二人の銀翼   作:アレクシア少佐

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34 勝利、束の間の平穏

こんにちは、アレクシア・フォン・デグレチャフです。

 

「おかえりなさい、ターニャ、大隊の皆さん。私だけ先に帰ってしまって、申し訳なかったので、せめて手料理を作らせて頂きました。お口に合うと、よいのですが。」

 

軍医殿と相談し、簡単な料理を作って待っていました。

まあ、干し肉とジャガイモしかないので、煮込み料理ですが。

ジャガイモを切るのは、軍医殿に手伝って頂きました。

 

「......。アレクシア、その...守ってあげられなくて、すまない。」

 

「...いいのですよ、もとはと言えば...ヴァイス中尉?貴方だけ今夜の夕飯は無しですよ!」

 

「ええっ!?そ、それはあんまりです少佐殿ぉ!!」

 

「...あはは、冗談ですよ。ヴァイス中尉も、どうぞ食べてください。」

 

一週間ほどは、右腕を動かせません。

私は利き手が右手なので、とても不便です...。

 

「ほら、アレクシア。......あーん。」

 

「はい、ありがとうございます...んっ。」

 

...ヴィーシャがじーっとこちらを見ているような気がします。

 

「...ヴィーシャ?どうかしましたか?」

 

「い、いえ!な、ななんでもありません!」

 

...変なヴィーシャです。

 

「ターニャ、ヴィーシャ。そういえば、任務のほうはどうなりましたか?」

 

「ああ、あの後敵魔導師共を殲滅し、援軍と共に首都へ急行。敵魔導師が迎撃に上がってくる前に殆ど潰せた。こちらの損耗はほとんど無く、共和国首都を占領できた。今は陸軍部隊が駐屯している。」

 

「大変でしたよ、アレクシア少佐殿が後退された後...。ターニャ少佐殿が、今までに見たこともないくらい、怒っていらして...。」

 

「せ、セレブリャコーフ少尉!それは秘密だ!」

 

私の為に、想ってくれているのは素直に嬉しいですが...。

 

「ターニャ、いくら私が怪我をしたとはいえ、任務中に冷静さを失ってはいけませんよ。」

 

「......はい...。」

 

申し訳なさそうにしているターニャも可愛いのです!

抱きしめたいのですが...腕が動かないので、できないのです...。

 

「アレクシアの右腕は、大丈夫なのか?」

 

「はい、優しい軍医殿のおかげで、一週間ほどで動かせるようになるかと。完治は二週間ほど、だそうですが。」

 

「そうか、それは良かった。後で、その軍医殿とやらを紹介してくれ、私のアレクシアを治療してくれた礼を言いたい。」

 

『私の』だなんて...ターニャは、意外と大胆なのです。

 

「...あの...なんだか、変わりましたね。お二人とも。」

 

「...ヴィーシャ、秘密ですよ?......んっ。」

 

「しょ、少佐殿!?」

 

なんだかんだ、ヴィーシャには、大隊結成以降お世話になっています。

優しくて、頑張ってくれるヴィーシャにも、大したお礼もできていなかったので、頬にキスを...。

 

「...嫌、でしたか?そうですよね...。」

 

「そ、そんなことは!とても嬉しいです!!」

 

「...仕方ないな。今回の任務でも、セレブリャコーフ少尉がいなければ私は冷静さを取り戻せなかったかもしれない。私からも、礼をしよう...。」

 

「お、お二人とも!?......あう。」

 

「ヴィーシャ、後日貴方に叙勲の推薦をしておきます。...ヴィーシャ?」

 

「......私がキスをしてやったら、気絶してしまった。そんなに嫌だったのか、嬉しかったのか...。」

 

ヴィーシャは...耳まで真っ赤にして、倒れてしまいました。

風邪をひいてしまうといけませんので、私の上着でもかけておいてあげましょう。

...サイズが小さいので、上半身しか隠れませんが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

西方戦線での作戦から、数日。

 

あれから、首都を押さえられた共和国政府は降伏しました。

ですが、港や国境をすべて封鎖したにも関わらず、南方の大陸にて、共和国民の一部が独立政府を宣言、帝国と徹底抗戦すると主張。

 

そして私達は、この件に関して参謀本部へ...。

 

「さて、『白百合』殿。貴官の作戦はほとんど成功したといってよいだろう。」

 

「はい、ありがとうございます。ですが、予想よりも敵の動きが素早かったのか、南方へ逃げられてしまいましたが...。」

 

「構わん、予想していても不可能なことはある。」

 

そうは言ってくださるものの、予想していた事態を回避できなかったのです。

たとえ責は無いとしても、苦いものがありますね。

 

「南方へ逃げた敵に対応するとしても...内海の海上封鎖をするには、我々の艦隊では足りぬ、連合王国の介入は避けられまい...。」

 

「そのことですが、イルドア王国を焚きつけ、帝国へ宣戦させることができれば、解決すると愚行いたします。」

 

「...ほう?」

 

「...以前、問題に上がっていましたが、我々の暗号通信は少なくとも連合王国には解析されているものかと。今回は、これを利用致します。」

 

「わざと嘘の情報を流します。『我々は、共和国への攻勢で殆どの力を使った。南方で共和国の残り物が未だ暴れている以上、これ以上敵を増やしたくない。どうにかイルドアと不可侵を結びたい。普段ならばそれほど脅威でもないが、今イルドアに攻め込まれれば敗北してしまうかもしれない。』といった、内容でどうでしょうか。」

 

「...だが、それだけでは信じまい。」

 

鋭いですね、そういう攻めは大好きです。

 

「はい、ですのでイルドアと本当に不可侵を結ぶ為に、イルドア国境の兵をほんの少し、後退させます。こうすれば、我々の嘘の意図を信じるでしょう。また、イルドア国境は山岳地帯ですので、こちらに引き込んで狩った方が有利です。」

 

「開戦し、イルドアが劣勢になれば連合王国は手のひらを返し、帝国へすり寄ってくるでありましょう。これを、共和国市民、イルドア王国民へ知らしめれば、憎しみは帝国から連合王国へ向けられます。」

 

連合王国のことです、勝つ側にすり寄るに決まっています。

そうすれば、少なくとも、かつての同盟国、共和国には恨みを向けられると知りながら。

 

「ここで重要なことが。我々に降伏した共和国についてです。今はまだ、併合する範囲などが決まっていませんが...協商連合国同様にするべきかと。そして、帝国は極めて寛容に接するべきです。『お互い多大な血を流しあったが、我々の子孫まで禍根を残し、再び戦争を引き起こす火種を残すべきではない。帝国は共和国を許そう』とでも言えばいいのではないでしょうか。」

 

「...まあ、これについては外務大臣次第でありますが。」

 

急に呼ばれて驚いている、外務大臣さん。

 

「...そうすれば、共和国民の志願兵を、帝国と共に戦わせることが可能かもしれんな。逃げた元共和国の奴らについては、『祖国を捨てて真っ先に逃げた裏切り者』などと吹聴すればよかろう。」

 

やはり、ゼートゥーア閣下が居てくださると、話が早いですね。

 

「また、イルドアについても、『連合王国の情報を信じたのに、嘘だった』『裏切られた』という心象を抱かせることができるかと。故に、イルドア王国も軍事的に重要な場所のみを確保し、解放すれば帝国側に立ってくれるでしょう。」

 

そう、帝国は協商連合国を併合せず、国として残し、さらに戦後復興支援を行っています。

前例があるのです、同様に共和国、イルドア王国へ同じことをすれば、誰がどう見ても戦争を焚きつけているのは連合王国。

 

また、西暦世界と違い、帝国から宣戦した戦争はありません。

すべて、周辺諸国から、です。

 

「イルドアの陸軍はさして問題にはなりません。連合王国が帝国へすり寄ろうが、奴らは帝国へ戦争を差し向けてきた元凶です。許してはなりません。」

 

「連合王国も、それは理解している筈。故に、残っている帝国を打倒しうる周辺諸国は...。」

 

「ルーシー連邦、か。」

 

「はい、閣下。装備の質、軍隊の質では帝国が勝っていましょうが、人間の数では負けております。」

 

「...確かにそうだが、まさか奴らとて人間を使い捨てにはせんだろう...。」

 

どうでしょうか...アカの考えることはろくでもないのです。

 

「...どうでしょうね。コミー共の考えることは、我々の常識には当てはまりません。故に、かの国が『人間を使い捨てる可能性』は常に留意しておくべきかと。」

 

「...帝国の希望が言うのならば、留意しておこう。現に、共和国民が勝手に独立政府を建ててしまうことは当たったのだからな。」

 

...共和国戦では、航空優勢かつ包囲殲滅で圧倒的な勝利を収めることができました。

連邦と戦争になってしまう頃には、新型戦車もある程度配備され、Zeppelin機も相当な数が揃うでしょう。

 

ああ、そうでした。新たな航空機の構想があるのです、腕が治った後で文書にしましょう。




姉妹に挟まれてキスをされるヴィーシャの図。

まだそこまで継続していませんが、感想など。

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