二人の銀翼   作:アレクシア少佐

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こんにちは。

なんと、アメリカの同志から感想を頂きました。

まさか海外の同志にも読まれているとは、なんてグローバルなんだ!


28 次の戦場

こんにちは、アレクシア・フォン・デグレチャフ少佐です。

 

協商連合国との戦争が終わり、一週間ほど経ちました。

元の政府の要人は、戦争を起こした犯罪者として協商連合国民によって裁かれたようです。

 

いわく、『帝国に喧嘩を売ったところで、勝てるわけが無かった』

いわく、『喧嘩を売ったのはこちらであるのに、帝国の戦後処理に慈悲を感じた』

 

などなど、様々な声が上がっているみたいです。

 

また、協商連合国ではアンソン・スー殿が英雄的扱いをされているそうです。

なんでも、無茶と知りながら祖国のために左腕まで失い、捕虜となってでも帝国のことを学んできたとかなんとか。

これによって、アンソン殿は協商連合国首相?になったそうです。

 

なったのは、いいのですが...。

 

「アレクシアちゃーん!!逃げないでー!」

 

「い、嫌ですよ!!メアリーのハグは苦しいのです!!」

 

......元軍人が祭り上げられただけなので、内政は信頼できる部下に丸投げしているそうで、内政でやることが無いらしく、『外交』『視察』などと言って帝国に遊びに来ているのです。

そこにメアリー殿がどうしてもついていきたい!お父様が心配!と駄々をこね、連れてきたそうなのです...。

 

どうも、メアリー殿は私とターニャの抱き心地が忘れられないらしく...。

 

「捕まえたっ!」

 

「いやだー!!むぐぐ...。」

 

......捕まってしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん、アレクシアちゃんを連れて帰りたいなぁ...。」

 

「だっ、ダメですよ、私は帝国軍人なのですから。」

 

「えー...。」

 

と、メアリーの膝の上で抱かれながらお話ししています。

...最初は恥ずかしかったですが、こうしないとずっとハグされてしまうので...。

 

どうしてここまで、メアリーに好かれているのでしょうか...。

アンソン殿の左腕を奪ったのは私ですのに...。

 

「メアリー、どうして貴女は私のことがそんなに好きなのです?お父様の左腕を奪ったのは、私ですよ?」

 

「うーん...お父様の腕については、まったく恨んでないわけではないけれど...。戦争中だったし仕方ないところはあるかなぁ...。そう思うと、アレクシアちゃんとかターニャちゃんを恨むのは筋違い。そもそも、戦争さえ引き起こさなけばお父様が腕を失うことはなかったのだから。」

 

メアリーは、年齢の割にちゃんと周囲を見ることのできる、才女なのです。

 

「そう、ですね。メアリーは、優しいのですね。」

 

「そうですか?もうアレクシアちゃんとはお友達ですし、恨んでいるのは旧政府ですし...嫌う理由なんてありませんよ。」

 

「アレクシア、どこだ?っと、ここにいたか......。どうしてメアリーがここにいるのだ!?どうしてアレクシアはメアリーに抱かれて平然としているッ!?」

 

あ、ターニャ。メアリーのいる時に来るなんて、運が悪いですね。

 

「ターニャ、こうしていないとメアリーにずっとハグされるのですよ。」

 

「ターニャちゃん!!ターニャちゃんも、こっちにおいで?」

 

「嫌だ!私は仕事中だ、まだ仕事がある、遊んでいる暇など無いのだ!」

 

「あ、ターニャ、仕事代わりましょうか?私も大隊長ですし。」

 

「いや......。そうだ、アレクシア。一緒に仕事をしよう!」

 

ええと...。またメアリーに追いかけられそうなのですが...。

 

「め、メアリー。そろそろ、仕事をしてきてもいいですか?」

 

「......もう少し抱っこしていたかったですが、仕方ありません。いいですよ。ですが、今夜、二人とも私の部屋に来るように!」

 

とても嫌な予感がします。ですが、この条件を飲まなければ結局追いかけられて抱っこされるだけです。

ここはひとまず、ターニャにどうするか聞いてみましょう。

メアリーにわからないように話すには、どうしましょう。

 

......。あ、そうでした、私もターニャも転生者、なのでした。

日本語で話せば、きっと分からないはずです。

 

「(ターニャ、どうする?この条件を跳ねのけても、追いかけられて抱っこされるだけですよ。)」

 

「(そうだな、その通りだ。だがメアリーの部屋に行けば、きっと抱き枕にされてしまうぞ。)」

 

「(それでも、今、帝国のための仕事ができなくなるよりは幾分かマシなはずです...。)」

 

「(仕方ない、今夜くらいは抱き枕にされるか...。)」

 

「二人とも、何を話しているの?私にも分かるように言って!」

 

「ああ、メアリー。すまない、仕事の話をしていた。機密なのでな。そうだな、仕方ない、今夜はメアリーの部屋で寝るとしよう。」

 

「はい、メアリーは私達のお友達ですから。今夜くらいは、一緒に寝ましょう。」

 

すごくわざとらしくなってしまいましたが、大丈夫でしょうか...。

 

「......ありがとう、二人とも。今夜、私の部屋で待っていますね。」

 

そう言って、メアリーは自分の部屋へ戻っていきました。

 

「......はぁ。まあ、今夜のことは仕方ない。それよりもアレクシア、ちょっと思いついたのだが...。」

 

「何ですか?ターニャ。」

 

「...実は、現在の帝国の暗号通信は共和国や連合王国に見破られているかもしれん...らしいのだ。参謀本部でもこの話題が上がっていた。」

 

「はい、それは確かに問題ですが、どうかしましたか?」

 

「...日本語、だ。西暦世界でも、世界で最も複雑な言語か何かになっていただろう。だが、私達は、問題なく使いこなせる。この世界では誰も知らない言語...。いや、一応極東に大日本帝国...のような国、秋津島皇国では現在、昭和初期の日本語...私達からすれば、カタカナと漢字の古臭い形式だな。だから、現代日本語ならば大丈夫だろう。」

 

「......そうですね。では、私とターニャの間でだけ、誰にもバレたくないことを話す時だけ、日本語を使いましょう。」

 

「そうだな。ああそうだ、アレクシア。陸軍の参謀長官から呼ばれているぞ。なんでも、対共和国戦を終わらせる、打開する作戦について議論したいらしい。私も呼ばれているから、一緒に行こうか。」

 

......ということは、協商連合国に勝利した休暇ももうすぐ終わるのですね...。

メアリーにもそれとなく伝えておかないと、寂しくさせてしまいますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ターニャ・フォン・デグレチャフ少佐、入室します。」

「アレクシア・フォン・デグレチャフ少佐、入室します。」

 

「よく来てくれた、白銀、白百合。協商連合国のことは本当によくやってくれた。」

 

「「ありがとうございます。」」

 

「貴官らの立案した作戦は見事なものだった。その素晴らしい才能を、共和国との戦争を終わらせるために、貸してくれないか。」

 

...参謀長官が、一介の少佐に頭を下げるなんて。

 

「長官、頭を上げてください。小官らは、一介の少佐です。上官に頼まれたのです、断るはずがありませんよ。」

 

「そうか、ありがとう。では早速だが...。」

 

まず、状況を説明してくださいました。

現在、帝国-共和国戦線は膠着中。

お互いに押したり引いたりを繰り返しているそうです。

ゼートゥーア閣下の指示により、新戦術『消耗抑制ドクトリン』によって損害はそれほど大きくないものの、打開する一手が無い、とのこと。

 

「...そうですね。ターニャ、戦車を使う案はどうでしょう?」

 

「それが確実だが...長官殿。現在、帝国陸軍の戦車はどのような状況でありますか?」

 

「我が帝国の戦車は、歩兵部隊と共に前進し、砲撃によって敵塹壕を攻撃、または歩兵の盾となることがメインだな。」

 

「で、ありますか...ならば、爆撃機による兵站破壊作戦は必須ですね、ターニャ。」

 

「そのようだな。...うむ、作戦の外形は良さそうだ。」

 

「ほう、では外形だけでもかまわん、聞かせてくれ。」

 

作戦の概要は、このような感じです。

 

まず第一に、戦域を2つに分けます。

北部の、西暦世界でいうところのネーデルラントに展開している戦域。

北部戦線とでも名付けましょうか。

 

次に南部、西暦世界ならば、マジノ線があったアルザス・ロレーヌ地方。

この世界では、その場所は既に帝国領なので、突破する必要はありません。

これを南部戦線とします。

 

第二に、南部戦線はそのまま維持、北部を一気に後退させます。

具体的には、そうですね...第二次大戦前のオランダ、ベルギー、ルクセンブルクのドイツ国境、と言えば分かりやすいでしょうか?

ここまで撤退させます。

この際、南部戦線が包囲される危険があるため、南部に兵力を集中させます。

 

第三に、南部の広くなった戦線の一部より、攻勢を開始します。

このときに北部戦線の敵を干上がらせるため、兵站破壊作戦を実行、さらに南部戦線の敵にも爆撃します。

同時に、北部戦線も攻勢をかけ、南部へ敵兵が流れるのを少しでも防ぎます。

クリスタの設計したあの戦闘機ならば、落とされる可能性は低いでしょう。

 

そして北部戦線の敵軍を撃滅した後、共和国首都へ向かって全面攻勢、でしょうか。もちろん、航空機による援護爆撃もします。

 

「......成程。だが後退するというのは...。」

 

「いいですか、長官。これからの戦争は、今までの陣取りゲームではないのです。どれだけ領土を奪ったか、ではなく、どれだけ敵国の戦争継続能力を奪うか、なのです。敵国が戦意喪失するまで、戦うしかないのです。」

 

「おそらく後退については、帝国軍に所属するものならば納得してくれるでしょう。ですが、それ以外の人間...民衆や宮中の無知な人々は、反対するでしょう。これをどうにかして納得させなければいけません。」

 

戦争を知らない人たちのほうが数が多いのです、反対されても敢行すれば最悪、内戦になりかねません。

 

「それはなんとかしよう。成程、この作戦ならば打開できるだろう。」

 

「ただ、一つ留意せねばならないことがあります。」

 

「なんだね、それは?」

 

「ご存じのように、アレーヌ市は、もともとは共和国の都市です。故に、もしかすると共和国がアレーヌ市へ働きかけ、元共和国市民による蜂起が発生する可能性があります。そうなりますと、南部戦線への兵站が崩壊、危機的状況に陥ってしまいます。」

 

「それ故に、この作戦中はアレーヌ市に帝国憲兵隊を派遣するべきかと。また、敵がどのような手段を使うか分かりません、アレーヌ市にある程度の兵力を置いておけば、蜂起が起きてもすぐに鎮圧可能、起きなければ前線への補充要員となります。」

 

「...確かにそうだな。立地、鉄道を考えれば共和国はアレーヌ市を狙ってくる可能性が高い。その案も採用しよう。また、アレーヌ市が万が一憲兵隊でも抑えきれぬ程の蜂起を起こしてもある程度前線が耐えられるように、別ルートの補給線も確保せねばなるまい...。」

 

ここまで用意周到に準備すれば、失敗することは殆ど無いと思います。

ただ、協商連合国は第三国の介入を与える隙も無く勝利できましたが、共和国はそうはいきません。

おそらく、連合王国は確実に、合衆国も利益を求めて武器弾薬を共和国に売りつけるでしょう。

 

更に言うならば、東の、連邦にも注意せねばなりません。

作戦中に、もしも連邦が参戦すれば非常に厳しくなります。

これについては、後にゼートゥーア閣下に相談しましょうか。




メアリーに抱っこされるデグレチャフの図。

まだそこまで継続していませんが、感想など。

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