演技を見てきた賜物だな。こればかりは感謝しないとな二人に
それにしても何故、雪ノ下陽乃は彼女ことを知ったのか?平塚先生にいくつか質問するとまず、雪ノ下グループの令嬢であること。更に市議会議員であることから少なからず合点が行く、まだ本当のことかは分からないが彼女の亡き母とは親が知り合い…だったか、それとも仕事で少なからず関わりを持ったか…だろう。そして、彼女の身に起きた事件…興味を持った雪ノ下陽乃が俺を調べて行く内にその事件を知り、何らかの伝手で俺と彼女が関わりを知った…ということだろう
…今彼女は元気だろうか?手紙やらメールやら送りたい所なんだが。生憎、住所もアドレスも知らない俺に手段は無きにも等しいのが現実だ。彼女の父親もどうしているのか…ただどっかに転職したというのは聞いている。彼女も退院後はどうしているのか?リハビリは終わってると思うし演技の世界にまた入るのか…それとも普通の人間として生きて行くのか…俺には分からない
夏休みが終わる三日、二日前…我が家には由比ヶ浜家で飼われているサブレがお邪魔していた。由比ヶ浜一家が旅行に行っているので家で預かっているのだが…只今、カマクラと追いかけっこの最中だ。サブレが人懐っこいしカマクラに構って欲しいのだろうがカマクラ自身も自分の習慣を壊したくないそうで冷蔵庫の上からサブレを威嚇している。猫パンチでもかます準備できてるようだな、そんなカマクラを宥めつつ扉が開く音の方に振り向けば妹の小町が足を擦りつけてくるサブレを拾い上げ抱き上げる
「お兄ちゃん~結衣さんそろそろ帰ってくる、て」
「そうか、サブレともお別れだな」
「ねえお兄ちゃんさ…最近、表情が柔らかくなってない?」
正に藪から棒、その質問に少し頭を傾げると得意げに笑う小町
「だってお兄ちゃん、前より感情が表立っているもん…雪乃さん達と出会って変わったもん」
「そう…なのか?」
「うん昔みたいに…ある意味人間らしくなったよお兄ちゃん」
「分かるのか、俺が変わったの?」
「お兄ちゃん妹を15年も続けているんだよ?」
ふふーん、と胸を張る小町に頭を撫でてしまう。策士だな…その頭を勉強に行かせればいいのにな
「じゃあお散歩に行こう!」
「行ってら~」
「お兄ちゃんもですよ~」
「……マジで?」
由比ヶ浜から託されたお世話セットの中からかつてプレゼントした首輪を見かけそれをサブレの首に掛ける。尻尾を振りながら受け入れる辺り俺をもう一人ご主人と思っているのか?リードは小町が握りサブレに引っ張られる形で散歩がスタート、サブレは何事にも興味深々なのか?訂正…草食ってた
変わったか…事件が起きる前に戻ったということか?あの日以来、俺は縋るように許されたい一心で贖罪の道を歩んでいた。高校に入ってあいつらに出会った。最初は面倒くさい奴らだと思ったが、あいつらと問題を直面する度に何かが…何かが変わったんだろう。もしかして小町はあの頃に戻りたい…いや戻れないことを知っている。でもそれに近い状況、光景を見たいのではないだろうか
「ボーっとしてると置いて行くよ」
「はいはい今行くぞ」
「ねえ…お兄ちゃん。私があの頃に戻りたい、て言ったら…どうする?」
「…そうだな、止めはしない。人は苦しいことよりも楽な方に逃げたがるからな別にいいんじゃないのか?」
「そう…分かった。お姉さん…元気だといいね」
「ああ…」
何年も経ったが小町も親も忘れていない。多分、連中だって忘れていないだろう。あの事件は多くの人を狂わせたのだから。俺も家族も彼女もあの女グループも主犯の男も関係無い生徒も巻き込んだのだ。17歳になった今…俺はあの事件と彼女と向き合い続けている。それの終わりはあるのか?いつかは彼女の笑顔が見れた時は俺はどうなるのだろうか?それで贖罪は終わるのか、それとも彼女から許して貰えるのか?
こんなことを考えている俺は前に進めているのだろうか。ゴールが見えない…いやもう決めたはずだ。贖罪の道を歩むことを続けると
夕飯を作ってる時間帯に由比ヶ浜がサブレを引き取りにやってきた。
「あっやっはろー」
「おう」
「はい、これお土産」
紙袋を渡されると地域限定のお土産だ。定番だよな…そういうの…あれ懐かしい記憶が…
『八幡くんはいっ、これお土産ね』
『お、おうサンキュー…』
よく彼女が撮影先でお土産を買っては俺に毎回欠かさず渡してくれて…あれ目から水が
「ヒッキー!?どうしたの!?も、もしかしてお土産が気に入らない…」
「ち"か"う"。昔、あの娘から貰ったのを思い出して遂…」
「ごほん取り乱してすまんな。ほらサブレ主人だぞ」
「サブレ~結衣さんだよ」
あれ?微動だにしないな…不思議に思った小町がイヌリンガルで翻訳
「わふ?」(この人だれー?)
「‼!!????‼?‼!!?」
「サブレぇ!?」
流石の俺もこれに驚いた。半泣きの由比ヶ浜…なんて言葉を掛ければいいんだよ…
「ふ、二日もすれば思い出すんじゃね?」
「お兄ちゃん、それフォローになってない」
「うぅ…」
取り敢えずキャリーバックにサブレをそっと入れて由比ヶ浜に渡すと
「ねえヒッキー…花火大会あるんだけどさ…一緒にどうかな?」
花火大会。行くかどうかははっきりしなかったが小町へのお礼の品を買いに行くという事と由比ヶ浜一人に行かせる訳にはいかないので同伴することになった。電車に乗る為駅の改札に向かう道中で浴衣着ていく女性たちを見えていく、それも電車の中でも同じ光景だ。きっと由比ヶ浜も同じように着物を着て来るんだろうな。行先の駅に着いて改札を潜る。電柱に寄りかかって待っていると、やはりというべきか着物を身に纏う由比ヶ浜が待っていた。
「あ、ヒッキー。ちょっと、ばたばたしちゃって……、遅れちゃった……」
「問題無い、俺も丁度来た所だからな」
「う、うん」
「行くぞ」
気まずそうにしているが気にしない素振りで由比ヶ浜を手を引いて下りの電車に乗っていく、下駄を履いている為か少しフラフラとする。しっかりと支えてやる事にする
「あ、ありがと」
「どういたしまして」
「ヒッキーって花火大会行った事あるの?」
「昔、彼女とな…いーや振り回されたよホント」
夏休みの時、数少ない休みだからと急かされて行った夏休み。ワンピース姿の彼女にインドア派の俺が手を引かれあっちこっちに連れて行かれて懐かしい記憶だ。まあ、懐かしむ事を楽しむとするか由比ヶ浜に感謝しないとな
「今日はありがとな」
「うん、思い出作ろうね」
「そう…だな。雪ノ下と川崎も誘いたかったな」
「そうだね、沙希は家族の事もあるしゆきのんは……」
途端に顔を曇らせる由比ヶ浜。この花火大会まで戸塚、材木座、川崎たちと出会ってたが雪ノ下だけとは会っていなかった。だけど
「この規模の祭りなら自治体で雪ノ下家の人間が来るかもしれない」
「じゃあ、ゆきのんに会えるのかな?」
「かもしれないが…姉ちゃんに会う可能性が高いからな」
「ヒッキーの昔の事を知ってる人…」
そうだ、あの人何処で俺の過去を…まあいい。それに関しては問い詰めてやる。
と、それは置いといて…
「何する?買って食う?遊ぶ?」
「うーんとね…あ、そうだ。小町ちゃんからお礼のリスト、メールで貰ってるんだ」
携帯の画面を見せてくる由比ヶ浜、画面には
小町のお買い物リスト
焼きそば 400円 わたあめ 500円 ラムネ 300円 たこ焼き 500円 花火を見た思い出 プライスレス
全く、あの妹は……焼きそばから思い出まで全部揃えてやるよ。勉強頑張ってる小町へのご褒美だ。買いに行くとするか。リストの順番通りに買い物を始めていく俺たち。人混みに巻き込まれないようにしっかりと由比ヶ浜の腕を掴んで屋台を巡っていく、途中で俺たちの分のラムネやわたあめとかも買っていく、宝釣りの屋台でPS3を見かけたが、あれは親父が買ってるし俺もあんまりゲームしねえしな偶に材木座がやらせてくれるけど
買ったラムネで乾いた喉を潤していると、誰かが由比ヶ浜に挨拶をしていた
「あ、ゆいちゃんだー」
「お、さがみーん」
さがみーんと呼ぶ同い年ぐらいの少女に軽く手を振る由比ヶ浜、会話に混ざらず少し離れて様子を伺うように観察する。なんだろうこの感じは……
「えっと…」
「あ、うん。そうそう同じクラスの比企谷くん。こちら、同じクラスの相模南ちゃん」
軽く会釈すると
ふっ、と笑った相模南。その眼には格下を見る、自分の方が上だという目。いたわ…昔のあの女子グループと同じ奴じゃんかお前。まあ俺なんかクラスじゃ目立たないし左腕に包帯を巻いている痛い奴…本当に左腕は痛々しい傷だらけなんだけどな。この前、会った材木座に軽く過去を話して腕見せたら顔悪くしていたのが印象に残ったな。多分、パンドラの箱を開けた気分だろうな
「あ、そうなんだー!一緒に来てるんだねー。あたしなんて女だらけの花火大会だよー。いいなー、青春したいなー」
こいつ…俺をネタに由比ヶ浜を蔑むつもりか?そうなると遂に睨みそうになるが由比ヶ浜の事も考慮してあんまりそういう事もできない
「うん、そうだよー今日は約束して来ているんだー」
満面の笑みで相模に返す由比ヶ浜。まさかの返答に顔を少し引き攣らせた相模は
「そ、そうなんだーうちらもう行くから。バイバイー」
退散していく相模。最後に俺からの「凝視」というプレゼントを送る。この勝負、由比ヶ浜の勝ち
「えへへ行こっか」
「ああ」
相模の背中にウィンクして舌を出す由比ヶ浜を見て、こいつやりおるわー、と思った俺氏でした。焼きそばを買ってどっかで食べたいので場所を探すが、それと同じ考えの奴は何十人でも何百人でもいるので場所取りに一苦労する
「シートあればな…」
ホント持ってくればよかった。由比ヶ浜の浴衣を汚したくないしな…ここは立ち食いか中腰で食べないといけないな…なんて憂鬱な事を考えていたら
「あれー?比企谷くんじゃん」
来 や が っ た。思わず振り向いてしまった。幻聴であって欲しいと願ったがそれは叶わず、悪戯心に溢れた笑顔でニコニコとする雪ノ下陽乃と俺の過去を独自で調べ警戒心を抱く由比ヶ浜。俺の袖を握っている手が強くなる。だがな、今回は逃げるつもりは無いし色々と聞きたい事があるからな
さあ、答えて貰うぞ…雪ノ下陽乃。何故、彼女の事『 』を知り、どの経緯で知ったか…教えて貰おうじゃないか
「父親の名代でね、ご挨拶ばっかりで退屈してたんだ。比企谷君が来てくれてよかったー」
「はぁ、すごいっすね」
超適当に興味なさげに返答する
「ふふっ、貴賓席っていうかな。普通は入れないんだから」
自慢する子供かよ…掴みどころのない人だ。どこか大人で子供っぽいし得たいの知れない何かを持っている。それが俺に雪ノ下陽乃に対する評価だ。会いたくないランキングはぶっちぎりの一位だ。おめでとうございます。今後、あなたから連絡先貰ってもすぐに捨てます。やったぜ
「セレブだ…」
「まぁね、知ってるでしょ?わたしの父の仕事。こういう自治体系のイベントでは強いの」
「県議って市にも強くでられるんすか」
「お、めざとーい。さすが比企谷くん。でも、これはどちらかというと県議っていうより会社のほうかな」
丁寧に説明していく雪ノ下陽乃。俺は相槌を打ちながら、話を切り出す。俺は由比ヶ浜に耳打ちをして席を外してもらった
「まあそんなことよりも」
「何処で俺の過去と彼女の事を知った雪ノ下陽乃」
「おぉ、早速切り出して来たねーどうしようかなー」
「答えろ。人の過去を知ったんだ。立派な個人情報だぞ」
「じゃあお姉さんの個人情報…聞いちゃう?聞いちゃうの?」
ぐいぐい迫ってくる雪ノ下陽乃にイラつきを覚えるも我慢、ここでスリーサイズでも聞いたらどうだろうな。引かれるからやめておこう。会話が思わず脱線しちまった…いかんいかん
「…そんであんたがどういう経緯でその二つを知った?それとなんで知ろうとした?」
「そうだね…まずは知ろうとした事について話そうか。たぶん君なら知ってると思うけど私の家はどんななのか知ってるでしょ?」
「その鉄仮面ができたのは家と関係してる…」
「その通り…というかよく私の本当の顔に気付いたね…それとこの前の」
「仮面を被った臆病者…君は私をそういう風に思っているんだ?」
「そうですよ。彼女の芝居や演技の練習に付き合っていたし親父の教育のお陰であなたの仮面なんてすぐに見破る」
その時に雪ノ下陽乃の横顔を覗くと口元が緩んでいるのが見えた。そうか…俺の予想が正しいければ
「あなたが俺のことを知ろうとしたのはそれだ。雪ノ下陽乃、あなたは…」
「本当の自分を見て欲しい人が欲しい。もっと簡単に言えば理解者が欲しい…そうでしょ?」
「うーん…9割正解かなー?」
「残り1割は?」
「ひ み つだぞ☆」
「チッ‼」
思わず舌打ちをしてしまった。まあ、大方知れたのは大収穫だ
「信じて貰えないかもしれないけど私は君の敵じゃないよ?」
「でも最大限の警戒はしますよ?」
「えぇー比企谷くんに嫌われちゃったー悲しいなー」
「あんな事言わなければよかったんじゃ…」
聞きたい事の一つは聞けた。雪ノ下から聞いたけど外回りでよく出掛けている彼女は早くにそういう世界を知ったんだろうか。雪ノ下家は大手建設会社、更に県議員…政治家の世界はよく知らないがスキャンダルとかあるからそういった隙とか見せてはいけなかったり弱みを見せていけない必要がある。後、彼女は長女だ。次女の雪ノ下はどうか知らんが後継者になりやすいのは雪ノ下陽乃だ
だから仮面を身に着け得ない環境になっていた。それも小さい時にまあ同情はしないがな、彼女の事を知ったのは別だ
「まあ俺の事を知ったのは理解しましたよ…でも彼女の事はどう知ったのですか?」
精神科医で世話になった先生が愚痴で言っていたが、医療従事者は患者の情報を提示するには本人の許可が必要と言っていたはずだ。病院に入院していたのは父親と俺の家族だけしか知らない
「それはね、私のお母さんが知り合いだった事と昔、面倒見てくれた事があったの」
「俺の予想通りか…」
「それとね、隼人のお父さんのねお仕事のデータ整理をお手伝い序に探ったらね…ビンゴだったの。それで君の経歴と彼女の経歴を調べてあらビックリ同じ小学校だったなんて、さぞや楽しい生活だったのかなー?」
「ええまあ…」
「中学校までは調べられなかったけど…君はかなりトラウマを持っているじゃない?去年は今まで誰とも関わらないようにしていた君がどうして今年になって交友関係を築いたのかな?」
モールで会った頃と同じ笑顔を俺に覗かせる
「それはあいつらに会って…あなたの妹から逃げるな、て言われて。由比ヶ浜の優しさに振れて川崎に助けられて…」
「ふーん、所でさ…」
「それってあの娘たちの代わりかな?」
その時、立ち上がって雪ノ下陽乃を見下ろす。女に手を出す趣味はなく拳を握り続ける
「その言葉を取り消せ…」
「ふーん、でもさ。君はさいつまで逃げているの?」
「俺は逃げて…」
「君は贖罪という名前に寄り縋って逃げているんだよ…まっ君は私のことを仮面を被った臆病者と言うけどさ…それは認めるけど君も君で臆病者だよね」
「…」
なんでだ…なんで言い返せない。お前に俺の何が分かる?俺がどんな気持ちでここまで来たと思っている。だが、その言葉に言い返せない俺がいる
「図星だね~、まっ私もそうだけどさ」
「っ…」
「お相子だね…お姉さんに勝とうなんて思わない方がいいかもねー」
「でも、そんな顔する比企谷くんも面白いねー林間学校も隼人に突っかかったらしいね。その場面見たかったなー私も」
「雪乃ちゃんは選ばれるのかな…あ、今は関係ないか…雪乃ちゃんはね。私の後を追いかける可愛い妹だけどね…」
雪ノ下陽乃の言葉が頭に響く、だけど雪ノ下の事だけは頭にすんなり入ってきた。少しだけの余裕と冷静さを取り戻して、質問しようとすると由比ヶ浜が戻ってきた
「いや、あの話終わったかなーと思って」
その花火が打ち上がる音が響き炸裂する音が続いて響く、丁度いいタイミングで戻ってきた由比ヶ浜に感謝しつつ雪ノ下について質問する
「質問を変えます。雪ノ下は今、何を?」
「あ、そうだった…ゆきのんは元気なんですか?」
「心配してるんだー雪乃ちゃんは本当に良い友達を持ったねー…大丈夫元気だよ、ただ実家にいるけど」
「…なんであいつは独り暮らしなんですか?」
「雪乃ちゃんの我が儘かな?お母さんは最後まで反対だったけどね」
つまり親とは上手く行っていないという事なのか?雪ノ下にとって、それが唯一の反抗…という訳か。この長女にして母親は一体…何者なんだ…ラスボス?
「あのー雪ノ下さんは…いくつ何ですか?」
「今年で20歳…でもまだ19歳だよ。それよりも雪ノ下さんなんて固いから陽乃さんでもいいよ。はるのんでもいいよ♪でもいいし」
「じゃ、じゃあ陽乃さんで…」
砕けた口調に引きつつも陽乃さんと呼ぶ由比ヶ浜…やっぱりこの女は厄介極まりない
「そういえばガハマちゃんはさ…雪乃ちゃんについてどんな風に思っているのかな?」
「す、好きです!かっこいいし誠実だし頼りになるし、でもときどきすごいボケかまして可愛くて、眠そうに――」
と、色々な特徴を上げていく由比ヶ浜に陽乃さんはある事を聞く、それを聞いた時性格悪いなーと思ったし試していると思った
「みんな最初はそう言ってくれるんだよ。でも、最後はみんな同じ、雪乃ちゃんに嫉妬して憎んで、雪乃ちゃんを拒絶して排斥し始める。……あなたは違うといいなぁ」
「…そんなことしませんよ。確かに仲違いしましたけど…それでも元の関係に戻れました!あたしにとって、ゆきのんは大切な友達です」
断言する由比ヶ浜に少しだけ羨ましいと思った俺がいた。その言葉に満足した様子の陽乃さんは俺にも同じ様に問う
「比企谷くんは言わなくても分かるよね?」
「あいつには色々と救われたり救ったりしてる仲ですからね…」
「そっか…私は混む前に帰るけど?」
「じゃあ、あたし達も帰ろっか」
「そうだな」
有料エリアから抜けて駐車場へ着くと見覚えのあるハイヤーが止まる。仕事早いな…
「目立つところに傷なんてないよ?」
「別に気にはしませんよ。あの時の俺はサブレ…犬の代わりに死ねるなんて思っていましたから」
「ぷっ…何それ…やっぱり君は…」
「面白いね」
「…今晩はどうもでした…さよならです」
由比ヶ浜の手を引いて駅へと向かうことにした。少し混んでいるがまだ大丈夫だろう
「ヒッキー…陽乃さんとどんな話をしてたの?」
「それな…ええと確か」
由比ヶ浜に陽乃さんが俺に話したことをそのまんま伝えた
「そうだったんだ…意外な縁だね…」
「本当だよ…雪ノ下家がより一層怖く感じる」
「あっはは…」
苦笑いする由比ヶ浜…どうなってんだよ雪ノ下家。泣きそうだわ…一癖二癖もある姉妹を生み出しやがってよ
「なあ由比ヶ浜…」
「どうしたのヒッキー?浮かない顔してるけど」
「俺は逃げてるのかな?彼女から罪から…」
陽乃さんに言われたあの言葉…俺は逃げているのだろうか?このままでいいのだろうか?奉仕部と取り巻く環境を昔の光景に重ね、三人を彼女代わりにしているのではないかと
「あたしは…分からないけど…」
「それでもあたし達はヒッキーの味方だから…ヒッキーに助けられた分が今度は力になるから」
「分かった…その時は力を貸してくれ」
電車に揺られ由比ヶ浜が肩に頭を預けてきて俺はそれを受け入れる
恵まれてるな…俺。この場に川崎がいたらどんな言葉を掛けてくれるのだろうか?それと雪ノ下に会えるかな?もし彼女と再会したら俺は
どんな言葉を掛ければいいんだろう
揺れ動く電車の中、そんなことをずっと考えていた。ある意味思い出に残った花火大会は幕を閉じた。それから、数日後始業式となり学校に向かう。昇降口で履き替えて階段を上ると、変わり無い姿の雪ノ下雪乃の姿を見て安堵し、また日々を過ごせるだろうと思える
そういえば文化祭近いな…今年は何やんだろうな