二人の銀翼   作:アレクシア少佐

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諸君、戦闘準備ッ!


37 予定通りの宣戦布告

 

こんにちは、アレクシア・フォン・デグレチャフ少佐です。

 

連合王国を信じさせるに十分な時間をかけて、嘘の情報をばら撒き。

イルドア王国には、これ以上戦争はできないなどと言い、不可侵を求め。

 

まあ、イルドア王国が宣戦しようが、不可侵を結ぼうが、どちらも帝国にとって利益になりますので。

ただ、戦争となると私達も働かなくてはいけませんが。

 

「さて...イルドアはどう動くでしょうか。どちらに転んでも、帝国にとってはプラスですが。」

 

「さて、な。」

 

ターニャと二人で、行きつけの喫茶店でコーヒータイムです。

 

ターニャはブラックを飲んでいますが、私にはブラックは苦すぎて、飲めないので砂糖を少し入れています。

 

「...はぁ。ここのコーヒーは、いつも美味しいです。」

 

「全くだ、私達が息抜きをできる、最高の場所だ。」

 

「いつもありがとうね、小さな軍人さんたち。」

 

いつまでも、こんな平和が続けばよいのですが。

 

「デグレチャフ少佐殿!っ、ここにおられましたか!」

 

息を切らして、ヴィーシャが駆け込んで来ました。

ついに、イルドアが動いたのでしょう。

 

「まずは落ち着け、セレブリャコーフ中尉。」

 

ああ、ヴィーシャは共和国戦で私の代理として、見事な指揮をした功で昇進しました。

 

「は、はい...申し訳ありません。」

 

「さて、ついにイルドアが動いたか?」

 

「はっ!イルドア王国が、我らが帝国に宣戦布告致しました!!」

 

案の定、ですね。イルドア王国には、『未回収のイルドア』と呼ばれる元イルドア領があります。

かつては違う国でしたが、現在は帝国領。

取り返したい積年の思いがあっても、帝国には敵わないと諦めていた筈。

 

そこへ、連合王国からの嘘情報。

帝国からの不可侵の誘い。

 

こうなってしまえば、イルドアが嘘の情報を信じてしまうのは仕方がありません。

 

「ヴィーシャ、報告ありがとうございます。さて、参謀本部へ行きましょうか。」

 

「ああ、店主。勘定はテーブルに置いておくぞ。今日も美味しいコーヒーをありがとう。」

 

「また来ておくれよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、共和国への攻勢計画から久しぶりの参謀本部です。

 

「...来たか。」

 

「「はい、ルーデルドルフ閣下。状況をお教え願います。」」

 

まずは、イルドア王国と帝国の状況確認です。

開戦間もないため、予定通りならば我々の後退した戦線まで敵は進軍中でしょう。

 

「よかろう。現在、我々の退いた土地をイルドア軍が散歩している。後退させた戦線まで奴らがたどり着くのは、明日の昼過ぎだろう。」

 

「...随分と、イルドア王国は悠長でありますね。」

 

そりゃ、イルドアは協商連合、共和国と連戦続きで疲弊している、と思っている帝国相手なのです、悠長に進軍しても問題ないと思っているのでしょう。

 

「イルドア軍が当初の計画通り、戦線へ到着次第、第43戦術戦闘飛行隊による制空、同時に爆撃が行われる。この航空飛行部隊は、例の魔導航空機の初の投入でもある。」

 

「成程、確かに性能をテストするにはうってつけですね。しかし、この前試験飛行したばかりだと思いますが、もう飛行部隊を編成できるほど数が?」

 

「いや、完成し飛べるのは試験で使用した2機と、新たに作らせた3機の、5機だけだ。他は既存のZeppelin戦闘機で代用している。」

 

あの性能なのです、エース級パイロットが乗れば、たった5機でもかなりの戦果を期待できるでしょう。

 

「ああ、そういえば。この戦術戦闘飛行隊のナンバーツーが、協商連合国からの志願兵だった筈。帝国所属兵以外で初だな。」

 

んん...?なんだか、知り合いのような気がするのですが、気のせいでしょう。

気のせい...気のせいの筈。

 

「そ、そうなのでありますか。成程、最新戦闘機の部隊ですか、今後も共に戦うでありましょう。」

 

「ああそうだ、『白銀』。貴官の言っていた、『戦闘団』についてだが、イルドア戦線の爆撃終了後、ただちに編成してくれ。基幹部隊や規模については貴官らに一任しよう。」

 

「戦闘団、でありますか。......確かに今後は、我々の即応魔導大隊だけでは厳しくなるでありましょう。」

 

戦闘団、とは、規模としては連隊規模なのですが、通常の連隊と異なり、複数の兵科を組み合わせた混成連隊、とでも言いましょうか。

 

「ターニャ・フォン・デグレチャフ少佐、戦闘団編成の任務、拝命致しました。」

「同じく、アレクシア・フォン・デグレチャフ少佐、戦闘団編成任務、拝命致しました。」

 

「...して、イルドア軍の爆撃なのだが、航空部隊のみでは撃ち漏らしも出よう。よって、第203航空魔導大隊は残敵掃討任務にあたってくれ。」

 

「「了解しましたッ!」」

 

新しい仕事ですね。

大隊の皆さんとイルドア戦線へ移動し、明日を待ちましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大隊、傾聴ッ!」

 

「...結構、楽にしてくれ。さて、大隊諸君。愚かなイルドア王国が宣戦してきたが...奴らはダキア軍に毛が生えた程度だ、最新戦闘機の試験がてら爆撃するそうだ。」

 

「我々の任務は、試験爆撃で残念ながら死ねなかったイルドア兵を駆除することであります。......田舎の畑で害虫駆除するより、簡単な仕事ですが、万が一、害虫がこちらへ向けて飛んでくるかもしれません。留意せよ。」

 

まあ...パスタの国ですし、とんでもない連合王国の精鋭などが来ない限り大丈夫でしょう。

 

「作戦開始は、明日の朝6:00だ。大隊諸君、寝坊はしないように。」

 

「寝坊したら...明日の昼と夜のご飯抜きですからね!」

 

そりゃ大変だ、寝坊で飯が食えなくなるとは...などと、皆さん軽口を叩いています。

 

「では、解散。」

 

現在の時刻は...19:00ですか。

 

寝るにはまだ早いですね。

敵軍もまだ到着していませんし...ああ、そういえば。

最新戦闘機を初運用する、飛行隊の皆さんに挨拶をしに行きましょうか。

明日は作戦開始が朝ですので、挨拶する時間もありませんし。

 

「ターニャ、明日共に空を飛ぶ、飛行隊の皆さんに挨拶しに行きましょう。」

 

「奇遇だな、私も同じことをしようと思っていた。」

 

...やっぱり、私とターニャの頭の中は同じなのでしょうか。

 

 

 

 

 

「失礼します、第43戦術戦闘飛行隊の皆様......?」

 

「あれ?アレクシアちゃ...少佐殿。奇遇でありますね、こんなところで!」

 

...メアリーが、どうしてここに!?

ま、まだ士官候補生のはず...。

 

い、いえ。それよりもまずは、飛行隊の隊長殿に挨拶をせねばなりません。

 

「貴方方が、帝国の希望の。小官は、第43戦術戦闘飛行隊、隊長、ジークフリート・ルーデルであります。階級は、大尉を拝命しております。明日は宜しくお願いします、少佐殿。」

 

......ルーデル?

この人、ルーデル、というのですか?

 

...ツェッペリンといい、ルーデルといい...西暦世界の偉人の名前を持つ人が多いですね...。

ツェッペリンは西暦世界の通り、航空機に関しては素晴らしい才能を持っていました。飛行船では、ありませんでしたが。

 

「...成程、ルーデル大尉殿、宜しく頼む。」

 

「......それで、どうしてメアリー殿が、ここに?」

 

「...知り合いでしたか。彼女は、この前まで魔導少尉士官候補生でしたが...最新戦闘機の配備に伴い、これを動かせそうな魔導適正持ちを探した所、彼女が志願してきまして...。」

 

...とはいえ、ただの候補生が志願したところで、通常は一蹴されるはずです。

 

「まさか候補生が、と思いましたが、士官学校の教官からも推薦されていまして...。」

 

「はい、小官は士官学校入学後、寝ている時間以外はすべて学習、訓練に使っておりました。努力が実り、主席で一号生へ進級致しました。そこで、教官にも確認し、志願した次第であります!」

 

...メアリーは、生まれ持った魔導師としての才能のほかに、努力できる才能まで持っていたのですか。

学習、訓練、共に周囲の何倍もやる気を見せ、いつ見ても学習に浸る生徒が、最新戦闘機配備の募集に志願。

 

「作戦を完遂し、無事生きて帰れば、特例で士官学校卒業になります!」

 

...飛び級、というやつですね。

私もターニャも、銀翼突撃章の獲得によって飛び級したようなものですし...。

 

「...そうか、まあいい。ルーデル大尉殿、明日は宜しく頼む。」

 

「ああ、少佐殿も。」





※西暦世界の史実で出てきたような名前が出てきますが、あまり関係ありません。

※この作品はフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係ありません。

まだそこまで継続していませんが、感想など。

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