こんにちは、アレクシア・デグレチャフ魔導中尉です。
今日は休息日を使って、大学図書室でターニャと一緒にお勉強です。
さて、今日も論文のための勉強をしましょうか。
「ターニャ・デグレチャフ中尉、入室いたします。」
「アレクシア・デグレチャフ中尉、入室いたします。」
一言断って、図書室の扉を開ける。
休日ですが、ほかの利用者がいることもあり得るのです。
そして、ここは陸軍大学。
入学者の最低階級が中尉以上ということは、私達など下から数えたほうが早い位下っ端なのです。
上位者が中にいることを考えれば、常に気が抜けません。
「む?」
今日は誰か居たみたいですね。
「っ、失礼いたしました。准将閣下。自分は、」
准将ですか。えらく上のほうの方がいらっしゃっておりますね。
「ああ、良い。今は卒業生として先輩に対する敬意でかまわん。」
気さくそうな方です、よかった。
「はっ、ありがとうございます。自分は、ターニャ・デグレチャフ学生。帝国より魔導中尉を拝命しております。」
「同じくアレクシア・デグレチャフ学生であります。魔導中尉を拝命しております。」
「ゼートゥーア准将だ。参謀本部戦務参謀次長を拝命している。」
参謀本部戦務参謀!
トップ集団の一員、ですか。
「「お目にかかり光栄であります。」」
ターニャと被ってしまった。
こういうとき、思考が同じなのはどうなんでしょうか...。
「息がぴったりだな。ふむ、中尉、君達は何か急ぎの用事があるかね?」
うーん。ここで、論文などではなく参謀様に直接直談判、もいいかもしれません。
気を付けなければ、首が飛んでしまいますが。
え?上官への敬意が少ない?
私が心からの敬意を払うのはターニャだけですから。
「はい、いいえ。准将殿。本日は、知見を得るための自学目的であります。」
「いい機会だ。座りたまえ。たまには、若い者の意見も聞きたい。」
「「はっ、失礼いたします。」」
「さて、貴官達のことは少しばかり耳にしている。随分な活躍のようだな。」
「はっ、過分な評価を頂いております。」
「ありがとうございます。自分ではなく、ほとんどは姉の功績ですが。」
私なんて、ターニャの思う理想を現実にしているだけです。
ターニャこそがもっと評価されるべきなのです。
「謙虚だな。...ふと思うのだがね。この戦争はどうなるだろうか。」
...難しい質問ですね。未来を知っているだけに、第一次大戦の無かったこの世界で、どう説明したものでしょうか。
「お言葉ですが、閣下の御言葉は含意が広すぎます。」
「ふむ、確かにそうだな。言い換えよう。貴官はこの戦争の形態をどう予想する?」
帝国は、立地も戦い方も、ほとんどが西暦世界のドイツに酷似しています。
つまりは、そういうことになるでしょうか。
「僭越ながら、自分達は言及すべき立場にないと考えます。」
「よい。諮問しているわけではないのだ。自由に述べよ。」
「では、お言葉に甘えて失礼いたします。」
「ありがとうございます。」
さて。私はターニャを補佐、補うだけです。
「今次戦争は、大戦に発展するものと確信します。」
「大戦とは?」
「大戦とは、主要列強の大半を巻き込んだ、世界規模での交戦のことであります。」
「......そうなる根拠は?」
「帝国は列強として新興ながらも、従来の列強と比較し単独ではかなりの優位を誇っております。」
単独では、ですね。
ドイツ帝国は同盟国が二重帝国はともかく、瀕死の病人でしたからねえ...。
バルカン戦争でブルガリアにさえ負けるという病人でしたから...。
「そのため、帝国は他の列強と一対一ならば負けることはなく、勝利が収められるでありましょう。」
「うむ、共和国に対しては勝利できるだろうな。」
アルザス・ロレーヌ地方とネーデルラント道路が既にドイツ領であると思えば分かりやすいでしょうか。
え?道路じゃないって?道路ですよ。
「ですが、連合王国や、連邦がこれを座視するとは考えにくいのが実像であります。」
「......彼らは今次戦争に直接の利権を有していない筈だ。」
「はい、いいえ。彼らは、覇権国家の誕生を許容するか、拒絶するかの選択を迫られることになるのであります。」
「覇権国家?」
「覇権国家とは。大陸中央部において、共和国を排除した我が帝国は他の列強と比較し相対的ではなく、絶対的優位を確立します。」
第二次大戦のフランス降伏後、ですね。
西暦世界と同じ轍を踏んでしまうならば、自由共和国が誕生し南部へ戦線が拡大。
泥沼化した末に東から連邦の介入...と。
これに乗じて連合王国が上陸を試みてくるため、沿岸防衛等にも戦力を割く必要がある...。
現在の帝国ならば、協商連合国(スカンディナヴィア)を倒せば、併合でしょうか。
守る地域が膨大すぎますね。この問題も提言する必要がありますね。
「故に、共和国の排除を短期に、それも他国の干渉を許さない形で実現できない場合、必ず連鎖的に他国の干渉を誘発します。」
「なるほど。確かに、そうかもしれないが、だとすれば共和国が覇権国家足るのではないのかね?それも受け入れがたいはずだ。」
「同意します。ですので、それ故に帝国と共和国が共倒れになるように図られると思われます。」
「介入はあると?」
「はい。おそらく、共和国への借款から始まり、武器供与もあり得るのではないでしょうか。」
レンドリース、戦費調達。
実質的に、帝国対共和国&連合王国となる。
やはり、優位を保つには北方の早期決着が鍵になりそうです。
「......なるほど、見えてきた。」
「はい、共和国に多額の資金を貸し付け、共倒れを狙い最後に介入する、という青写真を他の列強が描くと思われます。」
「では、帝国が圧倒した場合は?」
「即座に、介入を決意するものかと思われます。」
連邦に関しては、どうやらこの世界でもアカに染まっているらしいので、来るでしょうね。
「なるほど、興味深い想定だ。ならば、どのように対応する?」
「それほど、奇策があるわけではありません。」
「ですので、過去の歴史に倣い講和を模索し、不可能であるならば消耗を抑制する事を第一目標といたします。」
「......勝利を目指すわけではないと?最悪、敢闘精神を疑われかねない発言だな。」
「はい、いいえ。勝利を目指さないのではありません。ですが、まず負けなければ帝国の勝利であります。」
「それで、どうやって勝利する?」
「徹底的に敵に敵の血を流させることを貫徹し、敵の戦争継続能力を粉砕します。」
「敵野戦軍の殲滅かね?」
「付け加えるのであれば、現在の帝国及び周辺諸国の戦い方は、言ってしまえば陣取りゲームです。より多くの陣地を取る。ですが、今後世界を相手に戦うのであれば、いかにこちらの損耗を抑えつつ、相手に多大な被害を与えるか、であります。」
「成程。それで、勝てるのかね?」
「わかりません。ですが、負けることもありません。そこで、一撃を与える余力を保つことこそ、戦略上の柔軟性を増すかと。」
「自分は、勝てる、とは言い切れませんが、敗北はありえないかと。作戦案としていくつかありますが、後に論文として提出させていただきます。」
「ふむ、興味深いな。だが、相手も何れ同じ戦術に至ればどうする?」
「はい、そのことを考慮し、航空魔導師による戦場錯乱と突破浸透襲撃を提案いたします。」
西暦世界では、戦車などの機甲部隊を用いた電撃戦で、お金も資源もかかっていましたが。
この世界では戦車には劣るものの、魔導師によって比較的簡単に火力を出すことができます。
これに、機甲部隊と歩兵部隊の混成大隊を付ければ容易に突破可能では?
爆撃機なども欲しくなりますね...。
「うん?魔導師は支援が任務ではないのか?」
「陣地戦において、火砲並みの火力を展開し、歩兵以上の俊敏性を持つ魔導師は理想的兵科です。」
「魔導師で突破浸透し、機甲部隊や歩兵部隊で地上からも攻撃することで、容易に敵を撃滅できると確信いたします。」
「なるほど、売り込みが上手なことだ。」
「「恐縮であります。」」
「で、仮にだが、魔導師を陣地戦に使うとして、規模はどの程度欲しいか。」
「大隊が、適切であると確信します。兵站への負荷が少なく、かつ戦力として最低限の単位になるかと。」
「面白い。まあ、検討してみることはしてみるとしよう。若い意見は常に面白い。」
「ありがとうございます。」
HoI4は神ゲーだった。
まだそこまで継続していませんが、感想など。
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