こんにちは、アレクシア・フォン・デグレチャフ少佐です。
今日は、共和国軍が我々の放棄した塹壕に入ってくれたとのこと。
攻勢開始の日、です。
「大隊諸君ッ!我々はこれより、帝国の運命を左右する任務に向かう。...協商連合国の時とは違い、敵軍の強烈な集中攻撃に身を晒すことになるだろう。大隊各位、帰るまでが遠足だ、気を引き締めろ!」
「「「了解であります!!」」」
ここからは、大好きな私の姉のターニャ、ではなく。
帝国軍人としての、私と同等の少佐。
「CPよりフェアリー大隊へ、現時刻をもって作戦を開始する。予定通り、フェアリー大隊は第96航空連隊と共に敵軍を殲滅せよ。オーバー」
「こちらフェアリー02、了解であります。帝国に勝利を齎してみせましょう。オーバー」
「...さて、大隊諸君。出撃だ!!」
南部戦線より、北上し敵軍を包囲します。
北上と同時に爆撃機による爆撃、塹壕の爆破が実行。
「CPよりフェアリー大隊へ。空爆及び塹壕爆破により戦線の敵主力軍は壊滅した模様。残敵掃討は航空連隊と北方戦線陸軍が担当する。大隊は敵国首都へ向かえ。オーバー」
「こちらフェアリー02、了解致しました。オーバー」
さて、戦線では予定通り、敵軍主力と思われる軍を壊滅させました。
ここからは北方も南部も一転攻勢、時間を稼ぎつつ私達が敵国首都へ向かいます。
「フェアリー02より大隊各位、敵軍主力包囲殲滅作戦成功。これより我が隊は敵国首都へ向かう。オーバー」
「こちらフェアリー01、首都方面より敵魔導反応を確認。大隊各位、戦闘準備!」
戦線の敵軍を潰しただけで、敵の司令部はまだ生きていますね。
このまま首都へ向かってもよいですが、敵魔導師の打倒ついでにブレインを潰していくのもよさそうですね。
まずは、向かってくる敵軍を殲滅しなければ。
「こ、こちらフェアリー03、敵魔導師群...連隊規模!連隊規模であります!」
「「何ッ!?」」
連隊規模、ですか。
大半は新兵と言っても過言ではないくらいでしょうが...数が多すぎますね。
「CPへ、こちらフェアリー01!敵航空魔導師と遭遇、連隊規模!繰り返す、連隊規模!」
「CPよりフェアリー大隊へ、300以内に援軍としてこちらの航空魔導連隊が到着する。それまで、持ちこたえてくれ。」
...やはり、そう易々とこちらの思い通りにはなりませんか。
「「...了解。」」
仕方がありません、援軍が到着するまでの間、どうにか耐えてみせましょう。
「大隊各機、訓練の成果を見せろ!高度12000を目指し上昇せよ!!」
「「「了解でありますッ!!」」」
全員で上昇し、頭を取る。
相手の届かない位置から各個撃破。
ですが、共和国魔導師もなかなかどうして、7000、8000、とついてきますね。
「チッ!」
「よせ、ヴァイス中尉!!」
ヴァイス中尉が、9000までついてきた敵に対し焦ったのか、攻撃しようとしています!
今、上昇をやめて止まってしまえば、袋叩きにされてしまいます...!
「中尉ッ!?照準、されていますッ!」
......咄嗟に、かばってしまいました。
直後、至近距離で爆音。右肩に、激痛が走ります。
「ッ...ヴァイス中尉!あなたは馬鹿ですか!死にたいのですか!!!」
「...申し訳、ありません。」
「言い訳は後です、さっさと上昇してください!」
ドクドクと、右肩が脈打っているのが分かります。
少しずつ、感覚も薄くなってきています。
高度、12000に到達。
敵軍は流石に、9000が限界のようです。
前回、西方戦線に来たときは8000でしたのに...。
「アレクシア!」
「ターニャ...申し訳ありません。少し、怪我をしてしまいました。」
「...ヴァイス中尉、貴様は後でみっちりと説教してやる。アレクシア、その傷では戦闘はおろか、飛んでいるだけでも厳しいだろう。......後退し、治療してこい。」
......つらい、ですが仕方ありません。
今の私では、とてもターニャの役には立てそうにないです...。
「...はい、了解しました。ターニャ、後のことは任せます。ヴィーシャ、私の代わりにターニャを、頼みます。」
こうして私は、離脱。
かばわなければヴァイス中尉がよくて大けが、最悪死ぬという状況とはいえ...。
「また、ターニャに、迷惑を、かけてしまいました。」
- - - - side ターニャ・フォン・デグレチャフ
ああ、最悪の気分だ。
戦局は帝国が有利とはいえ、アレクシアが負傷するとは。
ヴァイス中尉め...だが、アレクシアが庇わなければ、中尉は死んでいただろう。
「......さて、大隊諸君。我が妹を傷つけた糞共を、殲滅するぞ。」
「「「...了解!」」」
ここまで気分が悪いのは...存在X、あの糞に初めて会った時以来だな。
いや、あれ以上かもしれないが。
「...私の妹が、ケガをした?誰にやられた?......お前達か?お前達が、私の可愛い妹を?血を、流させた?」
心を埋めるのは、ただひたすらに憎悪。
私の唯一の家族を、私の妹を、私の恋人を、傷つけられた。
これ以上の理由はいらない。
「......大隊各位へ、防御術式を全力で張れ。衝撃に備えろ。」
帝国を穢し、同胞を踏み躙り、あまつさえ私の妹さえも手にかけようとした糞共。
「...骨すら残ると思うな。」
私の、この後の任務に差し支えない程度であるが...今出せる全力の攻撃を。
- - - - side 共和国軍航空魔導連隊 連隊長
隙を見せた悪魔の眷属を撃ち取ろうと、攻撃してやったが...。
まさか、悪魔の片割れに傷を負わせることができるとは。
「よくやった!あの『ラインの悪魔』の片割れに、傷を負わせることに成功したぞ!!」
「よっしゃ!!」
「ざまあみやがれ!!」
「眷属に足を引っ張られるとは、悪魔も大したことが無いな!」
片割れだけでも帰らせるには十分な傷を負わせられたのは僥倖だが、もう片方がまだいる筈。
「お前達、喜ぶのは後だ。まだ眷属共と、悪魔のもう片方がいる筈だ。」
「なあに、悪魔たって二人いるから手が出せない程の連携だったんだろ?」
「片方だけなら、俺らでも勝てちまうかもしれんな!」
「それに眷属共も、油断して主に怪我を負わせる始末だ、大したことが無いのかもしれんな。」
......この時の我々は、大きな勘違いをしていた。
『ラインの悪魔』は一対の悪魔だ、と。
決してそうではない。片方ずつ、単騎でも十分に強かったのだ。
それが手を組んで無敵、となっているに過ぎなかった。
「れ、連隊長!上空より、かなりの魔力反応!こちらに対し、何らかの攻撃をしようとしているものと思われます!!」
「ッ!!全員、防御術式、乱数回避に全力を注げッ!!!」
そう言った瞬間に、光に包まれる。
暖かな、残酷な光に。
- - - - side アレクシア・フォン・デグレチャフ
私の怪我は、回復術式と塗り薬などの併用で、すぐに治る、らしいです。
ですが、怪我よりも、ターニャに迷惑をかけてしまった私自身が、憎くて仕方ありません。
あの程度の攻撃で、怪我を負ってしまうなんて...。
「...はぁ......。」
「アレクシア少佐殿、どうされましたか?まだ、痛みますか?」
声をかけてくれたのは、西方戦線後方で働く軍医さんです。
私の肩に包帯を巻いてくれた人ですね。
「いえ、軍医殿のおかげで、痛みはほとんどありません。動かすと、痛みますが。」
「...お姉さんが、心配なのですか?」
「あはは...それも、あります。ですが、それよりも、私が怪我をしてしまったせいで、姉に迷惑をかけてしまいました。このことが、私自身、許せないのです。」
「...そうですか。少佐殿、失礼ながら申し上げます。少佐殿は、なぜ怪我で済んでよかった、と思われないのです?」
...少し、馬鹿にしたような言い方ですね。
「...どういうことですか、軍医殿。」
「ここは、戦場です。怪我なんて日常茶飯事、死んで死体さえ帰ってこないなんてザラにあります。もしも少佐殿が死んでいたら...お姉さんは、どう思われるでしょうか?」
......。
「ひどく、悲しむと思います。...いえ、もしかしたら、自殺、してしまうかもしれません...。」
「...で、あるならば、少佐殿は今生きていることを喜ぶべきです。迷惑をかけてしまったかどうか、それはお姉さんが帰ってきたら、謝ればよいではありませんか?」
「...軍医殿、ありがとうございます。少しだけ、気が楽になりました。」
「いえ、失礼なことを言ってしまい申し訳ありません。では、お大事に。」
そう言って、軍医殿は戻っていかれました。
...そうですね、死ぬよりは、マシなはずです。
ターニャが戻ってきたら、笑顔で迎えてあげるのです。
許せ、友よ。
まだそこまで継続していませんが、感想など。
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良い
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まあまあ
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イマイチ